何か問題があった場合でも温かい目で見守ってください。
俺が話を終えた後は少しだけ緊張の雰囲気が流れていたが、さすがに暇でもしたのか退屈な雰囲気が流れる。
そこで、理子さんは素晴らしいな。遊び道具とかよくもって来たよ。
さすが雰囲気ブレイカーだな。
そんなこんなで2~3時間ほどで奈良駅に着く。
ホームを降りて駅から出る。
ああ、懐かしいなこの景色。
東京のようにビルがたくさん建っているわけではないし、車も渋滞が起きるほど多くもない。
少し都会から離れたような空気。本当に懐かしいな。
俺が少し灌漑にふけっているとアリアがぎょろぎょろと周りを見渡す。
「ど、どうしたんだアリア?」
俺が質問をするとアリアは周りを見渡しながら質問を返す。
「白野!奈良ってたくさんシカがそこらへんにうようよいるんでしょ!なのにどこにも見当たらないじゃない!」
…アリアさすがにこんな交通機関の近くにシカがいるわけないだろ。
それと奈良に来たらそこらへんにいるとか思われるのはどうかと思う。
最近は規制やらなんやらで公園にしかいないんだぞ。たまに脱走するけど。
それも含めてしっかりアリアに説明する。
アリアは最後まで話を聞くと
「それなら公園に行くわよ!シカせんべいとか絶対に食べさせるんだから!」
アリア動物すきだなぁ。本人が動物的な感じだからか?
さすがに怒られそうだから黙っているが。
「アリア。お前動物みた…」
キンジ少しは自分の発言を考えろよ。もしこれがあのAUOのサーヴァントなら八つ裂きレベルだぞ。
キンジとアリアがじゃれあっているのを傍に感じながら考えてみる。
まあ、別に今日はまだ時間もあるし公園によってもいいかもしれない…
そこまで考えていると俺たちの目の前に真っ黒のリムジンが止まる。
…どうやら公園に行っている暇はないようだな。
アリアたちもこの状況を感じたのか動きを止める。
左座席(外車なのか。というかなんでこういうところは新時代的なのか)から一人の少女が出てくる。
すらっとした顔立ちに少しだけ釣り目気味の黒茶色の瞳。その横を流れるのはセミロングの黒髪。
服装はおしとやかに仲居服を着ているが少しだけ活発な雰囲気が彼女が明るめの子だとわかる。
彼女はうやうやしく頭を下げると
「白野様。よくぞお戻りになられました。」
そこで俺は右手を挙げ頭をかく。
うーん、俺は一応もう実家の人間じゃないからそこまでしなくてもいいんだけどな。
そして頭をあげ俺の後ろ側を向くと
「御一行様。よくぞお越しになられました」
そういってもう一度頭を下げる。
キンジたちも流れにさらわれたのか軽く頭を下げている。
はあ、というかいつまでもこんな感じじゃ俺たちが気疲れするな
「ユキ。もう普通の口調とかでもいいぞ。というかそうしてくれ」
俺が一言そういうと、ユキは少しだけフレンドリーな雰囲気をまとわせる
「本当はそうはいかないんだけどねー。まあ白野君だしいいのかな」
ユキの口調が軽くなると場の空気も軽くなる。
一度場を整えるともう一度ユキが話し出す。
「えっと、ちゃんと自己紹介したほうがいいよね。私は夏目家の属家に所属している倉橋(くらはし)有希(ゆき)といいます」
ユキが軽く自己紹介をするとこちらも軽めに紹介する
「それで、ユキ。あんたって、白野の何なの?」
アリア。その聞き方はいろいろと誤解を生むぞ。
「えっと、私は一応白野君の従者ということになるかな?」
「いや、もうそれは違うだろ。俺は実家から消されたようなものだし」
俺は軽い口調で言う。
しかし、ユキは表情を曇らせた。
「それは…違うでしょ…」
雰囲気がまた暗くなる。
コロコロと変わる雰囲気にキンジたちが困惑している。
ユキはまた顔を俯かせるがすぐに元の調子を取り戻す。
「…えっと、とりあえず晴海(はるうみ)様がお呼びになられたからそのまま一緒に行くことになるけど…」
俺の後ろを見やる。
たぶん、あの家に行くとしばらくは出られないことになるから言っているのだろう。
俺はユキにアリアたちが俺の秘密を知りたいからついてくることを伝える。
「わかった。それじゃあすぐに出発するから」
「えっ!シカは!公園にシカ見に行かないの!?」
アリア…お前はこっちのことはもういいのか
その質問に対しユキは
「ああ、シカなら家の近くにたまに降りてくるよ?」
アリアはその言葉を聞くとなら早くいくわよ!といい車のあるほうに行く
ユキは苦笑いをしながらそれを見て運転席に向かう。
まあ、シカも降りてくるがたまに熊とかも降りてくると言おうと思ったが…まあ何とかなるだろう。それも実家の力でなんとかなるさ。そう思いながら車に向かおうとすると
「ねえ、しーろくん」
理子さんに呼び止められる
「ん?どうかしたのか」
「ユキちゃんって、本当にしろくんのメイドさんなの?」
「…まあそうだったが」
「本当に~それだけの関係~?」
ああ、この目はからかっているときの目だな。
俺は理子さんに軽くチョップを入れて車に押しやる。
はあ、やれやれ実家の人たちでもあれなのにこっちにも問題児確かにいたな。
って、うおぅ!
いつの間にかレキさんが隣に立っている。
レキさんはちらりとこちらを見たがその後車に向かう。
いつもは無表情なのに今日のは少し怖い感じの無表情だったな…。なんでだ?
俺は少しだけ不思議に思ったが特に気にすることもせずキンジが車に乗り込んだのを見て俺も車に乗り込むのだった。
「へぇー、白野君にも友達とかちゃんとできたんだね。私はうれしいよ」
運転しながらユキはいう。
うるさい、お前は俺の母親か。
そんな談笑をしながら実家までの道のりを進む。
「そういえば、この前学校で攻撃してきたよな。それっていったいどんな奴なんだ?」
キンジが聞くと
「ああ、それはミドリちゃんだよ」
「ミドリって誰なの?」
アリアが問うと
「ミドリちゃんは私の双子の妹なの。ちょっとぶっきらぼうだけど根はやさしい子なんだよ」
「へえ。確か弓で正確に白野の机とか打ち抜いていたからとても弓が上手なのね」
「ミドリちゃんは超能力も持っているから。それがとても弓と相性がいいんだよね」
家族の自慢話ができて満足しているようだ。
上機嫌のまま運転を続けるユキにアリアはまた質問をする
「それならあなたも何かできるんでしょ」
「えっ…そ、そんなことないよ。ど、どうしてそんなこと思ったの?」
「勘よ!」
お、でたアリアの勘。
ユキはさすがに言うことをためらい話をそらそうとするがアリアは話をそらそうとせず的確に問いただす。
ふむ、どうやらアリアはこのことにとても興味を示したようだな。
仕方ない助け舟でもだすか
「アリア、俺たちが寮にいたときに天井からかすかに気配が感じられなかったか?」
「え、うん。特に気にも止めないくらいの気配だったけど…」
「あれはユキだよ」
その言葉にアリアは驚愕の顔をする。
まあ、そうだろうな。あの時の気配はネズミぐらいだろうと思うくらい小さい気配だった。ふつう人間はそう簡単に気配を消せるものではない。そこまで気配を消せるのは達人級の人物だけ。月の世界でいたあのアサシンのサーヴァントくらいなのかもしれない。ユキはそこまではできないがそれでもすごいくらいの気配遮断スキルを持っている。こんなに元気な子なんだが意外とその行動は隠密系なのだ。
そのことをアリアに説明すると満足したのか問いただすのをやめる
ルームミラー越しに軽く目があったので「これくらいならいいだろう」といった感じに目を動かすとユキは軽く苦笑いする。
ユキも一応超能力を持っているがそれについてはアリアに言わないで置いた。
まあ、自分の能力をそう簡単に知られるのは良くないしな。
そんなこんなで山中を車で走ると少しずつ減速し見えてきた門の前で停車。
はあ、もうついてしまったのかと思い俺は座席をたち車を降りる
見えた光景はあの日最後に見たことと同じ。
何一つ変わっていない光景に安堵すると続々とアリアたちが下りてくる。
そして、実家のほうを見ると驚きの声を上げる
「は、白野。あんたの家ってこんなに大きかったのね…。」
「俺の家じゃないけどな」
そういい門に向って歩みだす。
日本でも有名な家であって結構大きいのだ。
理子さんは小声で「それならしろくんを捕まえれば…」とブツブツ言っていたが聞かないようにした。
門の前まで行くと扉が開く。
最初はいつもの光景だった。
しかし門が完全に開くとそれは異様な光景に代わる
「「「お帰りなさいませ。白野様」」」
左右に1列で並び本家の入り口にまで伸びる人の列。
それを見ると俺は疲労と一緒にため息を漏らす。
俺はもうこの家の人間じゃないのに
そんな気持ちを目に込めてユキを見やると
「あー、本当はやらなくてもいいって言ったんだけど…聞かなくてね」
その言葉を聞くと俺はまたため息をもらす。
そんな行動とは裏腹に俺の気持ちは嬉しかった。
家族でもない俺をみんなが受け入れてくれたことがうれしかった。
そんな彼女たちを傍に感じて本家まで歩みを進める。
そこでキンジが俺に近寄ってきた。
「白野。ちょっといいか?」
「どうした?」
キンジは冷汗を流す。どうやら気づいたようだな
「白野。ここにいるのはこの家にいる全員なのか?」
「ああ、何人かいないが全員だと思うぞ」
そしてキンジは核心の質問を放つ
「どうして全員女なんだ?」
俺はその質問にニッコリ笑顔で答える
「それはこの家には女性しかいないからだ」
そう、この家には女性しかいない。
HAHAHAありがとうキンジ!確かに実家に帰ってくるのは好ましくなかったが…それ以上に困っていたのはこの家には女性しかいなかったからだ!
あの時の生活は大変だった…女性しかいないこの家でただ一人の男である俺。
だからキンジありがとう!
俺のにっこり笑顔を見たキンジは落胆するかのように頭を下げる。
ふふふ、ヒステリアモードにならないように逃げだそうにもそれはできないぞ。
この家に入ったらそう簡単には出られないからな。
俺が笑っているとかすかに懐かしい香りが俺の鼻孔をくすぐる
この香りはと思い本家に続く木の階段を見るとひとりの少女がいた。
すっきりとした顔立ちに黒色の瞳を持ち腰まで伸びる長い黒色の髪を一つにまとめ白を基調とした和服をまとう少女は大和撫子のような雰囲気を醸し出させる。
その少女はこちらが気づいたことを見ると涙ながらにこちらに歩み寄る。
そのままその少女は俺の胸に収まり言葉を放つ
「よかった…。やっと会うことができた…。」
俺は何も言わずにされるがままにされる
俺は何も言えない。
何もしてやれることができない。
してやれることはこれからも出会わないことだと思っていたから。
けど、こうして俺とあって泣いてくれるのはとてもうれしい
俺はこんなにもこの家の人々に愛されていたんだなと改めて感じる。
しばらく、彼女は俺に抱きつくと名残惜しそうに離れる
「ちょ、ちょっと白野!その女誰よ!」
だからそのセリフは結構誤解を生むって!
キンジたちも驚いたようにこっちの様子を見ている。
しかし、何と説明したほうがいいのか…あの言い方はしたくないし…というかもう違うけど
しかし、説明したのは俺じゃなく、少し俺から離れ顔を赤目らせた彼女だった
彼女は軽く咳払いをすると話し出す
「私は夏目家次期党首である夏目晴雨(はるさめ)と申します」
軽く頭を下げ挨拶すると微笑みかける。
あ、キンジが軽く赤くなっているな。白雪さんに見られたらやられそうだな。いろんないみで。
「えっと…白野との関係は…」
そう言うとまた顔を赤目らせてこちらを見る。
ま、まさかそのまま言うのか!
は、恥ずかしいんですけど!
俺の気持ちは知られず話は進む
覚悟を決めたように晴雨さんは言葉を放つ
「婚約者です」
28弾投稿終わりました。
実はこの話地味に夏目家の真名についてのヒントが隠されています。
ネタばれになったりしますので知りたくない人は物語感覚でこの話を見てください。
天照光さん、ミジンコドリームズさん、峻獄さん感想ありがとうございます。
意見・感想お待ちしています。