緋弾のアリア ~月を渡る前向きな武偵~   作:紫柳

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1時間以上遅れました。
すいません。
しかしたくさん書けた。
後悔はしていないです。


第42話 襲来の白狼

「い、いやだぁぁぁ!!」

 

俺は何故かメイド服へと着替えさせられそうになっていた。

 

「よいではないかーよいではないかー♪」

 

俺に手をかけるのは従者であるユキ。

昨日理子さんの依頼で横浜にある屋敷に潜入することになったのだが、その時どうしてか俺は女装をすることになったのだ。

確かに俺は月にいた時より背が小さいけどさ!女装はないでしょ!

もちろん全力で昨日は拒否したのだが押し切られたのだ。

その押し切った一人であるユキが今俺の服を引っ張っている。

どうも俺に潜入の際の方法を教えようとしているみたいだが、それも女性としての心得であるからめちゃくちゃ困る。

 

ユキは東京へ来た際実家の援護もあり武偵校へ入学した。

それも俺と同じクラスという何故か転校生が俺たちのクラスへ集うという変な偶然もあったりしたのだが。

そしてユキの専門学科は『諜報科』である。

持ち前の気配遮断などが向いているのだろう。

そして本人自体が従者をしていることもありこうした潜入捜査はユキにとってお手のものらしい。

なので今俺に潜入捜査の際の女性の心得を教えてもらっている。

いや、いらないんだけどね。

 

「は~な~せ~!」

 

全力で逃れるため振り払おうとしている。

さすがに俺の方が力があるのでどんどんとユキの手が離れていく。

そしてユキの手が離れたと思った時!

 

プスッ!

 

俺の手の平に小さな針が少し刺さる。

そして数秒後俺の体から少しずつ力が抜けるように筋肉が動かなくなる。

こ、これは麻痺毒か!

どうやら最近諜報科で学んだそれを俺に打ち込んだらしい。

というか主人に対してこの仕打ちはひどくないですか?

そんな願いが聞かれることもなく俺はユキに引っ張られていくのだった。

 

 

 

 

 

 

「ううっ…。酷い…。この仕打ちは酷すぎる…」

 

「…」

 

現在俺の恰好は絶賛少女恰好だった。

フリフリのメイド服に足の線を細める黒のタイツそして腰にまで届く長いウィッグを装備している。

うう…めちゃくちゃ恥ずかしい…

って言うかさっきからユキ黙っていないか?

 

「ど、どうした?」

 

「か」

 

「か?」

 

「かわいい~!」

 

そしてそのまま抱きついてくる!

ちょ、ちょっと待てって!いきなりどうしたんだ!

俺はユキと倒れないようにしっかりと抱える。

 

「いやあ。まったく、家にいた時からなんとなくかわいらしい顔をしているなって思っていたけどここまで似合うとは思わなかったよ」

 

「う、嬉しくねぇー…」

 

落胆する。

とても不名誉である。

…しかし、任務は任務なので依頼人の言うことは絶対なのである。

この時ばかりは恨めしく思うぞ武偵憲章2条。

 

「うーん、それじゃあ白野君って呼ぶのはちょっとまずいよね…」

 

確かにそれではまずいのだがもう俺には突っ込む気力はなかった

 

「…別になんでもいい」

 

俺のふてくされた態度にユキはさらにからかうように続ける

 

「確か白野君ってこの学校でザビって呼ばれているらしいね」

 

「うっ!どこでそれを…」

 

こいつ…一体どこでその情報を知った!

 

「えっと…確か武藤君だっけ?」

 

ムトウコロス…

まあ、これは後ででもいいが何か嫌な予感が…

 

「それじゃあ…ザビ子で?」

 

泣きそう

 

「ご、ごめんごめん!悪かったって!」

 

俺の顔を見たとたん謝罪の言葉を連発する。

 

「う、うーん…それじゃあ波岸 白乃(なみきし しろの)でどうかな」

 

色々突っ込みたいがもう別にいいよ…

 

一頻りあったあとはメイドとしての仕草など徹底的に叩き込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

これが終わったら俺もう女装はしないんだ。(フラグ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例の秘密の特訓から数日が経った。

俺の心に深く傷を負わせた特訓はこの任務が終わったと同時に心の奥底へと消えてゆくだろう。

ああ、けど俺もう駄目かもしれない。

 

「ですよねー」「うんうんあれはひどいよね」「えー、それめんどいんだけど」「それある!」

 

薄い鉄の扉の向こうには花園がある。

しかし、俺がそこえと向かった瞬間そこは血の花園へと化すだろう。

俺が今いるのはアンビュラス棟一階、第七保健室

俺の携帯に理子さんからメールがあり至急この場所へと来てくれと連絡を受けた。

その時は疑いもなく急いでここへと向かったがここにいたのはキンジだけ。

俺はキンジに何でお前もと聞こうとした瞬間扉の外に気配を感じこの掃除用具のロッカーへと逃げ込んだのだ。

キンジは隣のロッカーへと逃げ込んだ。

入ってきたのは女子生徒だった。アリアや理子たちもいる

その時は何故隠れたのかと自分でも自分の行動に謎が生まれた。

普通に隠れなくても特に何も問題はなかったのに。

俺はすぐに出ようとしたがもう動くことはできなかった。

何と教室に来た女子生徒全員が服を脱ぎ出したのだ。

しかし、この状況はひどくまずい。

とにかく容疑者は理子さんで確定だろう。

そして被害者は俺たち。

けど、それを知らないこの教室にいる生徒は俺たちが被疑者。

確実に有罪判決を受けるだろう。

そしてそのまま…

 

俺は頭の中に浮かんできた最悪の展開を頭を振って思考を止めた。

きっとなんとかする方法はある。それを見つけるんだ!

そして俺はその突破口を探すために扉の隙間から外を見る!

 

「さーて、アリア。先生が来る前にスリーサイズでも測っちゃおうか」

 

「そ、それくらい自分で出来るわよ!」

 

「理子が測りたいんですー」

 

…何をしているんだ俺は。

逃げまどうアリアを追う理子さんに俺は冷静になり自己嫌悪をした。

隣では少しごそごそと音がする。

…多分キンジがヒステリアモードになったな。

かすかに隣のロッカーから感じるカリスマのオーラがそう思わせた。

 

多分キンジも気付いたんだろう。

この部屋に来ている人達の共通点を。

 

その時部屋の扉が開いた

入ってきたのは救護科の臨時教師である小夜鳴先生だった。

彼はこの学校へと臨時で来た一般講師。

甘いルックスと優しい性格で一部の女子生徒に人気のある先生なのだが…俺はあまりあの先生は信用ならない。なんとなくだが。

 

「ふ、服は脱がなくていいんですよ!メールで書いたじゃないですか採血だけだと。はい服を着てください」

 

そして丸椅子へと座りながら彼は何かをつぶやいた。

俺には表情から大体の感情を読むことはできるが読唇はあまり得意ではない。

もう少し勉強をした方がよかったのかも知れない。

 

―!

こ、この悪寒は…!いつもの悪寒じゃない悪寒が俺の心を冷やしている!

仕方なく、俺は外を見ると

 

「…」

 

レキさんがこちらを見ていた。

ま、まさか気付いて…

そのまま俺のロッカーに近づいてきて…

 

バンッ!

 

その勢いのまま俺のロッカーの扉を開ける!

あ、オワタ。

 

「れ、レキさん!こ、これは…!」

 

俺は弁明という名の言い訳をしようとしたがレキさんが俺の胸倉を掴みロッカーから引きずりだす。

めちゃくちゃ怒っていらっしゃる…

これは俺の命も今日まで…

 

パリーン!

 

なんの音だ!

 

ガシャアン!

 

さらに何かがつぶれる音。

音の出所である後ろを見ると

 

「なっ!」

 

何かがぶつかったかのようにロッカーがつぶれている。

一体何がと思いそのぶつかったものを見てみると

 

「あ、あれは…」

 

コーカサス白銀狼

現在この世界で絶滅危惧種として指定されている動物の一匹だったからだ。

まさか、レキさんこのことが分かっていて俺を出したのか。

 

「白野!これは一体どういうことだ!」

 

事態を重く見たらしいキンジと何故武藤が…?まあいい、二人がロッカーから出てきた。

武藤は天井に威嚇射撃として拳銃を一発放つ。

 

「武藤!拳銃を使うな!女子が防弾制服を着ていない!」

 

キンジが警告の声を上げる。

しかし、狼はその轟音にも怯まずこちらを威嚇している。

どうやらあの狼ただの動物ではないな。

 

狼はすばやい動きでキンジ達の隠れていたロッカーに体当たりを決める。

吹っ飛んだロッカーは武藤を巻き込みドシンと倒れた。

 

「くそっ!」

 

俺はすばやく近付き狼に向けて鉄山靠を放つ。

 

ぎゃん!

 

狼はそう声を上げるが

 

「ち、甘く入ったか。」

あの狼中々やるな。体をしっかり使って衝撃を和らげたようだ。

しかし、全部の衝撃は殺しきれなかったようだ。

少しふらふらとしながらまた立ちあがる。

そこでにらみ合いが始まる。

俺はその目から感情を読み取った。

動物相手はほとんど初めてだったが案外うまく読み取れた。

その心は野生の本能である殺意と戦意と…絶対に越えられない恐怖?

 

―!

意識外からの強襲。

下着姿のユキが制服から金属針を取り出し死角から強襲を仕掛ける。

しかし、野生の勘なのかぎりぎりのところでかわされた。

そのかわした先には小夜鳴先生

 

「ああっ!」

 

狼は一発体当たりをかまし窓へと向けて走り出す。

 

「えっ…」

 

しかし、そこには平賀さんの姿が

まずい!

彼女は戦闘向きではない上に防弾制服も着ていない。

もし襲われたらただごとじゃあ済まないぞ!

しかし、今こいつにコードキャストを使うのは憚れる。

使ったら絶対に爆発四散してしまうからだ。

 

考えている暇はない!

俺は急いで狼と平賀さんの直線状に手を差し出す。

 

「ひゃあ!」

 

「ぐっ…!」

 

腕からバキバキという音が聞こえる。

跳びかかった時差し出した手がうまく狼の口に入った。

狼はそのまま腕を噛み千切ろうと力をさらに込める。

 

「あぐぅ…」

 

しかし、俺は無理に振り払おうとはしなかった。

もしここで無理に振り払ったら腕ごと噛みちぎられるからだ。

だから俺は

 

「おい、狼。その口絶対に離すなよ」

 

そう言い俺は重心を低くして

 

「変に動くと変な所に入るからな」

 

全力だが手加減を加えた斧刃脚を放った。

その攻撃は狼の腹部に入り窓の外へと吹き飛ばす。

 

俺は激痛のあまり膝をつく。

しかし、まだ状況は変わっていない。

俺は外を見る。

狼は野生の勘なのか俺にかなわないと悟ったようでふらふらながらも学外へ逃げ出した。

 

「キンジ!これを使え!」

 

武藤の声と同時に鍵を投げ出した。

キンジはそれを受け取ると窓から外へと飛び出す。

しかし、ヒステリアモードのキンジでもあの素早い狼を追うのは至難の業だろう。

 

「レキさん!キンジと一緒にあの狼を追って!」

 

俺の声にレキさんが反応をするが動き出そうとせず俺の方を見ている。

 

多分俺の心配をしているのだろう。

しかし、

 

「大丈夫だよレキさん。これくらいの傷すぐに治る」

 

俺はできるだけ笑顔で声をかける。

もう右手が痛すぎて顔から脂汗が出る。

 

伝わったのだろうか。

レキさんは一度コクっと頭を下げると下着姿のままドラグノフを片手に外へと飛び出した。

素早い狼でもレキさんの目があれば追えるかも知れないからの選択なのだがこれでよかったようだな。

けど、制服だけは着てほしかったよ…

 

少ししてバイクのエンジン音が聞こえ遠ざかっていく。

どうやらちゃんと追えているようだな。

 

俺は安堵と同時に膝から崩れ落ちる。

 

「き、きしなみ君!だいじょうぶなのだ?!」

 

心配の声がかかる。

その目には少し涙が溜まっている。

どうやらかなり怖い思いをさせてしまったようだ。

 

「大丈夫だよ。これくらいすぐに治るから」

 

そう言って逆の手から電子手帳を取り出し『鳳凰のマフラー』の礼装を取り出し

『heal(16)』のコードキャストを使う。

すると俺の右手は光に包まれると同時に綺麗に元に戻っていた。

軽く右手を握ると俺はその場から立ち上がる。

 

「き、きしなみ君?!」

 

「ああ、もう大丈夫だよ。ほら」

 

そう言って俺は右手を握手するように差し出す。

その手を平賀さんは握って俺が大丈夫なのを知ると安心したのか腰を抜かしたようだ。

俺は軽く支えてやり、その場に座らせると俺は立ち上がりもう一人の被害者小夜鳴先生のそばまで近寄る

 

「すいません。小夜鳴先生一体どこを怪我されたんですか?」

 

俺はそう声をかけると小夜鳴先生は右腕を押さえながら答える

 

「運よく右腕だけ折れただけで済みましたよ」

 

「わかりました。それでは右腕を出していただけませんか?」

 

小夜鳴先生は疑いの目を向けながらも右腕を差し出す。

ありえないことだと思いながらも先ほどの俺の腕を直したコードキャストを見て疑いながらも信じているようだ。

俺はまた『heal(16)』のコードキャストを使う。

右手が光に包まれその光がはじけると同時小夜鳴先生は驚いたように右手を握っている。

このように素早く怪我を直す能力はとても珍しい。

それが彼を驚かせている由縁のようだ。

 

「ふう…」

 

俺は脱力をする。

別に事件が終わったから脱力しているわけではない。

絶対この後殺されるからなぁ…どうしようかなぁと悩んでいるからだ。

しかし、俺は気付いてしまった。

小夜鳴先生が俺の方をするどい目線で見られたことに。

そのあとの口の動きさすがの俺でも気付いてしまった。

彼が何を呟いたのか。

 

フィーブッコロス

俺はその言葉の意味がわからなかった。

 




42話終わりました。
進めたい。進めたいが書きたいことが多すぎて進まない。
なるべく早く進めます
明日はちょっと投稿は厳しいかもです。
ナスカ級さん、シオウさん感想ありがとうございます。
意見・感想お待ちしています。
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