Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

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今回、レイジの英雄に対する考え方が明かされます
上手く説明出来たかどうか不安ですが、精一杯頑張りました
その為、違和感とかあったら教えて下さい


第十二話 分け隔てる誇り(モノ)

セイバーは走っていた。水晶をより映し出されていたキャスターの姿。そして彼が行なおうとした凶行。止める事も出来ず、その凶行を見せつけられるだけだと思っていた。しかし、セイヴァーが突如現れ、そこから先の映像は遮断された。彼の放った言葉を思い出し、セイバーは即座にマスターでる切嗣に討伐の令を頼み込んだ。だが、切嗣は何も答えず沈黙を保った。その行動に驚き、憤りを感じ唇を噛んだ。そして時間にして五分から十分の間だろうか、沈黙を破る様にアイリスフィールが緊張した声音で告げた。

 

――――お願い、セイバー。キャスターを倒して…。

 

その令を受け、セイバーは森を疾走していた。セイヴァーの実力を信じていないわけでは無い。それでもセイバーは戦争を知っている。攻めるよりも護りながら戦う事がどれだけ難しいか、戦場で一番最初に誰が死んでいくかを。それは幼い子供達。ある者は志願して、ある者は足らない兵の為、ある者は戦火に巻き込まれ。

彼らの死にざまは、正しく地獄と言えるモノだった、誰もが恐怖して死んでいった。

 

――――無事でいてくれ!!

 

一人でも無事でいる事を願ったセイバー。だからこそ、その光景に足が止まった。息がキレながらも弱気者達を背に護り、不敵に笑うセイヴァーから発せられる純白の光。その姿が、セイバーの理想とする騎士の姿と重なる。弱者を護り、理不尽に立ち向かう姿は、騎士を連想させる。

セイヴァーの姿に、笑みを浮かべる。そしてその背から迫る敵の姿を見て、セイバーは漸く歩を進める。

海魔を斬り裂き、セイヴァーの隣に降り立つ。ふと視線を向ければ、ランサーも同じく自分とは逆の位置に立っている。そしてセイヴァーは、自分達がその場所に立つのが当然とでもいうような表情をしている。

その事が、セイバーには何処か嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として現れた乱入者。立場的にキャスターの敵である事に違いなく、戦力的に見ても一時撤退すべき状況。しかし、肝心なキャスターは、まるで感動する様に手で顔を覆い隠している。

 

「おおおおっ、救国の聖女(ジャンヌ)ッ!!変わらぬ、その姿‥‥何度見ても美しい」

 

最早、先ほどの怒りも忘れ、ただネットリとした狂気の言葉を視線をセイバーに送っている。

 

救国の聖女(ジャンヌ・ダルク)?どう言う事だ‥‥セイバーお前は、騎士王(アルトリア・ペンドラゴン)だろ?まさか、同一人物だとは言わねえよな」

 

キャスターの言葉に疑問を覚えたレイジが、セイバーに問う。

 

「わからない。しかし、あの者は、最初に会った時から私をその者とカンちがいしているのだ」

 

「成程‥‥バーサーカーと同じく、常識が通じんようだな」

 

セイバーの言葉にランサーは、キャスターに侮蔑の視線を向ける。事の詳細をマスターより聞かされており、彼自身怒りを感じているのだ。

 

「あいつは、『青髭(あおひげ)ジル・ド・レェ』。国を救おうとした英雄であり、闇に堕ちた英雄って訳か‥‥厄介だな」

 

レイジはその中でキャスターの真名に辿りつき、その厄介さ(・・・)に気がつく。

 

「何を言うのですか、セイヴァー。あの下郎は、我らの敵だ。臆す理由など無い!!」

 

「セイバーの言う通りだぞ、セイヴァーよ。よもや、我ら三人が集い、勝てぬ敵だとでも?」

 

レイジの弱気とも取れる言葉に、二人が言葉強く責め立てる様に告げる。

 

「いや、実際強えよ。間違って様が、一つの事を信じてる奴は、正義とか惡とか関係なく、厄介で強い」

 

断言するような言葉は、暗に油断するなと告げる。彼は知っている、魂だけの亡霊のような存在を信じ、自分の友人の国を滅ぼし世界を手に入れかけるほどまでの帝国を作り上げた人物を。だから知っている、その厄介さを。

レイジの言葉に、二人は静かに意識を切り替える。それだけのモノをその声に感じたから。

 

「さてっと、早速だけどよ。俺に策がある、聞いてはくれねえか?」

 

薄らと贋作者(にせもの)を殺して見せるなどと告げているキャスターの言葉を聞きながら、彼が己の役目と正当性を告げている間こそが、己の作戦を告げる機会だと察する。

そして二人もレイジの提案に乗るつもりだ。

 

「とりあえず、俺とランサーでキャスターを足止めするから、その隙にセイバーお前は、後ろにいる子供達を森の外に逃がせ。外に協会の奴らを呼んでるからよ」

 

レイジが告げた提案は、打倒ではなく背にする子供たちの安全を考えてのモノ。その提案に二人特にセイバーは不満げな表情を見せる。自分の理想を体現する者と自身が認めた騎士がいて、あのような敵に後れを取る訳もない。だからこそレイジの提案に驚きと不満を感じる。たぶん、それはランサーも同じだろう。

そしてその感情を読み取ったレイジは、キャスターの指示で襲いくる海魔を斬り裂き告げる。

 

「不満か?」

 

「…正直に言えば、なぜあのような下賤な相手に逃げる様な堪える様な真似をしなければならないかと」

 

「ランサーもか?」

 

「‥‥ああ、セイバーと似たような感じだ。我らが手を組めば、子供達を護りながら奴を打倒するなど容易いであろう」

 

セイバーとランサーの言葉を聞いたレイジは、少し語尾を強めながら襲いくる海魔たちを斬り裂き告げる。

 

「なあ、俺らって何で騎士や勇者…英雄って呼ばれてると思う?」

 

紡がれたのは、全く予想外の言葉。だからこそ、二人は答えられない。そんな二人をしり目にレイジはさらに告げる。

 

「俺達は武器を持ち、敵を殺す。それは犯罪者が人を殺す事やキャスター(あいつ)が子供達を殺そうとする事と結局同じなんだよ。俺達英雄も、今の時代に同じことをすれば、唯の大量殺人鬼だ」

 

前半のレイジの言葉に二人は、吠える様に「「違うッ!!」」と発しようとしたが、それよりも早くに告げられた後半の言葉に押し黙る。二人もまた現在を知っているから。

そんな二人の心境を理解しているからこそ、レイジはさらに続ける。

 

英雄(おれら)殺人鬼(あいつ)を分け隔てるモノがあるとしたら、きっと‥‥護るべきモノや通さなきゃならないモノを持っているかの違いだろうな。それがあったからこそ、俺達は英雄と呼ばれ、殺人鬼とはならなかった。紙一重なんだよ、英雄と殺人鬼ってのは、少しの奢りや慢心で俺達は簡単に堕ちるんだと思う」

 

戦士は己の誇りを示す為、騎士は何かを護る為に戦い敵を殺す。そこには確かに自己欲はあるだろう、しかしそれよりも優先すべきナニカを持ち、それを決して譲らないからこそ、その者達は英雄に成れたのだ。少しなくともレイジは、そう信じている。

 

「だからこそ、領分がある。そして後ろに居る子供たちは、本来ならこちら側の領分に関わる筈のなかった子達だ。確かにランサーの言う通り、俺らが手を組めば子供達を傷つけずに勝てるかもしれない‥‥でも、それはいま最も優先しなければならないモノよりも、自分達の欲望を優先するって事だろ?それをすれば、俺達はキャスターと同じで、殺人鬼に成っちまうよ」

 

正論だった。自分達の驕りを慢心を叩き潰し、英雄とは何かを考えさせられる言葉だった。そう自分達は何処か疎かにしていた。本来なら、最も大切にしなければならないモノを自分達が剣を握り護りたる者達を。

一度、自身の持つ武器を見る二人。そんな二人の想いを知ってか知らずか、レイジは襲いくる海魔を両断しながら告げる。

 

「だから教えろッ!!この状況にい置いて、子供達の安全よりも優先すべき、誇り(モノ)があるならば、俺はその全てを砕いて、俺の考え(ほこり)を優先させて貰うぜッ!!」

 

「‥‥いや、私が間違っていた。セイヴァー、私は貴方の考えに賛成だ。そして先ほどの非礼は必ず剣と行動にて示す!!」

 

「こちらもだセイヴァー。己の槍にてその決意を示そう」

 

そう告げ、二人は一歩踏み出す。目の前に迫る二体の海魔を斬り裂き、突き刺す。そして二人は、再びレイジの隣に並び立つ。

 

さあ、狂気の魔術師よ。その身に刻め、英雄という存在を。




いかがでしたでしょうか?
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あと報告ですが、今年の更新はこれで最後になると思います
かなり早いですが、来年もFate/Zero~絶望を斬り裂く閃光~をお願いします
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