“古”の決闘者   作:笹もち

8 / 8
ひ、評価に色が付きました(´。✪ω✪。 ` )黄色
評価を入れてくださりました方々、ありがとうございます。
これからもこの作品をよろしくお願いします。


1-08 始まる悪夢

 

 

 

 クル・エルナを襲った一夜の悪夢。

 さぞや長い長い悪夢だったろう。苦しみ、嘆き、怒り、負の感情全てがその村に降り注いだはずだと神官アクは考えていた。負によって生み出されたものは負でしかない。神官アクナディンが生み出そうとしているものは千年アイテムと予想がつく。

 千年アイテムによって魂は浄化されるどころか生贄として捧げられるので死ぬよりも辛く、輪廻転生の理からも外れるために永遠に報われずに意識を持ったまま話すことも食べることも考えることも感情も全て失い、千年アイテムの中で長い時を過ごすこととなってしまう。せめて浄土に送ってやろう。

 

「千年アイテムを生み出すには時間がかかる。今のうちに少しでも魂の浄化をせねばーー」

 

「ーーこんなところでなにをしてるんだ、神官アクよ」

 

「ッ!!」

 

 暗闇に溶け込むようにそびえる神官アクナディンが不気味な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見事なまでの寝不足だった。

 昨夜の出来事のせいで上手く寝付けずに気付いたら朝になっているし、ペラもいない。昨日の決闘が終わってから姿を見せていない。普段もよくあることなのだが、昨日の今日なので少し気になってしまう。

 ペラは見た感じは幼女でも本来は最上位の魔物のなので身を守る術はあるだろうと一葉は思う。しかし相手がアクナディンともなるとやや怪しい。仮にも神官時代の力をそのまま持っているとすると、厄介極まりない。

 

「ペラも心配だけど問題は武藤さんなんだよな」

 

 武藤さんのデッキに宿る魔物は非常に凄まじい力を持っているし、心配はないのだけれど。心に綻びがあるとこを狙われれば心配だ。兄が兄だけに幼少から受けた他人からの仕打ちを見れば一目瞭然だ。

 他人を完全に信じきれていない、ということ。一葉の言葉が心に響いたとしても無意識というのは人にはコントロール出来ない。アクナディンならば容易にそこを突くことが出来るのは確かだ。

 

「一葉、なんか言ったか?」

 

「腹減ったなーって」

 

「相変わらずだな……明日は月一試験が控えているというのに」

 

「なんだかんだ言いつつ、それでも天上院から誘われた夕飯には行くのな」

 

 あまり深く考え込んでも事態が良くなるわけでもないのでとりあえずは腹に何か溜め込んでおかないと。天上院から夕飯に誘われるなんて滅多にないことなのだが、武藤さんも誘ったといわれては行かないわけにもいかない。

 彼女のことは注意しないといけないというのと、アクナディンの言葉で気になる点があったことについて少し聞かないと。

 

『pipipi』

 

 PDAに届いたメッセージの送り主は天上院明日香と記されていた。中等部時代は良くぶつかりあっていたが、今では仲の良いメル友になりつつある。古代では石版でメッセージを送っていたのでセキ友ともいうが、時代の流れは凄まじい。

 

「なんだ、天上院くんからか」

 

「あぁ、食堂のおばちゃんが俺らが来るっていったら腕を振るってくれるらしい」

 

「ーーその夕食にボクも混ぜてくれないかな? 一葉くん」

 

 それは突然だった。

 月夜に照らされる茶色の髪をなびかせる端正な顔立ちをした女子。オベリスクブルーの制服からして同じ学生なのだろうが、その瞳は死んでいる。酷く濁っていた。声色にも生気が感じられず、魂はここにあらずだ。

 普通に考えればオベリスクブルーの女子が一緒にご飯食べましょうよっていうイベントが発生するんだろうけど昨日のあんなことがあったら、イベントの内容も変わると一葉は思う。

 

「……ツァンか。友達と食べるからさ、夕食には混ぜられないな。万丈目、先に行っててくれる?」

 

「あ、あぁ。なんかよく分からんが済まして来いよ」

 

 万丈目の背中を見送るのと同時に目の前のオベリスクブルーの女子を注意深く見やる。僅かだが、身体を包む黒いオーラらしいものが見えるのは気のせいではない。十中八九、アクナディンの手によるものだ。

 今の紅一葉としての身体ではアクナディンの邪気や力を祓うほどの力を持ち合わせていないのが非常に痛い。

 

「友達を先に行かせるのはいいけれど、ボクだけだと思わないことね」

 

「っ!! どういう意味だ」

 

「さぁ、どういう意味かしらね。残念だけど、一葉くんはここで終わりだけれども。アクナディン様のこれからは、ここから始まるのーー」

 

 ーーーー闇のゲーム。

 

 その場の空間が歪む。漆黒のドーム型のオーラが場を包んでいく。一葉は目を大きく見開いて驚いた。闇のゲームはダメージが実体化し、挙句の果てには敗者が死ぬ可能性すらある残酷極まりないものだ。

 他人の命を弄ぶやり方は以前と変わらない。しかも一葉が彼女を倒すのに躊躇うと知っていてやっているぶん、悪趣味さは増している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決闘(デュエル)

 

 紅 一葉LP:4000

 ツァン・ディレLP:4000

 

 

「先行はボクだよ!! 六武衆-ザンジを召喚、六武衆の師範を手札から特殊召喚してカードを二枚伏せてターンエンド!!」

 

 

【六武衆-ザンジ】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1800/守1300

自分フィールド上に「六武衆-ザンジ」以外の

「六武衆」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードが攻撃したモンスターをダメージステップ終了時に破壊する。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊できる。

 

【六武衆の師範】

効果モンスター

星5/地属性/戦士族/攻2100/守 800

自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。このカードが相手のカードの効果によって破壊された時、自分の墓地の「六武衆」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える。「六武衆の師範」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

 

 

 

 ツァン・ディレは自分の未熟さに嘆いていた。身体の自由がきかず、思っていることと喋る言葉すら違う。なぜこんなことになったんだろう。一葉とは中等部時代からの仲だ。普段はあまり話すこともなかったけれど、いざという時には頼りがいのある男子だったとは思うくらいには覚えている。

 きっかけは昨日の夜だった。自室の窓を突き破って現れた黒いローブの男が決闘を挑んできてからの記憶が一切ない。

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

 闇のゲーム。そんな単語すら今まで聞いたこともない人生送ってきたのに、ようやく高等部に上がって実力を発揮できると思った矢先に訳の分からないことに巻き込まれる不運。

 

「永続魔法、黒の魔導陣を発動。デッキの上から三枚めくり、ブラック・マジシャンのカード名が記された魔法・罠カードをまたはブラック・マジシャンがあった場合、その一枚を相手に見せて手札に加えることが出来る!!」

 

 

 

【黒の魔導陣】

永続魔法

「黒の魔導陣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードの発動時の効果処理として、自分のデッキの上からカードを3枚確認する。その中に「ブラック・マジシャン」のカード名が記された魔法・罠カードまたは「ブラック・マジシャン」があった場合、その1枚を相手に見せて手札に加える事ができる。残りのカードは好きな順番でデッキの上に戻す。(2):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が召喚・特殊召喚された場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

 

 

「俺が加えるのはブラック・マジシャンだ!! カードを二枚伏せてターンエンド!!」

 

 黒の魔導陣。

 ツァン・ディレは思い出した。紅一葉、彼のデッキは自身には絶対に勝てないということを。

 

 

 




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