咲-saki-episode タイガー&ドラゴン   作:武田兎

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第十一話 初戦

天斗と別れた大河達五人はトーナメント表が張り出されてたくさんの選手た値でごった返している場所に向かおうとしていた。

 

「さてじゃあ早速トーナメント表見に行こうか?」

「せやなーうちらどこかもわからんしな」

「……」

「大河まだ気にしてるの…?」

「そうですよ先輩いいじゃないですか大道寺先輩が部長でも」

「わーたーしーがーつくったのにー」

 

天斗が雪奈を部長としてエントリーしていたことを今さっき雪奈から聞いた大河は頬をぷくーと膨らませて座っているベンチから動こうとせず子供のように足をバタつかせている。

 

「ほらほらそんなところで油売ってないで早くる!!」

「ブー、タカトーめ試合終わったら覚えときなよー」

「大河ちゃん見て見て!!うちらここやで」

「ん?ああこの右端のか…で組み合わせどうなの?」

 

雪奈に引きづられて大きく貼り出されたトーナメント表を見ると右下のブロックに百目木中学の名前が小さくあった。

 

「最悪…とまでは行かなけど良くはないわね…一回戦目から去年3位の千葉女子大附属と当たるし…」

「えーじゃあ1位と2位はどこなんですか?」

「きっとあの右上と左上のシードになってる奴やろ?」

「館山女子と作草部か…確か命尾がいるのは館山女子…」

「よかったじゃあ決勝まで行かないと当たらないんだね?」

「そうね…でも全国に行くには絶対に勝たなくちゃいけないのよ?」

「うう…命尾さんが次鋒で出てきませんように…」

「まあなんにしてもまずは初戦に勝たなああかんな」

「っよし!!じゃあ決勝までノンストップで行こう百目木中ファイトー!!」

「ちょ、大河声がでかい!?」

 

大河が人目をはばからず大きな声と一緒に拳を突き上げると周りの学校が怪訝(けげん)な目をする中二人の選手がわざと大河達に聞こえるくらいの声で話しだした。

 

「何アレ?どこの学校?」

「確か百目木中って言ってたよ?」

「百目木?どこそれ?去年いなかったよね?もしかして初出場とか?」

「うわ私たち今年超ラッキーじゃん他の学校も弱いとこばっかりだしもしかして副将くらいで飛ばせたりして~」

「きゃはは!!それめっちゃありえる~じゃあ初戦は楽勝だー」

 

そしてその二人組は大きな声で高笑いながらその場を後にした。

 

「…今のってどこ?」

「確かあの制服は千葉女子大附属…」

「ってことはあの人たちが初戦の相手ですか?」

「私ちょっと文句いってくる!!」

「やめなさい大河!!」

 

走り出そうとする大河の腕を雪奈が掴み制止させる。

 

「でも!!」

「別にいいのよ言いたい奴には言わせておけば」

(先輩口ではそう言ってるけど…)

 

大河を制止させた雪奈であったが四人は見てしまった。雪奈の額に浮き出た怒りの青筋と怒りのオーラを…

 

「副将で飛んじゃう?はっ、上等よ!!やって見なさいよ本当にできるのであればね?」

((い、一番怒ってらっしゃる…))

『まもなく一回戦第四試合が始めります選手の皆さんは指定の対局室まで移動してください』

 

いつも冷静な雪奈の意外な一面を垣間見ているとアナウンスで大河達の試合が呼ばれた。

 

「あ、私達だ」

「ほなうち行ってくるわ~」

 

先鋒である辰美が対局室に向かおうとするとみんなで激励の言葉をかける。

 

「先輩頑張ってください…」

「私も次、頑張るんでなるべく点数稼いでください」

「辰美!!先鋒で飛ばすつもりでやって目にもの見せてやりなさい!!」

「あはは善処するわ…」

「タツミー…行こうね全国!!」

「うん!!」

 

ついに百目木中学麻雀部記念すべき第一戦目が今始まる。

 

 

指定の対局室に行くと既に他校の選手3人は椅子に座り場決めも終了しており辰美も残った席に着席する。

 

「よろしくお願いします」

「よろしく」

「よろしくです」

「ういーす」

(あ…この人さっきうちらのこと言ってた人や…)

 

対面の人の顔を見ると先ほどトーナメント表の前で話していた二人組のうちの一人であった。 

 

(そういえばこっちに転校してきてから大河ちゃん達以外で同い年ぐらいの子と打つの初めてやな…同い年ぐらいの子の中やと自分がどん位の強さかわからへんわ…)

 

 先鋒戦 東1局 ドラ{2}

市原東     三上佳奈(東)100000

百目木     十和辰美(南)100000

稲毛国際    松下亜美(西)100000

千葉女子大附属 野口葉子(北)100000

 

辰美:{499八八④⑤⑨発発北北} ツモ{1} 打{⑨}

 

七対子が狙えそうな手であるがわずか4巡目で北家である千葉女子大付属からリーチがかかる。

 

「リーチ!」

(ってもうリーチかいな!?ここは一発回避やな…)

辰美:{11499八八④⑤発発北北} ツモ{2} 打{1}

 

他の学校も辰美同様に安牌(あんぱい)を切って凌ぐが一発でツモられてしまう。

 

「よし!ツモ2000.4000」

{1234[5]6五五五②③④⑤} ツモ{②}

 

「さ、さすが第三シードの千葉女子大」

「早速親っかぶりもらっちゃった~お見事です…」

「へへ~どうも~」

 

どこの学校も今の和了を褒め称えるなか辰美は逆に今の和了に疑問を感じていた。

 

(え?何言っとんのこの人ら…{4}切ってリーチしてノベタンになった手が綺麗?)

「ほら何してんの早く点棒!!」

「あぁすんませんなあ…はい」

「まったく…ねえ?先鋒ってことはあなたがエースなんでしょう?なんか頼りないエースねえ?あんたでこれじゃあ後続(こうぞく)の人たちはちゃんと麻雀知ってるのか怪しくなってきたわ、ドンジャラと勘違いしてたりして~あはははは!!」

「……」

 

東2局 ドラ{1}

市原東     三上佳奈 (北)96000

百目木     十和辰美(東)98000

稲毛国際    松下亜美(南)98000

千葉女子大附属 野口葉子(西)108000

 

葉子:{456四四五五六六88④⑦} ツモ{⑤} 

 

「これは行くしかないでしょリーチ!!」

 

勢いに乗る葉子がタンピン一盃口(いーぺーこー)高め3色を聴牌し{⑦}を切ってリーチ宣言をする。

 

「ロン、平和(ぴんふ)ドラ1 2900」

辰美:{123789二二六七八⑤⑥}

 

「ありゃりゃあったちゃったか~まあそれぐらいやってくれないとね~」

「……」

 

そして辰美が親の連チャンで迎えた2本場、ここから葉子は…いやこの卓にいる3人は目の前の人物が常識の外にいる怪物であることを身をもって思い知らされる。

 

「ツモ、平和ドラ2」

「ま、まあまだ…」

「ロン、白ドラ3」

(ちょ、ちょっと…)

(なんか…あの子の和了…)

「ツモ、ドラ4」

((だんだんドラの数が増えてる!!))

 

和了するたびにドラが増えていくという異様な和了を見せられたこともあってか三人には黙々と顔色一つ変えず和了を繰り返す辰美が恐ろしい存在に思えてきた。

 

 

この先鋒戦の様子を大河達四人は選手控え室にある大きなモニターで観ていた。

 

「うわあ相変わらず怖いなあタツミーの麻雀は」

「自分が和了するにドラが増えていく…」

「見たか第三シードめ!!いいわよ辰美そのままブッ潰せ!!」

「大道寺先輩他の学校の選手が見てますから…」

(まさ)しくタツミーの名前どうりの高火力なドラ麻雀だね」

「それだけじゃないわドラが集まることによって他者の点数も大幅軽減される…本当に頼りになるわ」

「まあ本場が流れればまたドラ1になっちゃうんですけどね」

 

そして四人は自分たちが一年間努力したものはシード校相手にも十分通用することをモニターを通して感じ各々も早く自分の力を試したいと思っていた。

 

 

まだ場は東場であるのにも関わらず一位である百目木中は各校から大幅にリードし場は辰美の親で6本場になろうとしていた。

 

(くそ!!何とかしてあいつを止めないと止めないと…)

((全員食い殺される!!))

「リーチ」

 

既に辰美の能力その身で味わった3人は次は6本場つまりドラだけで跳満という怪物手であることはわかっていたがどうしても辰美の聴牌速度についていけず後手に回ってしまうなかついに今までダマテンだった辰美がついにリーチ宣言をした。

 

(くそッ!!早く和了ろうと鳴きまくったせいで安牌がない…これかな?)

 

そういって葉子は半分やけくそ気味に一番通りそうだと思うカタスジの牌を河に捨てる。

 

「それロンやリーチ一発ドラ6で25800」

(これが楽勝?とんでもない!!甘かった…もしかして…)

 

----------とんでもないダークホースに当たった!?

 

 

「あいつら‥大丈夫かな緊張してチョンボとかするなよ特に白兎と大河…あああ落ち着かねー腹減ったし売店でなんか買って…ああ!?ごめんなさい!!」

 

場所は移って応援席で天斗はそわそわしながらモニター越しに大河達の様子を見ようとするが一向に落ち着かず売店で何か買ってこようと席を離れると前を見ておらずに前の人とぶつかってしまった。

 

「いやいやこちらこそ、おかげで捜している人に会えたからね」

「へ?ってえええええええ!!!!」

「久しぶりだね上埜くん」

「なんで…こんなところにいるんですか…?ヒロさん…」

「今日の大会の解説に呼ばれてねそれで決勝まで解説の仕事がないからぶらぶらしてたらちらっと上埜くんが見えたから探してたんだよ」

 

この爽やかな風貌でどことなく先生と言いたくなるような人物は井川ひろゆきといって一年ほど前に大会で対戦してから馬が合い今ではヒロさんと愛称で呼ばしてもらっている。

しかしこの人実力はプロの中でもトップレベルなのにも関わらずあまり大会には出てこずに子供やお年寄り相手に麻雀を教えているのだ。

まったく小鍛冶プロといいある程度強くなると自分で打ちたくなくなってしまうのだろうか?

 

 

そして彼について詳しい人は彼をこう呼ぶ『神眼』のひろゆき、または…アカギの意思を継ぐ者と…

 




作中で登場したヒロさんは『HERO -逆境の闘牌-』から数年後という設定で考えております。
ヒロさんが先生に向いてると思っているのは自分だけじゃないはず。

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