咲-saki-episode タイガー&ドラゴン 作:武田兎
南雲文は思い出す。
1年前私は自分たちが最強だと思っていた。
ジュニア時代は個人でこそ大道寺雪奈にかなわないもの団体戦では私たちの能力をフルに活かせ千葉県では負けなしのジュニアチームのエースだった。その功績が認められ名門作草部中学に推薦で入学し一年早く入学した東雲先輩とのコンビが復活し私は一年生ながらも副将を任された。再び先輩と肩を並べて戦った試合…正直負ける気がしなかった。
あの化物に会うまでは…
---------------そこで私は初めて自分の無力さを知り、呪った。
◆
「さあ休憩時間が終了し各校の次鋒の選手が入場してきました。現在トップは館山女子ですがその差は僅かです。」
「どの学校も気が抜けませんね」
ひろゆき達が前口上をしてる間に場決めが終わり選手がそれぞれの席に着く。
「さあ場決めも終わり各校先鋒から引き継ぎいだ点数を守りぬくことはできるのか!?ついに次鋒戦開幕です!!」
東1局
百目木中学 千条白兎(東)109500
木更津女学院 矢附陽子(南)81600
館山女子 弓塚茜 (西)111700
作草部中学 南雲文 (北)97200
対局が始まってから文は他の学校の選手からの自分に向けられる視線を感じていた。
去年まで副将だった自分がいきなり次鋒にきたことで警戒されているのはわかるがやはりこれだけチラチラ見られると苛立ちさえ覚える。
(さっきからみんなチラチラ私のこと見てるけど…そんな見てる余裕あるのかな?ん?)
---------------ほらまず一つ目ッ!!
「ツモ!!1000.2000」
文:{三四[五]②②⑥⑦⑧678 チー六七八}
((もう一つ上がられた!?))
(驚いてるところ悪いけどこの勝負絶対に負けられない!!チームのためにも東雲先輩の為にもそして私のためにもッ!!)
警戒していたのにもかかわらず上がられたことに驚いている3人に対し文はお返しとばかりに闘士の宿った決意の目で睨み返した。
◆
この文の先制和了の様子を解説席でアナウンサーが実況する。
「早速作草部の南雲選手が鳴き三色をツモアガリしました。この南雲選手は去年副将を務めていましたが今年は次鋒なんですね」
「大将には命尾選手がいますから去年のような東雲選手と命尾選手の対決を避けるためにも懸命な判断だと思います。彼女の…いえ、南雲選手と東雲選手二人の打ち筋は有名ですから周りの選手も警戒はしているようですがやはり実力的に南雲選手が一つ抜けてますね」
「南雲選手といえば東雲選手と共にかなり特殊な打ち方をするとか…あまり詳しくありませんが確か去年新道寺コンビの後継者と言われて騒がれてましたよね?」
新道寺コンビ------------麻雀を打つ者にとっては誰もが知っている北九州最強の高校新道寺の白水哩と鶴田姫子、彼女たちも中学のインターミドルの頃から注目され今ではインターハイ常連校のエースを任される程にまで成長した。その二人の打ち方と南雲文と東雲真咲が酷似しさらに実力も兼ね備えていたことで話題となった。
「はいジュニア時代の彼女たちの打ち筋はプロの中でも結構騒がれてました。そして彼女たちコンビが揃った去年のインーターミドル、作草部中学の全国行きを誰もが確信していた…」
「していたですか…?」
「はい、大将戦で東雲選手を破りその確信を見事に打ち砕いたのが紛れもない命尾伊鞠です。彼女がおこした大番狂わせでその名前が一気に全国まで轟いたわけです。」
「なるほど…ところで南雲選手と東雲選手は一体どんな麻雀を打つんですか?私ジュニアの頃の彼女たち二人についてあまり」
「それは…」
そう言ってひろゆきはゆっくりと口を開いた。
◆
「ロン、1000」
テレビではさらに東2局に鳴きチャンタで文が早上がりする様子が映しだされておりその様子を作草部中の四人は食入いるように見ていた。
「南雲調子いいみたいだな…」
「はい気合十分です。今の鳴きチャンタでもう『二個目』ですから」
「それにしても不思議ですよね~先輩達は」
「そうかしら?」
「そうですよ南雲先輩が上がった局で東雲先輩も同じ役で上がれるなんてオカルトですよオカルト!!」
「そんなオカルトだなんて…絶対に上がれるわけじゃないのよ去年の決勝だって…私のせいで…」
「え!?先輩…」
なぜか真咲は段々とうつむき黙り告ってしまいわけがわからない雪乃がおどおどする中キャプテンの楓が
優しい声で真咲に話しかける。
「東雲、何度も言うが私も秋月も全く怒ってなどいない。あれは相手が悪かった。それよりも今は南雲の応援を全力でしてやってくれ」
「うんありがとう…」
「ん~?」
他全員が納得している中雪乃ただ一人がその場で不思議そうに首を傾げている。
「あーあ雪乃は知らないよね去年いろいろあったのよ。それよりさっきの雪乃の言葉ちょっと足りない所があるなあ」
「足りない部分?それって何ですか秋月先輩」
「確かに真咲は南雲と同じ役で上がるけどさ~」
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◆
東3局 ドラ{⑧}
(この手リーチしたいけど…)
茜:{五五六六七七①②③⑧⑧677}
「……」
茜は文の方を見ると既に二副露して索子の染め手の気配である。
(めっちゃ危険牌だけどこれ以上作草部にいいようにさせないためにもそしてなにより…星奈先輩のあんな怖い笑顔二度と見たくない!!だったら…)
茜は対局前に朱夜された『お仕置き』もとい口にするのも恐ろしい行為とその時の朱夜の満面の笑顔を思いだし汗が吹きだす。もしこの点棒を減らしでもしたらもう一度朱夜に恐ろしいあの笑顔で『お仕置き』されるかもしれない…茜は迷った末1000点棒を場に放りリーチ宣言する。
「リーチですはい!!」
「ロン2600」
「…あぁぁ…」
茜には見えた朱夜が笑顔で「お仕置きなのー」と言って笑顔で迫ってくる姿が…
東4局 ドラ{⑨}
(さて親だけど…)
文:{②②⑤⑥⑦⑦⑧六八白白発発}
(この配牌…普通なら面前で進めたくなる…でも私はッ!!)
「ポン!!」
「ポン!!」
面前でも十分作れる手を文はあえて速攻で鳴き満貫の手を聴牌をする。
(よし!張ったこれで『四つ目』)
文:{②②⑤⑥⑦⑦⑧ ポン白白白 発発発}
(……)
白兎:{二二四五六六七344中中中} ツモ{⑥}
「あーっと千条選手親の当たり牌を引いてしまった!!」
「これは切ってしまうでしょう…え?」
文が聴牌したとこに白兎は当たり牌である{⑥}もツモってきてしまいこれには白兎が放銃してしまうと誰もが思った時白兎は誰もが予想だにしなかった事をした。
「~♪」
なんと白兎が捨てた牌は{⑥}ではなく{中}であった。文が{白発}と鳴いているところに{中}を切るという暴挙に実況席だけではなく会場中がどよめく。
(なにこいつ…)
({白発}鳴いてるのに…役満でなくても小三元だってあるのに…)
それから文が上がれないいまま数巡後----------
「あ、ツモです!!1000.2000」
白兎:{二三四五六七345⑥⑥⑥⑨⑨}
「なっ!!」
文は白兎の手牌をみて驚愕した。自分も当たり牌をほとんど握られてるうえにそれにあの出来メンツからの{中}の刻子落とし…文はなにかいいようのない不安を胸に抱きながら場は南場へと移行した。
投稿遅れて申し訳ありませんでしたもう一つ「君と龍の愛し方」という作品を投稿しました。
読んでいたただければ幸いです。