っていうかアウトですね。
長い夢を見た
それはある尋問の光景
巨体の獣人が金髪の少女に暴行をふるっている。
泣きわめく少女の光景
俺はそれを見たことが無いが
俺の知っている少女の心の叫び声と似ていた。
目が覚める
そこは見慣れた天井ではなく古い館の少しさびれた天井が俺の目に映る。
ああ、そう言えば潜入任務の疲れで眠ってしまったのか。
目は覚めるが頭が少し働かない。
だからか
俺の部屋に人が入ってきていることに気づかなかったのは
「は~く~の~く~ん?」
そこには何故か怒っているユキの姿が
あれっ?何で怒っているの?
ユキは怒っている理由を示すために時計を指さす。
それは深夜でも遅い時間
そこで思い出した
「あ…報告会…」
そう、今日は初日でもあるので報告会があった。
それを忘れていたということは
「ああ…怒るのもあたりまえだよなぁ」
「はあ…まったく。私は別にいいけど明日はアリアに風穴食らわされるかも知れないからね」
ぐっ!…まあ、仕方ないか
「一応私が白野君に経過を報告するよう言ってきたから」
「す、すまん」
ユキは隣にあった椅子に座り佇まいを直すと話し出す。
「まずはこの家のことに関する報告。屋敷と庭に関してはキンジ君が軽く調べておいて特に変なところはなかったと」
「変な所って…もう少し具体的な報告はないのか…?」
「まあ、初日だから仕方ないでしょ」
「…それもそうだけど」
「それで、次は私からの報告。私は一応地下の全体を調べてきた。理子ちゃんの依頼品がある宝物庫も地下にあるけどそこへと行くだけでも死角がないほどの監視カメラがある。
中には見た限り赤外線センサーと感圧式のセンサーもある。扉に入るだけでも指紋認証がいるし、宝物庫自体も厚さ2メートル近くのコンクリートで囲まれていて静かに潜入することも厳しいよ」
「…俺にはそんな正確な情報を一日で調べ上げるユキの方法が最大の謎なのだが」
監視カメラが死角もないほど張り巡らされているのに見つかってないのも不思議だ…
「そして今この家にいる人は、私たちを除いてただ一人小夜鳴先生。あの時言った通り先生は研究室に引き籠ってほとんど外には出ないけど、宝物庫が研究室に隣接している分昼の潜入は厳しいと思う。行動パターンをもう少し時間をかけて調べればければならない」
この家には本当に小夜鳴先生しかいないのか?
まあ、ハウスキーパーぐらいしかこの家に通わないし、ブラドもいないからそれが普通?なのか。
「理子ちゃんに今後も報告していつ仕掛けるのか今後も討論していくって言っていた。」
なるほどな。
それなら最終日くらいに仕掛けるかもしれないな。
なるべく情報を集めないと。
俺は明日に備えるため眠ろうとするがその時違和感を感じ俺は声をかける
「それで、ユキ」
「はい?」
「ユキはどこで寝るんだ?」
「え?ここだけど」
「ダメダメ!せめてアリアのところで寝なさい!」
「い、いやぁ…それがねえ…」
答えづらそうな声で答える
「だってアリアはこの家に来た時点でビビっていたし今入って行ったら絶対勘違いして風穴開けられるでしょ。だったら効率的に考えて白野君の部屋で寝たほうがいいだろうって」
ここでキンジの名前が出てこなかったことに突っ込んではならない。
「それもそうだが……………はあ、わかったよ」
俺は諦めの声を出す。
ほかに行かせるところもないしここは妥協しておく
「それなら、ほら」
俺はベッドを開ける
しかし、ユキは不思議そうな顔をしている。
「あれ?どうしたの?」
「ユキはこっちのベッドで寝てくれ俺はソファで寝るなりするから」
俺の返答に驚き申し訳なさそうにするユキ
「そ、それはまずいよ!ただでさえ白野君は私の主人なのに護衛である私にいいところで寝させたりとか!それに今回のメインは白野君たちなんだよ!それなのに私が…」
「いいんだよ。もう俺はユキの主人ではないし、たとえ俺たちがメインだとしてもMVPはユキなんだ。俺たちの作戦の要であるユキが体調を崩したりするのは困るしな。それに…」
「そ、それに…?」
「…いや、何でもない。取りあえずベッドは譲るよ」
答えを濁してやり過ごすがユキは気に食わなかったようだ。
その後何かと詰め寄ってくるユキを宥めながらその日を終わらせるのだった。
翌日見事にアリアに風穴をあけられそうになるも何とか逃れその後の調査を続けた。
それから数日が経った頃
「今日は雷が騒がしいな…」
家事を終え一段落した俺は窓の外を見やりそう呟いた。
風雨が吹き荒れる外を見て俺はウィッグである長髪を右手でかきわける。
(そう言えばアリアって雷苦手だったよな。)
そんな考えのまま俺は遊戯室の前を通ろうとすると少し開いた扉の中から声が聞こえてきた。
俺は一体何なのかと思いながら中を見やると
「オイラの遠吠えは雷を遠ざけるんだー!ヴォ―!」
「す、すごい!本当に遠ざかって行く!」
そこにはビリヤード台の影でこの前ゲーセンで勝ちとった人形を使いまるで人形劇をするように操っているキンジとそれをキラキラとした目で見ているアリアがいた。
き、キンジ…お前の裏声何かかわいいな…
しかし、これはいいいじり材料になりそうだ…
アリアがキンジから人形を奪い抱きついている。
ああ、また人形に死刑宣告が…
キンジはアリアが鎮まったことで満足したのか嘆息をして周りを見ると
「…」
俺に気づいたキンジが固まっている。
俺は少しだけ笑みを浮かべ
「オイラの遠吠えは…」
「まて白野ー!」
キンジが飛び出してくるが俺はすぐさまその場から立ち去る。
そのあと秘密にするために今度飯を奢らせる約束を付けその事件を記憶の奥底へと補完するのだった。
それからさらに数日が過ぎた。
この潜入も中盤を過ぎ今日は中間報告の日である。
俺はこの日まで一緒に過ごしてきたユキと共に特殊携帯を使い連絡をつなげる。
「皆聞こえる?」
「ああ、聞こえている」
答えるキンジ
「聞こえているわ。理子、あなたはどう?」
「うっうー!トリプルオッケー!はいっそれじゃあ中間報告ヨロ!」
り、理子さんテンション高いな…夜型なのか?
そこから報告会が行われる。
依頼物が情報通り宝物庫の中に厳重に保管されているということ。
小夜鳴先生もいつも研究室にこもっていて取りに行くタイミングが無いということ。
そこで『誘いだし』という技術を使って小夜鳴先生を呼び出しその隙に盗み出すということだった。
そこまで報告すると同時ユキが携帯に顔を近付ける
今俺たちは音漏れを防ぐため毛布を頭にかぶって話をしている。
携帯は俺が持っているためそこにユキが近づいてくるとなると
(ち、近い…!)
必然的にユキの顔がさらに近くなる。
ただでさえ同じ毛布にいるのでユキの香りが感じられるのにさらに近づいたことでそれはもうすごかった。
潜入するのに邪魔になるからと言って匂いは出さないようにしていると言っていたがその独特に感じられる甘い香りに俺は内心動揺した。
しかし、ユキはそんなことはお構いなしに話を続ける。
「あの宝物庫さらに厳重になっているよ。赤外線センサーの量もさらに多くなっていて温度センサーまで付いている。扉も指紋認証のほかに虹彩センサーも取りつけられていたよ」
報告を終えるとユキは身を後ずらせる。
俺は動揺を落ち着かせようと一つ深呼吸をすると話を続ける。
「正面突破は無理だ。一応例のあれを作って置いて正解だったみたいだ。」
その言葉に理子さんは同調をする
「そうだねー!このままのペースだったら最終日までには間にあうんでしょ?」
「ああ、そうだな。じゃあ手筈通りことを進めるってことで」
そして、連絡を終え携帯を閉じる。
「誘い出しってことは白野君がするんでしょ?それなら録画でもして保存しておかないとねー」
そんな戯言を抜かすユキにチョップを決め俺はソファに倒れる。
…先ほどの理子さんの声確かに夜型なのだろうけど俺にはなんとなく焦っているように思えた。
これからは大事な場面になる。
俺は気を引き締めると同時今休めるときに休むため目を閉じ意識を手放すのだった。
46弾終わりました。
シオウさん感想ありがとうございます。
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