書いていたら少し遅くなってしまいました。
その分少し長いのでどうかお楽しみください!
…。
ハッ!知らない天井だ…。
そんな余裕を感じながら俺は目を覚ましベットから出る。
ここは武偵病院の一室のようだ。
精神的には特に問題はなかったが、胴体には包帯が巻かれてある。
ふむ、これくらいなら大丈夫だろう。
俺は電子手帳から礼装の鳳凰のマフラーを取り出し「heal(16)」のコードキャストを自分に向けて放つ、しばしの倦怠感の後に体からの違和感が消える。
よし、いつまでもこのままではいられないな。
ベットから身をのりだし、今の状況を思い出す。
そういえば確か銃弾が乗客に向かって飛んできたから体を使って守って…そうだ、アリアがうたれたと聞いたとき意識が閉じたのだ。
アリアは大丈夫なのか。そう思いながら病室から出る。
「あたしに比べれば…アンタが武偵をやめる理由なんて大したことないじゃない!」
病院の関係者にアリアの病室がある場所を聞き早速向かうとアリアが騒いでいた。
アリアは叫んだ。「アンタが武偵をやめる理由なんて大したことない」それは相手にもよるがたぶんキンジだろう。キンジならばこの言葉を看過できるほどやさしくはない。
そう思い急いで病室に入る。案の上キンジはアリアにつかみかかろうとしていた。
キンジは俺に気づくとアリアにつかみかかるのをやめ病室を飛び出た。横を通りすぎるとき顔は下がって見えなかったが心境はひどいものだろう。キンジにとってこの問題は自分で引き起こしたものだ。ならば俺から助けることはできない。でも、助けを求められればいつでも助けに行くからなキンジ。
「なに、白野。あなたもきたの」
アリアはキンジのこともあり少し動揺していたがすぐにいつもの調子をとりもどして俺に話しかける。
「アリア。怪我は大丈夫なのか?」
「こんな傷大したことないわよ。武偵にとって傷は勲章のようなものよ」
そういうがアリアは頭についた包帯に手を伸ばす。
俺にはなんとなくわかった。たぶんあの傷は生涯残るものだと。
俺はアリアの傷を確かめてすぐに病室を出ることにしようと決めたのだが、さっきのキンジとアリアのやり取りでそれはできなくなった。
さすがの俺でも看過できない言葉をアリアは放ったのだ。俺のことではないにしろ友達の気持ちを踏みにじったのだ。
俺は気持ちを切り替えアリアに話しかける。
「アリア。さっきキンジと話したことは何だ」
「さっきの話って。白野聞いてたの?」
「ああ、盗み聞きしていたのは謝る。だけどその時キンジに放った言葉は何だ。」
アリアは少し狼狽したが、すぐに気を取り直し怒ったかのように俺に言葉を放つ。
「あたしにとってキンジが武偵をやめる理由なんて大したことないわ。それが何だっていうのよ」
「それは言ってはいけないことだ。アリア」
アリアが少し怒気を含めて言葉を放ったのだ。俺も負けじと怒気を含めて言葉を放つ。
「っ!大したことないわよ!お兄さんが亡くなっただけで武偵をやめるなんてひよっこも同然だわ!武偵が亡くなることなんて日常茶飯事!常に危険にさらされる武偵なら亡くなるのも覚悟しているものじゃない!」
せきを切ったかのようにしゃべり倒すアリア。その言葉を聞き俺は返す。
「確かに部偵は常に危険にさらされる。亡くなることもあるかもしれない。けどキンジにとってお兄さんが亡くなったことはとても大きなダメージなんだよ」
その言葉を聞きアリアは少し冷静さを取り戻す。どうやらこちらの話を聞くことを認めたようだ。ならば、と続けて言葉を放つ。
「キンジのお兄さんはキンジにとって数少ない家族だ。今まで一緒に生きてきた家族が突然帰らぬ人となったんだ。両親のいないキンジは支えになる人が近くにいない。こんな重みを一人で抱えたんだキンジは。そんなキンジをそんな理由なんて言葉でかたずけさせてはいけない。」
俺がそう言葉をまくしたてるとアリアは尚早とした顔をした。しかし、まだ納得はしていないのだろう。目を見るとまだ反抗をすると言った目をした。仕方ない、これはアリアに置き換えて話をしたほうがいいな。
人はたとえ他人のことを心配していてもその気持ちはその人の少しにしか満たない。
価値観が違いすぎるのだ。ならば、自分のこととしてとらえさせればいい。
「アリア、お前には今服役中のお母さんがいるだろう」
その言葉にアリアはさらに驚いたようだ。さすがに調べがつくことは知っていたようだな。
「それがなに?」
「いいか、お前には確かに大切なお母さんがいるがそれが今後一生会えないのだとしたらどうする。守ることができなかった。会うこともできない。助けることもできない。もう声も聞く事が出来ない。そんな絶望を一人で抱えきることができるのか?普通の人にはそれができるわけがない。でもキンジはそんな絶望を一人で抱えているんだ。そのことをそんな理由でという言葉でかたずけて言い訳がない」
アリアは顔を真っ青にさせている。どうやら攻撃しすぎたようだ。かわいそうだと思うがこのことは言わなければならない。月でやったことだもう慣れているさ。
「自分の都合を他人と比べてはいけない」
その言葉がトドメだった。アリアは驚愕、尚早、そして後悔の顔を一様に表した。
今回のいざこざは価値観の違いが引き起こしたことだ。
他人と自分の価値観を比較し自分のほうがひどいと比べたがる。
そんな人の性質がすれ違いを生む。
あの赤王のサーヴァントもそうだった。
国民のためだとと思っても、国民の望んだ希望とはすれ違う。
そのことがあのサーヴァントの望んだ未来にならなかった結末の一つだ。
それが今回はキンジとアリア。
二人の価値観がすれ違いを引き起こす。
アリアは顔を下げていた。その表情は見えない。無駄な詮索はしないように俺は病室から出ようとした。
「待って…白野。」
アリアに呼び止められ、俺は脚を止める
「本当にごめんなさい…。確かに、キンジにはひどいことをした。でも、あたしにはもうキンジには会うことができない…。明日あたしはイギリスに帰る。もう迷惑はかけられない。だから白野…。キンジにあたしの分を謝って…―」
「それはできない。それはアリアがキンジに直接言わないといけないことだ」
そう言って俺は病室を出る。
今度は呼び止められなかった。
後は、キンジ。お前にかかっているぞ。
次の日、俺は退院(主治医に怒られたが、傷が完治しているのを聞くとしぶしぶ承諾した)すると一時、寮に戻る。
キンジはソファで考えていた。
色々言わなければと思っていたがどうやらその必要はないらしい。
一晩考えてどうやら今後の形が定まったようだ。
だから俺が言うことは一つ
「キンジ、お前を信じているぞ」
キンジの顔を見ず俺の部屋に行き身支度をし、リビングに戻る
すでにキンジはいなくなっていた。
だれもいなくなった部屋を見て俺はその部屋を出た。
そして向かったのは装備科の棟の一つ。
ひらがあやと書かれた札のついた扉の前にたち
「平賀さん。いる?」
「あ、は~い!いるのだ!けれど今は手が離せないから入ってきてほしいのだ!」
その言葉が聞こえると俺は扉を開くその先には一人の女性徒が作業をしていた。
彼女は平賀文さん。装備科のSランクで俺もたまに依頼のために装備科に訪れ平賀さんとであった。彼女は俺の顧客であるためたまに出会うので今では知れた仲間だ。
彼女のもとまでいろいろなものが並んだ場所を歩く、そして彼女の近くまで行くと平賀さんはこちらを向く、
「今日はどうしたのだ?」
俺は平賀さんにあるものの在庫が残っていないかを話す。
俺も昨日電子手帳で神埼かなえさんの事件を調べていた。そしてある可能性を導き出し今日アリアの飛行機で事件があるかもしれないと思った。
アリアを飛行機に乗せないことはできない。たぶん、今回の事件の犯人は現場に来る。今回は事件が起きるまで黙っていなければならない。武偵としては失格ものだがこれもアリアのためだ。自分を騙し考えを進める。それならば保険をと思い平賀さんのもとにあるものを受け取りに来たのだが…。
「うっ…。ごめんなのだ…。今は在庫にないのだ。」
在庫にないなら仕方ない。
予約もしていないし平賀さんも作業をしているのだ。
今後もたくさんの依頼があるのだろうし。今回は心もとないがこのままで行こう。
ごめん邪魔したねそう言って立ち去ろうとすると
「あっ!待って!」
平賀さんから呼び止められる。どうしたのだろうか
「それなら今から作るのだ!今から作ればすぐに作れるのだ!」
平賀さんは必死にこちらを引きとめた。
「けど、それはさすがにまずいし、それだとほかの顧客に迷惑がかかるぞ」
「うっ…。だ、大丈夫なのだ!」
平賀さんが声を大きく上げる
「白野君にはいつもお世話になっているしこれはいつものお礼なのだ!」
そう言う平賀さんにさすがに悪いと声をかけようとするがやめた。
せっかく善意でこちらの意向を聞いてくれるのだ。
ならばその発言を受け取ろう。
「それなら、よろしく頼もうかな」
その言葉を聞くと平賀さんはとてもうれしそうな顔をして顔をうなずかせた。
すぐに終わるというので俺は待つことにした。
平賀さんは作業中ずっとうれしそうな顔をしていた。
「もうそろそろ行ったほうがいいだろう」
平賀さんから依頼品を受け取り、身支度を整えてから俺は空港の中を進む。
ここが正念場だ。そう気合を入れ俺はアリアのいる飛行機へ乗り込むのだった。
次はやっと白野君が活躍するかも。
蒼矢さん、hiiragiさん、真九郎さん、暗黒の影さん、シオウさん感想ありがとうございます。
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