Fate/Zero~絶望を切り裂く閃光~   作:スペル

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終わらない・・・・初っ端の戦闘にいろいろ起き過ぎだろ



第七話 狂気出現

閃光の一閃。そう評する他ならないレイジの斬撃が確かにアーチャーを切り裂く。

しかし、その身から血潮が跳んでいない。

 

―――(プルート)が思ったよりも厚い

 

伝わった手ごたえは、黄金の鎧のみ。踏み込みも斬撃の深さも躊躇いもなかった。だとすれば、アーチャーを護った鎧の性能の高さだろう。

アーチャーの鎧の質の高さに感心するレイジ。

 

―――このまま押し切る

 

近距離では自分も巻き込む恐れがある為、先ほどの様な射撃は出来ない筈。ならば、この場はチャンス。

即座に刀を引き戻し、突きを放つ構える。その光景を見たアーチャーは固く唇を噛む。

ほぼ刹那に放たれた突きをアーチャーは、全力で身をよじる事で躱す。しかし完璧には躱しきれず、頬に深い傷を負う。黄金が地面にぶつかる音を立てながらアーチャーが地面に落下する。

土埃が舞う中アーチャーは尻餅を着いたような体勢で、懐中電燈の上に立つレイジを見上げる(・・・・)

湧き上がるのは憤怒を超えた怒りの感情。正史においても彼は紛れもなく王だった。全てが自分よりも下の存在。そして例外的に己が認めた友と自分が認めた敵のみが対等(・・)な存在だった。

故に生まれて初めて、原初(・・)の王は、敵を見上げる(・・・・)。それは紛れもなく屈辱。

 

いいだろう。この屈辱は貴様の骸と宝剣を持って排するとしよう。

 

怒髪冠を衝くと言わんばかりに怒りを滲ませるアーチャー。そしてその怒りに呼応するかのように、今までないほどの黄金の波紋が虚空の空間に広がる。その輝きは、暗い夜を神々しく照らす。

 

その光景に周りは驚嘆の声を漏らし、レイジは静かに重心を落としいつでも行動できるように準備する。

 

 

 

 

 

 

 

『ギルガメッシュは本気です。本気でセイヴァーを消滅させる心算で王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を解放する心算です』

 

「大衆の前で何の策もなく宝具を解放するとは…何と愚かな」

 

綺礼からの報告に時臣は汗を流し頭を抱える。

 

『師よ決断を』

 

綺礼の言葉に時臣は深く息を吐く。そして令呪の刻まれた腕を伸ばし告げる。

 

「令呪を持って命ずる。…英雄王よ、怒りを鎮め撤退せよ」

 

瞬間、赤い閃光が放たれる。『令呪』聖杯戦争に認められた証であり、サーヴァントに対する絶対的な命令を試行できる奇跡。たった三度しか使えないが、その効力は強力の一言。具体的かつ限定的な命令で在れば、その効力はさらに上がる。

故に今回の様な命令で在れば逆らえない筈だったのだが…

 

「なに…」

 

アーチャーとの繋がり(パス)から伝わるのは、令呪の拘束を受けて撤退する感覚ではなく、戦闘の再選を告げるモノ。

 

「バカな!!」

 

家訓を一瞬忘れ、時臣は立ち上がり叫ぶ。しかしそれも一時的なモノ。即座に座り頭を働かせる。

 

「まさか‥」

三騎士と評される弓兵(アーチャー)らに付属されるスキル『対魔力』そして今胸の内から湧き上がる怒りの感情が、令呪の命令に抗っているのではないか?

普通ならばありえない。しかし自分が呼んだサーヴァントは文字通り規格外の存在。

このような芸当をやってのける可能性がないわけではない。

 

「‥‥」

 

時臣は意外な形で、己のサーヴァントの規格外さを再確認した。現状出来る事は、令呪が効くまで待つと言うほかない。

願うならば、アーチャーが己が真名が明かされない事を時臣は祈るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ!」

 

放たれる黄金の雨。先ほどとは比べ物にならない物量にレイジは、驚きの声を上げる。閃光に近い速度で、その場を離れる。間合いが離れる。

 

「死ね!!」

 

姿を見せたレイジを補足すると同時にアーチャーの怒号が轟く。放たれる攻撃を前にレイジは、己の刃をぶつけ軌道を逸らし、自らの手で安全圏を生み出す。三百六十度を包囲する黄金の波紋を前にしてなお、レイジの閃光の斬撃は容易に捌き切って見せる。

その事実がアーチャーの怒りを更に湧き上がらせる。

 

「まだ抗うか…よかろう、貴様はただでは死なさん!!」

 

「シィ」

 

点が多い尽くし線となる。打ち払い軌道を逸らし続けるレイジの脚は止まらない。確実にアーチャーに近づいている。

その集中力の高さに戦いの傍観者たちは、ただ感嘆する。

 

「おのれ…」

 

歩を止める事すら叶わない事実にアーチャーは強く唇を噛む。刹那、レイジの姿が視界から消える。

 

「なに‥!!」

 

余りに突然の出来事。アーチャーは辺りを見渡す…そして見つける。己の上、空に敵はいた。

 

「一度ならず二度も我を見下げるか…」

 

迫るありとあらゆる刀剣の射撃。レイジは、側面に刀をぶつけて、軌道を己から逸らす。レイジは攻撃を弾いた時の衝撃を足場に更に加速。一閃が再びアーチャーに迫る。

鳴り響くは金属音。手に持った剣で、レイジの一閃を受け止めるアーチャー。

しかし、アーチャーの剣は容易に砕かれる。

 

「なッにィ!!」

 

振り下ろしたレイジは、即座に脚を動かし、横凪の構えを取る。その一閃が、放たれる刹那、レイジの動きが止まる。

そしてある一点を見る。

 

「オイオイ。この状況でかよ」

 

零れた言葉は、信じられないと言った感じだ。誰もがレイジの見た方向を見る。

瞬間、黒い狂気が形となって現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現れたのは黒い霧と全身を鎧に包まれたサーヴァント。

 

「おい、征服王。あれには誘いは掛けないのか?」

 

「誘おうにもな、あれは端っから交渉の余地ないだろ」

 

ランサーの言葉にライダーは頭を掻きながら答える。誰もが察する。あれは理性を捨てた英霊狂戦士(バーサーカー)だと。

鎧から見える赤き視線が、戦場を見渡し、レイジとアーチャーに向けられる。

 

「狂犬風情が、誰の許可を得て我を見る!!」

 

「まず‥」

 

時間の止まっていたレイジは、現状を思い出し即座に駆ける。バーサーカーに向けて放たれるは、刀剣の射撃。そしてそれはレイジにも。

 

「うおっ」

 

直後轟音が鳴り響き、煙が舞う。煙の中、レイジはどうにか脱して姿を見せる。

そしてバーサーカーの方も、無傷のままにアーチャーを見据える。

 

「奴め、本当にバーサーカーか!!」

 

「凶化しとる割には、偉く芸達者な奴よな」

 

サーヴァントたちは確かに見た。放たれた二撃の内、一撃目を掴み、二撃目を打ち払ったバーサーカーの姿を。

それはバーサーカーが、理性を捨ててなお、鈍らぬ技を持っている証。

 

「貴様…狂犬風情が我の財に触れるかッ!!」

 

唯でさえ怒るアーチャー。放たれる攻撃の量が増える。しかし、バーサーカーは掴み払い躱し、攻撃を捌いて行く。

泥沼の戦闘。誰もがそう判断する中で

 

「待て!!英雄王ギルガメッシュ(・・・・・・・・・)!!」

 

レイジの声が響く。

 

「ほう、王たる我の正体(しんめい)に気がつけたか。だが何様だ?そこの犬が終われば、次は貴様の番だぞ」

 

アーチャーの言葉は、レイジの言葉が正しいと言っている。

かつて世界が一つだったころ世界で最初に王となった英雄『英雄王(えいゆうおう)ギルガメッシュ』それこそがアーチャーの真名。

誰もが驚愕で動かない。それは突然攻撃がやんだことでバーサーカーも同じ。

 

 

「今ここで怒りに塗れて、自分の財を消費するのは、アンタの王として望む姿か?」

 

レイジの言葉にアーチャーが言葉を止める。

 

「…‥よかろう。貴様の持つ宝剣と我が正体に辿りつきし智に免じ、その言葉を聞きいれよう。しかし、忘れるなその宝剣を持つに値するのは、この世でただ一人、この我だと言う事を。そして我を見上げたさせた罪を」

 

「ああ、何度だって示してやる。こいつを持つに相応しいのは、俺だけだってな」

 

「ふん、忌々しい雑種が。貴様ら次に相まみえるときまでに、有無無像を片付けてくがよい。この我英雄王と牙を交えるのは、真の英雄のみだ」

 

レイジの言葉によって失われた冷静さを戻したアーチャーに令呪の効力が伝わる。

宣言と共に、霧となりアーチャーが消える。

 

場を沈黙が支配する。そんな中、セイバーは自分を見る視線に気がつく。

視線の先には、バーサーカーがいる。視線が交わる刹那に、感じる悪寒。

 

「アイリスフィール下がってッ!」

 

「セイバー!!」

 

セイバーの言葉を合図に

 

■■■■■■■■■■■■(ア!アアアアーサー)ッ!!」

 

バーサーカーがセイバー向かって駆ける。ポールを掴み、上から落下する勢いを乗せた一撃。されど何の神秘も纏わない武器など、受けるだけで壊れる。

そう、その筈だった。

 

「ッ!?」

 

唯の何処にでもあるポールは、何事もないようにセイバーの不可視の剣と拮抗している。

なぜ?と疑問が過る中で、ある事に気がつく。ポールの表面をまるで葉脈の様に奔る赤い力に。

 

「成程な。あいつが掴んだ物は何であれ、あいつの宝具になるの訳か」

 

それは激突を見ていた者達にもハッキリと見える。

 

剣をしたする事で、ポールを走らせ往なす。そして、身体を回転させての一撃。されどその一撃は、高速で手元に戻したポールに防がれる。

 

「くっ」

 

僅かに左腕を見る。そこには不治の呪いを纏った槍で傷をつけられた場所。その影響が僅かにセイバーの動きをキレを鈍らせる。

 

「セイバー!!」

 

護るべき存在の声にセイバーの意識が敵に向く。放たれる攻撃を受け止める。しかしバーサーカーの攻撃は一撃では止まらず、完全に後手に回らされる。

 

 

 

 

「どうだ、舞弥。そっちから、バーサーカーのマスターは視認できるか?」

 

『いえ、視認できません』

 

焦りの感情が見れる切嗣の言葉に、舞弥も焦りを含みながらと答える。スコープで除くは、セイバーとバーサーカーの戦闘そしてアサシンの姿

 

「不味いな…クソ!!」

 

漏れた言葉は、この状況がどれだけ不規則かを占めていた。

 

 

 

 

 

ぶつかり合い、鳴り響く金属音。

 

「貴様…一体」

 

セイバーから零れたのは、敵の正体を問う言葉。無理もない。このバーサーカーは、明らかに自分を標的としているのだから。自分を知る存在。しかし、自分には狂気に堕ちる(・・・)様な存在を知らない。

だからこその問い。

しかし、バーサーカーは答えず、殺意のみを向ける。

 

何度もぶつかり合う。その中でセイバーが剣の側面を使い、ポールを大きく外に流す。好機と一歩踏み込もうとするセイバーだが、視界の端にバーサーカーが背後で武器を持ち替えるのを視認する。

 

「しまっ‥」

 

察するよりも早く、セイバーの頭を砕かんと右凪の一撃が放たれた。

覚悟していた痛みが来ない?その疑問からセイバーは、ふと閉じてしまった目を開ける。

そこに映りこんだのは

 

「貴方は…」

 

「わりぃけどよ、こっからは俺が相手だ…バーサーカー」

 

放たれた一撃を刃を持って止め、自分を抱き込む形でバーサーカーを睨むレイジの姿。

 

「お前のマスターに用がある」

 

近くにいるセイバーにも聞こえない程小さく、レイジは告げた。

 

本当の初戦はまだ終わらない。




本当に終わらない・・・後一、二話続くかも
早く次に行きたいのに・・・

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