千年続く国は人と同じで腐敗して、いつかは滅び行く。
そんな腐った国に生きる人間は二種類だけ、富と権力に物を言わせ、貧しい人間を食い物にする性根の腐った人間だ。
そんな人の皮を被った魑魅魍魎は、地獄から追い返された破壊者が壊せば良いだろう。
もう昔の事になる。
カズマは、トリップなる物を体験した。
典型的な二次作である転生物のような白い空間で、一振りの剣を持った老人と対峙していたのだ。
コレを夢と思わずしてなんと言うか?
カズマはそう思っていた。
しかし、神だと名乗った老人は一振りの剣と他に紅い金属片を渡して消える。
ホワイトアウトした視界が回復した時、其処は見ず知らずの農村だった。
ジョヨウの農村で、カズマは『アカメが斬る!』には本来存在しないライブメタル・モデルZに選ばれる形で用心棒を請け負っていた。
ライブメタル・・・・千年前に始皇帝が帝具を作り出す際、特定の帝具の下地となる機能を備えた意思を持つ金属片。
そう、ジョヨウの農村にあった古ぼけた文献には載っていた。
『この世界の人間・・・・裕福な奴等は狂っている。』
モデルZと共に夜盗や凶族を撃退する日々の中で、モデルZはそう言った。
その意味を知るのは直ぐだった。
ジョヨウの子供達が、ラン・・・腕の良い教師の留守中に惨殺された。
ランとカズマはジョヨウの役人の対応に狂っているとさえ思った。
最も治安の良い地方都市という名目を守りたいがために・・・・!
そして、二人の青年は袂を分かつ。
ランは、内側から変えていく道を選んだ。
ジョヨウから姿を消したカズマは・・・・・・・。
「何事だ!?」
ジョヨウからそれほど離れていない小さな村を占拠し、補給を待っていた帝国軍が襲撃された。
紅いベストに顔面上部をバイザーで覆った青年の襲撃、帝具も顔負けの攻撃力を誇る拳銃と翠の半透明の刀身を持つ剣は、瞬く間に兵士達を蹂躙していく。
「敵襲でぐわぁっ!」
司令官がテントから出た刹那、報告の為に駆けて来た兵士の胸に風穴が開いた。
鮮血が、足元に水溜りを作る。
「何、ちょっと聞きたいことがあって。」
青年、カズマは口を開く。
カズマの背後には地獄絵図が広がっていた。
帝国軍兵士、その死骸は一刀の元に斬殺されたものばかりで、駐屯地のテントまで道に赤いカーペットを敷いている。
「聞きたいことだと!?貴様ッ!!」
司令官は、自身が預かる帝具を発動させ、身構える。
帝具・スラッシュハイド
槍型の帝具で、使用者の動きをアシストしてくれる機能がある。
その槍術は、始皇帝の右腕とされた槍術使いの業を模範出来る機能。
司令官に対し、カズマは剣・Zセイバーをぶら下げて問うた。
「ココに来るまで、ドレだけの仲間を殺した?」
「ほざけぇ!!」
司令官が地面を蹴った刹那、カズマはすれ違った。
「・・・・・・・・処分する」
司令官は鮮血をその体から噴出して膝を折る。
強いとか、そういう次元じゃない!
司令官が理解した時、彼の命は尽きた。
ランと袂を分けたカズマは、反乱軍に身を投じていた。
全て終わったら、罪を清算する。
汚れてでも間違った国を壊してでも、直さなくては。
モデルZはカズマのその覚悟に同調し、力を貸している。ましてや、モデルZ自身も今の帝国を良しとしていない。
革命軍が誇る一騎当千の戦力として、カズマはとある男と待ち合わせしている。
占領された村の開放は、本部が通達した序の仕事に過ぎない。
「よぉ、お前さんが“ゼロ”かい?」
帝国軍の駐屯地、何も無いところから声が聞こえる。
文献で読んだので知っている、ステルス機能を持った帝具が存在していると。
「ああ、ナイトレイドの使いか?」
警戒は解かない、Zセイバーの柄を握りながら虚空に答えを返す。
すると、目の前に鎧姿の大男が現れた。
『インクルシオか・・・・』
モデルZが珍しく、懐かしむような口調で呟いた。
「ああ、ナイトレイドのブラートだ。ハンサムでも良いぜ?」
リーゼントヘッドのブラートが帝具を解除する。習ってカズマもロックオン状態を解除した。
「カズマだ。肩書きは・・・・ない」
「ははっ!謙虚な奴だな。本部から聞いている、行こうぜ。俺達のアジトへ、ナイトレイドはカズマ、お前を歓迎する!」
ブラートがカズマの肩を叩いて、親しげにそう言った。
革命軍は、暗殺を主とする部隊に最大戦力を集めていると思う。
それは決起の際に切り札となってもらうためだ。
カズマは、後にこう指名手配される。
“ゼロ”
モデルZのモデルとなった破壊神の名を借りて。