Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

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お待たせしました

凄く難しい内容だからこそ、深く考えたりしてたらこんな時間がたってしまいました
今回の話は、すごく賛否両論だと思います
しかもうまく文章に出来た自信がありません…




第二十話 聖杯問答―王道の形―

セイバーの願いが発せられた瞬間、明らかに場の空気が変わる。ある者は、その言葉の意味が理解できないという風な顔を見せ。ある者は、その言葉が自分の聞き間違いであってくれというような悲痛な顔を見せ。ある者は、その真意を理解せんとしようと顔を見せる。

全く異なる思いを見せながらも、三人に共通しているのは「困惑」という感情のみは、三人とも一致していた。

しかしセイバーだけは、その空気の変化に気が付けていない。だが、徐々に場の空気の異変に気が付き、なぜその空気が変わったのかが理解出来ずに困惑気な表情を見せる。

今までとは違う場の雰囲気に、問答を見守っていたアイリスフィールとウェイバーの二人も身を硬くし、沈黙する四人を見つめている。

 

「なあ、騎士王……貴様今、運命を変えるといったか。それはつまり過去の歴史を覆すという事か」

 

沈黙を破るようにコツンと杯を地面に置き、ライダーがまるで間違いであれと、確認するような声音でセイバーにもう一度、その王道(ねがい)が真であるかを問う。

問われたセイバーは、真っ直ぐとライダーを見据えて、口を開く。

 

「そうだ。例え奇跡をもっても叶わぬ願いであろうと、聖杯が真に万能であるならば必ずや…」

 

「ウフフ」

 

セイバーがその言葉を言い切るよりも早く、アーチャーは堪えきれなかったというように小さく笑い声をこぼす。

その声音には隠し切れない滑稽さを笑うものがあり、セイバーが鋭い視線でアーチャーを睨みつけるが…

 

「えーっと、セイバー………お主よりにもよって、歴史の改変。己が歴史に刻みし行いを変えるというのか」

 

そんなセイバーに、怒りと戸惑いを持つ声音でライダーが再び問う。その言葉にセイバーは、アーチャーの行いを無視して、ライダーに視線を向ける。

 

「そうとも!!それをなぜ、慰撫かう?なぜ、笑う?そしてなぜ、怒る(・・)?剣に捧げ、その真名()を授けた故国が滅びたのだ。滅国(それ)を悼むのが、どうしてそんなに可笑しい!!」

 

セイバーはその考えが決して間違っていなと、自分を見つめる三つの視線に断言する。その言葉を聞いたアーチャーは、口を大きく歪めながら笑う。これほど面白いものは、そうはないと。そしてライダーは、決して目をセイバーから逸らさない。ある意味で最後の最後まで、その言葉が偽りであってくれと思うように真剣だ。

逆にレイジは下を向き、瞳を閉ざしている。しかし彼から発せられておる気は、明らかに憤りである。

 

「おいおい聞いたか、貴様ら。騎士王を名乗るこの小娘は、よりにもよって故国に真名を預けたのだとさ…フハ」

 

「笑われる筋合いが、何処にある!!」

 

アーチャーの笑いにセイバーが吠える。しかしライダーの真っ直ぐとした瞳が、セイバーを貫く。だからこそ、セイバーは己の考えを再び口にする。

 

「王たる者ならば、身を挺して収まめる国の繁栄を願うはず!」

 

その言葉に嘘はない。だからこそ、ライダーはこれ以上聞いてられないと、重い口を開く。

 

「いいや違う。王が捧げるのではない。国が民草が、王に真名を捧げるのだ。断じてその逆ではない」

 

ライダーは重く重圧ある声で告げる。その言葉にアーチャーもその通りだと、小さく頷いている。しかしその考えをセイバーは受理できない。

 

「なにを…それは暴君の治世ではないか!!」

 

だからこそ否定するが…

 

「然り。我らは暴君であるがゆえに英雄だ」

 

ライダーはその言葉を受け入れたうえで、英雄が何たるかを語る。その重圧ある言葉に誰も言葉を発さずにライダーに視線を集める。

 

「だがな、セイバー。自らの治世を、終焉(けつまつ)を悔やむ王がいたとするならば、それは暴君よりも始末が悪い、ただの暗君だ」

 

「征服王、貴様とて世継ぎを葬られ、築き上げた帝国は三つに引き裂かれて終わった筈だ。その結末に……貴様は何の悔いも無いと言うのか?」

 

「無い。余の決断、余に付き従った臣下たちの生き様の果てに辿り着いた結末であるのならば、その滅びは必定だ。痛みもしよう、涙も流そう、だが決して悔やみはしない」

 

ライダーの言葉をセイバーは受け入れれない。受け入れてしまえば、それは自身の信じて来た王道(ねがい)の否定に繋がるのだから。

 

「まして其れを覆すなどっ!!そんな愚行は、余と共に時代を築いた全ての人間に対する侮辱であるっ!!」

 

「滅びの華を誉れとするのは武人だけだっ!力無き者を守らずして如何する。正しき統制、正しき治世、其れこそが王の本懐だろうっ!」

 

騎士王と征服王。二人の王の考えがぶつかり合う。それは両者にとって決して受け入れられるものはない。

だが…

 

「で、王たる貴様は正しさの奴隷か……そんなものは人の生き方ではない。いいか、セイバー…王とは誰よりも強欲に、誰よりも豪商し、誰よりも激怒し、清濁を含め、人としての臨界に至し者。その生き方に、民草は臣下たちは、焦がれる程の夢を見るのだ!!」

 

故にと、ライダーは言葉一度切る。

 

「無欲な王など、飾り物にも劣るわ!!」

 

その言葉は、征服王として生きたイスカンダルが信じる王道。だからこそ、セイバーは言葉に詰まる。それだけの気迫を感じたのだから。そしてアーチャーもまた「ほぉ、大した王気(オーラ)だ」と、楽し気な瞳を見せる。

 

「騎士王よ、貴様のいう理想(ただしさ)は確かに一度は民を国を救ったやもしれん。だがな、ただ救われただけの者たちが、一体どんな末路を辿ったか…‥‥貴様が一番知ってい様」

 

重く告げられた言葉。それは今まで気丈にしていたセイバーを揺らすには十分すぎた。脳裏に浮かぶのは、血に染められた大地を覆う兵たちの屍の山が覆う丘。

 

「貴様は臣下を国を民を救うばかりで、導くことをしなかった。道をたがえた臣下に目もくれず、ただ御奇麗な理想だけを追い求めていた。」

 

そこから発せられる言葉全てが、セイバーを揺るがす。もはや、堪えていることがギリギリであることが、はた目からでも判断できる。

 

「故に貴様は…」

 

そしてライダーが最後の言葉を告げようとした瞬間、美しき刀剣がライダーの前に現れた。

突然の行為に、セイバーがライダーがそしてアーチャーがウェイバーがアイリスフィール、それをなしたレイジに視線を集める。

その中でレイジは顔を上げ、静かにライダーを見つめながら

 

「そこまでだ、イスカンダル。そこから先は、許さない」

 

拒絶の威を以て、ライダーの言葉を止めた。

 

「セイヴァーよなぜ、止める。この小娘に伝えねばなるまい」

 

「いいや違う、イスカンダル。そもそもの前提が間違ってる」

 

「なんだと‥?」

 

レイジの言葉にイスカンダルだけではなく、アーチャーも僅かに首をかしげる。

 

「あんたは最初に言っただろう。王としての格を見定めると。なら、どうして異なる時代場所で生まれた王道(おう)を否定する。それは、きっと比べることが出来ないものだ。人が生きた道が時代だ。なら、その時代に求められる王道(おう)は違うのが道理だろう。イスカンダルあんたは言ったよな、人としての臨界に至った者が王であると。なら、その時代の人が望む物が違えば、自ずと王としてのあり方も変わるんじゃないか?あんたが人びとの夢を集ったように、セイバーもまた人々の理想を集ったんじゃないか。例えそれが、人の生き方ではなかったとしても、王としての生き方としては、確かにそこにあったんじゃないか?」

 

レイジの言葉にイスカンダルは、重く視線を逸らす。それは自身が自分の尺度の中でしか何も語らなかった証拠。そして何よりレイジの言葉で気が付いたのだ、今の否定は、ある種で己の王道の否定でもあると。

 

「俺は王様なんて言う大役を為したことはないけどな。それでも王と呼べる存在には、多く会った。それぞれが違う考えを持っていたけど、似ている面は確かに存在していた。

 

妹分に甘い氷の王女に、天真爛漫に自由を愛するエルフの王女に、唯我独尊に見えて優しさに溢れていた海賊たちの王女など、多くを知っている。だからこその言葉。そしてレイジの言葉を受け、セイバーの表情が徐々に凛としたものに戻っていく。

 

「先入観は、道を狭める。俺の師匠の言葉だ。征服王、あんた征服先で多くの異なるものを見たはずだ。あんたは、それを自分には合わないからって理由で全て捨てて来たわけじゃないんだろう?なら、セイバーの…騎士王の考えもまた受け入れれるはずだ」

 

嗜めるように告げられたレイジの言葉。ライダーは、一度地面に視線を向け、杯を飲み干し、セイバーに視線を向ける。そこには先ほどまで怒りは一切ない。ただ静かに、セイバーの格を計る王としての瞳。だからこそ、セイバーもライダーを見つめ返す。

 

「それもまた王の形か。良い!なれば、あとは剣を交えるのみ」

 

「ああ、受けて立つぞ征服王!!」

 

ライダーの言葉にセイバーが頷く。そこには先ほどまでの重さはない。そこで区切りがついたのか、ライダーがレイジに視線を向ける。

 

「がっはっはっはっはっは!セイヴァーよ、お主のおかげで余は間違わずに済んだ。感謝するぞ」

 

バシバシとレイジの背を叩きながらライダーが感謝を告げる。

 

「最後はお主の番だ。お主が掲げる願いは何だ?セイヴァーよ」

 

ふと投げかけられた言葉にレイジは、うげっといった表情を見せる。

 

「何度も言うけどよ、王じゃないぜ。場違いじゃないのかよ」

 

「何を言う、征服王たる余に対して、堂々と王を語っただ。貴様にも十分資格はあろう。のぉ、お主もそう思うだろう英雄王(アーチャー)

 

ライダーの言葉に今まで沈黙を保っていたアーチャーが、不機嫌そうなれど、決して認めていないとは言わぬ声音で言葉をつむぐ。

 

「ふん。如何様な雑種の言葉に微塵の興味などないわ。だが、先ほどの発言の利をもって、貴様の発言を王たる我が聴いてやろうではないか」

 

「ほら、あ奴もそう言っておる」

 

ライダーとアーチャーの言葉を受けた、レイジは逃げ場なしと察して、諦めたように大きく息を吐く。そんなレイジの姿にユキヒメは、不甲斐ないとばかりに光を発する。

 

「その前に言いたいことがあるんだが、いいか?」

 

「うんなんだ?構わぬ、言ってみよ」

 

ライダーに急かされる形で、レイジはセイバーの方を向くと。

 

「セイバー。俺はあんたの王道を否定はしない。それでも、あんたの願いを否定する(・・・・)

 

レイジの言葉に誰もが驚愕を禁じえなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジの言葉の衝撃からいの一番に復活したのは、ライダーだった。ライダーは、訳が分からんという表情を見せながらレイジに視線を向ける。

 

「セイヴァーよ、お主言っていることが先ほどと反対ではないか?」

 

「俺が肯定したのは、セイバーの王としてのあり方だ。間違っても、その願いじゃない」

 

ライダーの言葉にレイジは力強い言葉で答える。

 

「セイヴァー!!貴方も、私が間違っているというのか!!」

 

レイジの言葉に先ほど以上に動揺した声でセイバーが吠える。先ほど自分のあり方を肯定してくれた存在が、急に自分を裏切ったのだ。その衝撃は計り知れない。その中でアーチャーは、面白いと言わんばかりに静観の形をとる。

セイバーの言葉に、レイジは全く動じずに、セイバーを見つめる。

 

「ああ、言うぜ。理想に準じた王。そのあり方は肯定しよう。それでもその結末に抱いた願いが、運命を変える事なんてことは絶対に認めない」

 

「なぜだ!!」

 

「まあまて、騎士王よ。セイヴァーよ、余も同じ思いだ。少なくとも理想に準じた王として、その願いは然るべきものではないのか」

 

激昂するセイバーを宥めながら、ライダーはレイジに再び問う。問われたレイジは、深く息を吐き、両手を見つめながら言葉をつむぐ。

 

「俺は救済者なんていうクラスに宛がわれているけど、自分が全てを救えて来たわけじゃない。当然だけどさ、この手から零れた命だってたくさんある。何度も全てを救えたらいいと思ったよ。その為にセイバーと同じようにやり直しも望んだ」

 

「傲慢で愚かな考えよな。全てを救うなどとは、『ヒト』という愚かな獣の醜さを覆い隠すための偽りにすぎん」

 

レイジの言葉にアーチャーは、失望したと言わんばかりに言葉を発する。それに対して、レイジは両手からアーチャーに視線を向けながら…

 

「そうだな。そう考えるのはきっと、俺が弱くて目を逸らしていたからだ(・・・・・・・・・・・)。でも、今はもうそうは思わない」

 

「なにぃ?」

 

予想にしていなかった返しにアーチャーの顔が困惑気になる。そんなアーチャーの変化に気が付きながらも、レイジは静かにセイバーへと視線を向ける。

 

「でもある時、大切な仲間たちが教えてくれたんだ。失ったものは決して戻らない。自分たちに出来るのは、失った者たちの分まで生きる事だって。だから、やり直しは望んじゃいけないんだ。その時の涙を、悔しさを、失意を、恨みをその全てから目を逸らしちゃいけないんだ。やり直しを望むってことは、逃げるのと同じだ」

 

「逃げる?なにから逃げるというのです!!破滅の結末からやり直す。何処に逃げているのです」

 

レイジの言葉が理解できないとセイバーが言葉を発するが…

 

「死んでいった者たちからだよ、セイバー」

 

「っ―――――!!」

 

レイジの言葉に込められた重みに口が閉じる。

 

「自分たちの選択を信じ、ともに付いて来て戦い、死んでいった者たち。彼らは最後まで俺たちを信じて戦って死んだんだ。なら、俺たちがその死から目を逸らしたら、その魂を誰が背負うんだ?仮にセイバーの願いが叶ったとしても、滅んだ故国の世界線がなくなるわけじゃない。そこからお前が目を逸らし背負わなかったら、お前を信じて戦った者たちの魂はどうなる?どこへ行くんだ?」

 

「それは…………」

 

レイジの言葉にセイバーは答えれない。問われて、改めて気づかされたという表情をしている。

 

「きっとそれは先頭に立った者の役割なんだ。己が引いたに、に、理想に信じて死んでいった者たちを背負う事は。だから俺は逃げない。その時に感じた、無力さも悲劇も全て背負ったうえで、俺は勇者を名乗る。それが少なくとも俺もみたいな未熟者を信じてついて来てくれた人たちに出来る、最低限の事だと思うから」

 

だからとレイジは一度言葉を切り、動揺し泣き出しそうになっているセイバーに向けて告げる。

 

「理想の果てにお前が最後に思ったことがやり直しなんてのは、セイバーお前が逃げたからだ。目を逸らしたからだろう。裏切りからも、失意からも。それじゃあ、誰も救われない。救われるのは、お前だけだ。これは所詮、王にも慣れない言葉だ。間違っているかもしれない、それでもそれを肯定する。今まで自分が歩んできた道が、思いが間違っていたとは思わないから」

 

これ以上は言う必要はないのかもしれない。セイバーの瞳は、既に親の叱りに怯える子どものようだ。それでもと思う。ライダーもアーチャーも静かにレイジの言葉を待っている。

 

「セイバーお前は最後の最後で、自分が準じた理想を捨てたんだ」

 

まるで処刑を待つ罪人に斧を振り上げるように、セイバーにその言葉を贈った。




王としてのあり方を肯定しながらも、その果ての願いを否定する。
単純な事なんですが、世界観が深いからこそ、上手く文章に出来たか自信がない

次回の更新も、だいぶ遅れるかもしれません
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