カズマの思い、否。願いとは裏腹にナイトレイド最強の男が逝った。
カズマにとっては良き仲間であり、ライバルでもあったブラートの死・・・シェーレの時もそうだったが、仲間の死には慣れられない。
だけど、ブラートの魂とも言って良いインクルシオはタツミが受け継いだ。
戦士としては最高の終わり方かも知れない。
自分の意思を・・・・魂を次世代に継いでくれる者がいて、その初陣を見届けたのだから。
「フンッ!!」
男三人、カズマ、ラバ、タツミは訓練場でそれぞれ鍛錬に励む。
カズマは訓練用の過重量大剣での素振り、ラバとタツミは腕立てである。
「そー言えばさ、カズマって相手の動きを知っているかのように動くよね?」
ラバの背に座るレオーネが呟いた。
「確かに、太刀筋を初見で見切られた事があったな」
タツミの背で正座するアカメがフッと思い出して同意した。
「旦那の回避スキルの高さは、一対多数で鍛えたんでしょぉぉ・・・・!」
「にしても全部紙一重だもんな!」
ラバが一回の腕立ての間にタツミは軽快なもので三回はこなしてしまう。
ブォン!と訓練用の石造りの大剣が空気を裂く音が聞こえてきた。
「そりゃ勿論、視えてるからな。軌道の把握さえしてしまえば大抵は対処できる。」
「視えてるって、旦那・・・ついに人やめたんですか!?」
食いついたのはラバ。
「いやっ、この力は本来誰にでも備わってる危機回避能力だから!!」
「そうなのか!?」
驚くタツミ、実際そうなのだ。
危機回避能力の極地とも言える攻撃軌道の視覚化、これは目を閉じた状態で額を小突いた時、少しでも何か近づいてくると感じられれば開眼の素質はある。
武器を使えば攻撃の気配はより濃密になり、何処を狙ってくるかと言うのが分かってしまう。
それはレオーネ、アカメ叱りラバも無意識に感じていることだろう。
「誰か私と訓練しなさい!!」
訓練場の扉を大きく開いて現れたのはマイン。
骨折も完治して戦線復帰のようだ、さて置き射撃主体の殺し屋が誰と訓練するのだろう?
「・・・・・何やってんのあんた達?」
帝都に伸びる道、其処を駆け抜ける一人の青年がいた。
乗るバイクが異様に目を引いた。
「・・・・・特殊警察の召集か。」
ぼそりと呟いた青年は集合場所の宮殿会議室に愛車を走らせる。
彼が最も遠方から招集された最後の独りなのだから。
「こんにちわ!帝都海軍からきまし・・・た・・・・」
彼が向かっている宮殿の会議室、そこには同じく地方から招集された青年・ウェイブがおみやげの海産物を引っさげて到着していた。
そう、していたのだ。
部屋のなかに居た先客、長机の角を陣取って座っている上半身半裸のマスクの男性のインパクトがあまりにも強すぎた。
「し、失礼しました!」
思わず扉を閉めるウェイブ。
そして、座り込んで笑う。
「ははは、参ったね・・・!ココは拷問官の部屋だったかな?」
そして、召集辞令を出して確認するウェイブ。
「・・・・あってる」
そしてウェイブは違う意味で衝撃を受けた。
(アレが同僚かよ!!!)
と。
「こ、こんにちわ・・・」
今度は酷く控えめに挨拶するとはす向かいの過度を陣取るウェイブ。
しかしどうしてだろうか、先客の男性はウェイブを凝視している。
そんなウェイブはもう帰りたいとか思い始めている。
(やべぇよ!俺都会の荒波の前に為す術がねぇよ!!)
と内心嘆くウェイブ、するとと扉が開いた。
ウェイブが視線を投げると其処には黒セーラーを着た少女が一人。
(普通の女の子だ!)
と安心するウェイブ。
しかし、当の彼女はすすと席に座るとお菓子を食べ始めた。
「よぉ、俺はウェイブ「このお菓子はあげない!」」
ウェイブの挨拶を遮って先制の一言、ウェイブは思う。
(ちょっと変な子だった!!?)
と。
この後、セリューとDrスタイリッシュとアブノーマルキャラが続きウェイブはもうおなか一杯である。
其処にランが登場、正直言って貴重な常識人キャラである。
「俺で最後か。」
ランが座り、少したった時、青年が扉を潜る。
「よぉ、ウェイブだ。よろしくな」
「クラウドだ・・・・・濃い連中が多いようだね」
返答したクラウドに対し、ウェイブは「コイツもまともだ!」と握手を交わした。
と言うよりもクラウドの手を握り、目を潤ませていた。
うん、これでウェイブの受けた衝撃の大きさが何と無く分かるクラウドも相当苦労していると言って良いだろう。
帝都のメインストリートに貸し本屋がある。
それはラバックの表の顔でもあり、その店の地下にはナイトレイドの隠れ家があるのだ。
タツミは今其処に向かって情報を収集しつつ向かっているという訳だ。
(しかし、エスデスの特殊警察の話題で持ちきりか・・・・・)
聞けば、必ずと言って良いほどエスデスの話題になる。
「おっ!」
そんなこんなしているうちに店の前で待っていたラバックがタツミを見つけ、手を振った。
「気をつけて入れよ」
本棚がずれて地下への階段が現れる、扉のギミックと言い手の込んだつくりである。
「いかにも秘密基地って感じだな!」
「だろ?オレの自慢だ」
微笑むラバにタツミは呆れ気味に言う。
「お前が作ったんじゃないだろ・・・」
と。
カズマはとある帝都のバーで女性と待ち合わせをしていた。
ラバに言わせると密会・・・らしいが実際そういう関係じゃない。
「ハァイ、カズマ。元気してた?」
「ああ、久しぶりだな。ネージュ」
濃いオレンジ色の髪を肩口で纏めたドレス姿の女性がカズマに声を掛けた。
「シェーレとブラートの事は聞いてるわ、惜しい人を亡くしたわね」
「・・・ああ、あいつ等の思いを背負うだけだ」
「でも昼酒は感心しない。」
「ま、たまにはな」
『弱いんだから止めておけ。』
自棄酒を呷っていたらモデルZとネージュに止められる。
ネージュはラバの貸し本屋で働く女性従業員と言う表の顔と情報屋と言う裏の顔を持っている。
ナイトレイド・革命軍に流す情報は正確でその働きにはかなり助けられた。
「・・・・・打ち止めにしよう。で、目新しい情報ある?」
グラスを置いて軽く頭を振るカズマはそう隣のネージュに尋ねる。
「イェーガーズの詳細情報」
「・・・・どうやって手に入れたんだよソレ?」
「あら?私だって戦おうと思えば戦えるんだから、一っ走りね」
そう言ってネージュは胸を張るようにグラスを呷った。
因みにネージュが飲んでいるのはみかん酒である。
「逃げの一手だろ。」
カズマが呆れて言う。
「伊達に地方への人脈強化してきてないわ、コレ。料金は後払いね」
差し出された手帳を受け取ってカズマはフッと思う。
いつもなら「ここの最高ランチ驕りね!」と食事代=料金にする彼女が後払いで言いと言う。
「何隠してる?」
「あらぁ~、鋭いね?」
肩を竦めるネージュにカズマは少し考えて口を開いた。
「仕事、終わらなかったのか?」
「・・・・そうよ。手に入ったのは地方から招集された連中の情報だけだったの。私のプライドが許さない」
一気に残っていたみかん酒を飲み干すネージュ、どうやら総統悔しいらしい。
と言っても仕事が異常だったからな、新組織の戦力調査なんて情報屋の仕事ではない。
むしろコレだけ情報が引き出せているのなら上出来だろう。
「いや、それで大助かりだ。ネージュ、また今度な」
「ソレまでにまた仕入れとくわ!」
カズマはそう言ってネージュの肩を叩き、店を後にした。
「だ、旦那ぁ!!」
ネージュと待ち合わせていたバーを出て直ぐにラバの叫び声が聞こえた。
振り向くとレオーネと一緒に走ってくる。
「どうしたんだよ、そんなに慌てて?」
「大変なんだ!!」
『タツミはどうしたんだ?』
モデルZが、いっしょにいるはずのタツミの不在を疑問に思ったのか呟いた。
「タツミがエスデスに連れ去られたんだよぉ!!!」
しばしの沈黙の後、酔いは一気に抜けた。
「はぁっ!!!?」
カズマ感傷の回、そしてゼロシリーズからオリキャラ扱いでネージュ採用です。
マイナーとは言わないで!