明日はちょっと投稿は厳しいかもと思い頑張っていい感じの長さに仕上げました。
放課後
軽いクエストをこなして武偵校を後にしようとすると前にアリアがいた。
しょぼーんと頭を俯かせながら。
どうやらキンジと喧嘩したことをかなり後悔しているみたいだな。
それなのに祭りに誘われてちょっと混乱していると言ったところか。
…ふむ、少し話をしてやるか。
俺は小走りでアリアに気づかれないように近づくと
「よっ!アリア」
そう言ってその俯いた頭を軽くはたいてやる。
アリアは少し動揺した表情をするが頭をはたかれたことが気に障ったのかぴょんと跳んで俺の頭を叩こうとする。
が、俺もそう来ることは予想がついていたから横にかわしてその両脇を抱え
「ほーら、高い高―い!」
軽く高い高いしてやると下ろしなさいよー!とアリアが暴れたのでゆっくり下ろしてやる。
アリアはさらに馬鹿にされたと思ったのかまた攻撃を仕掛けようとするが俺に敵わないとアリアは思っているのか攻撃する手を下げる
「元気でた?」
「これは元気とは言わない!」
ぷんすか!といった雰囲気を纏わせながらそっぽを向くアリア。
その頭に向かって俺は話しだす
「キンジのことどうするんだ?祭りに誘われたんだろ?」
「…」
俺の言葉にアリアは怒った雰囲気を押しとどめ黙っている。
…はあ、こりゃちょっと話したほうがいいな。
「行ってあげたらどうだ?」
「…何でよ」
「別にキンジが悪いってわけじゃないんだろ?」
「…そうだけど」
「あんまり意地になるんじゃないぞ。時には素直になれ」
「…」
ありゃりゃ、ふてくされてしまった。
ぷくっと頬をふくらませてまたそっぽを向いてしまった。
さらに追いうちをかけるように声をかける
「あの時と一緒だな」
「…どの時の?」
「俺たちと初めて出会ったときとだ」
「…少し違わない?」
「けど、カナさんに関係しているんだろ?キンジの気になる相手だからやきもちやいているんじゃないか?」
「ちっ!違うわよ!」
いや、同じだ。
言っちゃえば両方とも意地になっているだけ。
最初と同じだ。
互いが意地になっているからすれ違う。
やっぱり一言言った方がいいな。
「大丈夫だって」
「だ、だからっ…!」
「キンジがアリアから離れるわけないだろ。前にそう言われたんだろ」
俺の言葉に思い出したのかまた顔を俯かせるアリア
「キンジを信じてやれよ。もうあの時とは違うんだから」
「~!あーもう!わかったわよ!」
さらに顔を赤くしたアリアはウガー!と叫びながら走りだしていった。
やれやれ本当に不器用な奴らだと内心苦笑しながらもアリアを追い帰路に就くのだった。
というか俺も人のこと言えなかったな…。
どうしよ、お祭り…。
午後六時五十分、こういう日に限って臨時クエストがあり仕方なく制服で来ることになった。
軽く息を整えて待っていると七時ちょうどにレキさんがやってきた。
武偵校制服姿で。
いや、俺は別に制服でも構わないのだが女の子が祭りに制服というのはいささか華が無い。
…うん。行くか。
俺はレキさんの手を掴むと
「浴衣買いに行きますよ」
有無を言わせず引っ張って行く。
レキさん結構強情だからな。いいと言われるだろうから引っ張って行くのは正解だろう。
もうすぐ祭りも始まることから俺たちは早足で進むのだった。
「これはいかがですか?」
デパートで捕まえた店員のお姉さんにセールをやっていたのでレキの浴衣を選んでもらっている。
俺じゃわからないからな。
「…」
シャッとカーテンが開くとピンクと赤を基調とした金魚柄の浴衣だがレキさんのイメージとはなんか違う…いや、似合わないわけじゃないけど…
「駄目ですか…では次を」
シャッとカーテンが再びしまる。
中でごそごそレキが着替える音が聞こえるが落ち着かない…周り、カップルだらけだし
カップルじゃない組み合わせなんて俺とレキさんぐらいしか…
シャッとカーテンが開くと店員がどや顔をしてきた。
いかがでございますか?
「……」
ちょっと言葉を失う黒を基調とした浴衣で帯は紫色、柄は桜か?なんかレキによく似合ってる…というか…
「いいと思う…」
思わず口から出てしまったが店員がにやりとする
「彼氏さんこれがお気に入りだそうですよ彼女さん」
「ではこれにします」
はっ!いかん彼氏彼女を完全にスルーするとこだった。
「い、いや!別に彼氏彼女って関係じゃ…!」
「九万五千八百円になります」
そして案外高い!
どうやらブランド物だったみたいだ。
まあ、一応クエストの報酬で十万稼いだから足りるが…
まあ、たまにはこういったおごりを加えてもいいだろうかな。
俺は財布から十万を取り出し店員に払う。
外へ出ると生温かい夜風が頬をくすぐる。
隣をついてくるレキさんは新しい浴衣をはためかせてついてくる。
まあ、それだけならかわいいものだがその背中にドラグノフを抱えているから違和感は半端ない。
が、浴衣選びに少し時間がかかってしまった。
このままじゃすぐ祭りが始まってしまう。
俺が走り出そうとするとレキさんが俺の袖を掴み
「白野さん、これ」
そう言って十万円を差し出してくる。
…ああ、多分レキさんは悪いと思っているんだろうな。
これはただのおごりだから別にかまわないのだが、理由がないとレキさんは納得しないだろうし…
「まあ、これは俺の頼みだと思ってくれていいよ」
「…頼み?」
「そう。借りではなくて頼み。俺に買わせてくれって意味での頼みだ。それなら理由になっているだろ?」
それでもレキさんは納得していないのか少し不機嫌なようだ。
無表情の中に攻めるような視線が織り交ざっている
…祭り…始まるな…
「レキさん急いで行きましょう!」
俺はレキさんの手のひらを掴み軽く走り出す。
これは逃げるが勝ちだ!
パタパタと下駄の音をはためかせてついてくるレキさんは無表情の中に何か別の感情が見えた気がした。
「ああ、やっぱり始まっていたか」
会場に着くともう祭りは始まっていた。
露店を見て回る。
ドラグノフを持つレキさんは人とぶつかるためつないだ手を離さないでいる。
ここではぐれたが見つけるのは面倒だからな。
けど、本当にレキさんの手は柔らかいな…それに軽く冷えていてそれがいい感じに…ってまたいかがわしいことを!
煩悩を傍に捨て置きまた露店を回る。
射的場でレキさんが景品を六発で取ったりしていたがそれ以外はほとんど普通に露店を回っていた。
その間レキさんもほとんど無言だったが雰囲気的にいい感じのオーラが見えたのでよしとしておく。
カジノ警備を手伝ってくれるか話そうかと思ったが多分キンジからも話は通っているだろう。あいつ友達少ないし。
そう言えば、アリアたちも回っているんだよな仲直りしていればいいのだが。
そんなことも考えながらまた新しい露店を回ろうと…
―!
小さな殺気を感じた。
俺は後方を見る。
まただ。小さいが…前に来た花火大会と同じ殺気を感じた。
けど…もう感じない。
これは一体どこから来たのか。
後方から来たのは分かるが詳しい範囲がわからない。
…追うか?
けどこういった時は深追いは禁物だ。
これは過去の経験からも明らかだし…ここは無視を決めたほうがいい。
「どうかしましたか?」
レキさんからもそう声がかかる。
どうやら俺にだけ伝わる殺気だったようだ。
…ここで不安を与えない方がいいのかもしれないな。
「…ああ、うん行こう」
そう言ってレキさんの手を引っ張りながら足を進めていく。
まるで殺気から距離を取るように。
56弾終わりました。
銀羽織さん、パラノイヤ(偽)さん、ベクセルmk.5さん感想ありがとうございます。
意見・感想お待ちしています。