イェーガーズの面々は呆れていた。
「今日からイェーガーズの補欠となるタツミだ。皆、面倒を見てやってくれ」
エスデスが鎖と首輪で繋がれたタツミを紹介している。
はて、如何してこうなったのか簡略化して説明しよう。
エスデス主催都民武芸大会に賞金を目当てに出場してみればとラバックがタツミに進めた。
タツミは皆が恐れるエスデスを直に視てみると言う目的も兼ねて仕送り額を増やすべく出場、日々熟練の殺し屋に鍛えられていたタツミは圧勝したわけだ。
ここでタツミが微笑んだ。
そして、エスデスの求める男性像とタツミが合致してしまった。
辺境出身で、無垢な笑顔が出来て、鍛えれば将軍級の器で、共に危険種を狩りにいける。
まさに自嘲しろと言える内容に合致する男がタツミの他にいるだろうか?
武舞台に降り立ったエスデスは徐にタツミに首輪を嵌めると宮殿に拉致。
そして、今に至るという訳だ。
「それで都民を拉致してきたんですか?」
クラウドが言うとエスデスは頬を赤らめて、
「暮らしに不自由はさせないさ。それに部隊の補欠になるだけじゃない、感じたん
だ・・・・・タツミは私の恋の相手になるとな」
と断言して見せた。
流石は帝国最強といわれるだけあり、言葉には自信が満ち溢れている。
「それで、何で首輪してるんですか?」
今度はウェイブがつっ込む。
「愛おしくなったからつい無意識にかちゃりと」
「なら違いを出す為に首輪は外されては?」
呆気からんと答えるエスデスにランが控えめに意見する。
クラウドはそんな光景を見ていて思った。
(こんな上司で大丈夫か!?)
と。
一方でナイトレイドのアジトは騒がしかった。
ボスの不在にタツミの拉致、ボス代行をしているアカメの判断が今のナイトレイドの創意と言う事になる。
先ず、アジトをさらに山奥に移動。これは決定。
「まさか、助けに行くとか言わないでよ、アカメ」
マインがいぶかしむ様に尋ねる。
「近衛兵がどっさりの宮殿内よ、常時突入なんて不可能だっての!」
「俺単体なら何とかなりそうだな」
「それはアンタだけよ!」
行こうか?と言わんばかりに呟くカズマにつっ込むマイン。
「それに、タツミの素性もばれてないかもなのよ?アンタが行ったら確証を与えるようなモンじゃない!!」
「いや、前に帝具パクリに行ったからな。」
「アンタ、よく生きて帰ってきたわね・・・・」
「ま、カズマだけ行ってもエスデスに足止めされちゃ勝てっこないでしょ。」
「そーだぞ、向こうはゼロを消す気満々だからな!」
ラバとレオーネがカズマを嗜める。
実際のところ、一人の回収は可能だがレオーネの言う通り、エスデスとその部下六名がいる可能性が高い。
「タツミは大切な仲間だ。出来る事をする!」
アカメの指示が跳んだ。
タツミはイェーガーズの初任務に同行しさせられた、と言ったほうが正しいだろう。
其処で、ゼロを超えるかもしれない帝具を目にすることになった。
クラウドの帝具・疾風怒濤ハーディハルト、エスデスの話では始皇帝がライブメタルの上位互換として考案したとされる一つの完成形の帝具。
現帝国軍にある量産品のブラスターライフルとフォルムこそ同じ軸剣と四つの剣を組み合わせ、バスターソードを作り上げる。
極めつけはインクルシオと同等かそれ以上の肉体強化を施す能力とバスターソードと二丁一対のバイク。
バイクは適用者の速力を限界まで引き上げる能力で、バスターソードと相俟ってクラウドは無双となる。
効果範囲は分からないが、帝具発動中はバイクを降りても肉体強化が切れない、まさに化け物だ。
クラウドが呼べば無人でも走ってくるインチキな代物。
どうやって勝つんだよ、カズマ!!?
エスデスの横でタツミは戦友へ問い質す。
その衝撃とエスデスという美女と同じベッドで寝ると言う衝撃が合わさって果たして寝れるだろうか?
「よぉ、よく休め・・・・無かったみたいだなそれじゃ」
会議室には特にやること無いウェイブと一心にお菓子を食べるクロメ、そしてハーディ
ハルトの整備を終えたクラウドがいた。
「緊張して一睡もできなかった・・・・」
そうなのである。
そもそもそう言った経験のないタツミにはエスデス程の美女と同じベッドと言うのだけでも刺激が強すぎる。加えて目をさめ覚ませば抱き枕にされていたのだ。
あえて言おう。
寝れる訳がねぇ!!
ラバが知れば血涙を流す事だろう。
そこでふと、タツミはテーブルに座って、一心不乱にお菓子を食べているクロメに目をやった。
切れ長の瞳に、美しく整った顔立ち。細身の体は、まるで人形のようだ。
そして何より、張れるだけ張った食い意地。
タツミの中で、何か繋がる物があるような気がした。
と、そこでタツミの視線に気付いたらしいクロメが、鋭い眼差しを上げる。
「このお菓子はあげない」
そう言って、素早く袋を抱きかかえるクロメ。
その姿に、タツミは確信を抱く。
(間違いない。この食い意地は、アカメに通じるなにかだ!)
と、そんなタツミの視線を怪訝に思ったのか、クロメは不審そうな眼差しを向けて来た。
「て言うか、何? さっきからじろじろと」
「あ、いや、失礼かもだけど、手配書のアカメって奴に似てるなって思って」
とっさにごまかすが、嘘は言っていない。実際似ているのは確かなのだから。
「あ、それは俺も感じていた。そこのところ、どうなんだよ?」
そこで、ウェイブが意外な援護射撃をしてくれた。と言う事は、タツミの勘違いと言う訳でもないようだ。
対してクロメは口元に薄笑いを浮かべて言った。
「優等生の身内だよ。帝国を裏切っちゃったけどね。早くもう一度会いたいなぁ。会って、私の手で殺してあげたいの。だって、大好きなお姉ちゃんだもん」
まるで闇の中から這いずり出てくるような声に、聞いていたタツミとウェイブは身を震わせる。
「それしてもクラウドの帝具ってすげな、アレ。グランシャリオの力も備わっているんだろ?」
とクロメの対面で腕を組み、ただ沈黙を守っていたクラウドにウェイブが尋ねた。
事実、ハーディハルトはイェーガーズの帝具の中でも複数の能力を保有している製造初期にあったパンプキン、そしてインクルシオ、後期型のグランシャリオの能力も備わっている。
「ま、負担は大きいが、手の内をさらすのは・・・幾ら仲間でも嫌だね」
クラウドは物腰柔らかな口調で、そう返答する。
ランとクラウドは近いキャラなのかもと思うタツミ。
丁度扉が開き、エスデスが入ってくる。
「タツミ、今日から数日は狩りだ!フェクマに行くぞ。ウェイブとクロメ、クラウドも供をしろ。フェクマは潜伏にもってこいだ。狩をしつつ、賊を探すぞ」
「「「了解」」」
やはりメリハリがついている。
先程前和気藹々と話していたにも拘らず、エスデスの登場で態度は目で見えるくらい軍人のソレになった。
そして、タツミは思う。
コレって逃げるチャンスじゃね?と。
ライブメタルは、異世界で数百年間戦い抜いた英雄と呼ばれる人間に最も近いロボット・レプリロイドをモデルとしている。
その中でも最も長く戦い続けたのはエックスとゼロ。
この二人の片割れをモデルとしたライブメタル、即ちモデルZにはゼロが戦い、記憶に残してきた経験がデータとして詰め込まれている。
カズマの経験値は、ゼロの数百年分+カズマ自身が戦ってきた時間。
一度に千の大軍勢を相手にした過剰な経験値は危機察知能力を極限まで高め、革命軍最強と言われる所以ともいえる導殺眼を開眼させた。
攻撃の軌道を視覚化する、と言っても万能じゃない。
相手に気圧され、相手の気に飲まれてしまえばソレまでだし、人体改造を受けて体の殆どが機械と言う奴には対して意味がない。
だって、攻撃に“気配”が希薄なのだから。
一定の距離を置いて追跡していたカズマは、フェイクマウンテンに入るやロックマンに変身。能力を余す事無く使ってタツミとウェイブを視認できる距離を保ちつつ追う。
危険主に襲われたウェイブとタツミ。
ソレを好機と視たタツミは密かにインクルシオを装着し、離脱したタツミを追って行動
するカズマ。
懸念が一つ。金髪の青年が跨っていたバイク、アレは厄介な帝具だろう。
モデルZ曰く『オレの上位互換だ』らしい、つまりはカズマの持つ武器よりも性能が良く、似た性質のものだと言う事。
(早くタツミと合流して離れよう。)
そう思わずには居られなかった。
オリキャラ:クラウド
イメージはFF7彼です。
FFの彼よりも若干優しくなった性格で、事実上イェーガーズ:№2となります。