あの事件の後キンジはさらに悩んだようにしている。
アリアとの関係も何か変な感じになっているが…あまりかかわらない方がいいだろう。
今は水泳の授業中である。
水泳の授業では女子と男子が分かれもちろん俺は男子の方で泳いでいるのだが…
周りの男子生徒は各々自由に遊んだりしている。
水泳の授業の担任である綴が二日酔いで自習となったからである。
それでいいのか教師と思ったが武偵校だからと妥協というより思いこむ。
まあ、俺も泳がずプールの脇の方でボーとしているのだが。
いや、まあ泳げるんだけどね…水に潜るとなんだか過去を思い出すというか…うん、考えないようにしよう。
そんな感じで葛藤しているとキンジが近寄ってきた
「白野。ちょっといいか?」
「ん?どうした?」
「ああ…実は」
何とキンジは単位をとれていなかったらしい。
まあ、キンジは武偵をやめるためにクエストはほとんどやっていないし単位もぎりぎりだから…それに最近は極秘任務ばかりあるから単位にも反映されていないしな。
ということで夏休みのクエストで俺に協力を仰いだみたいだ。
その職務はカジノ警備。それさえやれば単位を確保できるとか。
それには最低四人いるらしく後一人いなかったようだ。
ちなみに誰が出るのか聞いたがアリアも行くらしい。
まあ、このことは関係がこじれる前に話していたらしく来てくれるかに関しては問題ないらしい。
アリアは一度受けた依頼は取り消さないからな。
キンジは俺に助けを求めに来た。なら協力するだけだ!まあ、キンジが悪いんだけど。
俺が協力することを伝えるとキンジも安心したようだ。
そのあとは色々雑談をする。
すると
「ん?何だあれ?」
車両科の変人である武藤が何か鉄の模型を抱えプールに入って行った。
「おい!不知火!ちょっと出ていてくれ!」
自習となってもまじめに泳いでいた不知火を押し出す武藤。
しかし不知火はそのことを怒ることもなくこちらに歩いてきた。
大人だな…不知火
武藤がその鉄の何かをプールに浮かべると何人かの男子が近寄って行った。
さらに近づくのがもう一人
「むとーくん!すぐに準備をすすめるのだ!」
別の教室で水泳の授業を受けているはずの平賀さんが何かのコントローラを持って男子のプールへと入ってきたのだ。
というか何故入ってきているんだ…
そして何かの作業を終えるとプールから出て平賀さんがリモコンから電源を入れる。
するとプールに浮かべていたものが動き出した。
それは何とラジコンだったのである。
授業中になんてものつくってんだと思ったがそれも中々の高クオリティだったので俺まで見入ってしまった。
また平賀さんが何らかのボタンを押すとラジコンのハッチが開きそこからロケット花火が飛び出していく。
男子の何人かが「おおっ!」と声を出していた。
その反応を満足そうに見た武藤は俺たちの方へと早足で来る。
「どうだ!キンジ!ザビ!」
「興味ない」
「興味はあるが個人的に武藤をぶっ飛ばしたくなった」
俺の軽い殺気を武藤は宥めながら嘆息を漏らす。
「しっかしキンジはまだまだだなぁ。俺たちがせっかく現代によみがえらせた潜水艦を興味がないなんて」
武藤はそこで咳をきったように喋り出す
「この超アクラ級原子力潜水艦『ボストーク』は悲劇の潜水艦なんだぜ!空前絶後の巨大原潜だったんだが1979年進水直後に事故で行方不明になっちまうんだ………」
…うん。ここから先は覚えてないや。
ほとんどボーとして話を聞いている。
「………であるからこの俺と平賀の手を持って現代によみがえらせ…どうした白野?」
「い、いや…なんでもない」
ほんと乗り物馬鹿にはついていけないと改めて思ったぞ…
俺は適当に聞いていたが不知火はまじめに武藤の話を聞いていたようだ。
さすができる男。
そこで武藤は平賀さんに呼ばれて潜水艦の方へと向かった。
俺はやっとまた平穏が来たと思い溜息をつく。
不知火はそんな俺を見て白い歯をきらっと見せて
「雑談してもいいかな?遠山君。岸波君」
「別に許可なんてとらなくていいって」
とキンジ
「ちょっと良くない話なんだけど聞く?」
「良くない話?何だよそれ。まあ、話したきゃ話せよ」
気になるし
「さっき、2時間目休講だったじゃない」
「ああ」
「その時僕、ちょっとアサルトに顔を出したんだけどさ、神崎さんも来てたんだよね」
「アリアに何かあったのか?」
「ははっ。そんな怖い目をしなくていいよ。そういうことじゃないから」
「神崎さんって彼氏いるの?」
「聞いたことないけどな」
俺が言うと不知火はキンジを見ながら
「遠山君ライバルいるかもしれないよ」
「なんだそれ?」
ん?
「神崎さんが武偵手帳にメモ取ってる時、偶然見えちゃったんだけど……手帳に男の人の写真が入ってたんだよね。細かくは見なかったけど遠山君や岸波君じゃなかった」
…何故俺の名前が出てくるかわからんがな
「……そんなこと俺に関係ないだろ」
「はは、いま一瞬、きみ、黙った」
「そんな下らないことに一々報告する不知火に呆れて黙ったんだ」
「気を付けた方がいいよ遠山君。神崎さんって一部の男子にけっこう人気あるからねぇ。ぼやぼやしてたらとられちゃう。ポピュラーな言い方だけど夏は男女の仲が大きく進展する季節なんだよ?」
アリアが他の男と付き合う……
「……」
想像できねぇー。
意外とキンジとお似合いだがまだ関係が修復されていないしな。
「ん?どうしたの?岸波君」
「い、いや。なんでもない」
「そう言えば岸波君はレキさんだよね」
へ?何でそこでレキさんの名前が?
「ああ…岸波君は知らないんだ」
そこで不知火はタオルから携帯を取り出し一部操作をすると俺に見せてくる。
「こ、これは…」
これは過去に俺がレキさんと一緒に食事に行った帰りの写真ではないか!
い、一体いつ撮ったんだ…?
「この写真結構広まっているよ。まあ男子の中だけだけど。撮った人物もよくわからないけどこれほど精巧だったら偽造はあり得ないし」
ぐっ!確かに嘘ではないから否定しずらい!
「そ、それは過去レキさんにご飯を奢ったにすぎない!だから決してやましいことは…」
「けど、これが出回った瞬間レキさんのファンクラブからは激情の声が出ていたらしいよ」
なんだか知らないところで命の危機が!
「まあ、命を狙われる心配はないと思うよ」
へ?何で?
「なんだかその写真が出回った後そのファンクラブ壊滅的ダメージを受けたららしいんだ」
「一体誰に?」
「いや、よくわからないけど見えない敵に狙撃されたとか」
…うん。深く考えないようにしよう。
「それで…どうなの?」
「…いや、本当にご飯を奢っただけであって別にやましい気持ちは…」
そこで不知火は、はあっと溜息をつく。
あ、何か嫌な予感
「遠山君と岸波君は夏休みにカジノ警備やるんだよね?レキさんは誘わないの?」
「いや、よくわからないけど」
俺もキンジから誘われたようなものだし多分レキさんにも声をかけるのかな?
「じゃあ、混雑地の警備訓練ってことで、一緒に緋川神社の夏祭りに行ったらどう?うん、そうしよう!あそこは縁結びの神社ってことでポピュラーだし、ねえ武藤君」
不知火は、ぽーん、とプールサイドに座っていた武藤にいつの間にかある俺達の携帯を投げてしまう。
はあ!何やってくれちゃってんの!
「おう!そいつはいいアイデアだ!お誘いメールオレが書いてやるよ」
「この!」
俺とキンジは携帯を取り替えそうと動いたが焦ったため俺は不知火に足を引っかけられてプールに落下し、キンジは不知火に羽交い締めにされた。
く!足元がおろそかになるとは何たる不覚!
「いやー二人を見てると焦れったくてさぁ。遠山君は写真の男、つまりライバルもいるみたいだし背中を押してあげよう!って事になったんだよね、さっき武藤君と。あ、あと僕午後は仕事で校外に出ちゃうんだよね。クレームは武藤君までよろしく」
「よし、白野は終わりと、次はキンジだな。あれ、神崎じゃなくてアリアでメアド登録してんのかよ。やらしーなキンジ」
まあ、俺の場合レキはレキだからな…突っ込みようがないんだろう
「親愛なるアリアへ。カジノ警備の練習がてら、二人で七夕祭りに行かないか?七日七時上野駅ジャイアントパンダ前で待ち合わせだ。かわいい浴衣着てこいよ?っとこんなもんでいいですかね遠山先生」
「いいわけないだろ!」
だが、キンジは間に合わず送信ボタンは押されてしまった。
この後、激怒した俺とキンジは不知火をプールに投げ飛ばし、特に武藤は悲劇の原潜ボストーク号にぶつけて真っ二つに折れた原潜もろとも撃沈したがメールは消えない。
武藤が内容を言わなかったので送信メールを確認してみる。
題名 親愛なるレキへ
『本文: 以前に行った祭り楽しかったな。七月七日に七夕祭りがあるんだけどまた、遊びに行こう。
待ち合わせの時間は午後7時に上野駅改札口に。
ちょっと話したいこともあるし。
可愛い浴衣期待してるよ』
なんてメール送ってくれるんだ不知火!武藤!
俺はこの後、再び二人に飛びかかり二人が逃げるまで追跡を続け二手に別れたため武藤に八極拳フルコースを決めたのだった
From レキ
To 白野
『本文:はい』
どうしよこれ(´・ω・`)
55弾終わりました。
ブレイカ―925さん、パラノイヤ(偽)さん、渡り鳥さん感想ありがとうございます。
意見・感想お待ちしています。