-艦これ- 超々々々弩級戦艦白石です! All the world's a stage 作:うかた
「では、『帝国第一主力艦隊救援作戦』の会議を始めさせていただきます」
トラック泊地の第一会議室にて、現在の『特殊海軍南方諸島総合司令部』という、中規模以上の作戦の際にのみ置かれる、連合司令部が発足していた。
出席者はトラック泊地の、提督、空軍の司令官。ラバウルの提督、空軍の司令官、そして輸送船団でやってきたばかりの南方諸島への資材輸送の長官である。
それぞれの提督、輸送船団の長官にはそれぞれ秘書官として艦娘がついている。
司会者は、この中で唯一の海軍中将であり特殊海軍大将であるトラック泊地の提督がしている。
「ではまず、この作戦の前提として、我々自身は捜索の直接的な協力は出来ません」
ここで、トラック泊地の空軍の司令官がつっこむ。
「それに関してですが、南方から出来る限りの範囲で空軍機を飛ばして探すことはできんのですか?」
「それは難しいです。というのも、二日前にラバウルの提督が暴れて引き付けた敵の主力が、空母ばかりである可能性が高いのです」
「それに、ガダルカナルの陸上にて確認されている、基地型の深海凄艦をどうにかしない事には、我々もそれぞれの持ち場を開けるわけにはいかないのです」
それに同意するように情報を並べたのは、ラバウルの提督である。
「ということは、我々の任務は派遣されてきた敵の主力を撃破しつつ、隙有らばガダルカナルを狙っているように見せることですか」
これを総括したのは、トラック泊地の秘書官、五月雨である。
「まさしくその通りです。輸送の方は、なるべく護衛空母を二隻以上はつけ、対潜艦載機よりも、対空用の戦闘機を最大限に載せるようにできますか?」
トラック泊地の提督は同意し、輸送船団の司令官に援助を申し出た。
「ええ、空母にも微妙に使っていない機体があったので、ちょうどいいです」
「分かりました。こちらから、陣風改を二十六機送りましょう。必要ない機体は、こちらに置いて行って下さい」
「ありがとうございます」
こうして、南方諸島における『帝国第一主力艦隊』捜索に関する基本方針が決められつつあった。
時同じくして、トラック泊地艦娘擬装整備場
「そういえば、あなたたちは最初の中規模作戦でしたね」
「はい。実はちょっと緊張しています」
隼鷹から中規模作戦が発令されたことを聞かされた信濃は、他にやることがなかったので、戦闘機や攻撃機の整備をするために工廠にいた。
そこに、強行偵察偵察を兼ねた出撃を行っていた加賀がやって来た。
戦力的にこの前線の泊地においても最高級の実力を持っている加賀を相手に少し緊張した面持ちで、信濃は応じた。
何しろ、加賀は大日本帝国海軍の最初期を支えた空母として、もはやその存在は半ば伝説になりかけていたほどである。
とはいえ信濃自身も帝国海軍の大和クラス、全く気後れする必要は無いのだが、そこは有名な先輩に対しての敬意の現れなのだろう。
「私も、最初の大規模作戦の時は怖かったわ」
「えっ」
ここだけの話、と微かに微笑み、続ける。
「でも、私には赤城さんがいた。守りたいというほど弱い赤城さんではないけれど、それでも一緒に戦っていたら、絶対にこの人を傷つけさせたくないって、そう思って戦った」
そして、真面目な顔に戻って、信濃にこう言った。
「貴女には、護りたい人がいるかしら」
その時信濃の脳裏には、あの無表情で、それでも感情豊かな高速戦艦があった。
彼女が傷つくところは見たくない。自分の力で彼女を護るためなら、頑張れる気がする。
「はい、います!」
「そう、ならその人を護るために、頑張って」
再び微笑んだ加賀に、信濃は勇気付けられた。
「はい、ありがとうございます!」
そういうと、工厰から駆け出していった。
「ほー、珍しいですねぇ!」
と、青葉が真上から飛び降りてきた。
この取材が大好きな重巡洋艦には、プライバシーという観念はないようだ。
「何がかしら」
「加賀さんがあんな表情を見せるなんて、なかなか珍しい事ですからねぇ、しっかりと撮らせていただきました!」
「そう、直ぐに破棄するといいわ」
徐々に、加賀からプレッシャーが放たれ始める。
心なしか、無表情のままで、怒気を放っているような気がする。
「いえ!私にとって、撮った写真こそが護りたい物ですから!!」
「……貴方、そろそろ命が惜しくないようね」
加賀がそういった瞬間、艦載機の発艦体制に入る。
青葉は、重巡洋艦とは思えないスピードで逃げ出していく。
こうして、トラック泊地は今日も騒がしいのであった。
加賀さんって、無表情でも結構考えていると思うんです。
赤城さんのこととか、後輩の五航戦のこととか。皆さんはどう思いますか?