Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

13 / 21
お待たせしました!!
なんか、だいぶ遅れて申し訳ありません

一応今回でキャスター戦は終了です
そのため少し長く、後半少し雑かもしれません
違和感とかあったら教えてください

楽しんでくれたら、嬉しいです!!




第十三話 三つの戦局(いし)

並び立つ二人の英雄と一人の勇者。それは一枚の絵のように美しい。そして相対するは、魔を率いし盲信の魔術師。その対比は既に神話の再現であろう。

 

「それでセイヴァーよ。一体どうやって、キャスターの注意を引くというのだ?」

 

肩に短槍をかけながらランサーはレイジに問う。問われたレイジは、簡単だぜと言いたげに笑みを受けべセイバーと向き合う。

 

「どうしたのですか?」

 

視線を合わせられたセイバーは、レイジに問う。

 

「わりぃな」

 

「なにを謝って…」

 

レイジの言葉に疑問を持ったセイバーの額に、レイジはビシィと気持ちのいい音を立てながら、凸ピンが放つ。

痛みすら感じないそれの行為にセイバーとランサーはわずかに呆気にとられる。

 

 

「一体どういう…「おのれぇぇぇぇぇ贋作者(にせもの)の分際で、聖処女に傷をつけるかぁぁぁぁぁッ!!」…なるほど」

 

二人の疑問を払拭する答えが、キャスターから放たれる。その言葉を聞き、二人は先ほどの行為の意味を理解する。

 

「さてっと、でかい攻撃で目をくらませるから、その隙に頼むぜ」

 

「ああ」

 

「こちらは、いつでもいけるぞセイヴァー」

 

レイジとランサーは構えを取り、セイバーが二人から一歩離れた場所に位置を取る。わずかに後方にいる子供たちに視線を向けて、レイジは告げる。

 

「おい、子供たち!!今、目の前にいる金髪の綺麗なお姉さんが、悪夢を終わらせてくれるからな。怖いと思うけど、俺とそこにいるお兄さんが護るから、ついていくんだぜ」

 

「押しつぶしなさい!!」

 

答えを確認するよりも早く、レイジは跳んだ。

 

「ユキヒメ!!」

 

《ああっ!》

 

海魔が迫るその直前、レイジの一振りが地面に激突する。と同時、純白の光が壁となり波となり、キャスターの視界を塞ぎ、海魔たちを押し流す。

 

「今だ!!」

 

レイジが声を上げるとほぼ同時、セイバーは迫る衝撃を風で防ぎ子供たちの誘導を開始する。先ほどのレイジの言葉が効いたのか、子供たちは怯えながらだが確実にセイバーの後に続いていく。

しかし、いくら広範囲を攻撃しようが迫る肉の壁の一部は、容易に純白の壁の隙を潜り抜け、子供たちに迫る。迫る脅威に子供の足が止まる。

 

――――いけない!!

 

セイバーが脅威を払おうと、剣を構えると同時

 

「行かせはせん!!」

 

鋭い刺突が海魔の命を貫き払う。

 

「セイバーよ、我らの防衛では不服かな?」

 

一瞬のアイコンタクトでまさかと告げるセイバー。僅かに足の止まった子供たちを励まし、その死の区域から抜け出させる。

その場で戦えないことに、わずかな心配があるが、今は何よりも怯えながらも自分達の言葉を信じ、必死に動いてくれる子供たちだと、思い直しセイバーは子供たちを先導する。後方より「任せた」という二つの声が、セイバーの背を強く押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーたちが危険区域を脱したことを確認したレイジとランサーは、背中合わせに海魔を捌きながら作戦会議開始する。

 

「さて、第一段階は成功だが、ここからはどう動く」

 

「基本的には、セイバーが戻ってくるまで下がり気味に戦うって感じだな」

 

「魔力の消費を狙うのか?」

 

「いや、野郎(ジル)の宝具である本自体を破壊しない限りは、海魔(こいつら)は消えねぇ。おまけに死肉から召喚できるときた」

 

「なるほど。持久戦では勝ち目はなしということか。ならば、下がりながらでは余計な壁が生まれるのではないか」

 

「だから、ある程度の空間を線決めして、そこに侵入した奴だけを叩くって感じだな。そうすれば、セイバーと合流した後に空間もあるから、即座に仕掛けれる」

 

不満はあるか。と問う言葉にランサーは笑みを浮かべながら肯定する。

 

「いや、どちらにせよ数で負けているのだ。体制も整わんうちに勝負に出るよりは、現実的だな」

 

「その分、俺らの負担がヤバいけどな」

 

「ふっ。この程度の逆境、乗り越えて見せようではないか」

 

迫る海魔を貫きながらランサーは高らかに告げて見せる。それに応えるようにレイジは、地面を蹴り駆けだす。

 

「ハッ!」

 

縦ではなく横凪の一閃にて、肉の壁を斬り裂く。そのまま体を回転させ、レイジはさらに高らかに吠える。

 

「薙ぎ払え!!」

――――零式刀技・円

 

回転の勢いも載せ、伸びる純白の斬撃が更に海魔を両断する。軸足を残しつつ、レイジは右に倒れこむように体を向け、直後に軸足から一気に踏み込み一体の海魔を貫く。

 

「おらよ!!」

 

死体を右に蹴とばし次への壁とし、そのまま左の海魔に一閃。その後方から、同族の屍を乗り越え海魔が迫るが…

 

「セイヴァーばかりに気を取られてる暇などないぞ」

 

二槍の舞いが、海魔たちに穴をあけ斬り裂く。長槍が海魔に突き刺さる状態のまま、ランサーは更に槍を強く押しこみ、その後方の海魔の命に風穴を開ける。肉に深く刺さり、容易に動けない状態のランサー。しかし、もう片方の短槍を操り、海魔を斬り裂き、その隙に長槍を抜き出す。すると背に感じる感覚、その感覚に無意識に笑みを浮かべるランサー。

刹那二人は、照らし合わせることなく互いの背を軸とし、互いの位置を入れ替え、虚を突くように

 

「オラッ!!」

 

「ハァッ!!」

 

地面を蹴り、己の武器をもって海魔を斬り裂く。その勢いをままに、二人は迫る海魔を切り伏せていく。その破竹の勢いにキャスターが無意識に一歩後退する。

そして己が怯えているに気が付き、キャスターは頭を震わせる。

 

「ッ!?ななにをしているのです!!敵はたったの二人ですよ!!即刻、肉塊に変えなさい!!」

 

畏縮した事実を認めたくないキャスターが、怯えをかき消すように声を上げる。

本来、戦闘とは攻める方が圧倒的に精神的に優位に立てる。先ほど守りに徹していたレイジの疲労は、肉体的というよりも精神的な面が大きかった。

しかし今、レイジ・ランサーとキャスターの表情は、逆転していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少々さかのぼり、ランサーがレイジの応援に駆け付けた直後、アインツベルンの屋敷を囲う森の中を一人の男が歩いている。男の視界の先には、現在の日本ではまず考えられないような巨大なアインツベルンの屋敷。その姿をとらえ、男は懐から水銀を入れた試験管を取り出し、呪文を唱えながら中身を地面へと落としていく。

落ちた水銀は、まるで意思があるかのように集まり大きな水銀の塊と化す。そして男は、準備ができたとばかりに笑みを浮かべる。

進行が始まる。

 

事態が動いたのすぐ後、屋敷の扉が何かによって粉砕される。煙の中から、現れたのは水銀の霊装月霊髄液(ヴォ―ルメン・ハイドラグラム)を携えたケイネス。

 

「アーチボルト家九代目当主ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが、仕る。聖杯に命と誇りを掛けるならば、アインツベルンのマスターよ、命をとして尋常に立ち会うがいい」

 

誰も見ていない広間にてケイネスの宣戦布告が響く。しばしの沈黙。ケイネスは気にせずに歩を進める。すると、ワイヤーがケイネスの足に引っかかり、彼の宣戦布告に対する答えが、攻撃となって帰ってくる。

迫ったのは、設置されていた像から爆薬によって放たれる銃弾。全方位からの一撃、食らえばただでは済まないが、水銀がケイネスを覆い盾となる。攻撃をしのぎ、盾を解除したケイネスは、落胆と侮蔑の表情を見せる。

 

「カラクリ仕掛けのトラップに頼るなど……アインツベルンも堕ちたか。いいだろう。ならば、これは決闘ではなく注罰だ」

 

決意を新たにケイネスは歩を進める。その姿を、屋敷に設置された隠しカメラで確認した切嗣はゆっくりとノートパソコンを閉じる。

瞬間、水銀の斬撃が部屋を斬り裂く。反応するように銃を構える切嗣。

英雄たちが、真を問う戦うその裏で、王道と邪道の戦が巻き起こる。

 

そして、更に切嗣とケイネスがぶつかり合うと同時、屋敷の外の森。レイジやランサーたちとの闘いとは真逆の位置に、アイリスフィールと切嗣の部下舞弥がいる。アイリスフィールには、逃げねばならない理由(・・・・・・・・・・)があり、舞弥はその護衛を務めてる。

心配そうに屋敷を見つめるアイリスフィールを舞弥が冷淡に急がせる。その声音に少々に唖然となるアイリスフィール。それでも、自分の愛する男の為にと意を決して歩を進めようとした瞬間、森に張り巡らされた結界を通いて侵入者の存在を感知する。

それも極めて最悪の存在を。

 

「マダム?」

 

「また別の侵入者よ。このまま行けば、私たちと鉢合わせするわ」

 

「わかりました。ならば、北側に迂回して…」

 

「やってくるのは、言峰綺礼よ」

 

アイリスフィールの言葉に初めて舞弥の表情が崩れる。その崩れをアイリスフィールは更に促進させるように告げる。

 

「あの男だけは、絶対に切嗣と会わせてはいけないわ。舞弥さん、あなたもそう思っているのでしょう?」

 

その言葉と表情に舞弥は、アイリスフィールが何を提案しようとしているのかを悟る。しかしそれは、自分の主たる切嗣の命令に背く事と同じだ。

 

「マダム…あなたは」

 

「言峰綺礼。おそらく切嗣の最大の脅威になる男。だから、ここで私たち二人で食い止めましょう」

 

その宣言に舞弥は一瞬思考する。主の命か主の脅威への対処か。しかし答えは直ぐに出た。早い話、彼女はアイリスフィールに仕えているのではなく衛宮切嗣に仕えているのだ。だから、答えもおのずと出た。

 

「すみませんが、マダム。お覚悟を願います」

 

「ええ。私の心配はいらないわ。あなたはあなたの務めを果たして。切嗣の命令ではなく、あなたの命で」

 

方針は決まり、二人は決意をもって外敵に挑む。そして皮肉なことに争いが、久宇舞弥とアイリスフィール・フォン・アインツベルンの二人を同士とし、理解を深めた。その時アイリスフィールは「人間の心って不思議よね」と優しく舞弥に問うた。もしかしたら、本能的に自分と彼女の距離が縮まったとこに気が付いたのかもしれない。

求める者と救われた者達の戦いの火種が炎へと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青々しい草が不気味な血で染まった戦場。レイジとランサーは背を合わせ、海魔と相対していた。

 

「おい、どうしたランサー。動きが鈍ってるぞ」

 

「そういう貴様こそ、足が止まっているぞ」

 

互いに肩で息をしながらも憎まれ口を叩きながら、二人は迫る海魔を切り伏せていく。

その中でランサーはある違和感を感じていた。

 

――――やはり、俺の動きの切れが今まで以上に上がっている

 

感じるのはステータスのアップ。危機的状況にもかかわらず、絶望などかけらも感じず、むしろどこか希望を感じている。むろん、セイバーというあてがあるからかもしれないが、本能的にそれが違うと察している。

 

――――考えれるのは、やはりセイヴァーのスキルか?

 

再び背を預け一瞬、レイジに視線を向ける。

 

「どうした?まさか、ギブアップか」

 

不敵な言葉にランサーは笑みを浮かべる。事実、ランサーの憶測は当たっていた。かつて、誰よりも先陣を切り、仲間に光という名の希望を示したがゆえに与えられたスキル『光の軍勢』。背を預け、心の底から共に戦う時に限り、味方のステータスをワンランク上昇させるという、レイジとユキヒメ二人のスキル。

 

「もうちょいでセイバーも戻ってくるはずだ。それまで持ちこたえるぞ!!」

 

「おうとも!!」

 

数で負け、既に肩で息をしている二人。されどその顔は、不敵な笑みを浮かべ瞳には諦めの色がない。そのことがキャスターを困惑させる。今まで数という名の暴力の前に、正しさが英雄が、無念のもとに下されることを彼は知っている。今の状況はまさにそれだ。

 

――――なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ…

 

困惑し、無意識に二人から距離を取るキャスター。その幅は、既にかなりのものとなっている。

ある意味で困惑しながらも海魔を生み出し続けるのは、流石というべきだろう。

そんな中、二人の背から風が吹きすさび

 

「ハアッ!!」

 

暴風が海魔を吹き飛ばす。

 

「待っていたぞ!!」

 

「待ってたぜ!!」

 

その存在を察して二人は笑みを浮かべる。二人のちょうど中央に、セイバーが凛として立つ。

 

「すまない。遅くなった」

 

「気にすんなって、それで子供たちは」

 

「心配はいらない」

 

「そっか。んじゃ、終わらせるか」

 

セイバーの言葉に安心したレイジは、前を見据える。再び三人が背を合わせる形で、キャスターを見据える。

 

「それでどうするのだ?」

 

「まずは、キャスターの持つ魔導書を破壊して、海魔を消すだな」

 

「となると、この壁が厄介だな」

 

「それは俺がどうにかする。だが、奴と俺たちとの差が思ったよりも大きい。ランサー(おまえ)の速度でも海魔を吹き飛ばしたわずかな隙を突くには大きすぎる」

 

だからとレイジは続けセイバーを見る。それだけでセイバーはレイジが言わんとすることを理解する。ランサーに視線を向けて一言。

 

「ランサー。風を踏んで走れる(・・・・・・・・)か?」

 

「…なるほど。造作もない」

 

「なら決まりだな」

 

その言葉と同時、レイジの持つ刀から純白の光がセイバーの剣を隠す風が僅かにその威力を増す。

最初に駆けだしたのはレイジ。子供たちを逃がす時と同じように空いた空間に思いっきり刀を振り下ろす。

 

「ユキヒメッ!!」

 

《おうとも!!》

 

再び放たれる純白の光の波。ただ、一度目の時との明確な違いが存在する。それは、単純な威力。先ほどは吹き飛ばすだけだったが、放たれる純白の光の本流は、容易に海魔を消滅させる。光により視界が塞がれたキャスター。しかし残す五感の一つである聴覚が、その声を拾う。

 

《「いまだ!!」》

 

風王鉄槌(ストライク・エア)ッ!」

 

レイジの声に応え、セイバーが不可視の剣を突き出す。刹那、剣を纏う風が指向性を持ち、黄金の光を零しながら大砲の様に塊となってキャスターに迫る。

純白の光を払い己の視界が晴れたキャスターは、更に驚愕する。それは前へと吹きすさぶ風をその足で踏みつけ加速し、前へ進むランサーの姿。

 

「いざ、覚悟!!」

 

盾にすべき海魔は既に純白の光が消滅させており、今から生み出すには余りにもランサーが早すぎる。

 

「抉れ、破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)ッ!!」

 

振るわれる長槍がキャスターの持つ魔導書を斬り裂く。瞬間、わずかに生存していた海魔たちが血の塊と化す。

瞬間、ランサーとセイバーはキャスターに武器を構える。そしてレイジは少し離れた場所に立ち、キャスターが何をしても対応出来るように技を発動する構えを取る。

最早、逃げ場なし。キャスターの命運は尽きたと思われたが、その時が来る直前、ランサーの表情が歪む。同士の変化にセイバーとレイジの意識が一瞬、ブレる。

かつて、一軍の将として戦場を戦ったキャスターはその一瞬を逃さない。

キャスターがうなると同時、地面を染めた海魔の血が、紅の光が逆の滝の様に立ち上り、血霧となって三人の視界を塞ぐ。

 

「ユキヒメ!!」

 

《任せろ!!》

 

視界が防がれた瞬間、レイジはキャスターに向けて技を放とうとするが、血に含まれた魔力がサーヴァントである二人(・・・・・・・・・・・)の居場所が把握できない。これでは巻き込む危険が大きい。だからレイジは彼ゆえに放てない。だから、レイジは選択する。

 

「頼む!!」

 

《言われるまでもない!!》

 

そこまで五秒以下。純白の光が血霧を浄化させる。血霧が晴れた瞬間、既にキャスターの姿はなく、レイジを含めた三人がその場に立っているだけだった。




如何でしたでしょうか?
レイジのスキル・・・・あんな感じでよかったかな?
久々に書いたので、グダグダしたかなって感じがしたのですが、大丈夫だったかな?
よかったら、感想をお願いします

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。