Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

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思った以上に早く更新できたことに驚き
そして区切り良い、十話で新しい戦いに行けるのに、少し驚き

楽しんでくれたら嬉しいです


第十話 盲信の狂気

朝、薄らとした意識が徐々に覚醒し、桜は目を覚ます。目を覚ました桜は、己のいる場所と昨日の記憶を思い出す。未だに信じられない。少ない時間といえど、地獄と評せる経験をしてきたのだ。いきなりの救いを信じられないのは、当然の事なのかもしれない。未だにどう動くべきが理解出来な桜は、その場所で動きが止まる。

そこへ

 

「うむ。起きた様だな」

 

「え?」

 

見知らぬ美女が部屋に入って来る。言うまでもなく、ユキヒメだ。しかしその存在を知らない桜からすれば警戒心を出してもおかしくはない。自身に向けられる警戒心を感じながらも、ユキヒメは笑みを浮かべながら桜に近づく。

 

「初めましてだな。私の名前はユキヒメ。昨日会ったレイジの友人だ。今朝レイジに呼ばれ、此処に来た。よろしく頼む」

 

優しく慈悲深い声が僅かに桜の警戒心を緩める。小さな声で「はじめまして」と告げる。

 

「お主の名を聞かせてくれ」

 

「桜です‥‥間桐桜」

 

「サクラか‥‥ふむいい名だ」

 

名前を褒められ、僅かに顔を赤くする桜。ここ最近、褒められるなどという事自体なかった分湧き上がって来る感情に戸惑い気味だ。

 

「今、レイジが朝食を作り終えたのだ。食べに行こうではないか」

 

「えっと…はい」

 

ユキヒメの提案に若干の間を置きながら桜が答える。その間こそがとユキヒメは僅かに顔を顰める。しかし決してそれを桜には見せない。

手をつなぎ、二人は食卓に向かった。

 

 

 

 

その場所に着いた時、食欲をそそる匂いが桜の鼻を刺激する。食卓に並べられているのは、多種多様なパン。桜と登場を察したレイジが片手にパンを持ちながら、笑みを浮かべる。

 

「おはよう、サクラ」

 

「おはようございます」

 

挨拶に丁寧に答える桜だが、意識のほとんどは朝日を浴び輝いて見えるパンに向けらている。それを感じてか、レイジは得意げに桜に話す。

 

「どうだ、サクラ?知り合いに、パン屋をやってる奴らがいてさ、そこでいろいろ教わってたんだよ。一応、店にギリギリ出せるレベルだって、お墨付きを貰ってるから、不味くはない筈だぜ」

 

「よくぞまあ、ここまでになったモノだ。最初の頃など何度もタネを無駄にして怒られていたからな」

 

「うっ‥‥それを言ったら、ユキヒメだって散々やって、怒られてたじゃねえか」

 

「うぐっ‥‥それはそうだが、貴様よりはマシだったぞ」

 

「嘘つけ!!お前が初めて作ったパンを間違って食べた副隊長がどうなったか、忘れたとは言わせねえぞ!!」

 

あれよあれよとガミガミといい合う二人。そんな二人を見た桜が、ふと笑みをこぼす。本人も気がつかいほどの小さな笑み。しかし、二人は確かにそれを見た。しばし言い合っていたが、突如鳴ったレイジの腹の虫により休戦。

三人はテーブルに着き、朝食を食べ始める。

 

「‥‥おいしい」

 

パンを一口食べた桜は、無意識にそう呟く。食べた瞬間、何かがめぐる様なそして何を思って作ったのかが、わかるのだ。久しぶりの温かな食事に、桜は何も言わずに食べ続ける。それを見た二人は、昨日の作戦を実行に移す事を決める。

 

「なあ、サクラ。やる事ねえならさ、昼から一緒にパンを作らねえか?」

 

「え?」

 

突然の提案に驚く桜。

 

「無理にとは言わんが、今のサクラには必要だと私は思う」

 

戸惑う桜にユキヒメは優しく告げる。そしてレイジが、戸惑い揺れる桜に告げる。

 

「こういうパンを作ってみたくないか?」

 

「‥‥‥‥‥作ってみたい」

 

「よし、決まりだな」

 

「ふむ。楽しくやろう」

 

パンを食べ、何かが満たされた桜にその言葉は必殺だようで、間を置きながらも頷く。

その言葉に二人は笑みを浮かべた。ゆっくりと桜が心を取り戻せるようにと、願いながら。

そんな中でも、つけていたテレビから、昨日の深夜のホテルビル爆破事件や子供の誘拐事件など暗い報が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

結果を言うのであれば、パン作りは非常に有意義だった。初めて触る小麦粉をこねるたり、一緒に試食したりと、大変楽しんだ。最後には、全身を粉まみれになりながら、小さな声で「またしたい」といわれ、二人は「勿論」と約束した。

そして楽しい時間は終わり、戦争の夜が訪れる。

 

「おやすみ、サクラ」

 

ベットでスヤスヤ眠る桜の姿を確認したレイジは、再び空中に字を書き結界を生み出す。

そして音も立てずに部屋から出る。

 

「レイジよ。協会からの使い魔だ。恐らくは、雁夜に当ててのもだが、マスターは至急、協会に集合せよとのことだ」

 

部屋を出たレイジにユキヒメが声を掛ける。ユキヒメの言葉を聞いたレイジは、しばし考える素振りを見せたと

 

「それじゃあ、ユキヒメは此処を見張ってくれ。俺が協会に行く。何かあったら、俺を呼んでくれ」

 

「心得た。お前も、何かあればすぐに私を呼べ」

 

レイジの指示を得たユキヒメは、ゆったりと庭へと向かう。そしてレイジは、速足で協会に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

協会の管理者言峰璃正(ことみねりせい)は、誰もいない場所で話をしていた。いや、正確にいうのであれば、そこには確かに聞き手がいる。人ではなく、明らかに使い魔と評される存在が彼の言葉を聞いている。

 

「今話した通り、キャスターとそのマスターは神秘の秘匿をせず、世間を騒がせる誘拐犯である。それは諸君らにとっても我々にとっても、赦しがたき行為。故に、私は聖杯戦争の監督者権限を使い、一時のルール変更を設定する。現状での戦闘は一時休戦し、マスターたちは直ちにキャスターを討伐せよ。そして見事キャスターとそのマスターを討ち取った陣営には、特別処置として追加の令呪を与える事とする」

 

そう言って璃正は腕をまくり上げ、大量の令呪が刻まれた腕を使い魔たちに見せる。三度いや、実質的には二度しか使えぬ奇跡が貰えるのだ、恩恵は計り知れない。

 

「キャスターの消滅を確認した時点で、新らためて聖杯戦争を開始するものとする。さて、質問がある者はここで発現するがいい‥‥最も人語を話せるもののみに限るがね」

 

此処にいるのは使い魔であり人語は話せない。それを知って故の言葉。全ての使い魔がその場を後にしようとした、次の瞬間

 

「じゃあ、質問していいか?」

 

暗く影となった場所から、レイジが姿を現す。一瞬、その存在に驚く璃正。

 

「おいおい、驚くなよ。俺達だって立派な使い魔だぜ?」

 

「ああ、発言を許可する」

 

「おう、まず第一にさらわれた子供とキャスターの両方がいた場合、俺は子供たちを優先するが、文句はないな?っというか、全ての奴らそう命令してくれないか?それを破ったら、如何にキャスターを討伐しても令呪の寄贈はないだとな」

 

それは質問というよりも命令に近い声質だった。彼らからすれば、子供達よりもキャスターを優先してほしい訳だが、レイジはそれを許さない。救える命を見逃すことを、救済者(レイジ)は望まない。

初めて肌で感じる英霊の気迫に、唯の人間である璃正の取れる手段は肯定のみ。

 

「‥‥わかった。聞いての通りだ、全てのマスターたちよ。しかし、令呪の寄贈はなしにはできない」

 

悪あがきか、震えながらも最後の提案を却下する璃正。これによってレイジの指摘がただの口約束となる。へえとレイジが不敵に笑う。

 

――――こいつらにこれ以上求めても無駄か

 

「今回の招集は俺みたいなイレギュラーを除いて全員に発令してるんだよな」

 

「ああ、違いないが」

 

「そうか‥‥一人足らねえな」

 

「ッ!!」

 

何気なく告げられた言葉に息を呑む璃正。彼にはレイジの言葉が、自分達と時臣の繋がり指摘された様に感じた。勿論、レイジにそんな気は無い。先日の戦闘でアサシンの気配を察したレイジにしてみれば、未だに誰もリタイアしてないと考えたゆえの言葉なのだから。

 

それだけ告げレイジは、ゆったりと協会から出ていく。扉が閉まる音が辺りに響く。そしてそれを合図に、使い魔たちもその場を去った。

 

協会から最短ルートで屋敷に戻ったレイジは、聞かされた話の内容をユキヒメに伝える。

 

「と言う訳で、街全体を感知してキャスターを見つける。手を貸してくれ」

 

「言われるまでもない。その様な下郎、即刻成敗してくれる!!」

 

ユキヒメが刀の形となりながら、レイジの意思に同意する。そしてその想いはレイジも同じだ。

地面にユキヒメを突き刺し、瞳閉じ集中する。瞬間、レイジを中心に黄緑の波紋が街を覆う。時間にして数分、レイジの魂が人ならざる英霊の魂と、幼き魂たちの軍団を見つける。

 

「見つけたッ!!」

 

即座にその場所に向けて駆けるレイジ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーは怒りに身体を強固ばらせている。協会からの指令を受けて数分後、キャスターが自分達の陣営に現れたのだ。しかも洗脳して操ったのだろう、幼い子供達を大量に引きつれて。

キャスターは、セイバー(アルトリア)を何を思ってか、ジャンヌ・ダルクと思い込み、彼女の魂を救い出すための生贄を持ってきたというのだ。セイバーは、教会でのレイジの言葉を思い出し、マスターでる切嗣に進言するが彼は何も答えない。

その間にもキャスターは動く。洗脳を解き、子供達の自我を戻し、悪魔の遊戯を告げる。内容は簡単、生死を掛けた鬼ごっこ。逃げきれば生、捕まれば死をというものだ。

そしてデモンストレーションなのか、一人の子供の頭を掴む。

 

「逃げなさい、子供達。さもなくば…」

 

「やめろッ!!」とセイバーが吠え、アイリスフィールは顔を覆う。誰もが避けられぬ、死を感じ絶望を感じた、刹那

 

「追いついたぞ、キャスタァァァアアアアアアッ!!」

 

戦場という地獄に救いを示す、救いの閃光が奔った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジがキャスターを視認した時には、既に子供を掴んでいた。その行為が何を指し示す物なのかは、キャスターの狂気に染まった笑みを見れば一目瞭然だ。

瞬間、ただでさえ閃光のような速さだったレイジの速度が、目視不可の閃光に変わった。

 

「なにッ!?」

 

突如とし、視界に現れたレイジにキャスターは驚愕の声をこぼす。その間にレイジは、キャスターが掴んでいた子供を引きはがし、空いた腕で拳を作り

 

「ハッアッ!!」

 

「ガハっ!?」

 

キャスターを殴り飛ばす。そしてそのまま子供を抱え、辺りに居る子供達を一か所に集める。

 

「みんな、大丈夫か?」

 

レイジの言葉に冷静になった子供たちは、自分達の置かれている状況に戸惑い、恐怖の声を上げる。

更に、追い打ちを掛ける様に

 

「おのれぇぇぇぇっ、下賤な匹夫めがぁぁぁ!!」

 

「ひぃ!!」

 

狂気と怒りに顔を染めたキャスターが子供たちの視界に現れる。

 

「おのれぇ!!卑しき神の手先めがっ!!。救うというのか、民の為にと立ちあがった聖処女の救いの手を差し伸べず。何の信仰も持たぬ者達を救うというのかぁぁぁ!!」

 

許さぬ許さぬと呟きながら、キャスターは不気味な本を取り出し、狂気に声を荒げる。

 

「絶望しろ!!数多の海魔に呑まれ、神を恨み絶望しろっ!!」

 

呼応する様に現れたのは、不気味な体色した(タコ)とヒトデを合わせたような悪魔の手先。数えるのもバカらしく思える数。正しく絶望、子供達が涙すら流せぬ絶望に囚われるだが…

 

「心配するな」

 

その声は子供たちに希望を希望を示す。

 

「これは唯の怖い夢だ。だから、目をつぶってそこでじっとしててくれ。必ず、俺達が君達を全員、悪夢から助け出して見せるから」

 

優しく真っ直ぐ告られる言葉に、子供達の胸から湧き上がる恐怖が不思議と軽くなる。

 

「くだらないっ!一騎当千といえる英雄といえど、数の前では無力っ!歯牙にもかけぬ、海魔たちに押しつぶされその誇りを穢し、信じた神を呪い死ぬがいいっ!!」

 

「悪いが、俺は神様ってものを信じた事はないよ。俺が信じるのは何時だって、共に戦う仲間たちとの絆だけだ」

 

「きれいごとおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「行くぜ、ユキヒメ!」

 

《ああ行くぞ、レイジ!!》

 

レイジの声にユキヒメは答え、二人は襲いくる海魔たちを迎え撃つ。




物語の基本的な流れとして、朝から夜までを桜の救済へ、夜は物語を進めようと思っています

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