破壊神が斬る!   作:コードα

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第9話

タツミの思いに答えるようにインクルシオはタツミの脚力を底上げしている。

 

うっそうと茂る茂みを抜け、川原にたどり着いて振り返るタツミ。

 

「ウェイブには悪いけど・・・・帝具持ちから逃げられないと思うよな、普通」

 

ウェイブも帝具持ち、でなければイェーガーズには参加しないだろう。

 

タツミは何がなんでも情報を持ち帰るつもりで逃げ出した。

 

ウェイブは良い奴だった、しかし気にしていてエスデスに合流されては話にならない。

 

何よりも折角のチャンスなのだ。

 

「俺も帝具持ちなら話は別だろ。」

 

タツミは川に沿ってまた駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマもまたタツミを追っていた。

 

インクルシオを纏って離脱するところまでは確認できたが、既に見失っている。

 

タツミは思いのほか実力をつけていたようだ。

 

カズマやモデルZが思うよりもずっと強くなっているのだ。

 

「速いな・・・・・もう追いつけねぇ」

 

『すっかりインクルシオを使いこなしているな』

 

これにはモデルZも賞賛を送る。

 

ダッシュとダッシュジャンプ、時はチェーンロッドをターザンの要領で扱いながら距離を稼ぐ。

 

そんなカズマの後ろから、巨大なバスターソードが振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

クラウドは、ほんの少し前までクロメとエスデスの三人で行動していた。

 

危険種を追って駆けていくエスデスと追随するクロメ、自身の帝具は今バスターソード

《ハーディ》しかなく、バイク《ハルト》は麓に止めてきている。

 

《ハルト》が盗難に合うこと無い、発動ばどんなに距離が開いていようが自分の一声で

駆けつける帝具なのだから。

 

そして今は《ハーディ》しか手元に無いが、クラウドとて南北戦線で異民族を単騎で屠

る実力者だ。

 

危険種ごときに遅れを取るわけが無い。

 

「・・・・・アレは」

 

クラウドの目に紅いベストの男が横切る。

 

うっそうと茂ったフェイクマウンテンの密林部を軽快に進む姿をクラウドは目で追った。

 

直ぐに二人から離れ、追跡を開始する。

 

間違いなく、ゼロだ。

 

クラウドは《ハーディ》を発動させて地を蹴った。

 

一ッ跳びで間合いを詰め、完全に油断しきっているゼロへバスターソードを振り下

ろす。

 

「ッ!!?」

 

完全に虚を突いた一撃が決まる。

 

クラウドはそう思っていたが、ゼロは武器を手放すと太股から剣を抜いて、バック転の要領で咄嗟に防ぐ。が、バスターソードを振りぬいたクラウドとは対照的にゼロはごつごつとした岩場に背を強く打ちつけ、肺に溜まっていた空気を吐き出した。

 

「ガハッ!」

 

「流石、と言うところか・・・・・」

 

がしゃり、と金属音を奏でるバスターソード。

 

クラウドから殺気があふれ出し、その鋭い刃のような殺気は翡翠色の剣をこちらに向け、荒い息を整えるゼロに突き刺さる。

 

「・・・・できれば当たりたくねぇのに見つかったよ」

 

『それも、オレの上位互換か。』

 

モデルZの言う通り、バスターソードはZセイバーを帝具に昇華させた物で時には二刀流を見せるゼロに対して、クラウドもバスターソードをバラして対抗するだろう。

 

睨みあう事数秒、クラウドとカズマは同時に地を蹴った。

 

 

 

 

 

 

バスターソードとZセイバーがぶつかり合い、閃光の軌跡を残す。

 

「フッ!」

 

上段から踏み込んでの斬撃を放つクラウド。

 

カズマは対照的に消極的だった。

 

できれば戦闘継続は好ましくない、可能なら離脱して姿を晦ました上でアジトに帰還するのがベスト。

 

タツミも離脱できたところを見るとウェイブを振り切れるだろうし、

 

「・・・・ッ!」

 

カズマは刀身を分解し、投擲した攻撃に虚を突かれる形となった。

 

咄嗟にZセイバーを横一閃に振るい、飛来いした剣を弾く。

 

「消極的だな・・・・」

 

資料には攻撃的とあったが、と思いながらクラウドは投擲したAパーツを組み、バスターソードを構えながら滑空するように駆けた。

 

「チッ!」

 

苛立ちを吐き捨て居るように舌打ちしたカズマはバスターショットを放つ。

 

防御に入れば、と思っていたがどうやらクラウドの力量はカズマの憶測を超えているようで、全てエネルギー弾をバスターソードで切伏せるだけでなく、今度は二振りの剣が飛来した。

 

組み上げ大剣の帝具・怒涛剣戟ハーディ。

 

軸剣だけでも大剣と言って差し支えない長さを誇り、A~Dパーツを組み込む事でバスターソードとなる。

 

また、A~Dパーツも大振りの剣として機能し対象を切り刻む。

 

身体能力向上がハーディの機能になり、速度を極限まで高める《ハルト》と合わせて運用する事が前提で作り上げられたZセイバーの上位互換だ。

 

エメラルド光が煌く瞬間、クラウドは反射的にブレーキをかけてバックステップを踏んだ。

 

「・・・・マジかよ、感のいい奴だな」

 

チャージセイバーを仕留めるつもりで叩きこんだカズマは咄嗟に回避されて感歎の声を漏らす。

 

多少の戦闘は避けられない。

 

カズマはそう思い、Zセイバーを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスターソードを垂直に振り下ろすクラウドに対して、カズマは掬い上げる様にZセイバーを振り抜く。

 

(防ぐな、断たれる・・・・狙うはカウンター)

 

カズマの狙いはカウンター、掬い上げるように降りぬいたZセイバーをそのまま担ぐように止め、跳躍する。

 

モデルZに記録されている剣術の一つ、龍炎刃。

 

本来なら刀身に炎を纏わせたZセイバーは空中で身動きの取れないクラウドの腕を裂く筈だった。

 

(やはり、カウンター狙い・・・)

 

クラウドもまた冷静に状況を判断し、身体を捩るようにして致命傷を避ける。

 

皮一枚、軽い切り傷を負ったクラウドは直ぐにA~Cパーツまでを投擲、先程のカズマと狙いは同じ。

 

業を放った直後なら硬直して身動きが取れないと踏んだ。しかもカズマは今宙に浮いている。

 

クラウドはチェーンロッドを手放して、回収できていないのは戦闘中に確認済みだ。

 

資料では複数の武器を同時に使って状況を打破してきたとあった。

 

今なら、

 

「なっ!?」

 

当たると思っていたクラウドは虚を突かれる形で反応がワンテンポ遅れた。

 

投げ返した、ハーディの刀身を。

 

カズマが今度はトンファーを二丁装備していると言う事にも驚いた。一体いくつの武器を装備しているのか。

 

「ハッ!」

 

撃ち込まれたエメラルド光の一撃をクラウドは咄嗟に防御する。

 

その一撃は重く、とてもじゃないが踏みとどまれない。

 

「くぅあああ・・・・!」

 

衝撃波がクラウドを貫き、苦悶の声を残して吹っ飛ばされる。

 

見えなくなり、恐らく中腹に落ちたであろうクラウドを思い返して嘆息する。

 

「モデルZ、始皇帝はお前にどんなイメージを抱いていたんだ・・・・・セイバーの面影も無いぞアレ」

 

『仕方あるまい、適合者が居なかったんだ。錬金術士の助言を元にしていたからな』

 

モデルZも仕上がったハーディに思うところがあるのか、呆れたように返答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タツミはインクルシオの奥の手、ステルス能力で戦闘をやり過ごしたと言う。

 

依然なんら戦って切り抜ける手段をとっていただろうが、成長が伺える。

 

「タツミが情報を持ってきてくれたお蔭で大分戦いが楽になるな」

 

レオーネがそう言うとその豊満な胸にタツミを抱き寄せた。

 

「楽な物か、確かに対策の立てようはある。が、それはあっちにも言える事だぞ」

 

カズマは嘆息してレオーネへ一喝。

 

「そいつとエスデスがどんなに強かろうと弱点はある。」

 

アカメが強い口調で言った。

 

「アカメ、まさか生きていることとか言うなよ?」

 

「そうだ。生きていて心臓がある以上、私が斬る!」

 

「ま、確かに作戦次第じゃどうにかなりそうか」

 

「言ったからには決めなさいよ?優等生」

 

楽観視するレオーネとマイン、もしかすると本気で村雨で斬れば良いと思っているアカメも危ない。

 

肩を落とすカズマにラバックが肩に手をおいた。

 

「旦那も苦労が絶えないね、その点俺の心配すんなよ」

 

「安心しろ、してないから」

 

「酷くないですか!?」

 

「しまらないなぁ」

 

決めたアカメとは対照的に心配してしまっているのが顔にでているカズマをラバが元気付けようとする。

 

すると結局ラバがギャグキャラよろしくつっ込みを入れて終わる。

 

なんとも、ナイトレイドのムードは独特である。

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