『ただいま~』『って誰も居ないんだけどね』
と、苦笑しながら球磨川はリビングへ入っていった。
「あら、お帰りなさい球磨川さん。それと、お邪魔しています」
『・・・』『えっと』『何ででここに居るのかな?』『悪衣七実(あくいななみ)ちゃん』
リビングには、今日学校で螺子伏せたはずの悪衣七実がお茶を飲んでいた。
「それは、球磨川さんのお家にお邪魔させてもらってるからですが?」
『いやいや』『僕に関する君の記憶はなかったことにしたはずだけど?』
「ああ、そのことですか。球磨川さんに関する記憶は愛の力で思い出しましたけど」
『いやいや』『そんなどこぞの漫画じゃあるまいし』『愛で何とかなるものじゃないでしょ?』
「そんなことありませんよ?私のスキル理不尽な身代わり<バットフェイク>という名の愛の力でなんとかなりました」
『愛の力関係無いし』
少し疲れた表情をしながら球磨川は椅子に座った。
『話を戻すけど』『僕に何か用かい?』
「単刀直入に申し上げます。私と手を組みませんか?」
『ふぅ~ん』『なんで僕なんだい?』『原作組と手を組んだほうが面白いと思うけど?』
「球磨川さんといる方が楽しそうなので」
『僕といると』『転生者のほとんどが敵になるけど?』
「私は球磨川さんとが良いんです」
『もしかして』『七実ちゃんはマゾなの?』
球磨川が七実を茶化すと、七実はどっから取り出したのか右手にはナイフを持っており、いきなり自分の心臓部分にナイフを刺した。
『え』
七実の行動に呆気にとられた。しかし
『がっ!?』『ごふっ』
球磨川はいきなり血を吐いて絶命した。しかも自分を刺したはずの七実は平然と座っていた。
『大嘘憑き<オールフィクション>』『自分の絶命をなかったことに』
球磨川は自分のスキルで絶命をなかったことにして座りなおした。
『いきなり』『何をするんだい?』
「球磨川さんが茶化したのでつい」
『・・・』
「私は本気ですよ?」
七実は真剣に球磨川を見詰めて言った。
『・・・』
球磨川は、ふぅーと息をもらして。
『やれやれ』『七実ちゃん君には負けたぜ』
「改めて3年C組の悪衣七実です。これからよろしくお願いします。球磨川さん」
『あれ?』『七実ちゃん』『きみ2年生って言ってなかった?』
「もちろん嘘に決まっているじゃないですか?私は球磨川さんと同年代ですよ」
七実は、何を当たり前なことを?みたいな顔で言ってきた。
『・・・』『これからよろしくね』『七実ちゃん』
球磨川は諦めたような顔をして言った。
「では用事もすみましたし、これで失礼いたします」
『うん』『また学校で』
「はい、お邪魔しました」
七実はそれだけ言って帰って行った。
球磨川はズボンのポケットから煙草とジッポライターを取り出して、一本口に咥えて火をつけた。
『ふぅー』『また勝てなかった』
次の日、球磨川と七実は1時間目からサボって屋上で球磨川は煙草を吸い、七海は小説を読んでいた。
『ところで』『七実ちゃんの理不尽な身代わり<バットフェイク>って』『どんな能力なの?』
「簡単に言えば不慮の事故<エンカウンター>みたいなものです。例えば昨日の球磨川さんから受けた大嘘憑き<オールフィクション>の効果を球磨川さんの記憶がある誰かに押し付けました。つまり、能力をなかったことにする能力を誰かに押し付ける場合、近くに能力を持った人がいないと押し付けられずに、自分がそのまま受けることになります。」
『だから』『今日教室に行ったら』『前の席の子が僕の事憶えてなかったのか』
「ところで球磨川さん」
「何かな?」
「球磨川さんって却本作り<ブックメーカー>は使えるんですか?」
『多分』『使えない気がする』
「そうなんですか?案外この世界にも安心院さんが居て、却本作り<ブックメーカー>を持ってたりしそうですね」
『そうだね』『案外居たり』『ぐ!?』『ぐはっ』
言い終わる前に球磨川の真ん中からいきなり剣が刺さっていた。
「・・・どちら様でしょうか?」
「あり?仲間を刺されたのに随分冷静だな?」
突然目の前に剣のデバイスらしき物を持った赤髪の少年が立っていた。
「まぁ、球磨川さんですし、すぐ生き返ると思うので」
七実の答えに少年は球磨川に少し同情した。
「・・・気配は確かに感じなかったはずなんですけど、貴方の能力ですか?」
「敵にそんなこと教えるか?」
「まぁ、そうですよね。・・・はぁー、球磨川さんも生き返る気配がないので僭越ながら私が貴方のお相手をいたします。貴方が雑草程度存在とはいえ少しは楽しませてくださいね?」
と、言い七実は少年と対峙した。
『あれ?』『ここは何処だ?』
球磨川が目を覚ますと、知らない教室の席に座っていた。
「やあ、おはよう気が付いたかい?」
教卓の上には制服を着た女性が座っていた。
「僕は安心院(あじむ)なじみ。親しみを込めて安心院(あんしんいん)さんと呼びなさい」
『安心院さんが現れたってことは』『却本作り<ブックメーカー>を渡してくれるって事かな?』
「おいおい、何を言ってるんだい?あれは球磨川君の過負荷(マイナス)であって君の過負荷(マイナス)じゃないだろ?×××××君」
『・・・』『じゃあ』『何でここに呼んだんですか?』
『きみは気づいていないかもしれないけど、きみは前世でも確かに過負荷(マイナス)があったんだよ。それを僕が預かっているって事を伝えるために君をここに呼んだんだ。君が本当に必要になったら返してあげるよ』
『そうですか』『わかりました』『その過負荷(マイナス)が必要になったらまた来ます』『じゃあ』『僕はもう行きますね』
「うん、また来るといい」
球磨川は教室を出て行った。
『・・・』
球磨川が目を覚ますと、虫の息で倒れてる球磨川を刺したであろう少年と、まるで雑草を見ているような顔で少年を見下ろしている七実がいた。
「あら、起きたんですか?球磨川さん」
『ああ』『うん』『おはよう』『みったん』
「ええ、おはようございます。球磨吉(くまきち)さん」
『おいおい』『僕をどっかのギャグ漫画に出てくる変態紳士みたいに言わないでくれよ』
「ぐっ・・・たの・・・む、たっ・・・助け・・・」
「あら?、まだ息があったんですか?中々しぶとい雑草ですね」
七実が止めを刺そうとした時、球磨川がそれを止めた。
『まーまー』『彼もここまで頑張っただ』『ここは彼のしぶとさに免じて助けてあげようよ?』
「・・・はぁー、球磨川さんがそこまで言うのでしたら仕方ないですね」
「ありが・・・とう・・・ござい・・・ます」
そう言って少年が立ち去ろうとした時、突然少年の体に螺子が刺さった。
「えっ!?た・・・助けて・・・くれるんじゃ?」
『あ』『ごめんね』『あれは嘘だよ』
「そ・・・そんな」
球磨川は煙草を咥えて火をつけた。
『ふぅー』『それにさ』『これは戦いなんだよ?』『しかも君の不意打ちから始まった』『ね』
『だから僕は悪くない』
球磨川が言い終わると同時に少年は絶命した。
こんばんわ
バイトの都合で、今日を逃すと更新がさらに遅くなるので急ピッチで仕上げました。矛盾や誤字があるかもしれないです。ごめんなさい。
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