-艦これ- 超々々々弩級戦艦白石です! All the world's a stage   作:うかた

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最近少しづつクオリティが下がっている作者です。

クオリティは下げるもの(錯乱)


攻守逆転

提督は食堂のボードの前で、指揮を直接採っていた。

とはいえ、自分自身に聞かせるようにして、手足の如く動く必要のある複数の艦隊の動向を、敵艦隊の配置を、刻一刻と変わる戦況への理解を行うためのものであるが。

 

「現状をまとめるぞ、攻守が逆転されている」

 

と、ボード上の幾つかのマグネットを動かす。

ちなみに、それを見ているのは秘書艦をしている吹雪と、提督本人だけである。

 

青い丸が艦娘の艦隊、飛行機の形をしたのが空軍の部隊。

赤い丸が深海凄艦の艦隊。丁度レ級の尻尾らしき形をしたものを、第二艦が発見したレ級の現在位置に張り付けている。

丁度トラック泊地を北東と北西から押し潰す様にして、深海凄艦は攻撃してきている。

 

北東の敵には第一艦隊が、北西の敵には第二艦隊が当たっているが、北西の敵は第二艦隊だけでは荷が重すぎる。

 

レ級elite。

北方にいるはずの、最上級深海凄艦。

戦艦であるくせに、航空戦、雷撃戦、砲撃戦に一通り参加する上にどれも高威力、高精度。

その名は全国どころか世界に轟いており、レ級一隻に艦隊がひとつ壊滅、何てことも普通に起こす深海の悪夢である。

 

「現状、見事なカウンターパンチを食らいかけている。このままではこの泊地が危ない」

 

という正しい認識のもと、第一水雷戦隊を北西に送り込み、あと十数分もすれば援護が可能であるはずだ。

 

とはいえ敵に輸送船団がいない以上は、トラック泊地の攻略ではなく、指揮所やその他の施設、空軍の基地の破壊を目的としているのであろう。

そうならば、これは普通の戦闘と同じである。

輸送船団だけが抜けてきて、知らない間に王手を掛けられるようなことにはならないのだ。

 

それでも万が一、接近してきた際のために、空軍に支援要請は既に出してある。

更に、提督に指揮権のある戦闘機二十機の部隊を北西に向けて出撃させてあり、此方は水雷戦隊よりも早く着き、制空権をどうにかしてくれるだろう。

更には、まだ空軍基地には五十近い戦闘機があり、爆撃機、雷撃機を含めれば百を超えている。

空母無しの艦隊であれば、艦隊を派遣するまでもなく空軍の独力で決着が付くだろう。

 

しかし、ここに来ても、提督の脳からは違和感が離れない。

 

敵の攻撃が、軽すぎる。

 

此れでは深海棲艦の損で終わる可能性が高い。

 

この現状では、トラック泊地への攻撃は不可能の筈。

例え数隻が突破して来ようと、提督側の残りの手持ちは水雷戦隊一つ、駆逐隊一つ、航空支援大、戦艦空母一隻ずつを含む艦隊が一つである。

レ級クラスが抜けてこない今、生半可な部隊など瞬く間に魚雷の錆になるだろう。

 

ならばラバウルかと視線を転じてみても、ラバウル周辺には目立った敵影は無く、空母級も殆どが狩り尽くされているであろう今、深海凄艦によるラバウルの攻略は無理である。

 

だとしても、レ級eliteが来ているのだ。

これは生半可な攻撃ではない筈なのに、危機らしい危機はない。

これほどの戦力を投じてきて、何もありませんでしたで終わってくれるほど、深海凄艦は馬鹿ではないのだ。

 

しかし、例えそれが何かの陰謀を持っていたとしても、今提督に出来る事は一つだけだ。

ひたすらに、待つ。

 

ただそれだけだった。

 

電話が置いてあるために、出撃している艦隊と連絡が取りやすい執務室へと移動した後、彼にできたことは殆ど無かった。

 

そして、本日最悪の知らせが舞い込んできた。

 

ジリリリと壁に据え付けられた電話がなり、吹雪がそれを取る。

 

「はい、秘書艦の吹雪です。はい。ええ。はい」

 

電話をしている最中に、吹雪の顔色はどんどん悪くなっている。

 

「はい、分かりました、直ぐに伝えます」

 

受話器を置いた時には、真っ青になっていた。

 

「北方から、レ級一隻に率いられた艦隊が南下中です。輸送船団は見当たらないので、恐らくは――――」

「この島の一時的な無力化が狙いか。ラバウルに一応、連絡を送っておけ。

第二水雷戦隊、特別艦隊に通達、直ぐに敵艦隊の攻撃を食い止めろ。

空軍から戦闘機を送ってもらうから、上空支援にはおそらく困りはしないだろう」

 

吹雪が出て行った執務室で、提督は壁を眺める。

そこだけ妙に新しく、まるで誰かがそこに穴をあけたのを直した後のように見えた。

 

「全く、これじゃあ防衛戦だな」

 




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