咲-saki-episode タイガー&ドラゴン   作:武田兎

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皆さんあけましておめでとうございます。
新年になって心機一転頑張って行きたいと思いますので応援よろしくお願いします。


第三話 決意

キンコーンカーンコーン----------

放課後を告げるチャイムが学校に響き渡り教室の扉はは一斉に下校しようとする生徒でごった返す。大河もその例に漏れずさっさと帰ろうとすると担任の山口先生(独身)に呼び止められた。

 

「大星ちょっといいかな?」

「何ですか先生?私これから家に帰ってゴロゴロするっていう大事な用事があるんですけど」

「ふむつまり暇ってことね」

「人の話聞いてた!?ん?確か転校生の…」

 

先生との言い争いで今まで気がつかなかったが先生の後ろに今日転校して来て新しいクラスメイトになった十和辰美が先生の背中に隠れるようにしてこちらを見ていた。

 

「この子まだ転校してきたばっかりで何がどこにあるかわからないでしょう?だから大星が学校、案内してあげて」

「えっ?ちょ、なんで私が!?」

「今朝の騒ぎの罰よ、じゃあ私はテニス部の練習見に行くからじゃあね~」

 

そう言うと山口先生は二人を残してさっさと教室から去っていってしまった。

 

「あんだだから婚期逃して売れ残りになるんだよ…はあ…じゃあ行こうか?」

「あの…よろしくお願いします」

 

そんな担任に愚痴をこぼす大河の横で申し訳なさそうにこちらの様子を見ている辰美がぺこりと頭を下げ二人の学校案内が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

午後五時過ぎ、夕暮れ時のこの時間に学校に残ってる生徒は部活に所属している生徒がほとんどだが、その中にまだ真新しい制服を着た少女とその隣で一緒に楽しそうに談笑しながら歩いている金髪の少女が長い渡り廊下を歩いていく。一人は大星大河そしてもう一人は今朝この学校に転校してきた大阪出身の十和辰美である。

 

「で、ここが保健室ね、これで大体わかった?」

 

大河は今朝のホームルームの時間に男子の胸ぐらを掴んでいたことを担任である山口先生(独身)にお叱りを受け、罰として本日転校してきた十和辰美に学校内を案内をすることになったのだ。

最初は正直早く帰りたいためあまり乗り気ではなかったが、十和さんが私の話をとても楽しそうに聞いてくれるので少し話すとすっかり意気投合してしまい今となって全然罰ではなくむしろラッキーだと思っている。

今度の私が給食当番になった時は私と十和さんを巡り会わせてくれた小林と先生には感謝の気持ちも込めて給食を大盛りで提供しよう。

 

「うん!!ありがとな大星さん。放課後やのに学校の案内してもろうて」

「あ、いいのいいの気にしない気にしない!そういえば十和さんは大阪の学校にいた時になんか部活やってなかったの?」

「あ、やってたで部活!!でもその部活こっちじゃないらしくてできへんの寂しいわ・・・」

 

十和さんは悔しいが女性の私から見てもかなり可愛い。髪は細く繊細な黒髪を肩口で揃えおり、顔立ちもまるで人形のように整っている。恐らくクラスの男子の大半の心を今日一日で掴んでしまったであろう。またそんな美少女でありながらかなり表情豊かで私の言葉に一つ一つに反応してくれる姿がどこか子犬のように小動物チックで衝動的に抱きしめたくなってしまう。

 

「へー何部だったの?」

 

こちらにその部活がなかったのがよほど悲しかったのか寂しそうに下を向いて俯いている辰美に大河が尋ねてみるとその質問を待ってましたとばかりにぱあっと明るい顔になって辰美が答える。

 

「麻雀部やで!!これでもうちのいた学校けっこう強かったねん!!」

「え?…確か十和さんがいた中学って」

「そや全国のなかでも有数の強豪校、正雀(しょうじゃく)中学!!まあウチは補欠の補欠やったんけど…ってなんや?やけに詳しいな大星さん」

 

正雀(しょうじゃく)中学-----------------------関西有数の強豪校で数々の選手を千里山女子や姫松高校のレギュラーやエースを排出した名門校であり大河も麻雀雑誌の特集で何度か見たことがあった。

辰美が笑いながら自分が麻雀部に在籍していた事を答えると、突然大河の足が止まり先ほどの辰美のように下を向いて俯く。

 

「大星さんどないした?具合でも悪くなったん?」

「じゃ…ろう…部」

 

辰美が急に立ち止まった大河に心配しながら近づくと小さな声で何かを呟いているがあまりにも小さくてよく聞きとれない。

 

「え?なに?よく聞こえへん」

「じゃあ創ろうよ!!麻雀部!!」

「うわぁ!?え?あ、あの、い、いきなりどないしたん?」

 

大河は突然大きな声を上げ目を爛々と輝かせて辰美の手を握る。

あまりのことにびっくりしてしまった辰美は腰が抜けてしまいへなへなと廊下に座り込んでしまう。どうして私の麻雀部の話を聞いてなぜこんなに嬉しそうな顔をしているのか分からずに困惑してしまい、うまく言葉が出てこない。

 

「あ、ごめんね。私も一年の時に麻雀がしたくて探したんだけどこの学校、百目木(どうめき)中には麻雀部なくて…それで去年自分で作ろうとしたけど一人も集まらなくてずっと諦めてたんだ…」

「大星さん…」

「もし、もし十和さんがやる気なら、作ろうよ麻雀部一緒に!!」

 

廊下に座りこんでいる辰美に大河が手を差し伸べる。

辰美はスッと差し出された手を掴み立ち上がると大河を真っ直ぐに見つめ、そして迷いのない澄んだ声で返答する。

 

「うん!!こちらこそこれから頑張ろな」

「よーしそうと決まったら早速部活の申請しに行こう!!あ、そのまえに」

 

大河は思い切っり職員室めがけてダッシュしようとしたがくるりと後ろを振り返り、少し恥ずかしそうな顔で辰美のことを見ている。

 

「ん?どないしたん大星さん」

「こ、これから一緒に頑張るんだから大星さんは禁止!!大河ってよんでよ。私もタツミーって呼ぶからさ!!」

「た、大河ちゃん…あはは、なんか恥ずかしいな…」

「えへへへ、ほら行こう!!麻雀部が私たちを待ってるよ!!」

「あはははは!!麻雀部は逃げへんでー」

 

大河が先にこそばゆい空気に耐えられずにで顔を赤らめながら辰美の手を引き夕日に染まる廊下を走り抜ける。

そして二人でいざ麻雀部の申請をするべく職員室へと走って行った。その途中で廊下を走っていた事を生徒指導の先生に注意され結局歩くより遅くなってしまったことは内緒ということで…

 

 

 

 

 

--------------職員室

 

「じゃあここに顧問の先生の判子と部員の名前書いて提出してね。ってどうした大星?」

 

テニスウェア姿の山口先生に事情を話して部活の申請用紙をもらったところまではよかった。

しかし現在の大河は用紙を見て顔は真っ青になり用紙を持つ手がプルプルと震えている。

 

「いや先生これ部員数って…」

「そう最低5人いないと部として認められないよ」

「うあああああああ!!!!!そうだった忘れてたあああああああああ!!!」

「大河ちゃん…ここ職員室やで…」

「あ、そっちも忘れてた…」

「大星あんたって子は…少しお灸を据えないと分からないみたいだね…」

 

大河は叫び終わった後に我に返り周りを見渡すと先生たちの刺すような視線を浴びながら本日三回目の説教を受けるハメになった。

 

「どないする大河ちゃん?5人も部員集めなくちゃならんて…うちら以外に麻雀興味ある人この学校におるん?」

 

30分にも渡る説教がようやく終わり、やっと職員室から出られたかと思うと辰美が心配そうな顔でこちらを覗き込んでくる。辰美よ麻雀部の心配もいいが私の心配もしておくれ…

 

「大丈夫、一人はアテがあるから明日聞いてみようよ」

 

そう言って大河はにやりと笑い本日の怒涛の一日は幕を閉じたのであった。

 

麻雀部創設まで残り3人……

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