一応、一作目の息抜き感が強いので、更新はかなり遅いと思います
楽しんでくれたら嬉しいです
薄暗くその場の空気をひどく淀んでいる。その空間にヒトは私を除いては存在しない。
ならば、何を居るのか?その答えは
ギィギィギィ!とその空間を覆うように存在する
それも百や千では済まいな量がその場に点在している。
―――どうしてこんな事になってるんだろう?
見るだけで吐き気を感じさせるような醜悪な蟲に身を犯されている少女の名は
彼女は、今自分に起きている現実に絶望していた。
突然、見知らぬ家に養子として出されたと思ったら、こんな醜悪な蟲の穴倉である蟲蔵に放り込まれ、身体をいじくられ始めた。
―――どうして?何でこんな目に?
何度泣き叫んでも、何度ヤメテと叫んでも誰も止めてはくれなない。
助けて!助けて!と助けを乞うても誰も来てくれない。
大好きな姉さんも何度名前を呼んでも助けに来てくれなかった。
―――何で誰も助けてくれないの?私がいらない子だから?
度重なる苦痛と絶望が幼い少女の心を殺していく。最早、この少女の心は人ではなくなり始めていた。
―――何で私なの?私が何をしたの?
度重なる自問自答。しかし、その答えが出る事はない。
単純に彼女の才能が非凡だった事が延べられる。
だからこそ、彼女の人生が狂ったのだ。
―――このまま私は、誰にも知られる事無く死んじゃうの?
桜がこぼしたその感情は、彼女の残り少ない人間の心が生み出した最後の叫び。
―――いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!
今まで何も感じなかった少女の心に恐怖心が湧き上がって来る。
―――恐い!恐い!恐い!恐い!恐い!恐い!恐い!恐い!
最近全く湧き上がってこなかった感情が、涙と言う感情となって溢れ出て来る。
「助けて・・・・助けて下さい」
残った最後の心を形として吐き出された間桐桜の最後の人としての願いであり叫び。
正史において言えば、彼女の願いは十年と言う長い年月をかけて漸く果たされる願いであった。
しかし、どんな時でもイレギュラーは存在する。
そしてこれより、この物語は正史から外れた時を進む事になる。
ズキ!と一瞬、自分の手の甲辺りに焼けた鉄棒を押し付けられた痛みが襲ったが、彼女にはもうすでに痛みを感じる感情半ば捨てていた。
故に気がつかない。
薄れゆく意識の中で、桜の視界に薄暗い蟲蔵の中とは思えない眩い光が映った様に映る。
そして彼女は知る、その光こそが自分を救う希望になると。
桜が意識を失う直前に現れた光は、蟲蔵を照らし人の形となって消え失せた。
光が消えた、その場にいたのは、一人の青年。
少年と呼ぶには少し大人びており、大人と呼ぶにはまだ幼さを持っている。薄い赤髪と細いながらも鍛えられた筋肉が見て取れた。
青年は閉じていた瞳を開け、自身の髪と同じ色をした瞳で周りを見渡しす。
「うげぇ、何だこれ!?蟲か?気持ちわる!!」
辺りを見渡した青年は、うようよと蠢く蟲に対して驚愕と嫌悪感を露わにする。
先ほどの冷静さが全く見れない…どうやら、此方が本性の様だ。
「一体此処はッ!!」
現状に慌てる青年が急に頭を抑えながら膝を曲げる。
「聖杯戦争。七騎のサーヴァントと七人のマスター。全てを叶える願望器・・・殺し合い。冗談だろ?」
濁流の様に与えられた知識に唖然とした青年の視界に、まるで何かを隠すように蟲たちが積み重なっている。
「‥‥‥」
それは直感だった。恐らくサーヴァントとしての直感が、彼をその場所に歩ませる。
足元に蠢く蟲たちを踏みつけながら、青年はその場所に辿り着いた。
「どけ」
先ほどの感情豊かな声地は違い、静かに小さく呟かれたその言葉は、感情を持たない筈の蟲たちを恐怖させ蟲たちを散らせる。
「ッ!!」
その場から去った蟲たちの下から、現れた裸の幼い少女を見た瞬間、青年の顔つきが変わった。
その表情は、明らかに怒りで逸れられいる。少女を持ち上げた青年はある事に気が付き、更に顔をしかめる。
「軽すぎる」
未だ幼いと言ってもあまりにも軽すぎた。満足な栄養を取っていない証拠だ。髪を色素を失っていた。
彼は直感していた。
今自分が抱きかかえている幼い少女こそが、自分の仕えるべきマスター‥主であると。
今すぐ此処から出ていこうと出口を探していた青年の耳に
「待て」
第三者の声が届いた。
声のする方に視線を向けると、一人の老人が出口であろう場所を背に立っている。影になって表情は読めないが、僅かに笑みが浮かばれている。
―――違う、あれは人間じゃない。むしろ、自分の下にいる蟲と同じだ。
老人見た青年の本能と数多の経験があれは人ではないと告げる。
そして、あれこそがこの少女を苦しめる存在だとも直感していた。
「ふむ。まさかイレギュラーサーヴァントが呼ばれるとはのぉ。お主クラスは?」
それは、顎をさすりながら青年に問う。
聖杯戦争。
ありとあらゆる願いを叶える聖杯を掛けて争う戦争。
そこでは、聖杯に願いを願う過去の英霊たちを競わせる戦争でもある。
魔術師とサーヴァント。計十四人で行われる戦争だ。
そこで召喚される英霊たちは、聖杯が用意したクラスにあてはめられた。
剣士のサーヴァント セイバー
槍兵のサーヴァント ランサー
弓兵のサーヴァント アーチャー
騎兵のサーヴァント ライダー
魔術師のサーヴァント キャスター
暗殺者のサーヴァント アサシン
狂戦士のサーヴァント バーサーカー
一つの例外を除き、その内のどれかに必ず部類されるはずである。
しかし、すでに七人の英霊は召喚されいた。
それゆえの問いであった。
老人の問いに青年は、静かに告げる。
「
「ほう、救済者とな。アインツベルンの呼び出した紛い物とは、桁違いの存在感。クック、これは聖杯が手に届いたか?」
青年の言葉を聞いた老人は、その口を大きく歪める。その間青年は、老人を睨み付けていた。
「お主、儂に仕えてみんか?そんなモノに仕えるよりも、有意義じゃろうて」
それまでが青年の限界だった。
――ザシュ!数十メートル場所にいた青年は、時間にしてほんの一瞬で老人の前に現れ、何処からか取り出した刀剣で老人を切り裂いた。
しかし
「カッカッカ。無駄じゃ無駄。サーヴァント風情では、儂は殺せぬ」
崩れ去った筈の老人の声が辺りに響いく。
だが、青年は驚く事無く手に持った刀剣を地面に突き立て一言
「消えろ害虫ども」
瞬間、蟲蔵を純白の光が覆った。
「な、何じゃ、この光は!?」
眩い光に包まれた蟲たちは、例外なく命の灯みを消していった。
勿論、老人も例外なく
「バ、バカな。この儂がこんな所でぇぇええええ!!」
断末魔を叫びながら命を散らす。
その事を確認した青年は、桜を背負いその場から去っていった。
しかし、その間際 『儂は・・絶対に死ねぬ』
最後の最後まで、老人の声が聞こえていた。
これより語るのは、悲劇で終わる物語の筈だった。
しかし、セイヴァーの登場が悲劇の物語をどう変えていくか、それは誰にも分らない。
だが、物語の幕は上がっている。
さあ、セイヴァーよ。真に救済者を名乗るならば、この悲劇を救ってみせよ。
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