Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

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お待たせしました
今回は結構説明が多いです
その為、変な部分や違和感を感じたら、教えてくださるとうれしいです
自分でもうまく説明を文にできたとは思えないので

楽しんでもらえたら、嬉しいです!!


第十六話 枷

その出会いは二人が全く意図したものではない。その証拠に、ライダーは運がいいと言わんばかりに大笑い。レイジは純粋にこんなところで会うなんてなという顔をしている。

 

「ガハハ、奇遇だなセイヴァーよ」

 

「そうだな」

 

まるで飲み仲間に出会った様な気さくさでライダーが話しかける。そこには敵意も殺意もない。だからこそ、レイジも普通に返す。

 

「そういうあんたは、一体何をしてきたんだ?まさかまた、勧誘できる相手でも探して街を駆け抜けてたのか」

 

「それは心躍るが、此度は違う。坊主がキャスターの根城を見つけての。生憎とキャスターの奴はおらんかったが、その根城を破壊してきた帰りよ」

 

「スゲェな!!大収穫じゃねえか」

 

ライダーの言葉にレイジは純粋な称賛の声を上げる。その手に持つユキヒメも同じなのか、その感情がレイジに伝わる。

敵の根城を破壊する。その重要性を二人ともが理解しているからこそ、素直な称賛の声が出る。

 

「うむ。しかしだな、セイヴァーよ。キャスターの根城を見つけたのは、余ではなく余のマスターなのだ」

 

そう言いながらライダーは、先ほどから陰で隠れていたウェイバーの首根っこを掴み、レイジの前に突き出す。いきなり首根っこを掴まれたウェイバーは「なんで敵に差し出す形をしてんだよ、バカ!!」と騒いでいる。

 

「スゲェじゃねぇか!!えっと…ウェイバーだっけ?本当にすげぇぜ!!」

 

しかしレイジは気が付かないのか、純粋にウェイバーを褒める。今まで大して褒められたことのないウェイバーは一瞬言葉に詰まる。

 

「ふん。凄くもなんともないさ。今回の手だって、使おうと思えば誰にだってできるさ。特別な事なんて、何もしてないし…」

 

「何言ってんだよ。どんな方法を取ろうが、誰にも見つけれなかった場所を見つけ出しただぜ。特別な力を持っていようが、見つけれなきゃ意味がないんだからな。むしろ、誰にでも使える(・・・・・・・)手で見つけた方が、凄いと思うぜ」

 

何処か卑屈な発言に対してレイジは胸を張れと告げる。その余りにも真っすぐな言葉にウェイバーは頬を赤く染め顔を逸らす。

そんなマスターの気持ちを察してか、ライダーは笑みを浮かべ「よかったな坊主」と豪快に笑う。

 

「それでお主は一体何をしていたんだ?お主こそ、散歩ではあるまい。纏う闘気がそう告げておるわ」

 

さっきまでの笑い顔が嘘の様に鋭い王の顔をのぞかせる。そしてそれはレイジも同じ。先ほどとは違う戦士の顔を見せている。

 

「俺らはキャスターを追ってたんだよ…そっちと違って見つけたんだが、逃がしてしまったけどな」

 

「…ほう」

 

レイジの言葉にライダーは深みある笑みを浮かべ、ウェイバーは驚いた声を上げる。

 

「して、どうだったキャスターの奴は?」

 

「厄介な奴だよ…歪んでてるけど真っすぐな奴だったよ。少なくとも、俺達とは合わないな」

 

レイジの言葉にライダーは顎鬚に手を当てながら「成程、厄介な奴だのぉ」とつぶやく。その言葉にレイジは同意するように頷く。

 

「さて、情報共有は此処までにするかの」

 

突如、ライダーは何気なく終わりを告げる。同時に場に重圧が襲い来る。

 

「ラ…ライダー」

 

明らかな場の変化にウェイバーは震える声で、己のサーヴァントの名を告げるが、ライダーの視線はレイジを見つめている。

 

「お主は言ったの、セイヴァーよ。なれば、余とお主が出会った以上することは一つしかあるまい」

 

語りながらライダー否、征服王イスカンダルは手綱を握る。そして主の想いに呼応するように神牛たちが唸りを上げる。

 

「余の覇道をもってお主を征服しようぞ、セイヴァー!!!」

 

王の圧。カリスマがその全てが、先の言葉には込められている。意識無き者が聞けば、それだけで屈してしまう。そう思えるほどのモノが籠った言葉。既にウェイバーは、何も言葉を発せないでいる。

それを真正面から受けたレイジは――――

 

「ああ、来いよ!!征服王!!!」

 

満面の笑みをもって返す。それは戦士としての本能。ゆえに、もうその激突は避けられない。

イスカンダルの宝具『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』が大きく、空へと駆け上がり、かなりの距離を取って地面に降り立つ。

 

「いざ行かん、遥かなる彼方へ遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)!!」

 

主を乗せた戦車が雷光を奔らせながら迫る。それは今までの存在を示すのではなく、明らかな攻撃の意思を乗せている。担い手たる二頭の神牛飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)が運ぶためではなくねじ伏せる為に奔る。

 

神話上、二本の角は権力と力を示す象徴。そして雷は神話において神々の中でも上位の存在ゼウスやトールなどの存在が扱える高位の現象。ゆえに秘められた神秘も並ではない。その二つが、明確な形となってレイジに迫る。

それは個人に使うには余りにも桁外れであり、軍に対して使うべき一撃。それを前にレイジは、ユキヒメを強く握る。

 

「行くぞ、ユキヒメ!!」

 

避ける事無く、迎え撃つことを選ぶ。瞬間、純白の光が壁の様に刀からあふれ出る。知っているから、自分が避けるという行動を意味を。

 

零式(れいしき)…」

 

LALALA(ラララ)…」

 

瞬間、雷光と純白の光が、王と戦士がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高速で上空を移動する。その中でウェイバーは、ご機嫌に操縦する己のサーヴァントを見る。

 

「おい、ライダー!!ライダー!!」

 

「うん、どうした坊主?」

 

向けられた表情は、とても嬉しそうな表情だ。

 

「なんだじゃな~~い!!どうしてセイヴァーを見逃したんだよ、あのまま行けば、お前が勝っていただろう!!」

 

「なんだ、その事か。言ったであろう。余はセイヴァーを征服したいのだ」

 

「だ・か・ら、その征服まじかだっただろうが!!なんで一撃与えて終わりなんだよ!!」

 

ウェイバーの言葉通り、ライダーは勝っていたのだ。雷光に焼かれ、火傷を負ったセイヴァーの姿は、明らかにライダーが優勢だった。

しかしライダーは、一度セイヴァーの瞳を見ると、猛々しく笑みを浮かべつつ「余の負けだな」と告げ、その場を離れた。

しかし、告げられたライダーは分かってないのうという表情を見せる。

 

「あのなぁ、坊主。余はあやつを臣下にすると言っておるだろう」

 

「言ってたな…確かに」

 

「なればこそ、余はセイヴァーの心を征服(・・・・)せねばならん。肉体ではなく精神なのだ。あの時のセイヴァーの瞳は決して余に屈してなぞおらんかった。ゆえに、此度は|余の負け(・・・)なのだ」

 

それは悔しそうにしかしとても楽しそうにライダーは告げる。

 

「お前…随分楽しそうだな」

 

「おうともよ!!あれほどまでに心を躍らせる奴はそうはおらん。そしてあれほど不屈に抗う事もな。未だに征服できぬ難敵!これが心躍らずして、何に踊るというのか!!むしろ、より余の臣下に加えたくなったほどだ!!」

 

 

喜びに震える様に告げるライダーの姿は、本当に楽しそうだった。だからだろうか、ウェイバーは何も言えずにただ無言でその姿を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダー陣営が帰路に着いている同刻、レイジとユキヒメの二人は桜の待つ屋敷に帰っていた。

 

「ふぅ~疲れた」

 

「大丈夫か、レイジよ」

 

屋敷に付いたレイジは、備えつけられていた椅子に大きく腰を下ろす。普段ならば「何を情けないことを言っている」と怒るユキヒメだが、今回は事情が違う。

 

「やはり今の(・・)私の力では、あれが限界のようだな」

 

「そうだな。やっぱり、封印(・・)ってやつのせいか?」

 

「ああ、サーヴァントの器(・・・・・・・・)でも私を使えるようにと、かなり制限されている。これを解くには、恐らく」

 

「令呪か」

 

「ああ」

 

最初の戦闘の時にユキヒメが感じた違和感。キャスターとの戦闘ののちそれは疑惑に変わり、そして先ほどの一戦で確信に変わる。

『霊刀・雪姫』は文字通りの霊刀であり、魂が物質となり具現化したモノ。そして異世界にて世界の惡を切り伏せた救いの刀である。それは世界に訪れるであろう死という終焉を払いのけたという事実がある。

同時にその力は、世界にとって危険すぎる。ゆえに封じられた。使えるのは、全体の役40%ほど。

 

しかし、その枷はレイジ本人には課せられていないことも同時にわかっている。それを知ってユキヒメは、バカかと突っ込みたくなった。確かに自分の力を封じ込めれば、本領を発揮は出来ないだろう。しかしそれはレイジがいなければの話だ。彼がいるなら、彼の力をもって自分にかかっている枷を破壊できる。それは確信だ、大切な時間を共有したからこそわかる確信。

だが、レイジ自身もサーヴァントの器をソウルに入れたことで弱体化している。その状態では、枷を外せない。しかし令呪を使い一時的にでも強化できれば、枷を外せるだろう。

自分の力の強さが、レイジの隠れ蓑になっているのは、僅かに怒りが込みあがる。

 

――――レイジは弱くない。それなのに…全く!!

 

そして自分がなぜ怒っているかを理解して、白い肌を真っ赤に染める。

 

「うん?どうしたんだ、ユキヒメ」

 

「なっ…何でもないぞ!!」

 

「そ、そうか。にしても、どうすっかな…」

 

全力とまではいかなくとも半分以上の力が発揮できなくては勝てない敵がいる。つまり勝つためには令呪、マスターのサポートが絶対に必要なのだ。

だが、それは桜を戦いに巻き込むという事だ。漸く心が戻りかけてきた兆しを見せた幼い少女を戦場に関わらせたくない。それが二人の共通の認識だ。

しかし同時に綺麗ごとだけではどうにもならないことを二人は知っている。だからこそ、二人は解決策を見つけれない。それは甘さであり、英雄たちは皆時にはそれを捨て冷徹になることで勝ちを得てきた。

しかし、レイジはその甘さを捨てない。それでも彼は勝ってきた、それは一重に神の加護だという者もいるが、違うと断言できる。ただ恵まれているだけだ、周りに仲間に。

ゆえに、こうして直面して改めて己の力の小ささに悔しさがこみ上げる。

 

そんな思考の檻に捕らわれている二人。そこへ

 

「レイジさん。ユキヒメさん」

 

まだ声変わりのしていない幼い声が聞こえる。声の方を向けば、普段ならば寝ているはずの桜が扉から顔だけ出して、こちらをのぞき込んでいる。

 

「どうした桜?いつもなら寝てる時間だろ」

 

「えっと、あの…」

 

優しく問うレイジの言葉に桜は戸惑いを見せる。そんな桜の姿にユキヒメは笑みを浮かべ、戸惑っているレイジの頭を軽くはたく。

 

「いてっ」

 

「この馬鹿が済まぬな。落ち着くと言い、心配せずとも私もレイジも、サクラお前が言うまで待つつもりだ」

 

優しくユキヒメに諭され、漸く落ち着いたのか桜がゆっくりと言葉を紡ぎだす。

 

「あのさっき寝てたら、レイジさんが怪我している夢を見て………その心配になって…」

 

紡がれた言葉に二人は二種類の感情を覚える。

一つはレイジと桜を繋ぐパスの繋がりが強固になっている事に対する気まずさ。恐らく無意識にパスを強めて感覚を僅かに共有したのであろう。だが、今後もこのような事が起きれば、隠すのが難しくなるという事。

二つ目は他人を気遣える様になってきたことに関する嬉しさ。本来桜が持っていたであろう純粋な優しさが戻ってきた。それは自分たちの行動が無駄ではなかったという証明に他ならない。

友から教わったパン作り。思いを込めて作れば、それは心に安らぎを与える。そう言った友の言葉通り桜の心は徐々に戻ってきている。

 

その事が先ほどの気まずさをはるかに凌駕する。だからこそ、二人は次の段階に進むと決める。

 

「そっか。ありがとな、サクラ。でも俺は見ての通り大丈夫だから、心配するな!!」

 

「本当に…?」

 

「ああ、当然」

 

レイジは笑みを浮かべながら桜の頭を優しく撫でる。撫でられた桜は、僅かに瞳を緩ませる。その変化が二人にはなお嬉しいかった。

 

「なあ、サクラ。明日の午後から一緒に買い物に行こうか」

 

「買い物ですか?」

 

「ああ、一緒にパンの材料買いに行こうぜ」

 

「よい食材を選ぶのも、いいパンを作るには必要な事なのだ」

 

レイジとユキヒメの言葉にしばし考え込む素振りを見せる桜。だが、少し声音を下げながら口を開く。

 

「明日はパン作れないの?」

 

その言葉にレイジとユキヒメは顔を見合わせ、笑みを浮かべる。

 

「そうか。では、午前中はパンを作り午後から買い物というのはどうだ、レイジ」

 

「ああ、俺もそれでいいぜ。サクラもそれならいいか?」

 

二人の提案に桜は恥ずかしそうに頷く。それを見たレイジは桜を優しく抱き上げる。

 

「あっ」

 

「なら早く寝ないとな。明日は朝から忙しいぞ。寝坊したら大変だ」

 

「一番寝坊しそうなのはお前だがな、レイジ」

 

「うっ…うるせぇ!!明日は大丈夫だよ」

 

「そうか」

 

軽く二人で口論しながら、桜を寝室まで運ぶ。だが、当の本人である桜は二人の口論をBGMにゆっくりと夢の世界へと沈んでいった。




如何でしたでしょうか?

次回は完全に桜にスポットを当てようと思っています
そしてそのあと、あの話に行こうと考えています

説明上手くいけてましたかね・・・

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