昼休みになったとたん質問攻めになることは分かっていたため授業が終わると同時に教室を出た。しかし、キンジよりも廊下に近いほうにいてよかった。俺が動き出してからキンジは状況を理解。俺について出ようとしたらそこはさすがに武偵校、一瞬の隙が命取りだ俺はあきらめられたがキンジはつかまっていた。すまんキンジ俺の分まで質問されてくれ。
っといけない。今日は確か依頼品の納品日だ。渡しに行かないと。そう言って俺は通信科の棟に向かった。
「中空知さん、いる?」
「ひゃ…!あっ…ちょ、ちょっと待って…ください!」
通信科の棟。廊下に専用の機械をよけながら今回の依頼人、中空知美咲さんの専用の教室の前に移動した。通信科は音を専門に扱うから大きな音は厳禁なため、軽くノックをしてから名前を呼び掛ける。なんでも優秀な生徒には専用の部屋があるそうだ。いいなあ。
しばらく待つとドアがあいた。中空知さんは顔を赤くし長めの前髪でうつむいている。中空知さんは対人関係には極度の上がり症のためこういったコミュニケーションはあまり得意ではないらしい。しかも、ちょっとドジっ子なのかな今回の依頼も落し物をしたために届けにきたのだ。本当は当日にでも届けにこれたので渡そうと教室前まで来たのだが、
「す、すいません…!きょ、今日は…ちょっと…無、無理です。あ、明日の昼休みで…!」
うわぁ。すごい勢いで拒絶された…。軽くへこみがら昨日は帰ったのだ。
しかしそのあとに、「そ、そんな一日に二回も岸波さんの顔が見られると…」とぼそぼそと彼女が呟いていたことは白野は知らなかった。
「はい、これでしょ」
「あ、ありがっ…とうございます…!」
そう言って今回の依頼品をわたす。中空知さんは急いで依頼品をもらうと、一度こっちの顔を見ると、また顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「………」
「………」
………
(き、きまずい…)
顔を真っ赤にして中空知さんがうつむいてからまるでそこは時が止まったかのように一切動くことはなかった。5分ほど過ぎたころだ。その均衡は予想外なところで崩れ落ちた。
く~…
あれ、何だ?俺じゃないぞ。まさか…
中空知さんを見るとさらに顔が下がっていた。それなのにかすかに見える顔はすっごく赤かった。あはは、どうやらおなかがすいていたのに引きとめてしまったようだ。
「ごめんね。僕はおなかがすいたからもういくよ」
さっきのおなかの音については追及しない。さすがにかわいそうだからな。
そうして、廊下を歩こうとすると
「あ、あの!…ちょっと待って!」
と中空知さんに引きとめられる。どうしたの?と言って振り向く
「あ…お昼は食べられてなっ…ないんですか!?」
「あ、うん。食べてないけど」
中空知さんは何かを言いたげにこちらを見ては顔をうつむかせている。
そして、何かを決意したようにこちらを振り向くが
「あ、あの…!い、一緒にお昼…」
「おーい!美咲!一緒にご飯食べようぜ!」
たぶん通信科の同級生なのだろう。弁当箱を持って中空知さんの部屋に来た。
その子はこちらをみて驚いた顔をした。
たぶん、一緒に食べようとしたのに知らない男がいたから気が動転したのだろう。
だから僕は邪魔にならないように離れることに決めた
「それじゃあ、俺はもういくよ」
そう言って、中空知さんの部屋を後にした。
そのあと、中空知さんが泣きながら昼を食べているところを、同級生がなだめていることを白野は知る余地もなかった。
その放課後、特に今日はやることもなかったため、キンジと一緒に歩いて帰った。
帰ってから、キンジと一緒にゲームでもしようとテレビをつけると
ピンポーン
「ん?」
俺はチャイムが鳴ったので出ようとしたらキンジに止められた。
どうやら居留守を使うようだ。
どんだけ、出会いたくないんだろうコミュ障なのか。
しかし、
ピンポンピンポーンピーンポーン
キンジが何かを考える顔をする。
何だろうこの感覚…。過去にもこんな感覚が…。
ピポピポピポピピピピピピピピーンポーン
キンジよさすがにうるさいんだが。
そう思ってキンジをみるとやっとキンジが動き出す。
ん?そういえばこの感覚これはまるで
「遅い!あたしがチャイムを鳴らしたら5秒以内に出ること!」
思い出した。これはあきらめの悪い人に追われまくっている感覚だ。
いけないなこんなに感覚が弱っていたなんて。
まあ、鋭くなっても困るのだが。
そう思っていると神埼さんがリビングに入ってきた。
「か、神崎!」
「アリアでいいわよ」
キンジが狼狽しながら神崎さんの名前を呼ぶ。
キンジは白雪さん以外の女性は部屋に入れたことないからな。
簡単に入ってきては困るのだろう。
彼女は、何らかのトランクを置いてトイレに入って行った。
「白野、お前何でアリアが来たかわかるか?」
「あぁ、なんとなくだが」
そう、白野はなんとなくなぜアリアがここへ来たかわかっていた。
それは目だ。今のアリアはポーカーフェイスをしようとしてるのだろうがその眼には少し焦りの色が見えた。きっと今朝のキンジの技術を見て何らかの感情が見えたのだろう。
俺はそういった目を月の世界でいやというほど見せつけられた。
キンジは教えろよと言ってきたがじきにわかるよと言い返した。こういうのはちゃんと自分で考えなければならないと自分は思っているからだ。
そうしてアリアがトイレから出てきた。
「あんたたち二人暮らしなの?」
アリアは手を拭きながらこちらに尋ねる
「まあ、一応」
「ふーん。別にいいけど」
何がいいのか。
アリアは窓のそばまで行き俺知のほうを向き
「キンジ、白野。あんたたちあたしの奴隷になりなさい!」
…。
助けを求められるのは分かっていたが
奴隷宣言をされるのは分からなかったな。
今日は結構時間が余ったためもう1話投稿したいと思います