いつまでも続く暗い展開に、作者本人が参っていました。本当にすみません。
これからは1ヶ月に1話は投稿するようにしますので、どうかご容赦を。
追記
一部の名前を修正しました。サルビア、名前を忘れてしまってごめん。
満月よりも1日前の夜、とある村の宿屋の一室にて、ギルドナイトたちは、とあるモンスターを監視していた。
そのモンスターの名は、マンアルド。一昨日にモガの森にて発見された新種であり、そして今までのどのモンスターの特徴も当てはまらない、特異な生命体だ。
現在、監視中のギルドナイトの一人は、檻の中にて眠る一体の怪物の様子を確認しながら、自分の装備を手入れする。いつでも、その怪物を殺せるように。いつでも、怪物の攻撃に対応できるように。
部屋の扉が開き、交代しに来た仲間のリオハート装備のハンターが入ってくる。それを見て、交代の時間だと理解した彼はゆっくりと起き上がり、入れ替わるように部屋を出て行く。その動作の中に、言葉はない。語る必要がないのもあるし、何よりも起こしてはまずいのだから。
部屋の扉が静かに閉まる。ハンターはそれを確認すると、一つだけの簡素なベッドに腰を下ろし、監視を始めた。
◆◆◆◆
朝日がもうすぐ昇る頃、ついに災厄が目を覚ます。朝日が昇る時間帯にいち早く目を覚ますのは、かつて自身が陽の光を浴びて生きてきた植物であることの名残からか、それとも単なる偶然か。
とにかく、災厄はついに目を覚ましてしまった。世界の破壊者である黒そのものではないとはいえ、この怪物はその系譜に属するものだ。もちろん、世界に致命的な傷を負わせようと、脈動を開始する。
ピクリ、と緑の体が痙攣するように動く。麻酔毒が体内で動き出した抗体により、おぞましい勢いで中和されていき、同時に全身の血肉が、本能の域にまで刻み付けられた飢餓のままに動き出す。
何かを呟くように怪物が呻き、狂気と殺意を眼前の生命体へ向ける。そして、二つの悪意を向けられた見張りのハンターは驚愕に飛び上がり、すぐさまそばに置いていた片手剣で、檻諸共に怪物の首を切り飛ばした。
花の怪物の首が舞い、鮮血に似た赤い体液が床や天井に飛散する。全身を統率する部分が離れたことにより、残った怪物の体が糸の切れた人形のようにぐらりと傾き、倒れる。
辺りが陰鬱とした静寂に包まれる。思わず怪物を殺してしまったハンターは、元凶を殺してもなお、止まらない悪寒に冷や汗をだらだらと流しながら、怪物の死骸を眺める。
ボコリ、と音がした。
「っ!」
ハンターはその音を聞いた瞬間、無意識にポーチの中に手を入れる。その動きは余りにも洗練されていて、一切の無駄がない。
それもそうだろう。彼は熟練のハンターだ。まだ上級とはいえ、それでも彼は多くの死線を潜り抜けてきている。そんな彼の動きが自然と最適化されるのは、当然の結末であった。
だからこそ、それが更なる悲劇を呼び込む。
ハンターが取り出したのは、小さな爆弾だ。小タル爆弾Gと呼ばれるそれは、通常の小タル爆弾よりも更に威力が高く、睡眠爆破などに、よく使用されているものである。
彼はそれに火をつけると、グロテスクな肉塊へと変わり、再生を始めている怪物へと投げつける。
それは彼の狙い通りに肉塊の中にズブリと入り込むと、耳が痛くなるほどの爆音を出し、怪物の体を爆炎で包み込んだ。
爆風で吹き飛んだ血肉が飛沫となって辺りに飛散し、ハンターの体にも付着する。その感触に、彼はどうしようもないほどの吐き気を覚えた。
彼は今にも吐きそうな気分の中、無言でじっと怪物が再生しないか様子を見る。少しすると、キィ…と音がした。
「大丈夫かの?」
扉が開き、緑の髪に青の瞳の女が入ってくる。彼は手で部屋に入ってくるのを制すると、怪物を睨みつける。未だに怪物の体を構成していた血肉は動かない。
(絶命を確認。全く、首を飛ばして生きているとは、なんて奴だ)
怪物の持つ異常極まる生命力、いや、ここまで来ると不死性か。に、悪態を吐く。そして、同時にこの任務を請け負ったことに後悔した。報酬金に釣られるんじゃなかったと。それ以前の間違いを彼は後悔するべきなのだが、彼はそれに死ぬまで気づかない。
女は苦虫を噛み潰したような、しかしどこか安堵したような表情をした男に首をかしげ、すぐにスプラッターな部屋の惨状に顔を歪める。
「……儂からは何も言わん。しかし、飛び散った血肉は片付けておけ。あと、集合時間は正午じゃ。ではな」
女は部屋で何が起こったのか予想し、男に罪はないと判断。しかし、任務が失敗したことには違いないので、後始末を彼に命じる。そして、出発の刻限を伝え、部屋を出た。
男は無言で鎧に付着した血肉を恐れるように眺めていた。身体の中を異物が這い回っているような感触を覚えながら。
◆◆◆◆◆
その日の夜、ギルドナイトたちは森の中でテオ・テスカトルと遭遇。
撤退戦を開始するものの、ハンターの一人が突然錯乱。近くの仲間へと噛みつき、戦線を崩壊させる。
噛まれた仲間も錯乱し、また近くの仲間へと襲いかかり、そして襲われた仲間が錯乱。
地獄のような連鎖が発生し、最後にテオ・テスカトルにハンター全員が融合した肉塊が焼き尽くされたことにより、その連鎖は終わった。
また、丁度その日、同じ個体により、近くの村が地図から消滅した。その破壊は念入りだったという。
◆◆◆◆◆
「ユーリ様、黒の因子の滅却を終了しました」
「うん、お疲れ様。これでバイオハザードが孤島以外から発生する可能性はなくなったね。世界の生態系は守られたというわけだ」
「星の生態を守るのも我らが役目。不穏分子は排除するのは当然のこと。私は義務を果たしただけです。労いの言葉を受け取るわけにはいきません」
「それでもだよ。本当にありがとうね」(尻尾を振ってるのが見えてるよ…!本当は嬉しいんだろう?ありがたく受け取りなよ…!)
満月が浮かぶ夜、タンジアの港から少し離れた場所、大海原の上空にて、二体の人ならざるものたちが言葉を交わす。
一体は紅い翼で羽ばたく、紅蓮の衣に身を包む、精悍で高潔な獅子を思わせる顔つきの、しかし犬のごとく尻尾を高速で振る戦士。
もう一体は満月よりも強く輝きを放つ白い翼で羽ばたく、神聖さを感じさせる白の鎧に身を包む、女とも男とも言えない顔つきの少年。
二体とも古より生きるものたちであり、そして第一の黒を滅ぼすという目的を持った復讐者である。
「それで、ユーリ様。一つ気になることがあるのですが」
「ん?何かな?」
紅蓮の騎士が主たる少年に問いかける。少年は人へと向ける愛想のある顔で、何事か問い返す。
「あのポンコツに安定剤の護衛を任せたのはなぜです?生粋のショタコンである彼女には、合わないと思いますが」
「君の妹が姉さんのところにいたからだよ。本拠地である古塔が、かなり遠いことはよく知っているだろう?」
「ええ。ですが、他の者たちもいたはずでしょう?」
紅蓮の騎士に、少年は仕方ないだろう?とでも言わんばかりに溜息を吐き、答える。
しかし、それは質問者を納得させるものではなかったらしい。騎士は他の者では駄目だったのかと問いかける。よほど、漁村に向かった戦乙女のことが信用できないらしい。
それを少年も分かっているのか、苦笑し、他の者たちでは駄目だった理由を列挙し始める。
「残念だけど、他の子たちも別のことをやってたんだよね。
「だいたいの者たちが個人的な理由でいないのですが…」
「古龍は個性的なのしかいないからね…仕方ないよ……おまけに、この儀に参加しているのって、人間でいう奇人変人の枠に入るようなアレな個体だけだから…ついでに、ただの護衛であるはずの君も大概だからね。
「耳が痛い話です」
「自覚してるのなら直しなよ…」
騎士と少年は同朋たちの個性の強さに溜息を吐く。自分たちのことを棚に上げて。きっとこの話をその同朋たちが聞いていたのなら、「お前らが言うな」と返していただろう。まあ、居ないのでそんな返しが来ることはないのだが。
「話はこれで終わり。じゃ、先に帰ってて。私はもう少し夜風に当たるから」
「……畏まりました、ユーリ・エーヴェルヴァイン様」
もう話は終わりらしい。少年は騎士に先に帰るように促す。それに対して騎士は何かを言いたそうに沈黙すると、頭を振り、臣下の礼をして飛び去った。
少年はそれを微妙に不機嫌な顔で見送り、そして、おもむろに漁村の方角に向き直ると、ぽつりと言葉をこぼした。
「レイン……私は君をーー」
少年の言葉は波と羽ばたきに掻き消された。満月はただ何も言わず、崩れ行く世界を見守っていた。
ラージャンが怖すぎてストーリーが進んでいない神無月です。あ、テオとダレンは倒しました。
とりあえずラージャン対策に、キリンS装備の作成を現在進行形で行っております。まあ、キリンのギルクエがないので、今はゲリョス亜種とゴア・マガラを狩っているだけですが…
誰か上位と下位のキリンのギルクエください。あ、キリン亜種は要らないです。手に負えないので。私、☆7まで行ってませんから。
とまあ、ゲームの話はここまでにしておいて…
皆さん、この疾走感も欠片もない作品は楽しめていますでしょうか?もし楽しめているのでしたら、作者冥利につきるというものです。
あとは…えーと…何か言いたいはずなんですが、言葉に出てきません。仕方ないので、ここで終わりとさせて頂きます。では、またいつか。