破壊神が斬る!   作:コードα

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修行の日々を斬る1

マーグ高地に潜伏して早一ヶ月。

 

カズマも回復して修行を兼ねた狩りに出られるようになった。

 

「・・・・・・。」

 

神経を研ぎ澄まし、動き回る気配に意識を傾ける。

 

山の中腹の開けた場所で、カズマはTレックス型危険種の群れを蹂躙していた。

 

小型、と言う事もあって茂みに入れば隠れてしまう危険種。

 

死角から襲い掛かった危険種の喉に容赦なくZセイバーが突き刺さった。

 

「・・・・・上か」

 

呟き、Zセイバーを手放すと紫電を走らせた拳で殴り飛ばす。

 

『大分慣れたな』

 

モデルZが記録最後の武器、Zナックルを解禁して早数時間。

 

カズマは直ぐに物にして見せ、危険種の死体の山を築いた。

 

残りは敵わないと悟ったのか逃げ出している。

 

索敵に意識を向け、危険種の気配が無い事を確認するカズマ。

 

「はぁ、しんどいな。知識の無い奴と戦うのは・・・・」

 

一息吐いて呟いた。

 

ラバがいれば「説得力がねぇ!」とつっ込んでくれることだろう。

 

危険種の死体は食料として消えていくわけだが、はて・・・・アカメの希望に沿うにはどれだけ狩っていけば良いんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・あの子本当に人間?』

 

大物怪魚を求めて、水中を散策中のエールはモデルLの疑問に答えることが出来ない。

 

『って、貴女はそれどころじゃないわね。』

 

ロックマン状態でいることに慣れる事が今回の目標だが、女性と縁の無いと思っていたカズマに懐く少女が居たのはエールにとって誤算だった。

 

「どうやったら、振り向いてくれるだろ?」

 

マーグ高地から離れれば、依頼で忙しくなるだろう。

 

イェーガーズとの一戦も近いだろうし、生きて帰れるかも不明なのだ。

 

『貴女の悩み、当てて見せましょうか?』

 

「ん~?」

 

悪戯っ子が面白い玩具を見つけたような口調のモデルLの言葉をエールは聞いていなかった。

 

『アカメちゃんより先にカズマを物にしたいんでしょ?』

 

「なぁ!!?」

 

不意打ちに驚くエール、その背後で怪魚が「あ、餌や」と言いた気に近づいていた。

 

 

 

 

「はむ・・・・・」

 

巨大なおにぎりを頬張りつつ、アカメは釣りに勤しむ。

 

アカメとエールはスサノオと供に水辺での狩りである。

 

(ナンだろう、この気持ちは・・・・)

 

エールとスサノオ、チェルシーが合流してからとアカメは感じた事の無いもやもやした気持ちに囚われていた。

 

エールとカズマが一緒にいると妙に気になる。と言うか面白くない。

 

苛立ちすら覚える。

 

レオーネは分かるようで「色めいてるなぁ」と言って行ってしまう。

 

何だろう?

 

すると、垂らしていた竿がピクリと反応する。

 

「掛った!」

 

強い引きにアカメも力をこめる。と言うか、水面が盛り上がる。

 

相当大物が掛ったようだ。

 

振り向いたスサノオがカッと目を見開く。

 

その先にはアカメの頬についた米粒が。

 

「よしっ」

 

それを取るなり呟くスサノオ。

 

飛び出してきた特大の怪魚の身体に棍を打ち込んだスサノオ、ズドォ!と衝撃が水面を揺らす。

 

「今夜はご馳走だな!スーさん・・・・エール、何をしている?」

 

嬉しそうに見上げるアカメ、しかし顔を出したエールに怪訝な表情を見せる。

 

やっぱり、エールの顔をいるのは面白くない。

 

仲間なのだから、こんなんじゃ駄目なんだと分かっていても面白くないと思うアカメである。

 

「喰われかけたからさ、さばいちゃった。」

 

「・・・・・流石だぞ」

 

水面は次第に凍り、エールは氷の皿に乗る怪魚の刺身を見せた。

 

途端にアカメの目の色が変わった。

 

やっぱりアカメは食い意地キャラである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日狩った危険種や怪魚は無論その比の夕食に消えていくわけだが、そんな食事時にレオーネがふと疑問を口にした。

 

「そう言えば、スーさんは分かるけど・・・・何でタツミだけライブメタルの声が聞こえるんだ?」

 

帝具の下地となるシステムを持つライブメタル、その各モデルの声は適合者にしか聞き取れない。

 

が、

 

タツミは違う。

 

スサノオのように生物型帝具で、モデルZやモデルLの翻訳も出来る人間型は少ないだろう。

 

「知らないよ、俺だって知りたいぐらいだ」

 

「『インクルシオの影響ね。』だそうだ」

 

「ハァ!?」

 

タツミ自身も気になっていた疑問に答えたのはモデルLで、翻訳はスサノオ。

 

「インクルシオと同調率が上がったんだよ。言い換えれば確実に強くなっていると言う事さ。それにインクルシオの雛形でもあるしな、こいつ等は」

 

怪魚の刺身を頬張りつつ、補足するカズマ。

 

かつてブラートも似たような事を聞いたのである。

 

「そっか、つまんないの。私もなんて言ってるか聞きたいぞ~!」

 

「レオーネが聞いたって面白くもなんともない。」

 

「でも、モデルLと意気投合しそうだよね?」

 

『・・・・・・性質が悪い』

 

愚痴るレオーネにカズマがバッサリ、エールが気が合いそうだなぁと思ったのか呟くとモデルZが僅かに間を置いて言う。

 

どうやら、戦闘凶二人なんて御免だと思っているらしい。

 

「それにしてもスーさんは料理の料理は美味いな!修行の疲れが吹っ飛ぶ!」

 

と背もたれに身体を預けながら言うレオーネ。

 

『あの量を食べ尽くすとか可笑しいでしょ!』

 

『モデルL、アカメの胃袋は宇宙だ』

 

つっ込むモデルLにモデルZが言った。

 

何と無く、アカメの認識を思わせる一言だ。

 

今日も修行に狩りにと大忙しだった。

 

アジトにいた時と違って、買い出し班が街に行って食料を調達してくる訳にもいかないので、1日の狩りの量も増えている。修行も一緒にできて、一石二鳥と言う訳だ。

 

「スーさん、あした稽古しようぜ!!」

 

タツミは剣を片手にスサノオに話しかけている。

 

ちなみに「スーさん」と言うのは、いつの間にか定着したスサノオの愛称である。

 

「だから言ったろう、スサノオは凄いと。みんな、判ったか」

 

タバコをふかしながら自慢げに言うナジェンダ。

 

断っておくと、すごいのはスサノオであってナジェンダではないのだが、まあ、そこは

「すごいスサノオを従えているナジェンダはすごい」と言う事で納得しておこう。

 

「・・・・・・ナジェンダは、昔のマスターに瓜二つんだ」

 

ふと、スサノオは昔を懐かしむような口調で言った。

 

帝具として生まれ、1000年の時を生きて来たスサノオ。

 

昔のマスターと共にあり続けたのが、もうどれほど昔であったのかは想像もつかない。

 

しかし、こうして、記憶に残る程すばらしい人物だったと言う事は間違いない。だからこそ、こうして昔のマスターの面影があるナジェンダの呼びかけに答え、彼女の帝具になったのだろう。

 

「なるほど、さぞかし素敵な人物だったのだろうな」

 

「いや、ボス。それ自分で言いますか」

 

自画自賛込みのナジェンダのセリフに対し、ツッコみを入れるタツミ。

 

元々、ナルシスト的な仕草が多かったナジェンダだが、何やらスサノオを得た事で、さらに磨きがかかった気がした。

 

「ああ」

 

そんなナジェンダを見て、スサノオは感慨を込めて言い放った。

 

「『彼』は素晴らしい将軍だった!!」

 

「『彼』!!??」

 

愕然とするナジェンダ。

 

描写的には、頭に金ダライでも落とされたほどの衝撃を味わっている。

 

ナイトレイド・リーダー、ナジェンダ。20代「女性」。

 

彼女こそ、チーム一の「イケメン」である。

 

次の瞬間、爆笑が沸き起こる。

 

「男と瓜二つとか!! さすがボス!!」

 

「ね、姐さん、そんな笑っちゃダメだって!!」

 

「いや、でも、これは笑えるって!!」

 

 笑いまくるレオーネ、タツミ、エール。

 

 と、

 

ギリギリギリギリギリギリギリ

 

わざとらしく、義手の関節を鳴らして見せるナジェンダ。

 

その様子に、エール、タツミ、レオーネは揃って顔を青くする。

 

ナジェンダがわざと義手を鳴らす時は、割と本気で怒っている時である。

 

「馴染むの早くて結構だよ・・・・」

 

拳骨を喰らって仲良く説教を受けるエール達をカズマはラバックの正面に座って呟く。

 

その光景を不満そうに見るラバック。

 

「クッ みんなあっという間にスーさんに懐きやがって。これじゃあ、俺のポジションが取られちまうぜ」

 

着任直後から、何かとスサノオと張り合う事の多いラバックだが、基本となるスペックが違うので相手になっていないのが現状である。と言うかそもそも、スサノオの方は、なぜラバックが絡んでくるのか判っていない節がある。

 

つまり、完全にラバックの独り相撲だった。

 

「て言うか、ラバは元々、今のお笑いポジションでしょ」

 

それを呆れながら言うマイン、ただいま彼女はケーキを堪能中である。

 

その時、扉がわずかに開き、猫のような小動物が入ってくるのが見えた。

 

毛並みが綺麗なネコ科の危険種は、しかし凶暴さなどかけらも感じさせない愛くるしさ

で、トコトコと室内に入ってくる。

 

「マーグパンサーの子供だわ。こいつらって、人を恐れないのよね」

 

そう言っている内に、マーグパンサーはマインにする寄って来ると、甘えるように体を擦り付ける。どうやら、餌をねだっているらしい。

 

マーグ高地は人跡が少ないせいか、こうして危険種の子供であっても、人を警戒しないのである。

 

「な、何よ、言っとくけど、餌なんてあげないわよ・・・・・・」

 

素っ気ない態度を取ろうとするマイン。

 

しかし、あどけない顔で見上げてくるマーグパンサーは、少女の心をくすぐってくる。

 

見ているだけでも、心が癒される光景である。

 

そんなマーグパンサーの様子に、マインも鉄の精神を発揮しきる事はできなかった。

 

「し、仕方ないわね。ちょっとだけよ」

 

そう言って、ケーキを切り分けて与えようとするマイン。

 

次の瞬間、

 

子猫のようなマーグパンサーの目が、獰猛に光る。

 

それは正に、獲物を狩る肉食獣の眼つきだ。

 

マインが気を逸らした一瞬の隙に跳躍。同時に、少女の手から、ケーキの乗った皿を

奪ってしまった。

 

呆然とするマインを尻目に、着地するマーグパンサー。

 

その姿は見る見るうちに変化し、可憐な女性の姿になってしまった。

 

「フッフッフ 頂だニャ~ン」

 

からかうように、チェルシーは、マインを見ながら言った。

 

先程のマーグパンサーは、彼女の変装だったのだ。

 

「な、何すんのよチェルシー!!

 

「マインって、あまりにも隙多すぎでしょ」

 

激昂するマインを余所に、さっさとケーキを平らげてしまうチェルシー。まったく悪び

れた様子は無い。

 

一方で、見ている一同は、面白い帝具の登場に、興味がそそられている。

 

「けっこう便利だな、それ」

 

「でしょ。好きな物に何でも変装できるからね」

 

そう言うとチェルシーは、傍らに置いておいた化粧箱を取り出して見せる。

 

「便利でしょ?化粧箱型の帝具《変身自在ガイアファンデーション》。私の帝具よ」

 

効果はたった今見せた通り、容積の大小に問わず、何にでも変身する事が出来、その能力を模倣する事も可能になる。例えば、鳥に変身すれば、空を飛ぶ事もできる。

 

ただし、相応に負担も掛かる為、無理な変身はあまりできないらしいが。

 

チェルシーは戦闘要員では無く、暗殺専門だった。この帝具を使って標的の近親者に化けて接近し、油断したところを一撃で葬り去るのが、彼女の「殺し」のやり方と言う訳だ。

 

「マインはもっと隙無くさないと、次の殉職者になっちゃうわよ」

 

「何よッ あんたの帝具だってばれたら終わりでしょうが!!」

 

食って掛かるマインと、それを適当に居なすチェルシー。

 

傍から見ると何やら、姉妹みたいで微笑ましい光景だった。もっとも、やる方はともか

く、やられる方は不本意極まりない事だろうが。

 

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