咲-saki-episode タイガー&ドラゴン 作:武田兎
「おはよー」
「お、きたきた大星ー」
「ん?なにどったの?」
昨日の事から一夜明けて大河が学校に登校するとクラスの男子達が一斉に群がって興奮気味に大河に詰め寄る。
「大星麻雀部造ろうとしてるんだってな」
「え?なんで知ってるのちょ、近い近い」
「先生が言ってたんだよ。なあもしかして…十和さんも部活に入るのか?」
昨日おもいっきり大河が殴ってしまった小林が大河に質問し男子たちもその質問が目当てだったのか目を輝かせて答えを待つ。
「うん、今二人で残りのメンバーを」
「「ぜひ俺達を麻雀部に!!」」
練習でもしたのかと思うほど綺麗に男子達の声がハモる。それに関しては見事だと思うが大河はその質問にノータイムで答えを出す
「却下」
「なんでだよ!?いま人数足りないんだろ?だったら俺たちが入部したほうがいいじゃねえか?十和さんもそう思うでしょう?」
「ええ!?そんな急に言われても困るわ…」
小林が大河では話にならないと席で本を読んでいた辰美に話を振ると辰美はいつもの引っ込み思案な性格がでてどうしていいのかわからず赤らめた顔を本で隠す。
((か、可愛い…))
「ほらあんな馬鹿達ほっといていいからタツミーいくよ!!」
「ま、待ってや~大河ちゃん部員になってもらわんでええの?」
「いいのどうせみんな麻雀じゃなくてタツミー目当てだし、それに男子がいくら集まっても団体戦には出られないでしょう?それより今はあの子のところに行かなくっちゃ!!」
その仕草に心を奪われている男子達をよそに大河は辰美の手を引いて教室を飛び出した。
◆
大河が辰美の手を引きながら向かった先は同じ学年の教室ではなく教室の表札に1年と表記されている下級生のクラスだった。
「ここって1年生の教室?」
「そう!!確かここ教室だったはーず…あ、いたいたアッキー!!!」
「大河…?なんでここにいるの?…」
大河は1年生の教室に躊躇なく踏み入り、辰美は恐る恐るそのあとに続く。
そして早速大河は目当ての人物を見つけたのかブンブンと手を教室内で振り回し目当ての子の名前を叫ぶ、すると呼んでいるのに気がついたのか1人の女子がスタスタとこちらに向かってくる。
まぁあれだけでかい声で名前を呼ばれれば誰だって気がつくと思うが……その女子の容姿は深緑色の髪に黒縁メガネといういかにも大人しそうな雰囲気でありそんな女子が活発な大河とはとても接点があるようには辰美には思えなかった。
「まぁその前に…タツミー、この子は
「はじめまして十和辰美と申します。、今日は晶ちゃんお願いがあってきました。」
「はじめまして…お願いって?」
晶と紹介された彼女は2人が一年生の教室まで来た理由が未だに分からないので怪訝そうな顔で大河と辰美を見る。そこに大河がその言葉を待ってましたとばかりにここへやって来た本題を切り出す。
「実は私ね、今麻雀部を作ろうとしてるんだけど部員が足りなくて…是非アッキーの力を貸して欲しいの!!お願い!!このとおり!!」
「え?…大河なにしてるの?頭のネジでも飛んじゃった?じゃないと大河が人に頭なんて下げるわけないもの…」
「晶ちゃんコレは夢やあらへん、現実や!!さあ晶ちゃん答えを聞かせてーな」
今の晶の顔はとても目の前で起きている光景が信じられないらしくメガネを外し何度も袖で目をこすってる。これならばきっと麻雀部が創りたいという熱意が伝わり、新しい麻雀部の一員になってくれる。そう辰美は心の中で確信していたが、晶の返答はあっさりとそして一瞬で辰美の淡い確信を消し去る一言であった。
「…嫌だ、あと見慣れてないから素直な大河ってなんかキモい…」
「なんんだとこらああああああああああああああ!!!!人が下手にでてればqあwせdrftgyふじこlp!!」
やっぱり相当堪えていたのか頭を下げた事を無下にした晶に得意の正拳突きをお見舞いする。しかし晶は慣れているかひょいとあっさり避けられ追撃しようとする大河を辰美が後ろから取り押さえた。
「大河ちゃん落ち着いて!!晶ちゃん理由を聞かせてくれへんか?」
人に注目されるされることを苦手とする辰美にとって今の一年生の教室で朝から騒ぎの中心となっているこの状況は大河を引きずって一刻でも早くこの場所から立ち去りたいのが本音である。
しかし辰美も大河に勝るとも劣らない程麻雀部の設立に対する気持ちを持っているので逃げ出したい気持ちを抑え引かずに晶に理由を尋ねる。
「麻雀は一年近くやってないですし…それに入部したところで私になんのメリットがあるっていうんですか?…私が入部する意味がありません」
「ふーんじゃあ晶にとってなんかメリットがあるならいいんだ?」
辰美の腕の中で落ち着いたのか大河は静かな声で晶に尋ねる。
「そ、そうだけど…?」
「よーしタツミー帰るよ!!それとアッキ一また明日も来るからよろしく~」
「大河ちゃんええの!?あ、お騒がせしました~」
晶の返答を聞くと大河は辰美の腕の中からするりと抜け、教室を何事もなかったかのようにひらひらと手を振り出て行く。大河達が去っていた教室はあまりの出来事にしばらく隣のクラスの声が聞こえるほど静まり返っていた。
「なんだったんだろう…」
「なんかすごい人だね~」
「白兎…」
先ほどの出来事に呆然としている晶に一人の少女が話しかける。
彼女は
「ねえ晶ちゃんあんなに頼んでるんだから入って上げれば?麻雀部。」
「…嫌だ」
「えー私だったら絶対入るけどなあ~あの先輩たち面白そうだもん。」
「白兎麻雀できるの…?」
「ん?ドンジャラなら出来るよ。私得意なんだから」
「……」
入学して早々、嵐のような大河の登場で理想としていた静かな学園生活は入学してたった一ヶ月で崩壊した晶であった。
◆
「そ、それは…」
翌日晶がいつも通り学校に登校すると昨日と同じ時間に辰美と大河が教室にやってきた。昨日と違うことがあるとすれば大河の自信に満ちた顔とその手に持ったカードだろうか。そのカードには渋い顔のおじいさんもといい麻雀プロである大沼プロがキラキラと輝いていた。
「そうあんたが長年欲しがっていた激レア大沼プロカード!!今なら麻雀部にはいるだけでもれなくプレゼント!!どうだ!?」
「大河ちゃんそんなんで入部してくれるわけないやろ…ほら大河ちゃん撤収するd、」
「交渉成立…」
「って、めっっちゃ嬉しそうやないかーい!!」
「ナイスノリツッコミだタツミー!!さすが本場は違うね~実はアッキーは昔から大沼プロが大好きでねー初恋の人も大沼プロらしいよ、」
「はあ…」
あんなおっさんのどこがいいのかと辰美は心の中で思ったが手に入れたカードを大事そうにギュッと握り締める晶の様子を見て言うことを躊躇った。
「まあ私から言わせればあんなおじじのどこがいいのやら、昔私がプロ麻雀せんべい買って当たったこのカードものすごい欲しがってたの思い出してね。あの時ガム一個とカード交換しないで良かった良かった。」
「あはは…まあそれは置いといて…これからよろしくな晶ちゃん」
「こちらこそよろしくお願いします…大沼プロやっぱり渋くて格好良い…」
辰美の声も聞こえているのかいないのかカードに映る最愛の老人に夢中な晶であるが何はともあれこうして麻雀部に3人目となる部員とそして辰美には転校して来て初めての、大河にとっては生まれて初めての後輩ができたのであった。
麻雀部創設まで残り2人……
これからドンドンキャラクターを出したいと思っているのですが、もし皆さんが思いついた麻雀に使えそうな能力がなどありましたら是非教えてください。
ご感想とともにお待ちしております。