よく勘違いされるがカズマの帝具はない。
生きた金属、ライブメタル。
幾つかあるモデルの中で最も接近戦に特化し、多くの武器を内包するモデルに適合した。
司るは「信念」。
己のと戦い、自分のオリジナルボディすら躊躇い無く砕く紅い英雄がモデルだ。
ライブメタルに奥の手は無い。
変わりに生前のモデルとなった英雄の技量・業をトレースする事が出来る。
能力アシストが主な機能である。
モデルとなったレプリロイドの名はゼロ
伝説の紅い英雄。
革命軍最強の男は暗殺集団ナイトレイドの双璧として、ターゲットには何時もこう告げる。
「・・・・・・処分する!」
タツミはボロボロだった。
ザンクの帝具・スペクテッドの能力で悉く次の手が読まれ、対応される。
そうでなくともザンクは実戦経験が豊富、帝都警備隊を退けるだけの力を持っている。
対するタツミも警備隊長を務めていたオーガを屠るだけの実力はある。恐らく帝具を抜きにすればザンクとも渡り合えたかも知れない。
タツミの粘りが、アカメの合流までの時間を稼いだ。
其処からは帝具戦。
一斬必殺の村雨、かすり傷すら許されない妖刀を振るうアカメに対し、心を見透かすザンクは互角の勝負を演じた。
そう、スペクテッドの奥の手・幻視を発動させるまでは。
「アカメ、見えているのは幻だ!騙されるな!!」
地面を這うタツミが声高に叫んだ。が、目の前のアカメは信じられない物を見たような
表情で立ちつくしている。
助けたい!
タツミが四肢に力を入れると受けた傷から鮮血が溢れ出る。
「無駄だ。一人にしか効果を発揮しないが催眠効果は絶大!どんな手ダレの者でも最愛の人を斬るのは不可能!!」
ザンクは勝利を確信して歪んだ笑みを強くした。
「そうか、お前の奥の手がそういう力か」
突然背後から声が聞こえるまでは。
「ッ!?」
ザンクが驚いて距離をとる。対する青年はボリボリと頭を掻きながら冷ややかな視線を向けている。
「カズマさん!」
タツミが救世主の名を叫ぶ。
「ほぅ、愉快愉快!悪名高いアカメに続いてナイトレイドのゼロに立て続けに出会えるとは」
ザンクは余裕の笑みを浮かべながらカズマを捉える。
透視・・・・結果、隠し武器は無し!
何気無い目配りもスペクテッドでは武器になりうる。ザンクは対峙しただけで、カズマが武器を隠し持っていないか看破する。
「・・・・・タツミ、よく頑張った。」
タツミの状態から、最初はタツミだけで応戦していた事を悟るとザンクを無視してアカメのほうへ歩み寄るカズマ。
「起きろ、アカメ」
「あぅ?カズマ・・・・すまない、惑わされた」
「気にするな、相手は帝具使いだ。ここからはバトンタッチ・・・・」
「無視とは、余裕だねぇ!!」
ザンクが無防備に背中をさらすカズマに襲い掛かった。タツミが叫ぼうとした時、ザンクの首を狙った一閃は、ガキィン!と言う撃鉄音にかき消される。
「ああ、分かった。タツミの手当てに向かう」
アカメが村雨を収め、タツミの脇まで来るとポケットから止血剤を取り出した。
と言うか、そんな物をどっからだした?とカズマは毎回疑問に思う。
「さて、ザンク。不意打ちはもう終わりか?」
絶対の自信、カズマの背中からはソレが感じられた。
「カズマさん!ソイツは額の目で心を読んでくる!!」
「『何だ、その程度か。』と考えたろう?」
タツミの言っている事は本当らしく、カズマが思ったことを言い当てたザンク。
「ああ、だって帝具目立つんだもん。ロックオン」
カズマが最後に呟くと赤銅の光が爆ぜ、姿を変えたカズマが居た。
赤のロックマン・モデルZ、現状の帝都を革命と言う形で破壊する為に動く破壊者。
「対象・首切りザンク・・・・処分する!」
せっせとタツミの手当てをしていくアカメ、タツミは戦闘の光景に唖然とした。
一瞬。
そう、一瞬で片がついたのだ。
「その自信・・・へし折ってやるぞぉぉっ!!」
カッとザンクの額のスペクテッドが発動する。
アカメの時と同じ、幻視を使ったのだろう。ザンクは仕込み剣を両手に現し、飛び掛った。
狙うは首、この男は愛しい者を見ていて攻撃できない!
ザンクはそう高をくくっていた。アカメでさえ、立ち尽くしていたのだから。
「あ、それで?」
無情にも翠の半透明の刀身が振り下ろされ、ザンクの武器ごと地面に沈めたのだ。
「な、何故だ!?貴様には一番愛しい者が見えていた筈だ!!?」
取り乱すザンク、対するカズマは冷ややかな口調で告げる。
「ああ、お蔭で懐かしい顔を見れたよ・・・・」
カズマが踏み出すと同時に、ザンクの剣は手の甲辺りから刀身が落ちた。
斬りおとされた?あの一瞬で!?
ザンクがギョッとする中、カズマは袈裟懸けにZセイバーを振りぬいて告げる。
「人の記憶に土足で入り込むな」
ザンクは左から袈裟に斬られ、ずるッと水ぼらしい音と共に崩れ落ちた。
任務は無事完了して、アジトに戻ったカズマは一人ため息を吐く。
気持ちを切り替えなければ、この後のゲリラ戦に差し支える。
「やっぱり、忘れられるわけ無いよなぁ・・・」
もう何年も昔に決別したのに、過去の自分と革命軍に加入した時に。
いいや、このもやもやは暴れて晴らそう。
アジトを後にし、カズマはモデルZを纏って駆けていく。
その姿を幼馴染の墓に手を合わせるタツミは偶然見つけ、ただ呆然とするしかなかった。
「カズマさん、何見たんだろう?」
その呟きに答えは返ってこない。
ザンクは噛ませ犬と言うか、アレです。
当て馬・・・・似たような物かな?