咲-saki-episode タイガー&ドラゴン   作:武田兎

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先鋒戦終了時の各校の得点は以下の通りです。

作草部中学  97200
百目木中学  109500
木更津女学院 81600
館山女子   111700



第十五話 後続

先鋒戦が終了し各選手が自分の学校の控え室に戻る。先鋒戦収支トップの成績だった朱夜も館山女子の控え室に戻ると扉を乱暴に開けてどさっとソファーに座り込んだ。

 

「お疲れでーす星奈先輩」

「……」

「なんだ一位の収支を見せたのに不満げだな?」

「だってーまさか私が逆にダブロンされるなんてありえないの」

「あー…それについてなんですが…なんで先輩はすぐにリーチしたんですか?シャボ待ちになったら永遠に当たり牌出ないでしょうに」

「ん~……あ、そうか!!私うっかりしてたの!?」

((この人は…))

 

うーんと少し考えたあとに思いついたのかポンっと手を叩く朱夜を見た3人はああこの人ほんとに馬鹿なんだな…と皆呆れた目で見ていると朱夜も慌てて反論する。

 

「で、でもあんなにドラが来てたら早くリーチしないと当たり牌なくなっちゃうと思ったから」

「ま、まあ気持ちはわかりますけど…」

「多分私でもリーチしちゃってたと思います、ハイ!!」

「でしょう?百目木の人が鳴くごとにいっぱいドラがくるんだもん仕方がなかったの」

(確かにあのドラ爆は異常だった…まるで百目木の先鋒が意図的に星奈にドラが来るようにしていたような…私の考え過ぎか?)

「まあダブロンされたことを入れてもとっても楽しい試合だったの…またあの面子で打ちたいな~」

「せ、先輩あれだけ鬼畜なことしておいて…それにダブロン食らって楽しいってSだけじゃなくてMにも目覚めちゃったんですか!?」

(あーあ私知ーらないっと…)

 

一年生ルーキーの茜がルーキーならではの怖いもの知らずな発言をすると朱夜がスマイル100%の眩しい笑顔で茜の頭をがしっと掴む。

 

「茜ー次鋒戦始まるまでまだ時間あるからちょっと外行こうか?」

「え?いや、じょ、冗談ですよ!?な、なんでそんな笑ってるのにこんな強い力で頭を…いやああああああ」

(ばーか口にだすから…)

 

 

「ただいまーってうわ!?」

「タツミー!!!」

 

辰美が扉を開けた瞬間大河が辰巳の胸の中に勢いよく飛び込んできた。

 

「なんや大河ちゃんきゅ、急に抱きついてきて!?」

「私のッ 気が済むまで 抱きしめるのをやめないッ! えへへ、ついでにこの立派なおもちを堪能させてもらおうかな?」

「ちょ、ちょっと大河ちゃん…」

「ヘブッ!!」

「やめろっての!!」

 

辰美の胸のなかでよからぬことをしようとしていた大河の後頭部に雪奈が正義の鉄槌(チョップ)をいれる。

 

「先輩…お疲れ様でした」

「はいお茶どーぞ」

「ありがとうな~いやーやっぱり『アレ』使うのしんどいわ」

「でもすごかったわね本当にある場所がわかっちゃうんだからその『ドラ察知』は」

 

響が睨んだ通りドラが朱夜に沢山回ってきたことは偶然ではなく辰美のもうひとつの力によるものだった。

ドラ察知-----------これが辰美のもうひとつの能力でありツモ山のドラだけではなく相手の手牌のドラの数までも知ることができる能力である。

最後の局辰美は朱夜にドラを送り込むことで朱夜の手が赤ドラを使ったことを見透かしそこで自らは萬子の見え見えの染め手にすることで朱夜に萬子を切りにくくさせ手を遅らせた。

そして朱夜は危険牌を切ることを恐れ三色の聴牌を崩したがドラ5の手を捨てることができず早くしないと当たり牌が捨てられてしまうと焦って冷静な判断能力を失った状態となりリーチに追い込まれたのであった。

 

「ドラは使う者にとって大きなボーナスにもなるけど時に打ち手を縛る重りになるってことね。」

「いやーでもうまく決まって良かったわ星奈さんがドラに無頓着な人やったらだた相手にドラをあげてるだけやからな~おまけに使うとしんどいし今のところは一試合一回が限界やな…」

「あのままドラと染め手を気にせずに三色を突っ張られたら…アウトだった…」

「でもこれでうちはプラス収支!!よしタツミーの後に続くのだハクトー」

「は、はい!!いい行ってききます!!」

「いつも通り打てばいいから…」

「う、うん」

 

そういって白兎は緊張していることが丸分かりのロボットようなカクカクとした動きで控え室から出て行った。

 

「大丈夫かしら…?」

「大丈夫でしょ?なんてたってハクトーには『アレ』があるし」

 

 

「ただいまです…」

「三島さんお疲れ様」

 

重い足取りで控え室の扉をゆっくりと開けると葵が暖かく迎えいれてくるなか佳菜子は目を合わせずに無言で葵の前まで行って深々と頭を下げた。

 

「ぶ、部長…ご…ごめんッ…なさい…わ、私が…部長の…いッ…いう事を守らないッ…せいで…」

 

自分の余計な感情で大切な点棒を減らしてしまった。その事を思い出すと涙がこみ上げてきて声がしゃっくり混じりになってしまう。

 

「三島さん頭を上げて?いいのよ…私はそれよりも三島さんが自分の意思であの場面リーチしたこと私はとても嬉しいの」

「え…?」

「結果的に振り込んでしまったけどあなたがあそこでリーチをしたのは私たちのことを思ってくれたからでしょう?それにあの一打は三島さんが自分の意思で打った…だったらそれは麻雀を楽しんでくれている証拠だもの私は点棒よりもそっちの方が全然嬉しいわ」

「部長…うわあああああああん」

「よしよし頑張ったわね…」

 

その葵の言葉で安心と嬉しさからか今まで我慢していた涙が一気に溢れてきて大声で泣きながら葵の胸に飛び込んでいった。すると再び扉を開く音が聞こえ昼食の買い出しに行っていた3人が戻ってきた。

 

「ただいま帰りって…あーあー部長が佳菜子泣かしてるー」

「何事?」

「ち、違うの!誤解なのよ?」

「ほらほらみっちー、剣ちゃん何があったか知らないけどこれでも食べて元気だして?」

 

切れ長の目をした次鋒で三年の矢附陽子(やずきようこ)がたった今買ってきたおにぎりを袋から取り出し二人に手渡す。

 

「ありがとう陽子」

「ぐすっ…ありがとうございます…」

「うん、じゃあ行ってくるわ後ろに剣ちゃんとかずっちがいるから気楽にできるよ」

「任せてください矢附先輩!!大将戦まで1000点残ってれば全員私が飛ばしてやるッス」

「あはは…かずっちが言うとハッタリに聞こえないな…予選の時のこともあるし…」

「任せてください!!なんってったって私、ついてるッスから!!」

 

陽子の目の前で自信たっぷりに豪語(ごうご)する少女は木更津女学院の大将、桜庭一葉(さくらばかずは)である。もし彼女以外の人が同じセリフを言っても冗談だと軽く流せるが彼女に限りそれはない。なぜならば匝瑳(そうさ)中学との一戦…副将戦終了時までは匝瑳中学との差は4万点以上あった大差をあっさりと、さも当たり前のようにひっくり返したのは紛れもなく目の前のまだあどけなさが残る一年生のルーキーなのだから…

 

 

「お疲れ様でしたー」

「おつー」

 

作草部中学も先鋒戦で最後朱夜に一矢報いた知由のことをみんなで労っ(ねぎら)ていた。

 

「いやー疲れたーなんだあの百目木の先鋒?何者なの?」

「それは予選からわかってた事じゃないか」

「やっぱり雪奈のチームは…おっと」

 

そこまで言いかけると慌てて知由は自分の口を抑えバツの悪そうな顔で楓と雪乃を交互に見る。

 

「別にー私も溝口部長もお姉のことなんて眼中にないですしー」

「その割には結構意識してるようだけど~?」

「まあ私と東雲先輩は別のジュニアだったからその人のこと名前しか知りませんけどね~」

「南雲先輩、東雲先輩!!別に私はお姉何かに対抗意識なんか燃やしてません!!だって私のが強いし…」

「うんうんそうだよね~」

「うんうん雪乃のが強い、きっと一番だよ~」

「うわあああん本当だもん!!」

 

雪乃が座っているソファーの両脇に座っていたツリ目とツインテールが特徴的な2年生の南雲文(なぐもあや)と栗色の髪をボブカットにしているタレ目の3年生東雲真咲(しののめまさき)が雪乃をからかうことを楽しんでいると次鋒戦を伝えるアナウンスが流れた。

 

「さて…南雲頼んだぞ?」

「はい!!もう去年みたいなことにはなりません。絶対に東雲先輩にたくさん和了して繋ぎます!!」

「うん期待して待ってる。」

「わあ私超楽しみ~雲雲コンビ生で見るの初めてです~」

 

先程までの涙目が嘘のようにケロッとした雪乃がお返しのばかりに二人が呼ばれるのを恥ずかしがるコンビ名を強調した口調で言うとみるみる文の顔が真っ赤になっていた。

 

「雪乃ちゃんごめん…その呼び方恥かしいからやめて…」

「さっきのお返しですよーだ!!でも可愛いじゃないですか~雲雲コンビ、これが嫌なら…こう呼んだ方がいいですか?」

 

 

そう言って雪乃はひと呼吸おきジュニア時代の南雲、東雲二人の通り名を口にする。

 

 

 

 

 

 

--------------------------白水・鶴姫コンビの後継者って…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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次から次鋒戦頑張って書いていくんでこれからも応援よろしくお願いします。
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