一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結) 作:A.K
涙流しその姿
破壊の鉄槌構えれば
その元凶に向かい
降り注げ
怒りと殺意を乗せた
我が怒り込めし一撃なり
早朝。俺は日課である特施での訓練を行っていた。今日は刀奈は朝から用事があると言って、今ここにはいない。
────主
『なんだノーネーム?』
────何時もよりも気が高まっておりませんか?
主の気が高ぶるたび、機体稼働率がどんどん上がっているのですが
『あんな事があったんだ。気が高まってな』
昨日の鈴が泣いたあの件。俺はあの時見た鈴の涙を忘れはしない……いや、忘れぬものか。俺が久しぶりに『最高の友』と認めた奴を泣かせたのだ。何が何でも……
『織斑を締めなくては』
────あの、流石に殺人だけは止して下さい主
澪はいつも行っている訓練メニューを、通常の倍近く早い時間でこなして特施を出て行った。それを黙りながらも心配しながらノーネームは澪を見ていたのであった。
(一夏の事など、心配はしていない。)
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一夏は違和感を感じた。それは朝起きた時から妙に息苦しいのだ。同室の箒が朝の鍛錬から帰ってきた時に一夏は、箒にこの事を話したら私も同じだ……と言われてやはりと納得したのだった。
「……箒」
「なんだ一夏」
「なんか……教室に近づく度に、息苦しさが高まってないか?」
一夏はそう言って辺りを目だけで見回す。そこには顔を真っ青にした生徒達や教師が居るのを見た。そして、遂に一夏達の教室に着いた。二人が教室に入った瞬間────空気が凍った。
「来たか」
一夏と隣にいた箒は恐怖した。破壊を体現したかの者から放たれるその殺気と怒気の波が、教室の一番後ろ左端の席から放たれているのだから
「れ、澪……おはよう」
澪はその言葉を聞くと、席を立って最短ルートで一夏の元に向かう。この時一夏は謎の息苦しさの正体が、澪から発せられていた殺意と怒りだった事に気付いた。
一夏は目の前に澪が立っていることに気づいた。
「お前……なに鈴泣かせてんだ」
「なっ、なんでそれを……!?」
織斑は俺がそれを知っていて驚いたようだが、残念だが当の本人から聞いてるのでな。織斑の愚業はバレバレだ。
「なんで?昨日寮の一階休憩場で休んでいたら、たまたま鈴が通り掛かってな。その時に聞いた」
「(や、やばい……確か澪と鈴って互いの事を最高の友と呼んでいたんだった!)」
学園内でも澪と鈴の仲の良さというのは有名で、ちょくちょく模擬戦も行っている。さらに、あまりの仲の良さに恋愛関係にあるのではないかとも言われている。
(本人達はそれを拒否している)
「……で、お前はもう鈴に謝ったのか?」
「ま、まだだ」
「……なに?何故まだ謝まっていない」
「何故って……そりゃあ、俺は本当の事言っただk」
一夏がそう言っていた直後だ。澪が一夏の顔をその右手で軽く掴み、持ち上げる。澪は軽くでやっているが、一夏からすればとても強い力で握られ、持ち上げられている事に変わりはない。
「ぐおぉお!?」
「い、一夏ァ!?き、貴様ぁぁぁぁぁ!」
その光景に教室に居たクラスメイト達も驚き、悲鳴をあげ……る前に澪がクラスメイト達に『喚くな』という意味合いを含む視線を向けて静かにさせる。唯一喚いてるのは箒だけだった。
「せええぇぇぇい!」
「どっから取り出すんだ……その木刀」
そう言いつつも箒は何処からともなく木刀を取り出し、澪に向けてその怒りを乗せた斬撃を放つ。澪は迫り来る箒の木刀を空いている手で掴み、瞬間的に『収納』する。箒を含めた澪以外の生徒達は突然の事が起きた後にまた新たな事が起きた事で驚き、箒に関してはその場で固着していた。澪はまた一夏の方にへと視線を変える。
「お前……あんな良い奴に、酷いことをするもんだな。ええ?」
「ぐああ……!」
ああ……織斑のせいで鈴が泣いたのか。許せん。こんな女心ぶち壊し野郎に、鈴は……
澪はとりあえず織斑離すかと思い一夏を離した。箒は離された一夏を見てから澪を睨む。しかし……箒は澪の前髪から覗かれた日本人だと思われないような紫色に光り輝く左目に驚いた。
何故……?そう箒は思っているが、それ以上にその目から注がれる『お前を殺す』と言われるような視線に身が凍るような気がし、箒は大人しく引き下がった。
「まあいい……織斑」
澪は己の手から開放され、今だに咳き込んでいる一夏に向けて淡々と言う。
「今日の放課後16時に、第一アリーナに来い。てめえをそこで裁く」
澪はそう言ってから目の前で未だに咳き込んでいる一夏と、箒を含めたクラスメイト達を無視して自分の席に戻った。その瞬間今まであった殺気が消え、いつもの一日に戻った。
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放課後。俺は織斑に言った時間まで第一アリーナ戦闘域にて、人間体で軽めのストレッチを行っていた。第一アリーナには俺以外ISを使用している者はいない。なぜか?それはこのアリーナを俺が貸し切っているからだ。
俺以外にアリーナに居る者としたら、女性主義者達とたまに話すぐらいの上級生の先輩達とクラスの奴等ぐらいだ。
(……来たか)
────ハイパーセンサーにIS反応
澪の視界に現れたIS反応。次の瞬間、アリーナのピットから白亜の騎士が飛び出し、澪と結構な距離を開けてやって来た。
「悪い、待たせた」
『俺に言うなら、鈴に言えよ。織斑』
「だから、なんで鈴に謝んないといけねんだよ」
(ノーネーム。各武装及びシステムの状態の確認頼む)
────Yes、了解です主
『通常形態』及び『流星』のシステムチェック……オールグリーン
各武装データ及び不備個所点検……オールグリーン
『A.I.S.S.』及び『真紅の光壁』も問題無し
主。行けます
俺はその言葉を聞いて、IS体である名前無き破壊者になる。非固定浮遊部位の大型スラスターを起動して、アリーナの空に舞う
『てめえが俺が言った言葉を理解しているならいいと思った……が、どうやら何もわかってはなさそうだ』
澪こと名前無き破壊者の非固定浮遊部位の大型スラスター以外の全スラスターを起動させ、全身から蒼い炎が放たれる。それへ澪の怒りが形となったようにも見え、一夏はこの光景を直に見て体が震える。
『……地獄に堕ちろ』
一夏は澪が攻撃をすると瞬間的に予測し、白式の唯一の武装である雪片弐型を右手に展開。白式が持つ非固定浮遊部位の大型スラスターを起動させ、雪片弐型を両手で構えた。次の瞬間、澪が一夏の数m先に移動。
本能的なものだったのだろう。一夏は迫り来る機械の拳を見を低くすることで回避した。そこで一安心する一夏であったが、名前無き破壊者の脚部から金属音らしき音が聞こえ不思議に思った。
『油断してるんじゃねえ』
次の瞬間、一夏は腹部に強烈な衝撃を与えられた。そのまま一夏はアリーナの上空戦闘空域限界地点にあるシールドバリアまでぶっ飛んだ。
『……ブーストキックって、やろうと思えば出来るんだな』
ブーストキック。脚部スラスターの排出を一瞬だけ莫大な量にし、その時の推進力を活かして放つ蹴りのことだ。
「う……うおおおお!」
まだ気絶してなかったか。 ん?織斑は単一仕様能力を発動してるのか。まあ……あんな隙だらけの構えではなあ!
澪はそう考えた後、上から落ちる力と大型スラスターからの推 進力で接近してくる一夏の方にその体を向け、復讐者の剣を展開して澪は一夏に向かって突撃する。
「おおおおお!」
『そんな攻撃……』
竹割りの様に縦に斬る単純な攻撃を俺は単純に横に擦れる形で避け、織斑の胴体に向けて復讐者の剣で輪切りのような感覚で斬る。勿論、SEがある時とA.I.S.S.を起動させて無い時には直に攻撃が届く訳が無く、シールドバリアーと絶対防御に防がれる。
俺の攻撃を横から受けた織斑は、態勢を崩して錐揉みしながらアリーナの地面に落下した。
『……当たる訳ねえよ』
今回の俺は攻撃モーションに入る時以外、全身のスラスターをほぼ使って動いている。その為何時もより数段速さが上昇しているので、織斑が前の感覚でやろうとしても無駄に終わる。普通の人間ならこれだけで全身の筋肉に異状が見られるか、最悪死んでもおかしくない。だが、ISと融合している俺だからこそ出来るものだろう。
────主。奴はまだ気絶してないようです
『織斑……まだ理解出来てないのか?』
「……解んねえよ」
墜落で起きた土煙の中から、煙を吹き飛ばして出てきた織斑は俺にそう言う。そうか……まだ……
『まだ……足りんかぁぁぁぁぁ!』
俺はスラスターを全開で吹かし、織斑の目の前に着地する。クレーターが出来たのは気にしないで、すぐ目の前で惚けてる織斑に向けて攻撃続行する。
まずは復讐者の剣で数回斬り付け、雪片弐型を横回転式ブーストキックでアリーナの壁まて吹き飛ばす。そうすると最早攻撃が殴る蹴るしか出来なくなった織斑、その表情は恐怖に怯える者の顔だった。
『……歯あくいしばれ!』
1発。全身のエネルギーを右腕に溜めた一撃を、織斑の顔に向けて放った。織斑はその一撃で頭からアリーナの壁にぶっ飛び、脚部以外壁に埋まった。
『……ふん』
澪は一夏が壁に埋まったのを見て、アリーナのピットに戻って行く。ほんの少しの間の戦闘だったが、アリーナには静寂と惨劇が残された。
「帰るか……」
澪はピットに戻った後、そう言ってから寮に帰った。尚、この後ISを纏った教師達がやって来て、一夏を回収した。幸い一夏と白式には攻撃を受けたにも関わらず、ダメージレベルが低かった。アリーナ戦闘域と壁の修理等は用務員が一日で直したと言う。
主がいて、我等が居る
我等は……主に寄り添うだけで満足出来る
主だから、この世の憎しみを最も受けたから
我等は主の元に集います
我等の願いと主の努力を
新たなる力に……
────ODA作成稼働率︰92.82%
次回予告
あれから暫くの間が経った
今日はクラス対抗戦
織斑と戦うのは……鈴!?
そんな中だった
────主
ノーネームから一つの知らせを受ける
「なんだ?」
────襲撃です
盛り上がる試合
それは突然の乱入者によって終わりを迎える
次回=試合と襲撃と=