さて、皆様、この作品を読んでいただき、ありがとうございます。私は、とても嬉しく思います。ていうか、この作品が皆様の目に止まり、読んでもらえるかどうかすら心配だったんですよね。ですから、お気に入りに入ってたときは、非常にテンションが上がりました。あ、狂喜乱舞はしてませんよ?すぐそこに家族の一人がいるので。
さて、前置きはこれくらいにしておきましょう。皆様、この作品がタイトル詐欺だと思っていませんか?あ、答えなくて結構です。最低でも、私がそう思っていますので。ですが、ご安心を。このタイトルに入っている『変態』が指している意味は、性癖、とかではなく、『ドミナント』や『イレギュラー』みたいな人間を超えてしまっているということですから。まあ、最後辺りは本当に変態なんですが。
あと…えーと、何でしたっけ。もう一つくらいあったはずですが…まあ、いいでしょう。いつか思い出せるでしょうし。その時に書き加えます。
それでは、皆様。駄文ですが、どうぞこの作品をお楽しみください。
熱い。喉が渇いてちりちりする。空を見ると、目の前に広がる廃墟から燃え上がる火の粉で、全体が紅く照らされていた。そして、その中央で悠然と佇む黒い龍。あれは…
視線を下に向けると、最早誰かも分からない程に身体が崩れた肉塊が転がっていた。しかし、俺はこの肉塊の正体を知っていた。俺の両親だ。あの黒い龍に襲われるまで、俺に大量の愛を注いでくれた愛しの両親だ。
ということは…これは俺の故郷が滅んだ日の夢だ。俺一人だけ残して、知り合いたちが誰一人として残らずに死んだ日の夢。
確か、俺はあの時に、あの黒い龍に復讐を誓ったんだ。あの忌まわしき名を、あの忌まわしき種族を、一片も残さずに根絶やしにする誓いを。
「またあの夢か…」
引っ越したのはごく最近ながらも、住み慣れてきた自宅の天井が視界に入る。どうやら家まで運ばれたようだ。
俺が倒れている間、何が起こっているか確認しようと起き上がろうとすると、右腕に違和感を感じた。そう、誰かに掴まれてるような…
「んぅ……」
右側からの艶めかしい声が。誰かの息もする。俺は顔が赤くなるのを感じながら、右腕の方に視線を向ける。
ローラが寝ていた。全裸で、俺の右腕を抱き枕にして。向こう側を見ると、彼女用に用意されたと思われる女性用の下着、と俺の下着が脱ぎ捨てられていた。………まさか、俺まで脱がされたのか…?
やばい。色んな意味でヤバい。いや、ローラなら歓迎なんだけどさ、幾らなんでも早過ぎる。こんなところを他の連中に見られたら…
「おい、レイン。村に新しい…や……つ………が……?」
Oh…村長…
「き、昨日はお楽しみだったな…そ、それじゃあな!外で待ってるぞ!」
村長はもの凄く気まずそうに目を泳がせると、すぐに俺の家から出て行く。俺はそれを呆然としながら、見送る事しかできなかった。やべえ…どうしよう…
「んむ…」
再び聞こえるローラの声。とりあえず、服を着よう。俺はそう思い、右腕を引き抜いてベッドを出た。
ついでに、ベッドから出た瞬間、腕を出してきたローラによって再びベッドに引きずり込まれそうになったのと、その十数秒後に彼女が不機嫌そうな顔で起きた事も伝えておく。本当に抱き枕がないと、眠れないんだな。
あの後、ローラと一悶着をした俺は疲労気味に外に出る。ついでに、ローラはお留守番だ。ハンターになりたがっていたようだが、それはこの村では難しいので諦めてもらった。しかし、あいつ、なぜ全裸なんだと聞いたら…
『服があると寝にくいのよ』
と返してきた。まあ、モンスターだから、確かに服を着て寝るのは違和感があるだろうけどよぉ…だからって、俺の服まで脱がすことはねえだろ…
しかし…あー、今日もいい天気だなー。
「お、ようやく出てきたか。随分と長く話し合ったな」
背伸びしていると、村長が話しかけて来た。苦笑いで。多分、ていうか絶対にさっきのことを引きずってるよな。
「ああ、ほぼ抱き枕が内容だったけどな……」
俺もまた、苦笑いで答える。そして、視界に入った謎の船を細目で見ると、真面目な顔で村長の顔を見る。
村長もまた、俺が問いたい事が分かったのか、それが出てくるのを無言で待つ。
「で?あの船は何だ?」
さっき目に入った謎の船を見ながら、俺は村長に問いかける。明らかな威圧。でも、やめない。ここで妥協したら、舐められる。
「なぁに、そう警戒するな。あれは、モガの村と外の世界をつなぐ船、交易船だ」
俺の威圧に村長は全く屈せずに、平然と質問に答える。しかし、交易船か…
「交易船の船長は、はるか東方の国の豪商でなぁ…色んなところに回っているのだ。そして、何よりも、若い頃からのくされ縁での。昔は、お互いに助け合ったもんだ。ああ、そうだ。儂がお前さんを紹介しておいたから、お前さんが相手なら取引してくれるだろうさ。特産品を持っているなら、さっそく見せてやるとよかろう」
「ふぅ〜ん、村長の友人って、結構凄い奴なんだな。どんな奴なんだろうか。あと、紹介してくれてありがとうな」
「構わんさ。お前さんには色々と世話になっているからな。さて、これで話は終わりだ。他の連中も話したがっているみたいだし、さっさと行って来い」
村長が俺との話を切り上げる。これ以上、話す気はないようだ。しっしっと追い払う様に、手で振り払う。
俺もそれに異論はなかったので、他の連中の所に行った。
ついでに、村長の友人である交易船の船長にあの時にローラから貰った海王の白竜鱗を1つ渡したら、寝心地抜群の抱き枕を貰った。わらしべ長者ってこんな感じなのだろうか。自分の場合はいきなりレアものだけど。
あと、抱き枕はローラに渡した。渡した時の彼女の笑顔で浄化されかけたのは黙っておく。
あ、船長にローラを都会に連れて行く様に頼めばよかった。そうすれば、あいつもハンターになれたのに。まあ、いいか。クエストを終わった後に頼みに行こう。
「よお、アイシャ。新しいクエストか何か、入ったか?」
アイシャ以外とは話し終えたし、装備も変え終わったので、クエストを受注しに彼女に話しかける。見たところ、彼女は上機嫌のようだし、何かいいことがあったのは間違いない。
「ああ、レインさん。はい、入ってますよ。クエストも、そして新しい狩り場の情報も!」
「お?何か嬉しそうだな。それで、その狩り場というのはどこなんだ?」
どうやら、ギルドに俺の功績が認められて、新しいクエストを受けることと、新しい狩り場に行くことを認められたようだ。なるほど、それは嬉しくなるわな。
さて、ではその狩り場とは一体どこなのか。できれば、寒いところは勘弁願いたいな。ここが蒸し暑いせいで、寒さに弱くなってるんだよ。
「ふっふっふ〜、聞いて驚け〜?新しい狩り場の名は〜?」
「その名は…?」
俺の問いに、彼女は不敵な笑みを浮かべて、言葉を溜める。俺はそれに釣られて、彼女の言葉を反復し、緊張によって出てきた唾を呑み込む。
「その名は、砂原です!」
そして、彼女は見惚れるような笑みで、新しい狩り場の名を口にした。しかし、砂原か……砂漠みたいなところだろうか?
「砂原……?砂漠の小型版か?」
とりあえず、思ったことを口にする。すると、彼女は少し首を傾げ、彼女曰く資料、またの名をただのノートを捲っていく。そして、何枚か捲ると、彼女は手を止めた。
「えーとですね…………モンスターが多く、温度が高くて乾燥している………ですかね」
「おいそれ、殆ど情報なしじゃねえか。いや、クーラーが必要なのは分かったけどよ」
やはり、彼女の情報は当てにならないようだ。ローラがハンターを始めたら、こいつの説明だけは聞かない様に言っておこう。じゃないと、人間全てが大雑把だと認識されてしまう。
ん?どうしたんだ?苦笑いして。
「モンスター多数のところはスルーなんですね…」
ああ、なるほど。予想していたリアクションと違って、困惑してるのか。しかし、これは仕方ないんだ。アイシャ。何たって、俺はな…
「昔からモンスターたちの巣窟で暮らしてきたし、今なら電気で身体を刺激することで、数倍の速さで動けるからなぁ…暫く動けなくなるけど」
「うわぁ…さすがは化け物ハンター……と、とりあえず、頑張ってくださいね!」
俺の回答に、アイシャが引き、クエストの資料を俺に渡す。口元を見ると、口端がぴくぴくと動いていた。あ、これはかなり引いてるな。とりあえず、手渡されたクエストの資料を読み進める。さーて、一体どんなクエストが入って来たのか…
《砂原のキモ納品依頼》
………………嫌なタイトルだな……えーと、何何?モンスターのキモ3個の納品…?
フラグかな?
うわー、もう何か嫌な予感しかしねえよ。これ、あれだろ?前回のあれみたいな、大型モンスター乱入クエストだろ?行きたくねー。
でも、これって絶対にクリアしないといけない気がするんだよなぁ…仕方ない。行くとするか。
「アイシャ、この依頼を受けるわ」
というわけで、契約金を支払ってこの依頼を受ける。さあ、来い。大型モンスターめ…俺の飯にしてくれるわ…
砂原 BC
照りつける日差し、枯れ草しか見当たらない痩せた大地、そして水分を全く感じ取れない程に乾き、熱い空気。この感覚を直に感じて分かることだが、やはり、これはクーラーが確実に必要だな。こんなところに素の状態で入り込んだから、余りの暑さに倒れてしまう。
となれば、早速持ってきたクーラードリンクを飲んで出発…する前に、支給品を漁ろう。初見の地で地図もなしで狩猟とか、無謀過ぎるからな。迷って出れなくなったら困るし。何より、この地の地形を簡単に理解する為にも。
というわけで、支給品が入っている青い箱を開ける。中には、丸められた地図と、応急薬、携帯食料、松明、クーラードリンクがあった。別に持ってこなくてよかったな、クーラー。でも、足りなくなるかもしれないし、やっぱり持ってこよう。
必要なもの(松明以外)を取り出して、箱を閉める。これで準備完了。さあ、休憩時間は終わりだ。狩りに行こう。今回は陸上がメインになるだろうし、大型モンスターであろうとも、勝機はある。水中に引きずり込まれたりしなければ、余程の個体でない限り、倒すことが可能だろう。
俺はクーラードリンクを飲んで、ベースキャンプを出た。あ、なんか寒くなってきた。
エリア1
少しの間を歩くと、リノブロスの群れが見えた。のんびりと僅かな草を食ってるから、肉食モンスターはここにはいないようだ。でもまあ、モンスターも生物だ。ここで道草をのんびりと食っていれば、いつかはジャギィ辺りがやって来るだろう。
そう言えば、こいつらの肉は食べてなかったな。どんなものが手に入るか気になるし、生肉を補充したかったから、狩るか。
というわけで、スラッシュアックスを取り出して構え、一瞬でリノブロスの一体の脇腹に入り込み、丁度真ん中で真っ二つにする様に切り上げる。そうすると、大量の血しぶきをまき散らしながら絶命するので、別の個体も狩りに向かう。で、それを何回か繰り返すと、エリア1にリノブロスはいなくなっていた。どうやら、ここにいる個体は狩り終えたか、別のエリアに行ったようだ。
まあ、2、3体いれば問題ないし、絶滅させるのがハンターの仕事でもないので、残りを追いかけなくてもいいだろう。さて、はぎ取って食べるか。
はぎ取りナイフを取り出して、最初に狩ったリノブロスの肉をはぎ取る。この世界に存在する謎の力によって、もう殆どが自然に還ってしまったが、それでも必要なものははぎ取れた。さて、次に行こうか。
全てのリノブロスから肉をはぎ取ると、俺はそのうちの一つにかぶりついた。血抜きしてないせいで、血なまぐささがあるが、既に慣れてるので咽せずに呑み込む。リノブロスの肉は、草ばっかり、それも殆ど栄養なしのをいつも食べてるせいか、非常に堅く、不味い。これなら、まだアプトノスの方がマシだ。まあ、食料が少ないここに住んでる個体だから、仕方ないかもな。
骨まで食い終わったので、エリア移動。確か、ターゲットのデルクスは砂中を泳ぐモンスターのはずだから、次は…そうだな、砂漠っぽそうな8、9、10を目指すか。となれば、4を通った方が早いか?よし、4に行って8に行こう。そして、そこでターゲットが見つかれば、狩りだ。
エリア8
エリア4をすっとばして、到着。いや、だってジャギィしかいなかったし。あー、でも、蟻塚は驚いたな。あんなデカい蟻塚もあるんだなぁと。まあ、それ以外は特に何も思わなかったんだが。
そう言えば、頭が固くなったような気がする。いや、知能の方じゃなくて、物理的に。おかげで、兜がもの凄く煩わしくなってきて…脱ぐか。でも、脱いだだけじゃ、ただの時間ロスだしなぁ…あ、デルクス発見。
「為留めるか。オラァッ!」
兜を右手に持って、デルクス目がけてぶん投げる!兜はターゲット本体に見事に着弾!ターゲットの身体が砂中から吹き飛ばされる!よし!
デルクスは突然の事態に混乱し、砂上をじたばたともがく。また砂中に潜られる前に為留めよう。スラッシュアックスを取り出して、またぶん投げる。アックスは放物線を描きながら、デルクスの真上に行き、そのまま身体を真っ二つに分断した。まずは一匹。
武器や兜を投げ捨てたおかげで身軽になったので、獲物目がけて全力ダッシュ。早くしなければ、謎の力によって自然に還ってしまう。そして、それが功を制したのか、為留めた獲物は殆ど原形を保っていた。これなら、キモも無事かな。
兜と武器を回収し、はぎ取りナイフを取り出して、キモと食べる様の肉をはぎ取る。肉はあまりなかったが、食べれれば問題ないので、気にしない。さて、デルクスは肉食だからな。リノブロスよりかは美味しいはずだろう。少し期待して、肉に齧り付く。が、その味は俺の予想よりも遥かに下だった。
まず、栄養が殆どないのか、血の味しかしない。肉の食感は柔らかいのだが、肉汁は全くない。次に、砂でじゃりじゃりする。どうやら、俺が為留めた際に砂が入ってしまったらしく、表面に砂がまんべんなくまぶされてしまっている。これは酷い。
期待を裏切られたショックでダダ下がりしたテンションと反比例して、お腹は膨れた。一応。ついでに、体全体が堅く滑らかになった気がする。まあ、とりあえず、砂原のモンスターは余り食べない様にしよう。んじゃ、次に行こう。
結局、俺のテンションは上がらず、このエリアのデルクスも、狩り方がダメだったのか、キモが全てダメになり、イライラしながら、俺は別のエリアへと向かった。
エリア9
なんかいる。殆どが砂に隠れててよく分からないが、息らしきものがときどき吹き出しているので、恐らく大型モンスターだろう。丁度いい。俺のイライラを収める為の犠牲になってもらおう。名はよく知らねえが、悪く思うなよ。悪いのは全てデルクスなんだ。
再び兜を右手に持って、大型モンスターの身体なのだろう砂山目がけてぶん投げる。兜は俺の苛つきによってか、今まで出したことがない速度を出して砂山に向かって行き、見事に砂山から大型モンスターの身体を弾き飛ばした。
武器を抜き放たずに近づき、ひっくり返って暴れている大型モンスター、ついさっき気づいたが、ハプルボッカの胴体に飛び乗る。青や黄色などの鮮やかな色をした腹は柔らかく、非常に食い甲斐がありそうだった。これなら、期待できるか?
はぎ取りナイフを取り出し、顎から腹へと膨らんでいるところに突き刺し、沿う様に切り裂く。すると、そこから鮮やかな退役が噴き出し、俺の身体を色とりどりに染めた。ハプルボッカが更に激しく暴れたが、今から砂中に潜られると、味的に困るので、少し上って顎のところを強く殴り、黙らせる。
そして、更に尾まで真っすぐ切り裂き、中を開く。すると、表面などに流れる色鮮やかな体液によって不気味な色をしながら膨れた内臓の数々が目に入った。俺は中に入り込み、内臓の管を片っ端から切り裂いて行く。そして、脈動している心臓の管を切り裂き、噴き出す体液を浴びる。あ〜ぁ、全身がべとべとだ。
なぜか高揚してきた気分のままに、とても大きい心臓を掴み、それを喰らう。味は他の砂原のモンスターの肉よりも遥かに美味く、食い甲斐があった。大型らしく、中に詰まっている栄養もとても多いようだ。
呑み込むと、喉とえらに異常を感じた。どうやら、俺にとって既に慣れたあの現象が起きているようだ。そう、モンスターの能力を手に入れる、というものである。
喉辺りがなにやらもぞもぞして気持ち悪いが、進化に必要なものだと思って我慢する。そして、数秒経つと、気持ち悪さは完全に無くなった。果たして、何が変わったのか。確か、ハプルボッカは砂のブレスを吐き出すはずだし、それか?
確認の為に中から這い出る。すると、デルクスたちが泳いでいた。キモが必要だし、この能力を試したいから、あいつらで実験するか。
砂上に降りて、息を強く吸い込む。すると、砂が中に入り込むが、肺の中に新しくできた器官に溜め込まれるのを感じ、継続する。そして、満タンになったのを感じると、一気にそれを吐き出した。
すると、砂が一つの塊となって真っすぐ突き進んで行った。………………軽く劣化してるな。まあ、いいか。肺にそこまで大量に砂を溜め込めれるとは思えないし。
さて、次は威力だな。何かに直接当ててないから、どれくらいの威力があるのかよくわからないし。とりあえず、比較的に近くにいたデルクスを狙うことにする。砂を吸い込んで満タンまで溜め込み、一気に放つ!
砂の塊は勢いよく俺の口から飛び出し、デルクスの身体を弾き飛ばした。そして、飛ばされたデルクスは砂上でもがいた。それだけ。
「怯ませるだけじゃねえか」
本当にその通りだ。砂がある場所でしか使えず、威力もなく、有効射程も短い。これは完全に無駄な能力だな。こけおどし程度に使おう。
さて、このままぐだぐだと文句を言ってても仕方ないな。デルクスを狩りに行った。
BC
あの後も特に何もなく、納品してクエスト終了。全身が砂塗れだし、さっさと帰ろう。あ、今回手に入れた能力はこんな感じだ。リノブロスからは一部の皮膚の硬化、デルクスからは砂の地面への潜行能力、ハプルボッカからは砂を吐き出す能力。これで、より狩るのが楽になるはずだ。
………普通のハンターたちって、こういうのをなしでモンスターを倒すんだよな…すげぇ…俺には真似できねえや。真似しようとしても、ついつい能力を使っちまう。もしも俺にこの能力がなければ、ここにいることは無かったんだろうな。
やめよう、この話は。どうせもしもの話だしな。今を生きているのなら、それでいいじゃないか。生きている限り、目標に向かって進むことができる。俺の目標はかなり黒いが、それでも目指すべきものではある。だから、今この瞬間を大事に生きていこう。
俺はそう強く思い、家にいるであろうローラの顔を思い浮かべた。そう言えば、ハンターに登録するにはどこに行けばいいんだっけ……えーと…ドンドンマだったか?まあいいや。そこらへんは船長に任せよう。あの人なら、何とかやってくれるよ。ローラに手を出したら、殺すけど。
村に戻ると、交易船の姿がなかった。どうやら、別の場所に交易に向かったらしい。むぅ、ローラをドンドンマに連れて行ってもらおうと思ったのに…
「おう、よく帰ったな。レイン」
「……ああ、村長」
船長に裏切られた様に感じて、不機嫌になっている俺に、村長が挨拶してくる。俺は一度無視しようかと思った後、一応挨拶した。
「何だ、かなり不機嫌じゃないか。そんなにローラがいなくなったのが不満なのか?」
「何?」
村長は掛け合いで俺が不機嫌なことに気づいたのか、何事だと聞いて、そして、次にその原因の一つと思われることを言った。
俺の不機嫌の理由はその逆だったが、しかし、それに反応した。すると、村長は何かを納得したようで、こんなことを言ってきた。
「ローラはな、お前がクエストに行った後、船長に頼んでタンジアの港に行ったんだ。あそこなら、ハンター登録できるし、ここからも比較的近いからな。だから、彼女なら、すぐに戻ってくるだろう」
「あいつ…留守番してろって言ったはずなんだがな…」
どうやら、ローラは俺の命令を無視してタンジアの港という場所に行ったらしい。勝手に行動するということは、あいつは意外とおてんばなのか?
頭をがしがしと掻いて、呆れる様にそう言う。しかし、口端はつり上がってしまった。
「嬉しそうだな、レイン。そんなにあいつと一緒に狩りをするのが楽しみか?」
「ああ、楽しみだ。何たって、一緒にいれる時間が増えるんだからな」
俺の口端がつり上がっているのに気づいたのか、村長がニヤニヤ顔でそう聞いてくる。そして、俺も否定する要素がないので、それに肯定した。
さて、村長と話していたら、いつの間にか機嫌が良くなっていた。どうやら、俺の心はローラ関係になると、機嫌が良くなるらしい。持ち主が言うのもなんだが、随分と現金な心だ。
しかし、なんか眠くなってきたな。そんなに激しく戦ったわけじゃないんだが、結構疲れてたのか?うーん、頭が回らなくなってきたし、さっさと眠るか。
「村長、悪いけどよ、眠いから家に入るわ。また明日な」
「おう、また明日な。よく眠れよ!」
というわけで、話を切り上げて家の中へ。入ったら、武器や装備、アイテムをアイテム箱の中に適当に入れる。思えば、ハプルボッカから何もはぎ取ってなかったが、気にしなくていいか。いつか狩るときが来るだろうし。
とりあえず、全部入れ終わったので、ベッドにもぞもぞと入り込む。あー、癒されるー。わずかに彼女の匂いが残ってるのが、より心を安らがせるー。あー、一気に…眠…く…Zzzzzzz…
皆様、この作品を読んでいただき、誠にありがとうございます。あと、砂原の描写が甘過ぎてすいません。皆様の脳内で保管していただけると、ありがたいです。
さてと、初の大型モンスターですが…どうしてこうなった。私自身も首をひねっております。主人公の苛つきを発散させる為にボコボコにされたハプル…いつかまた見せ場を作る予定です。その時は大活躍…するのかなぁ…まあ、いいです。
あ、書き溜め、というか、ある程度書き終わっていたストックが尽きました。ですので、かなり期間が空くと思います。他の奴を書いてねえで、こっちを書けよ自分…
では、これにて話は終わりです。次の話までかなり期間が空くと思いますが、それまで待っていただけると幸いです。