咲-saki-episode タイガー&ドラゴン   作:武田兎

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プロローグ

夢を見た------------------

 

夢の中では私達姉妹が仲睦まじく麻雀を打っている。

私と姉の容姿から見てまだ姉が東京の学校に行く前の頃だろうか。あの頃の私はただ麻雀の牌に触れるだけで楽しくて姉もそんな私を見て微笑みながら優しく麻雀を教えてくれていた。

ああこんなこともあったなあと思っていると夢の映像にノイズが入り始め、場面が別の光景に移り変わる。

テレビの砂嵐のようなノイズが収まり新しく移り変わった場面での夢のなかの私は目を真っ赤に腫らして泣きじゃくりながら言葉にならない声をしゃっくり混じりに叫んでいる。その様子をじっと黙りこくって姉は見つめておりとても先ほどのような和やかの雰囲気とは程遠い光景である。

そして姉は今まで噤んでいた口をゆっくり開き一言私に告げた。

 

--------------------もうやめちゃえば?タイガーには麻雀の才能がないよ

 

そこで私は目が覚めた。

 

「はあはあ…何で今更こんな夢…ん?あれ?あれれれ!?」

 

夢から覚めた少女は全身汗びっしょりとなりパジャマが自分の体に張り付くことに不快感を思えながらも目覚し時計をみてシャワーを浴びようとする気持ちは吹っ飛んだ。

 

「なんで時計…止まってるの…?」

 

おかしい---------------

昨晩目覚ましを7時にセットしたはずなのにどうして今日に限って鳴ってくれないのかと憤りと焦る気持ちを抑えながら目覚まし時計をよく確認すると誰かに壊されたのか画面にヒビが入っている。

誰がこんなことを…と大星大河は誰かもわからない時計壊しの犯人を探そうと自分自身の記憶を辿っていくとぼんやりとした記憶だが明け方何かうるさく鳴るモノを思いっきり殴った記憶が曖昧にあるのだが…それは関係ないだろう多分…

時計がないので急いで携帯で現在の時間を確認すると時刻は既に予定の7時を大きく過ぎ、8時になろうとしていた。

このままでは新学期早々遅刻してしまいみんなの笑いものモノになってしまう。

 

「やばいやばい!!」

「あら大河、今日から新学期でしょう?この時間で間に合うの?」

「わかんないよ~なんで起こしてくれなかったの!?」

「何度も呼んだけど大河起きなかったじゃない」

 

急いで制服に着替えて自慢の軽くウェーブのかかった長い金髪をヘアゴムで束ね、俗に言うポニーテールと呼ばれる髪型にする。身支度を整えると部屋から飛び出し階段を転げ落ちる勢いで降りていく。

一階に降りると母がやっと起きたかという呆れた顔をしながらも朝食をテーブルに並べてくれ、大河は用意されたトーストを口一杯にほうばりまるでリスのようになりながらも牛乳で流し込みさっさと家を出ようとする。その前に部屋を何気なく見渡すと姉が獲得したたくさんの賞状やトロフィーが飾られており今朝の夢を嫌でも思い出してしまう。

 

「も~ごちそうさま!!行ってきます!!」

「今日から中学二年生だっていうのに全く落ち着きがないわね。淡も東京でこんな感じなのかしら…?」

 

しかし今はそんな感傷に浸ってる場合じゃない。あっという間に朝食を食べ終わると玄関の扉を開きスカートなど気にせずにダッシュで学校へ向かう。

 

 

 

 

全力疾走して15分で学校に到着した。我ながらまずまずの好タイムである。

これは余裕で教室に着くかなと思っているとチャイムの音が聞こえ歩きかけていた足を再びフル稼働させ走るペースを一気に上げる。

なんとか時間内に新しい教室に到着するとそこには大河の昔からの幼馴染である上原美香の姿があった。

 

「おー大河おはようまた同じクラスだねー。ん?どしてそんなに息切れしてるの?」

「な、なんでも…ハアハア…ない…ハア」

「大河のことだから新学期早々遅刻するかと思ったよ」

「そ、そんなことあるわけないじゃん全くミカーは…」

 

思わずその言葉に一瞬ギクッとなってしまうがすぐに笑顔を作りごまかす。

そんなやり取りをしている間に担任の先生が現れそそくさと席に着く。新学期一日目は毎度お馴染みの校長先生の長い話の全校集会や新しいクラスでの一人一人の自己紹介など定番をやり終わったあとにあっけなく今日の日程は終わってしまい大河も他の生徒と同様、下校する身支度をし始めると美香が大河の席までやってくる。

 

「大河~一緒に帰ろ?」

「あ、ごめんこのあと寄るところがあるから」

「なにか用事なの?」

「うんちょっとね…じゃあまた明日」

 

そう言って行き先を美香に告げずに大河は学校をあとにした。

 

 

 

 

「ついに来た…」

 

学校を出てから10分ほど歩き、駅前まで到着すると目的地が目の前に見えてきた。

大河の目的地とはこの何の変哲もない雑居ビルであり、ビルの外にはビル内のお店の看板が横に突起しており、いくつもある看板の中で大河が見つめる先には[雀荘上田]という古めかしい看板があった。

 

(今更なに緊張してんだ私…)

 

こんなところで立ち止まっているようじゃアイツには----------

そこで大河にある人物のシルエットが浮かび上がる。今朝夢で見た自分の姉であり超えなければならない相手大星淡の姿が脳内に鮮明に浮かび上がり、再び決意を新たに決心を固めしビルの中に脚を踏み入れる。

 

「ええいままよ!!たのもー」

 

21世紀・・・世界の麻雀競技人口が数億人を突破し、日本でも大規模な全国大会が毎年開催され、プロに直結する成績を残すべく全国の麻雀部員たちが覇を競っていた。その中でもインターハイは毎年怪物級の選手が活躍する一方、中学生の全国大会であるインターミドルもまたインターハイに勝るとも劣らない怪物の巣窟であった。

この物語はインターミドルを目指す少女達の成長と戦いの記録である。




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