“古”の決闘者   作:笹もち

5 / 8
こんばんは、笹もちです。
この作品を読んだ方やお気に入りをしていただいた方々に深く感謝するとともに文章を読み直し誤字脱字に気をつけたいと思います。
評価された3人の方々にも深くお礼申し上げます。

書き上がっているとはいえ、読み直して見ると手心を少しくわえたくなってしまうので少々遅くなってしまう。

これからも読んでいただければ嬉しいです。


1-05 三銃士

 

 

 決闘者の道というのは酷く峨しい道である。人生という長いデュエルロードをひたすら勝ち続けなければならない。しかし彼女、武藤静楓は幼き頃より敗北を味わってきたのだろう。か弱く細い身体の火傷の痕から察するに決闘以外に暴力に晒されてきたのは一目瞭然。

 周りから突き刺さる痛いほどの視線を浴びながらもこうして決闘者の道を選び、デュエルアカデミアへと進んだ彼女を讃える以外の言葉など必要なのだろうか。否、必要ない。今の一葉に出来ることは耐えるだけではなく、闘う意思を持とうとする彼女との決闘に本気で相手をすること。ただそれだけで充分だ。

 

「私のターン、ドロー!!」

 

 デュエルアカデミアという決闘者の狭き登竜門を潜った彼女だ。拾ったカード達、三銃士から察するに早々弱い決闘者とも思えない。三銃士で構成されているなら融合を中心としているか、もしくは上級モンスターへの布石としているかどちらかだろう。

 

「二重召喚を発動!! このターンの通常召喚を2回まで行なうことが出来る!!」

 

 

 

二重召喚(デュアルサモン)

通常魔法

このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

 

 

 どうやら後者のように思える。

 

「クイーンズ・ナイトを召喚!! さらにキングス・ナイトを召喚!!」

 

 

 

【クイーンズ・ナイト】

通常モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600

しなやかな動きで敵を翻弄し、

相手のスキを突いて素早い攻撃を繰り出す。

 

【キングス・ナイト】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

自分フィールド上に「クィーンズ・ナイト」が存在する場合にこのカードが召喚に成功した時、デッキから「ジャックス・ナイト」1体を特殊召喚できる。

 

 

 

 前言撤回、確実に前者だ。このまま三体揃えてヒャッハーなことになるんじゃないだろうか。一葉の頬を冷や汗が伝う。三銃士が三体揃うことこそ構わないがその三体から生み出される存在が酷く強い融合モンスターだったとしよう。そんなものが僅か一ターン目の先攻で出されたら後手に回る一葉からすれば脅威以外のなんでもない。

 

「キングス・ナイトの効果発動! 自分フィールド上にクイーンズ・ナイトが存在する場合に召喚に成功した時、デッキからジャックス・ナイトを特殊召喚出来る!! 来て、ジャックス・ナイト!!」

 

 

 

【ジャックス・ナイト】

通常モンスター

星5/光属性/戦士族/攻1900/守1000

あらゆる剣術に精通した戦士。

とても正義感が強く、弱き者を守るために闘っている。

 

 

 

「そして融合を発動!! クイーンズ、キングス、ジャックス・ナイトの三体を墓地に送り、アルカナナイトジョーカーを特殊召喚よ!!」

 

 

 

【アルカナナイトジョーカー】

融合・効果モンスター

星9/光属性/戦士族/攻3800/守2500

「クィーンズ・ナイト」+「ジャックス・ナイト」+「キングス・ナイト」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。(1):1ターンに1度、フィールドのこのカードを対象とするモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)の手札を1枚捨てて発動できる。その効果を無効にする。

 

 

 

「っ…アルカナナイトジョーカー…だと」

 

 眼前に現れた神々しいともいえる騎士。主を守護せんと静楓を背に一葉の前に立ちはだかる。凄まじい覇気、歴戦をくぐり抜けてきた強者の気配。これは武藤遊戯が所持し共に戦い抜いたカードの一枚なのだろう、すぐにわかった。アルカナナイトジョーカー、彼はソリッドヴィジョンシステムに映し出されてはいるがとてつもない魔力を感じる。

 

「これは一筋縄ではいかないか…」

 

「これが私の切り札、お兄さんがくれた御守り!! でも、なんでだろ……いつもはこんな風に上手くデッキ回らないんだけど」

 

「デッキは自分が信じれば信じるほど応えてくれるものだ。今の武藤さんがこの決闘で自分を変えたいっていう思いにカード達も手伝ってくれているんだろうな」

 

 とかなんとか言いつつ今のフィールドは危ない。アルカナナイトジョーカーを越える攻撃力のモンスターは生憎、一葉のデッキの中には入ってはいないのだ。

 

「ふふっ、そうだと良いかも。カードを一枚伏せてターンエンド!! 手加減無しで全力でぶつかってきてね!」

 

 全力でぶつかりたいのは山々だがこの攻撃力は突破出来やしない。一葉は心の中で静楓へ反論してみた。だが残念なことに心の中で反論しようとも状況は変わらないのであしからず。

 

「俺のターン!! ドロー!!」

 

 とりあえず今は自分に出来る精一杯のことをしよう。伏せカード一枚にフィールド上には最強のモンスター、決闘者ならばこういうシチュエーションでこそ燃えるものなのだと一葉は考える。しかし燃えるどころか冷や汗が流れている時点で決闘の流れは彼女の手の内にある。

 主導権を握るにはアルカナナイトジョーカーをフィールド上から排除しなければいけない。対象をとる効果での破壊は難しいと見える、彼女の手札は少ないが可能性があるからにはなかなか動けない。ここは動きを見てみるか。

 

「熟練の黒魔術師を召喚。カードを三枚伏せてターンエンドだ!!」

 

 

 

【熟練の黒魔術師】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1900/守1700

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

自分または相手が魔法カードを発動する度に、

このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。また、魔力カウンターが3つ乗っているこのカードをリリースして発動できる。

自分の手札・デッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」1体を選んで特殊召喚する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つい心が踊ってしまう私がいる。デッキが回るということが決闘をここまで楽しくさせてくれるということを初めて知ってしまった。いつも決闘する度にデッキに振り回されている気がしてならなかった、来てほしいカードが来てくれない。

 その度に落ち込んで勝手にガッカリしてカード達もそんな私に呆れて使ってほしくなかったのかもしれない。それでも今日はほしいカードが来てくれている。

 

「もしかして…私が自分を変えたいって思ったから……?」

 

「ん? どうした、きみのターンだよ?」

 

「あ、ごめんなさい!! ドロー!!」

 

 いけない、今は自分にきっかけをくれた人と決闘をしているんだ。集中しなくちゃいけない、と静楓は意気込む。そしてフィールドに視線を走らせて不思議そうにキョトンと目を見開いてしまう。

 フィールド上には熟練の黒魔術師と伏せられた三枚のカード。これは攻撃を誘われているのか、いやブラフなのか一瞬迷う。しかし対象をとる魔法・罠はアルカナナイトジョーカーには効かない。それならば静楓の選ぶ選択肢は一つ、攻めるのみ。

 

「バトル!! アルカナナイトジョーカーで熟練の黒魔術師に攻撃!!」

 

「そうはさせない!! 速攻魔法発動!! ディメンション・マジック!!」

 

 

 

【ディメンション・マジック】

速攻魔法

自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択した自分のモンスターをリリースし、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。その後、フィールド上のモンスター1体を選んで破壊できる。

 

 

 

 伏せカードはディメンション・マジック。自分の魔法使い族のモンスターをリリースして手札から魔法使い族のモンスターを特殊召喚してからフィールド上のモンスターを破壊するわけね。ディメンション・マジックの効果は対象をとらないからこのままアルカナナイトジョーカーは破壊されてしまう。

 

「…ということはさせないんだから!! ディメンション・マジックにチェーンして速攻魔法発動!! 融合解除!! アルカナナイトジョーカーを融合デッキに戻して墓地からクイーンズ、キングス、ジャックス・ナイトを守備表示で特殊召喚!!」

 

 優先権はターンプレーヤーにある。同じスペルスピード2であるディメンション・マジックでも私の融合解除が優先される。それでも一体は破壊されてしまうわけか。

 

「……っ!! ちゃんと勉強はしているみたいだな。熟練の黒魔術師をリリースし、手札よりブラック・マジシャンガールを特殊召喚!! そしてキングス・ナイトを破壊!!」

 

 

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

効果モンスター

星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700

(1):このカードの攻撃力は、お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数×300アップする。

 

 

 

 その可憐な魔法使いを見た瞬間に驚いて声が出なかった。お兄さんの使っていたカードの一枚。でもどこか見た目が違う、元々ギャルのような雰囲気はあるけれどもっとギャルっぽく色っぽくなっている。

 

「ブラック・マジシャン・ガール……な、なんで…」

 

「今は決闘に集中した方が良いと思う、足元すくわれるぞ」

 

「…うぐ、確かに。私はこのままターンエンド…」

 

 なんで一葉さんがお兄さんのカードを持っているんだろう。でもイラストが違うから別物だとは思うし。静楓はブンブンと音が鳴りそうな勢いで首を振って頭から雑念を消しさる。

 黒髪に黒い瞳の彼。どこにでも居そうな普通な少年に見える。でもそれだけではない。強者から出る雰囲気のようなものが滲み出ている。どこかお兄さんと似ていなくもない。

 

 ――貴方は一体…。

 

 

 




誤字脱字の報告や指摘、感想等お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。