まず、注意点を述べます。今回は複数の視点が存在しています。誰視点なのかは書いてませんので、口調や場面などで判断してください。と言っても、二人目は場所すら書いてないのですが。レインの紹介文を読んでいれば、どこにいるかは分かると思いますが……誰視点か分かりますかね…?分からないなら、感想にでも書いていただけると嬉しいです。私、エスパーではないので。
次に、レインの両親の死に方が矛盾しています。これは、作者がついうっかりやってしまったことなので、気にしないでくれるとありがたいです。どうやって殺そうか悩んで、ようやく決まって、それを書いたら、前の話と矛盾していたなんてことはありません。
三つ目に、なんかストーリー展開が早いです。ていうか、今回が超展開なだけですが。上述のものと合わせて、混乱しないようにご注意ください。
最後に、なんか新キャラがまた出てます。彼女もまた、普通の人間ではありません。ていうか、モンスターです。正体はすぐ分かるでしょうから、ここでは明かしません。
これにて、注意点は以上です。
次に、前回で導入したものを並べます。
現在の比率:20%
精神状態:安定
発動しているスキル
・虫の知らせ
・毒無効
・雷属性付与
・火属性付与
・毒属性付与
・雷属性攻撃強化+3
・火属性攻撃強化+3
・逆鱗
・挑戦者+2
・無慈悲
・軽業師
・破壊王
・根性
・体力+50
・回復速度+2
・腹減り倍加【大】
・雑念
・隠密
・グルメ
・アイテム使用強化
・拾い食い
・災難
・悪魔の気まぐれ
・捕獲の見極め
・全身硬化
・スイマー
・息継ぎ半減
・高速再生
・擬態(植物)
では、遅くなったくせに、腕が劣化している感が否めない今作を、お読みください。……………鬱展開多めのこの作品を楽しめてる人って、いるのかな…?
追記
モンハン4G、久しぶりにやりました。狂竜化ティガ亜種で、死にかけました。一発でクリアしたけど。下位の★6で出す難易度じゃねえよ、あれ……ついでに、二落ちの原因はバインドボイスです。前足まで判定があることにびっくりしました。あと、その破壊力にも。リオハート装備だったのに、二発喰らっただけで落ちるってどういうことなの…
追追記
レインの父母の死に方を修正し、誰視点か書きました。本当にすいません。
あの後、いろんな意味で疲れた私たちはアイルー達の手を借りて、体に付いた血を洗い流して、モガの村に戻った。あと、洗い流した血はなんか動いた気がするとかで、アイルー達が燃やしたらしい。レインが残念がっていたのが、今でも覚えている。食べる気だったのかしら?
村に着いた直後、ユーリが用はもうなくなったとか言って、港に行く船に乗っていった。後ろ姿に、レインがよだれを垂らしていたけど、まさかね…
家に戻ろうとすると、なにかおぞましい気配を感じたとかで、戦闘形態に入っていた村の人々(子供含めて)に、大丈夫か心配された。私は気配の正体が誰か理解していたけど、恐らく彼本人に悪気はないと思ったので、罪悪感を感じながらも、なんともなかったと答えた。レインは首を傾げていた。やっぱり、覚えていないのかもしれない。
家に戻ると、彼は突然ベッドに倒れこみ、すぐに爆睡し始めた。酷い腹の音を響かせて。ずっとお腹が減ってたのね…でも、何も食べずに眠るのはどうかと思うわ…
色々とおかしくて、怒ると怖いけど、普段は子供らしくて、少し可愛らしい彼に、私は微笑を浮かべ…
とりあえず、うるさいので、彼を海に放り込んだ後、眠りについた。後で、回収するから問題ないわね。
レイン視点
「お父…ん!…と…さん!」
昔、遥か昔の記憶…
俺がまだ復讐に囚われる前の頃の記憶…
シュレイド城下町で両親に囲まれて、暮らしていた頃の記憶…
「どうした、アッシュ」
父の大きい手が、俺の頭を撫でる。それによって、俺の荒み、歪み切った心が安らぐ。記憶の残滓であろうとも、その手に宿る暖かさは消えないようだ。
「お父さん、聞いて!僕ね、僕ね!お父さんみたいな、弱い人たちを悪い奴らから守れる、強い騎士になるんだ!そして、お父さんと一緒にこの国を、大切なものを守るんだ!」
「!………そうか。そうか…」
あの頃の俺の純粋な願いが込められた言葉に、父は言葉を詰まらせる。そして、涙を流し始めた。
「お父さんはね…お前が真っ当な子に育ってくれて、本当に嬉しいぞ…!よくぞ言った、アッシュ。アッシュ・スタンフォード!それでこそ、我が息子だ!」
父の手が頭を強く押さえつけ、撫で回す。痛かったが、不思議と不快感はなかった。
むしろ、どうしようもなく幸福だった。自分を見てくれる人がいる。自分を愛してくれる人がいる。自分を認めてくれる人がいる。自分を必要としてくれる人がいる。それだけで、それだけで幸福だった。
自然と顔がほころぶ。父に甘えられるのが嬉しくて、母に甘えられるのが嬉しくて、友と遊べるのが嬉しくて、平和に暮らせるのが嬉しくて、それらがあるのが何よりも幸福だった。
だからこそ、後にやってくる災厄を、惨劇を恐れた。夢の中の出来事で、もう変えられないのに、来ないでほしいと願う。ただひたすらに、狂気とも言えるほどに、強く強く願う。
だけど、結末は変わらない。舞台が切り替わる。
人が行き交う大通りは、腕や足、内臓、目玉、誰かもか分からない真っ黒な死体が散乱している、燃え盛る街並みへ。背景で、燃え上がり、崩れ落ちていく城が街並みの凄惨さとこの国の滅びを嫌でも理解させる。
俺の格好も少しは華やかな服から、黒く煤けたみすぼらしい服へ。
炎が巻き上がり、家々が倒壊していく中、死体が散乱している大通りを必死の形相で駆ける。父が無事かどうか知りたくて、母が無事かどうか知りたくて、何よりも両親に合わないと気が狂ってしまいそうで、俺は死に物狂いで地獄を駆け抜ける。
しばらく走っていると、両親の姿が見えてきた。父は軽装ながらも、いつでも戦闘を行える装備をし、母は生活に大切なもの、だろう、を持っていた。
よかった、まだ生きていた。自分は間に合ったんだ。心が歓喜に染まる。
「父さん、母さん!」
歓喜のままに両親に抱きつき、両親もまた俺を受け止め、優しく抱き締める。父と母の体は、この暑い空気の中でも暖かくて、心地よかった。
一回、優しく頭を撫でられた後、上から父の声が聞こえた。
「逃げよう、リディア、アッシュ。王家も既に途絶え、この国はもうすぐ滅ぶ。ならば、せめてここに国があった証として、我らがこの国の伝統を受け継ぎ、そして後世へと伝えるんだ。そして、願わくば…この国の再興を…!」
両親の抱擁が強くなる。腕は震えていて、何粒かの涙が頬に当たった。あの時の俺はなんで泣いているのかわからなかったが、恐らく故郷が滅ぶのが辛かったんだろう。今まで自分が育ってきた場所だ。それを何もできずに滅ぶのを見てるだけなんて、辛すぎる。現に今の俺も、その苦痛にもがいている。
両親が腕の力を少しずつ抜き、俺の体を下ろす。不安になって父の袖を掴む俺。
「行こう」
「ええ」
頷きあい、走り出す両親。転けそうになりながらも、ついていく自分。もうすぐ運命の分岐点がやってくる。
「ねえ、お父さん、お母さん。どこに…あ…!」
どこに行くのか気になった俺は、両親にそれを聞こうとして、集中を足から外す。走っている最中に話をしたのが原因だったのだろうか。俺は見事に顔から地面に突っ込み、鼻から大量の血を流す。そして、それに耐えられず、俺は泣き出した。
「うえぇぇぇぇぇん!」
響き渡る子供の泣き声。地獄を作り出している絶望の塊が、それを見逃すはずがなかった。
飛来してくる黒龍。それに気づかず、俺に駆け寄り、手当てしてくれる両親。
手当が終わった直後、地獄の龍の咆哮が鳴り響いた。爆音で窓ガラスが割れ、鼓膜が破れる。
「く…、…つか…た…!お…が…………か…ぐから、そ…あ…だに!」
父の声がよく聞こえなかった。ただ必死な形相をして、こっちに何か叫んでいるのがわかった
。なんだか怒られているような気がして、父が怖かった。剣を握って、怖い表情をして、さっきとは逆方向に歩いていく姿が、どこかに行ってしまいそうで、怖かった。
必然的に、手を伸ばし、父を呼ぶ。
「父さん!」
「来…な!は……い…!」
また怒られた。大好きな父に怖い顔で怒られたことによるショックで、手を下げていく俺。そして、そんな俺を抱いて、父から離れていく母。剣を力強く握り締め、上空を飛ぶ黒龍を睨む父。
「…るな…こ…!ば…も…がぁ!」
無謀にも、ほんの気休めにもならないなまくらを振りかざして、絶対的強者に吠える父。敵うはずがないというのに、その背中は誰よりも大きく見えた。だが、そんな幻影も煉獄が塗り潰す。
隕石のごとく、父が立っていた場所に火炎の球が落ちる。すぐさま、消えてしまう父の影。残るのは、焼け焦げた地面。俺の中で亀裂が走る。
思い起こされるのは、父との思い出。欲しいものがあって、だだをこねて買ってもらい、それを皆に自慢したこと。騎士として立派に戦う父の背中が眩しくて、憧れて、父みたいになりたいと本人に告白したこと。俺が見た夢を真面目に聞いて、叶うといいなと言ってくれたこと。他にも様々な出来事が一瞬のうちに過ぎ去り、燃えて消え去っていく。
「あ……ぁぁ…ぁあ…」
眩しくて、大きくて、頼りになった父の背中はもうない。日光で温められた岩のような、無骨で、でも暖かくて、心地よい父の手はもうない。何よりも、優しくて、偉大で、誇り高くて、大好きだった父はもういない。それが俺の心を急速に崩壊させていく。『僕』という人格を絶望に塗り潰していく。
母が涙を堪えながら、俺を抱えて走っていく。大分速いはずなのに、どうしてか、それがやけに遅く見えた。
父の死に絶望する自分に、第二の喪失が襲いかかる。黒龍が再び炎を口から放つ。
それにすぐに気づいた母は、何を思ったのか俺を前へと投げ捨てる。必然的に母は置いていかれ、何が起きたのかわからずに宙を舞う俺は火球の射程外へと逃れる。
申し訳なさそうな顔をした母の顔が視界に映る。自分の叫びで聞こえなかったけど、なんとなく、ごめんなさいと言ったことがわかった。
母が煉獄に包まれ、すぐに消え去る。灰も残さず、一瞬だけ苦しそうにもがいた母の姿が、脳裏に焼き付く。
母が死んだ、と直感で理解した。同時に、なんで置いて行ったのかと怒り、悲しんだ。でも、母は戻ってこない。父に助けを求めようにも、父は既にこの世界から消えてしまった。
なんで?
心を疑念が埋め尽くす。
なんでこんなことになったの?
世界の理不尽さに、怒り狂う。
誰がこんなことをしたの?
膨れ上がり、自我を飲み込む憎悪の矛先を求める。
誰がどうしてこんな……
視線が今も悠然と空を飛ぶ黒龍へと向く。
お前か。お前がやったのか。お前が『僕』の両親を殺したのか。お前が『僕』の思い出を汚したのか。心が憎悪に汚染され、それが殺意へと変貌していく。黒龍はなんの興味もこちらに示さず、素知らぬ顔で空を飛んでいた。
憎い。憎い。ひたすら、憎い。その姿が、その声が、その力が、その存在が憎い。殺してやる。殺してやる。たとえどこかでのたれ死のうとも、お前だけは絶対に殺してやる…!憎しみのままに歯軋りし、歯を噛み砕く。口から血が流れ出すが、全く気にもならなかった。
あいつを殺そうと立ち上がり、立ち向かおうとしたその時、両親の言葉が蘇る。
『アッシュ、もしも私たちが死んでしまった時、お前は嘆いて、死に急ごうとするかもしれない。でも、そんなことはしないでほしい。たとえそれがお前にとって、苦痛になろうとも、私たちはお前に生きて欲しいのだから。生き残れ、アッシュ。何かのために、誰かのために、生きて生きて生き抜いてくれ』
両親の実質的な最後の言葉に、涙が出て、止まらなくなる。もう聞けない声を思い出して、その虚しさに心を痛める。憎しみは変わらず、殺意も変わらず。だけど、殺そうと玉砕することは止めた。
両親の最後の願いを聞き遂げようと、それが最後の親孝行だと、そう思い、実行しようとしたのだから。両親の死から目を背けるように、目をつぶり、必死に走る。全てはあの怨敵を倒すために。全ては両親の遺言に従うために。こうして、俺の地獄の旅が始まった。
ローラ視点
気がついたら、どこか知らない場所にいた。何人かの人が歩いている街並み。その住宅街とも言える場所で、年老いた二人とよく見知った人物が話していた。
「それで、子供は元気にやってるのかよ」
「ああ、彼ですか…メゼポルタで元気にやっているようですよ。今、天廊を登っているのだとか」
「へぇ、よく飽きもせず、登っているなぁ」
話しかけているのは、私が知っている人物のレイン。そして、相手は年老いた男女一組。どことなく、二人とも、昔を懐かしんでいるように見える。だけど、なぜレインの男女を見る目が、子供を見る目なのだろうか。普通なら、老人たちがレインをそういう目で見るはずなのに。
「まあまあ、そう言わずに。あの子にも、何か考えがあるのですよ。時折、奇妙な文章を添えて送ってくることがありますし」
「奇妙な文章?」
「はい、『ここに我々の滅びの歴史を記す。我々の愚昧さを二度と忘れぬように、二度と同じ過ちをせぬように』とか、『人と龍の共存を謳い、そのために奔走する男がいた』とか、『我々が彼を地獄へと落としてしまったのだ』とか、そういうことが書かれているんですよ。よくわかりませんが」
疑問に感じていると、老婆が子供の擁護をし出した。でも、奇妙な文章って?
レインもまた気になったのか、老人二人に問う。今度は、老父が答えた。
老父から出てきた言葉は、さらに謎を呼ぶものだった。滅びの歴史?忘れないように?過ちをしないように?人と龍の共存?地獄へと落とした?よくわからない。話している三人も、首を傾げているわ。
「あいつ、ハンターだよな?」
「ええ、ハンターです。ですから、こんなことを知るはずがないんですがね…」
レインが子供の職業を確認し、老父がそれを肯定する。にしても、老人たちの子供はハンターをやっているのね。でも、ハンターってそんなことを調べるものかしら?三人の様子から察するに、違うみたいだけど。
「まあ、いいや。いつか分かるだろ。それじゃあ、俺、街の復興があるから、戻るぞ」
「はい、分かりました。いつでも来てくださいね、義父さん」
………え?父さん?老父の口から放たれた衝撃的な言葉に呆然とする私を他所に、世界は霞み、私の意識は深海へと沈められた。
ユーリ視点
タンジアの港
「やあ、入っていいかい?」
新たなモンスターの偵察と密猟者狩りを終えた後、私はある用事のために、とある民家の扉を叩いた。背中には青く煌めく双剣、マスターセーバーを、左手には微妙に蠢いている謎の赤い液体を入れた瓶を持って。
「……待ってたよ…どうぞ…入って…」
「うん、おじゃまするよ」
少し待つと、何かが落ちる音と足音が近づいてきて、一旦止まると、音の原因である家主、ウィンディちゃんがぼそりと呟きながら、出てきた。相変わらず、げっそりしているね…ご飯、食べてるのかな…
彼女は私の姿を見ると、そう言って、落ちている書類とかを踏んずけながら、奥に戻っていった。早く研究したいみたいだ。
私もまた、彼女の研究を邪魔する気はないし、むしろそのために来たのだから、彼女の後を続く。
薄暗い、いや、私がここにいるからこそ、まだ薄暗い域で済んでるんだろう、中、大量のフラスコやビーカーなどが置かれた机の隙間を暫く歩くと、奥の少し開けたところに着いた。ここが彼女の研究場だ。既に彼女は実験の準備を終えている。相当、楽しみにしてたんだろうなぁ…
子供のように目を輝かせ、まだかまだかとそわそわする彼女を横目に、私は彼女の机の上に左手に持っていた瓶を置く。
「……………生きてる…」
「うん、生きてるよ。間違いなくね。ああ、そうだ。下手に触らないほうがいいよ。それに素手で触れたら、乗っ取られるからね」
瓶を置いた瞬間に、彼女は目にも留まらぬ速度で瓶のすぐそばに寄る。そして、剥けるんじゃないかと思うほどに大きく目を見開き、感嘆を込めて言葉を漏らした。
私は彼女がなぜ感激しているのか理解に苦しみつつも、彼女の言葉を肯定し、不用意に触れるなと忠告する。
私の忠告を聞いた彼女は不服そうに伸ばそうとしていた手を戻すと、私の顔をちらりと見てきた。
彼女が何を言いたいのか理解していた私は、瓶を持ち上げて両手で包む。そして、憎い怨敵の姿を思い起こし、自分の中の怒りを引き出す。黒い鱗、狂喜に歪む紅い瞳、私たちと同じ姿をした災厄。
紅い電光が口から溢れ出す。瞳が紅く輝き、胸元が紅く不気味に発光を始める。ハンター達で言う怒り状態だ。
私は紅い電光を右手から左手へと流す。必然的に電光は瓶を通り、中の肉塊を再び赤い体液へと戻した。これでよし。
気持ちを落ち着け、再び瓶を机に置く。彼女はあえて何も言わない。私の正体を知っているゆえに。そして、真実を言っても、誰もそれを信じないゆえに。
彼女は瓶の蓋を開けると、注射器を取り出し、それで体液を吸い出す。早速、実験開始か。それじゃあ、少し失礼しようかな。
何も言わず、背を向け、出口へと向かう。これ以上、邪魔するのも失礼だろうし、何よりも次のことをしたかったから。
だけど、私はもう少しここにいることになる。
小動物、この家だとネズミだろうか、の断末魔が響き渡る。後ろを振り返ると、顔が剥げ、尻尾が腕や足、新しい頭などとなり、全身を穴だらけにし、骨を覗かせ、その隙間から内臓をだらりと出した、ネズミだったものが幾つかケースの中に転がっていた。よく見れば、所々に竜の鱗や甲殻が確認できる。ケースの表面を見れば、ネズミの血液や肉がべっとりとくっついていた。
「うわ」
「!……驚くんだ…」
グロテスクな光景に、つい反応してしまう。さすがにこれは予想してなかったからね。
そして、そんな私に驚き、ぼそりと言葉を漏らすウィンディちゃん。聞こえてるからね?
少し恥ずかしいので、恨みがましい視線を向けると、彼女はすぐに実験を再開した。どことなく、焦っていたようにも見える。
「「………………」」
暫く沈黙が続く。先に静寂を破ったのは、私だった。
「えーっと、暫くしたら、また来るから。報告はその時にね?それじゃあ、バイバイ」
「………………ん…バイバイ…」
こちらに顔を向けず、言葉もほとんど発さない彼女に別れを告げ、踵を返す。
家を出る直前、ぼそりと返事が聞こえた。私はそれに意外と友達思いなのかもしれないとか思いながら、彼女の家を出た。
タンジアの港 裏路地
ウィンディちゃんの家を出た後、私は裏路地でとある人物に頼もうと思い、待っていた。そろそろやってくるはずだけど…
少し待っていると、足音とほんの少しの風の吹く音が聞こえてきた。私はそれで目的の人物がやって来たことに気づいた。
「待たせたな、主君」
「ううん、今来たところだから、気にしないで」
凛々しさと誇りを感じさせる声が右から聞こえたので、そちらの方に顔を向けながら、返事をする。視線の先には、予想通りの人物が立っていた。
肩まで長く伸ばされ、わずかに差し込む陽の光で煌めく白銀の髪。空をそのまま宝玉にしたような澄んだ青をしている、吊りあがり、引き締まった瞳。胸は世間でいう美乳。装備は白銀に煌き、兜に白百合があしらわれている。腰元には彼女から取れる素材とかでできた彼女の分身とも言える、強化するのに結構頑張ったらしい、ミストラル=ダオラ。そして、その使い手はあどけなさを残しながらも、騎士の風格を匂わせる美少女。戦乙女という言葉がよく似合うだろう。いや、彼女は本当の戦乙女だった。少しポンコツだけど。
確か、彼女のここでの名前は、ステラだったかな?社会の中に溶け込み、私の手足となって動く忠実な騎士。風や天候を操り、縦横無尽に空を駆ける、鋼風の戦乙女。私の尖兵とも言える存在。少しポンコツだけど。
私は彼女が何も変わっていないことに安心し、本題を話し始める。
「それで、本題なんだけどさ。実はちょっと頼みたいことがあるんだよね」
さて、これが吉と出るか、凶と出るか。やらないとわからないね。まあ、成功することを祈ろうか。
私は無意識に、不敵な笑みを浮かべた。
ギルドマスター視点
タンジアの港 ギルド
ここはタンジアの港の酒場エリア。今日もわしはお勤めで、酒を飲みながらここにいる。ふむ、やはりラングロ装備はエロい!(確信)
「あの…」
む?何じゃ?
看板娘のキャシーちゃんに話しかけられ、わしは酒飲みを中断し、耳を傾ける。キャシーちゃんはそれを話を続けていいタイミングだと判断し、話を続けた。ただし、言いづらそうな顔でじゃが。何かあったのかの?
「ギルドマスターさん、アイシャさんからモガの村とその近辺の報告が来たんですけど…」
「ほぉ〜、あの子からのかい。それじゃあ、読むとするかねぇ。…………む?」
どうやら、あの村の看板娘であるアイシャちゃんから、報告書が届いたらしい。あの子、言動は少々気になるところがあるものの、成績は優秀じゃからの。今日も分かりやすい報告書が書かれておるのじゃろう。
渡された一枚の書類に目を通し、すぐにその内容に異常を感じ取った。
地震が短期間に起きていること。ローラと呼称されていたラギアクルスの人化。オオナズチの仕業らしき幻影。それによって消えた白い人影。目につくもの全てを捕食し、異常な再生能力を持つ謎の肉食植物。レインというハンターの暴走と、彼の全身から聞こえた怨嗟の叫び。
明らかに、何か異常が起こっている。それも一つ二つという話ではない。もっと大量の異常が起きている。
少し前に、ドンドルマから送られてきた書類のことを思い出す。特に関係はないはずじゃが、やけに気になったので、積まれている書類の山に近づき、目的のものを取り出し、読み始めた。
滅びの歴史。古代人たちがしてしまった過ち。人と龍の共存を願った赤い男。そして、そんな彼に協力した白い女。無機質な見た目の竜を作り、森へと突撃させる人々。
やはり、関係性は見られん。じゃが、やはり気になる。それも、かなり。どうにも、無関係であると思えないのじゃ。まるで今、その歴史が繰り返されていることを確信しているかのように。
「ギルドマスターさん?」
「うむ?…あぁ、すまんのぅ。この老いぼれのことは気にせんでよいぞ。それと、アイシャちゃんから送られてきた報告書のことは、忘れた方が良い。これは、恐らく人の関わってはならぬものじゃからな。では、仕事に戻ってくれ」
間の抜けた返事をしながら、去って行くキャシーちゃんを横目で見ながら、わしは事態を重く考える。もしかしたら、近いうちに未曾有の大災害が起こるかもしれんと。もしかしたら、この世界に滅びが近づいているのかもしれんと。
滅びの歴史。古代人たちの過ち。赤い男。白い女。無機質な見た目の竜。特に関係のないはずなのに、妙にちらつく単語たち。
確か、これらはまだ調査中の天廊から見つかった壁画と古代の言葉で書かれた文を解読して、判明したものじゃったはず…ならば、さらにあそこを調べれば、過去の過ちと今の状況が結びつく時が来るのじゃろうか。
わしは何も起こらず、この酒が飲めればいいのぅと思いながら、酒をあおった。
お目汚し失礼しました。神無月亮です。
皆様、今回も楽しめたでしょうか?楽しめたのなら、幸いです。楽しめなかったのなら、すみません。切腹しm…ドゴォッ!
また誰かに頭を殴られました。この程度で死ぬなと言いたいんですかね。耳と頭が痛いです。
あ、そうです。実は前回から、iPadで書いています。おかげで、半角が打てませんし、空白も全角1文字ではありません。おかげで、現在、違和感を抱いて執筆に専念できません。まあ、パソコンで長文が打てなくなっただけなので、後でパソコンで修正すればいい話なのですが…
あ、遅くなりましたが、お気に入り登録ありがとうございます。文章をさらに上達していく次第なので、これからもよろしく頂ければ、幸いです。
新しく読む方々も、鬱展開の数々に打ちのめされず、読んでいただけると、幸いです。
これにて終わりたいと思います。また1、2ヶ月掛かると思いますので、気長に待っていてください。
では、皆様。またいつか会いましょう。
追記
次の話の内容について、少し悩んでます。とりあえず、日常回と言う名の、謎の戦乙女の紹介にしようと思っていますが…どれくらい、ポンコツにした方がいいんですかね…あと、ローラに妙な設定が追加されました。あ、鬱系統ではありませんよ?