DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》 作:アルファるふぁ/保利滝良
物騒なサブタイトルで自分でも笑えます
いつものことか
レジスタンスの拠点の一室にて、二人の男がいた
片方はレジスタンスのリーダー、タクマ
もう片方は謎のパイロット、ナガイである
椅子に座ったタクマは、まっすぐとナガイの目を見た
気の弱い人間なら失禁しかねないほどの眼力を、彼は無意識的に放ち続けていた
「出ていったと思ったらトンボ返りで驚いたか?」
「いえ・・・戦闘マシーンが出てきたので、心配しました」
皮肉混じりの一言に、タクマは強引に話題を変えた
「ああ、ブラス国はどうやら俺達を完全に敵だと判断したようだ」
「達?」
「ああ、達だ・・・それで、お前はどうするつもりなんだ?」
「どうするつもり?一体何のことを・・・」
質問の意図がわからず、タクマは眉をひそめた
だがその顔に、目を大きく見開いたナガイが顔をズイッと近付ける
チンピラのカツアゲのような状況だ
だが、ナガイの迫力は獰猛な肉食獣を彷彿とさせる
「テメエの腹を聞かせろってンだよ」
ドスの聞いた声で、ナガイがタクマに問いかける
「別に身を守るためにブラスの野郎共に喧嘩売るつもりなら構いやしねえが、テメエはそんな簡単なことだけで動いてるワケじゃねえのはわかってる」
顔を離し、椅子に座ったタクマを見下ろして、ナガイは淡々と問いかける
「だからお前の腹ン中、聞かせろ」
タクマは口を開き、閉じ、また開くと、言葉を紡ぎ始めた
「この国は独裁者が横暴を働いています・・・人々は高い税金に苦しみ、未来に生きることさえできません・・・逆らえば戦闘マシーンを多数持った軍隊が潰しに来ます・・・暗君は和平など考えず他国を攻撃し、そのための物資や資金を国民から巻き上げています・・・軍は我が物顔で民を虐め、国王も士気のためそれを承認している・・・俺は争いのない国を作りたい、独裁者のための国ではなく、国民一人一人のための国を作りたい・・・隣の国へ武器ではなく親愛を向け、民から重税ではなく信頼を得たい・・・そんな国を作るために俺は・・・」
長台詞の最後にタクマは、深呼吸をした
そして、大声で決意を叫んだ
「王を、倒す!」
「そうかよく言ったッ!」
大声で笑いながら、ナガイはタクマの肩を叩いた
痛みに目を白黒させて、タクマはナガイの顔を見た
「俺らの利害は一致した、手ェ貸してやる」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ、今から俺らは、王国ぶっ潰し同盟だ」
レジスタンスの拠点に、ナガイの高笑いが響いた
「皆、聞いてくれ!」
タクマの声に、その場のレジスタンスが全員振り向いた
彼ら一人一人の顔を見据え、タクマは声を張った
大きく、力強く、はっきりと
「俺達は、ブラス国王を倒す!国ではない、国王だけを倒すんだ!」
その一言に、レジスタンスが体全体をタクマに向けた
いつになく真面目な話だと気付いたのだ
「だが国王を倒すだけでは国は良くならない!だから俺はブラスをどんな国にしたいか考えた!」
大きな身振り手振りを交えて、鬼気迫る表情でタクマは叫び続けた
「一つ、税金を今の半分以下にする!国の人々を苦しめてまで、あんな仰々しい軍を保つ必要はない!」
シオリがタクマの傍に駆け寄った
何か言いたげなシオリに、タクマはウインクをした
それだけで彼女は察した
タクマは、信じて欲しいと伝えたのだ
「二つ、マイナー国と和平を結ぶ!俺達は争う理由なんて無かったんだ、だから手を取り合うんだ!」
ミユキとリキもタクマを見ていた
ミユキは大きなことが起こる予感を、リキはタクマの成長を感じ取った
「三つ、国王制は廃止する!国王の独裁政治じゃあなく、国民が選び出したちゃんとした代表者達に国を支えて貰うんだ!ブラスのために一生懸命になれる人に!」
いつの間にかタクマは、拳を強く握っていた
「新しい、希望と未来のあるブラスのために、皆の力を貸してくれ!!!」
タクマがそう締め括ると、レジスタンスは拳を真上に突き上げて吠えた
その場のレジスタンス全員が、腹の底から雄叫びをあげたのだ
レジスタンス達は汗ばんでいた
あまりの興奮に、体が熱を帯びていた
それを見て、ナガイは口角を吊り上げた
「面白ぇ」
攻撃的な笑みを浮かべて、ナガイは呟いた
「国王狩りの始まりだ!」
物騒ですねえ~