魔法少女リリカルなのは 罰則の偽り人   作:猫月

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残念ながら原作キャラは未だに出てこず。
まだ少し先になりそうです。


プロローグ2 来日

 

 

 

 

 

――小さいくせに飛び出したがって、飛び出したがるくせに閉じ篭りたがる。

 

 

「本当に、不思議な子だわ」

 

てこてこと前を歩く自分の甥っ子を見ながら、リーナは呟く。

 

子供の格好は薄紫のワンピース。

 

肩まで伸びた桜色の髪がさらさら揺れて、それよりも濃いピンクの耳がピクピク動く。

 

「って!!リーア、耳、耳!!それか帽子!!」

 

不思議そうに首を傾げる子供に慌てて白い丸帽子を被せると、

 

「ありがと、リーねえ」

 

と答えて、その後でごみぇんなさいと頭を下げた。

 

舌っ足らずで噛み噛みながらのその言葉が可愛すぎて、帽子の上から頭を撫でてやる。

 

撫でながらも、その可愛さゆえに我が甥っ子の将来がリーナは不安になってくる。

 

この子ももう四歳。あと半年もしたら五歳になる。そんなのはあっという間だ。

 

五歳、六歳と言えばもう幼稚園の時期。おしゃまな子は初恋を迎えると聞く。

 

まあ恋愛感情と言うものではないが、異性という存在を知り始める時期だ。

 

それなのに我が甥っ子の姿ときたら――

 

白磁のように白い肌。

 

さらさらな桜色の髪。

 

海の底のような深い青色の瞳。

 

容姿に似合った薄紫のワンピース。

 

と、可愛らしいことこの上ない。

 

さらに「どうしたの?」と首を傾げるその姿は、我が甥ながら愛らしいことこの上ない。

 

『本当に…これで男の子なんだから困ったものだわ』

 

何でもないよと答えながら、リーナは日本語で呟く。

 

少しでも男の子に見えるように男の子らしいズボンを履かせようとしたが、甥っ子のリアンはそれを嫌がった。

 

何やら尻尾が窮屈になるのが嫌らしい。

 

リーナ自身も尻尾持ちなので理解は出来るから何も言えないが、そのため彼の服はほとんどが女の子用の様なワンピースだ。

 

今日の薄紫の服もその一つで、今も楽しそうに尻尾が揺れて――…

 

「ねこ~」

 

「…って、待ってリーア、尻尾、尻尾!!」

 

猫を見つけて駆けていくリアンを、リーナは慌てて追いかけた。

 

 

 

「あんな可愛いのに男の子やって」

 

「そっか~将来は安泰やな」

 

「男の子?」

 

そんな二人の姿を、仲の良さそうな親子が眺めて微笑む。

 

少女の鞄の中で銀のクロスがキラリと輝いた。

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは  罰則の偽り人  プロローグ2 来日

 

 

 

 

 

 

「いってきま~す!!」

 

「はーい…ってちょっと待ちなさい!!」

 

元気よく行って来ますの挨拶をすると、リアンは玄関から飛び出した。

 

呼び止める母の声を無視して全力で駆ける。

 

本当は狼の姿になりたかったけど、森以外でその姿になると怒られるのでやめた。

 

その家の敷地内から出ると、リアンは走るのをやめて一息つく。

 

後ろをチラリと見ると、母ではなくリーねえが来ているのが見えた。

 

よし!!と頷くと、ゆっくりと歩き出す。

 

今日も逃げ切ることが出来ましたと、心の底で安堵をしながら。

 

 

 

 

 

 

昔から人が嫌いだった。恐れていたと言ったほうが正しいかもしれない。

 

理由は分からないが、生まれた時からそうだった気がして、ひたすら拒絶の泣き声をあげていた気がする。

 

祖母も、叔母も、父も、母でさえも恐ろしくて、どうしようもなく泣いていた。

 

それでも、それなのに、いつまでも諦めない家族の優しさに、恐怖感は消えていった。

 

それがいつだったのか覚えてないけど、いつの間にか安心して身を委ねられるようになった。

 

 

 

 

外に歩けるようになると、いつも同じ人が付いてくるようになった。

 

安心できる人。お母さんのお姉さんらしいけど、お父さんは叔母ちゃんでいいって言ってた。

 

よく分かんないけどリーナ叔母ちゃんって呼んだら、凄く喜んでた。

 

変な寒気がしたからリーばあって呼んだら怒られた。リーナは嫌って言ったら、凄く困った顔でリーねえと呼ぶように言われた。

 

リーねえがリアンってボクの名前を呼ぶ度、凄く嫌な寒気がした。

 

だからこれも呼び方を変えてくれるように言って、家族の中でボクはリーアって呼ばれるようになった。

 

リーねえと似てるって言うと、リーねえは鼻を押さえて上を向いた。

 

 

 

あとズボンは嫌い。ワンピースがいいと言ったら、母さんは困ったようにけど丁度言いと言っていた。

 

 

 

 

いつの日からか夢を見るようになった。

 

内容は覚えてないけど、本当に嫌な夢。

 

その夢を見るたびに、辛くって苦しくって母さんに泣きついた。

 

その度に母さんは優しく撫でてくれて、この時から前よりも人が怖くなくなったけど。

 

それよりも水面に移った空虚な眼が、時折頭を過ぎるようになった。

 

大人になってからアレが絶望というモノだと知ったが、その時はただ恐怖した。

 

 

 

四歳になって少し経つと、ボクは両親とリーねえと一緒に遠くに出かけることになった。

 

両親はボクの小さな世界を広げたいらしい。

 

意味は分からないけど、凄く嫌な感じがしたから、本気で拒否することにした。

 

泣きながら断って、狼の姿で森に逃げ込んで、部屋に閉じこもってと、本気で反抗したら、お父さんとお母さんが妥協してくれた。

 

知り合いの屋敷じゃなく、その敷地内だけど一軒家を借りてくれるって。

 

それでも嫌だって、布団の中に閉じこもっていたらいつの間にか眠ってしまった。

 

 

 

気が付けば飛行機の中にいた。

 

眠っていたボクをそのまま連れて来たらしい。

 

むくれるボクにお父さんは説教をして、お母さんはごめんねと謝り、リーねえは仕方ないねと笑っていた。

 

ボクは不貞寝をすることに決めて―――凄く凄く怖い夢を見た。

 

 

 

家から出たボクを、知らない大人の人影と知らない子供の影が追いかけてきた。

 

必死になって逃げるけど、全然逃げ切れなくて。

 

気付けば転んで、足は動かなくなった。

 

這いつくばって逃げようにも、動くことは出来なくって―――大人の影がボクの背中に圧し掛かった。

 

息が詰まり呼吸が出来なくなる。どんどんと意識が遠のいていく。

 

意識が遠のいていくのが分かるのに、何故か足に痛みが走った。そして何かを食べるような音。

 

その音を聞いて――ボクは目が覚めた。

 

飛行機の中で目が覚めたボクは決心した。

 

――決して、母さんの知り合いには会わない!!と

 

 

 

日本と言う国について泊まる家についてからは、毎日昼は外へと飛び出して、夜は部屋に閉じこもることにした。

 

だからまだ母さんの知り合いには会っていない。

 

 

家を出る時は、敷地の外から振り返るようになった。

 

付いてきてる人が誰か確認する為。

 

その人がリーねえだったから、本当に安心した。

 

だから心から遊びまわることが出来た。

 

 

 

心から遊びまわるとここは本当に面白場所だった。

 

海に、山に、森に。神社の参道は大変だったけど。

 

忍者も侍も、ボクと一緒の狐もいた。

 

ここは本当に面白い場所だ。皆何を言っているのか分からないけど。

 

それでも――ほら、今も目の前に綺麗なアクセサリーをしたネコさんが居る。

 

 

 

 




続きを読んでいただき、誠にありがとうございます!!

そして続きをどうしようかと色々迷い中。
迷いながら、なんか違うのに手を出しそうな予感w

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