Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

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お待たせしました!!
PCの壊れる事件に加え、部活での幹部の引継ぎ、期末テストに期末レポートと重なり過去最長に放置してましたが、どうにか落ち着いてきたので更新できました

お待たせした割に全く話が進んでませんが・・・・・

楽しんでくれたら、うれしいです!!




第十八話 聖杯問答—開幕の関—

イスカンダルと別れたレイジたちは屋敷に戻り、パン作りを始める。買ってきた小麦粉を水と混ぜ手を使いながらコネてゆく。その最中ふと桜が、先ほどのイスカンダルとの関係を聞いてくる。

 

「まあ、此処でできた知り合いだな。次に遊ぶ約束みたいなもんをしただけさ」

 

桜の問いにレイジは明るく振舞いながら答える。レイジの言葉にユキヒメもその言葉に同意するようにうなずいている。

 

「そうですか……」

 

レイジたちの言葉に桜は声音を落としつつ顔を下げる。その変化に僅かにレイジとユキヒメの顔が厳しくなる。

 

――――そういえば、最悪の形ではあれど教育(・・)は受けてたんだよな

 

その事実を思い出し、レイジは顔をしかめる。さて、どうするべきかと悩むより先にレイジの手は桜の頭に置かれる。

 

「え?」

 

真実を教えるわけにはいかない。それはきっと戻りかけて来た光に影を差してしまう。それはレイジもユキヒメも望んでいない。

だからこそ…

 

「心配すんなよ。俺たちは絶対に帰ってくるから」

 

「ああ、約束しよう。サクラよ。私もレイジもお主の前から決して何も言わずに消えたりせん。何があろうと、必ず帰ってこよう。なあ、レイジ」

 

「ああ!!約束するぜ、サクラ」

 

レイジとユキヒメの二人は、サクラに誓いを立てる。差し出される二つの小指を前に桜は顔を下に向け、何かを考えるそぶりを見せる。

傷ついてほしくない。元来持つ桜の優しさが二人を心配する。だがそれは建前だ。怖いのだ。二人という光がなくなれば、再びあの闇に戻ってしまうのではないのか。その考えが脳裏をよぎる。

それでも二人は自分に誓ってくれた。いなくならないと。それは自分にとっての光の誓い。ならば、信じるしかないのかもしれない。

縋るように、祈るように、桜は二つの指に自分の小指を絡める。

 

「「約束だ、サクラ」」

 

「…うん」

 

目的も思いも何も変わらない。されどその背に小さな重みが一つ増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束を交わしてしばらくの時間がたったのち、レイジは先日訪れていたセイバーたちの本拠である城に繋がる森を歩いている。

 

「なあ、ユキヒメ…これってよ」

 

《ふむ、これは…》

 

その中でレイジとユキヒメの二人は、目の前の現状に言葉を詰まらせる。聖杯の知識より得た情報によれば、魔術師の本殿は言うならば研究所たる工房であり、敵を撃退するための兵器でもある。ましてや、今は聖杯戦争という戦争中。その防御がいつも以上に凶悪になっていてもおかしくはない。

事実、先日訪れたときは、レイジはその結界をユキヒメの力で無力化した。

だが…

 

「ライダーのせいだよな、これって?」

 

《間違いないだろうな。あの男らしいといえばそうだが、セイバーたちからすれば堪ったものではないだろうな》

 

「だよなぁ…」

 

目の前には無残に壊された結界の残骸。先日感じた、高性能を感じさせた結界が見る影もない。

いかに高性能な結界といっても英霊となったサーヴァントには無意味なことはわかっているが、これを張る苦労を考えれば、何とも言えない思いがある。特にライダーの性格を考えれば余計に…

 

《そんなことよりも急ぐぞ、レイジ。現状を見るに、もう始まってるかもしれん》

 

「ああ、そうだな。俺たちが考えても仕方ねぇことだしな」

 

レイジたちは何とも言えない感情を振り払い、目的地である城へと歩を急いだ。

 

 

城の正門は、二人の予想通りというべきか無残にも破壊され、門の役割を果たしていない。ところどころ焦げた場所があるので、戦車でそのまま突っ込んでいったのだろうと解釈する。

 

「さてっと、セイバーたちは……あっちか」

 

現状に苦笑をこぼしつつもレイジは、魂を感知。居場所を知ると、ゆっくりと歩きだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなりの強襲。奇襲でもなければ、ただ真正面からの進軍。そんなことをしでかす存在をセイバーは一人知っている。

事実理にはかなっている。先日のキャスターとの戦いの舞台となった、この場所の警備は否応なしに改善されたが、そのための労力は馬鹿にはできず、何より連戦は精神的に来るものがある。

むろん、騎士として戦いに慣れているセイバーは問題ないが、アイリスフィールはそうはいかない。ただでさえ、戦いを知らぬお嬢様だったのに加え、先日の戦いで重傷を負ったはずなのだ。その後も結界の張り直しなどで、精神的にも肉体的にも消耗した状態で、攻めてこられるのはいささかまずい。

 

――――これ以上、後手に回るのはまずい

 

そう決意し、鎧を身に纏い正門に駆け付けると…

 

「よお!セイバー」

 

「ライダー…」

 

予想通りライダーの姿。しかしその服装はマントを着た大王にふさわしいものではなく、世界地図がプリントされたTシャツ一枚という、おおよそ戦いに来た者の装いではない。実際、ライダーからは戦意は感じられない。

戦闘をする気満々だったセイバーは毒気を抜かれたように困惑を見せる。そんなセイバーの困惑など関係ないとばかりにライダーは…

 

「一献交わそうと思ってな。宴に適した庭園ぐらいあるだろう」

 

己の目的を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバーはライダーに言われるがまま、白い花々が咲く庭園に案内する。ライダーの言葉に同意する面があったことと、先頭になるよりはという思いがあったからである。

庭園の中央に座った二人。ライダーは持参した樽のふたを豪快に叩き割る。

その際、器に使った物については誰も突っ込まない。

 

「聖杯は持つに相応しき者の手に渡る運命(さだめ)だという」

 

「それを見極めるための聖杯戦争だと聞くが…何が言いたい、ライダー」

 

「なにただ見極めをつける(・・・・・・・)だけならば、血を流す必要もあるまい。英霊同士、互いの格に納得がいったならば――――」

 

一度言葉を切り、ライダーはセイバーへワインを差し出す。差し出されたものをセイバーはしばし見つめる。

 

「聖杯はおのずと、その者の手に渡る」

 

ライダーの言葉に同意するようにセイバーは差し出されたワインを一気に飲み干す。その姿にライダーは、セイバーがこの席の意味を理解していることを悟っての感心をみせる。

 

「それで最初は私と格を競おうというわけか、ライダー」

 

「その通り。お互いにを名乗り譲らぬではあれば、王として捨て置くわけにはいかまい。いうなれば、これは聖杯戦争ならぬ聖杯問答というわけよ」

 

セイバーの言葉にライダーは目線を逸らさずに重く告げる。

 

「真に聖杯の王の器を持つか、酒杯に問えばつまみ高になるというものよ」

 

「…………………………………」

 

その言葉にセイバーは無言をもって肯定を示す。無言をもって互いの意思が了承されたと同時…

 

「戯れはそこまでにしておけよ、雑種ども」

 

黄金の粒子が集まり、アーチャーが姿を現す。その登場にセイバーは警戒を示し、ライダーは来たかという表情を見せる。

 

「アーチャー!!なぜ、此処に」

 

「いやぁ~なに、かの弓兵(英雄王)がいうというのに、剣士(騎士王)騎乗兵(征服王)だけで、問答を行うわけもいかぬと思ってな。ちょうど街で見かけたのでな、誘うだけでも誘っておいたのさ」

 

セイバーの疑問に答えつつライダーはアーチャーの方へと視線を向ける。

 

「おう遅かったではないか、英雄王。まあ、重役出勤もうなずける地位ではあるがな」

 

「よもや、このようなうっとおしくみすぼらしい場所を王の宴の場に選ぶとは、貴様正気か?この我に脚を運ばせた非礼をどう詫びるつもりだ」

 

ライダーの言葉も聞いていないといわんばかりにギロリとアーチャーは周りを見渡す。ただそれだけで、アイリスフィールは体の震えが止まらず、ウエイバーも腰を抜かす。

それを察したセイバーが腰を上げようとする。しかしライダーは気にせずに、アーチャーにもワインを差し出す。

差し出されたワインを一瞥したアーチャーは、落胆したかのような怒りを合わせたような表情でライダーを見る。

 

「ふん、なんだこの安酒は!!このような粗悪品で本当に英雄の王の格を計れると思ってるのか!!」

 

「そうか?この街の市場の中では一番の品だったぞ」

 

アーチャーの言葉にライダーは不満そうな顔を見せる。征服の為、数多の未知なる国々を征服してきた彼からすれば、その土地を生きる者たちが己らの技術をもって作ったものを嗜むのは、彼の楽しみの一つだ。

対するアーチャーは、王として土地を総べ、民から捧げるに最高の品を味わってきた。そんな彼からすれば、民の視点で味わうであろう最高の品と王が嗜むであろう最高は全く違うと認識している。

 

「そう思うのは、貴様が真なる王の酒を知らぬからだ。雑種めが」

 

だからこそ、アーチャーは己の道を示すために振舞おうとした瞬間、庭園に脚を踏み入れる音が響く。

その音のする方に全員が視線を向ける。そこには、どこか気まずいような表情をしたレイジが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダーたちの元へ向かう途中、レイジは初戦に出会った黄金の王の魂を感じて顔をしかめる。

 

「会いたくねぇな」

 

《言うな、レイジ》

 

重い溜息を吐きながらも、約束があるために行かないという選択肢はない。足取りを重くしながらもレイジは、庭園の門までたどり着く。

 

「よし、行くか」

 

息を吐き門を開ける。瞬間、視線が集まる。驚きや怒り、さまざまな感情が突き刺さる中、レイジはライダーを見据え

 

「わりぃ、ちょっと遅れた」

 

一言、謝罪を入れる。

 

 

「おお!!遅かったではないか、セイヴァーよ!!」

 

「こっちにも都合もあるんだよ。詫びにパン持ってきたから許してくれ」

 

近づきながら、ライダーの言葉にレイジは間食用に作ったパンをライダーに見せる。三人の中心にパンを置いたレイジは、アーチャーの方に視線を向ける。

 

「いきなり攻撃されるかと思ったぜ」

 

「ふん、仮にも王の宴だ。その宴の場を荒らすなど、王としても沽券に関わる。例え堪えがたき雑種の前であろうとも、場によって相応の所作を示すのが王というものだ」

 

レイジの言葉にアーチャーは苦虫を嚙みつぶしたような表情を一瞬見せるが、即座にいつもの表情に戻し、王を示す。

アーチャーの言葉に感心したような表情を見せたレイジは、その隣に腰を下ろす。

 

「セイヴァー。あなたも呼ばれたのですね」

 

「ああ、王じゃねぇがイスカンダルが来いって言ってな。迷惑だったか?」

 

「いえ、助かりました。私もあなたに聞きたいことがあったので」

 

レイジの言葉にセイバーは凛とした表情で肯定を示す。

 

「うむ!!役者が揃ったところで、始めるとするかの」

 

勇者(レイジ)騎士王(アルトリア)英雄王(ギルガメッシュ)を見渡した、征服王(イスカンダル)は静かに――――

 

―――――聖杯問答(せいはいもんどう)の始まりを告げた。

 




如何でしたでしょうか?
いよいよ、次回から本格的に始まります

上手く王を描けるように頑張っていきます
次はできるだけ早く更新出来たらいいな~~(願望)

最後にFGの第七章と最終章、いろいろやばかった!!
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