一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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我等は集う

我等を扱うISの王

我等が主の元に

集え

忠誠すべき主がいない者達よ

一人の我等の被害者の下に


試合と襲撃と

 ああ……五月蝿い。外はとても五月蝿い。だいぶ気温が暖かくなって来て過ごしやすくなりつつあるこの頃、澪は怠そうにそう頭の中で呟いた。

 

 

「サーカーキー君。そんな嫌そうな顔しないの」

 

『そうですよ主』

 

「ぬう……刀奈だけだと思ったらノーネームまで言うか」

 

 

 もうこれでもかと言うぐらい嫌そうな顔をしている澪に、刀奈とノーネームがちゃんとしろ……という意味を込めた言葉を言う。

 今澪達が居るのはIS学園本校舎生徒会室だ。この場にいるのは澪とノーネーム、刀奈の三人だけだ。二人にそう言われた澪は真面目な表情になってから言う。

 

 

「しかし……今日は朝から学園全体が盛り上がってると思ったが、今日が『クラス対抗戦』だったとはな」

 

「私は榊君がクラス対抗戦の事を忘れていたことにびっくりよ」

 

『すみません主。私が先に言っていれば良かったものを……』

 

「ノーネームが謝る事では無い。これは俺の認識不足だ、気にするな」

 

 

 そう。今日はIS学園1年の中のイベントの一つである『クラス対抗戦』が行われるのだ。クラス対抗戦は各学年別に行われ、各クラス代表がISバトルで勝ち、優勝を目指すトーナメント方式の戦いなのである。優勝したクラスには半年間の食堂のデザートフリーパス券が与えられるのだ。

 

 

「しかし、刀奈」

 

「ん?なに榊君」

 

「何故俺達はここでテレビ画面観戦するんだ?」

 

 

 澪は先程から思っていた疑問を刀奈に言った。普通ならばクラス対抗戦を見るのは、クラス対抗戦が行われる第一アリーナの観客席、それか特別観客席のどちらかで観戦するのが当たり前なのである。

 

 

「榊君……簡単な事よ。馬鹿な奴等が貴方を襲うから、その際に普通の生徒にまで馬鹿な奴等の被害が出ないようにするためよ」

 

 

 IS学園では『榊VS女性主義者達』という状態が続いており、普通の考えを持つ生徒にとっては関係ない話なのだが、このIS学園の女性主義者達は男子生徒(澪のみ)に対してなにもしない女性ならば男子生徒(澪のみ)を攻撃する際巻き込んでも良いと考える傾向がある。

 その為、この学園では希少なまともな生徒達と、澪を守る為とったのが今回のやり方だった。

 

 

「あとは……ネームちゃん達が居るけど、榊君と二人っきりになりたいからね♪」

 

 

 突然刀奈が言ったその言葉に、澪はちょうど飲んでいたお茶を変に飲み込み蒸せた。澪自身気付いているが、その言葉に己の顔が真っ赤になっていた。

 

 

「けほけほ……刀奈、冗談はよせ」

 

「えー?こんな美人のおねーさんに一緒に居たいって言われても、榊君は嬉しくないの?」

 

「嬉しいに決まってるだろ!……ただ、せめて飲み物を飲んでない時に言ってくれ。噴き出したら大変だろう?」

 

「あっ……ご、ごめんなさい」

 

 

 澪は落ち込んでしまった刀奈を見て、ポンポンと頭を優しく叩き「次気をつければいい」と言った。それに刀奈は目をつぶって気持ちよさそうにしていた。

 

 

「刀奈」

 

「なに?」

 

「……俺達が此処に居るのは、もしもの場合に備えているのも有るのだろう? この学園で突出戦力である俺と刀奈だけが、この場所にいるのはいくら何でもおかしすぎる。普通は生徒会室なんだから、同じ生徒会の虚さんやのはほんさんが居てもおかしくない」

 

 

 澪の言う通り、この場には澪以外には刀奈しかいない。同じ生徒会メンバーである布仏姉妹がこの場に居ない。澪の言葉に刀奈が言う。

 

 

「当たりよ。なにせ今年は初の男性IS操縦者が出場する関係で、それを良しとしない連中が襲ってくるかもしれないでしょ?」

 

 

 澪はその言葉を聞いて、女権団・IS委員会・テロリスト等が頭に浮かんだ。最も……既に学園内でIS委員会の刺客やスパイ等がいたのは確かだが。

(尚、既に処理済み)

 

 

ピリリリリ……!

 

 

 突然、刀奈からそのような音が鳴り響く。

 

 

「あっ、虚ちゃんからだ。ちょっと席外すね」

 

「電話か……あっ、ああ。分かった」

 

 

 澪のその言葉を聞いた刀奈は、携帯電話を何処からともなく取り出して生徒会室から出て行った。

 

 

「……」

 

 

 澪が見るテレビには赤と白の機体が剣劇を繰り広げている。その光景を澪は難しそうに見ている。

 

 

────どうしたのですか主?

 

「なに……織斑が双天牙月でスライスされないかと考えていただけだ」

 

 

 澪がそう言っている間に、いつの間にか鈴が纏う甲龍の龍咆が一夏に襲い掛かっていた。しかし、一夏は次第に龍咆の攻撃に対応して近距離戦闘を繰り広げている。

 

 

『なんで龍咆を避けられるのよ!?』

 

『何となくだ!』

 

 

 この光景に眼を張るものがあった。一夏は今日初めて龍咆を味わった筈、その為短時間でここまで避けるようになるのはすごい事だ。画面の中の一夏は、非固定浮遊部位の大型スラスターにエネルギーを送っていた。

 

 

「あれは瞬時加速か」

 

 

 澪が一夏が瞬時加速を使おうとしているのを見て、少しは成長したのかと少し感激していたがそれは起きた。

 

────主

 

「なんだノーネーム?」

 

 

 澪がそう言うと、ノーネームは叫ぶように言った。

 

 

────IS学園第一アリーナ上空に超高エネルギー反応検出

 

 

 ノーネームがそう言った時だ。生徒会室の扉が乱暴にバン!と開けられ、刀奈が慌てた様子で澪に喋る。

 

 

「榊君、襲撃者よ!」

 

 

 そういった次の瞬間、アリーナの試合を映しているテレビ画面の戦闘域の中央に白い光が上から当てられるのが見えた。

 

 

「……これは!」

 

『お二人方!何かにしがみ付いて下さい!』

 

 

 ノーネームの言葉に二人は戸惑いながらも直ぐに、机にしがみ付いた。その時だった。轟音と振動がIS学園を襲った。ガタガタと物が揺れる音が鳴り響く中、二人は個人間秘匿通信でこの事について話していた。

 

 

『この反応……どうやら強力なビーム砲によるもの。アリーナのシールドバリアを突き破った音と、その時の衝撃が今のだったのでしょう』

 

『そうか……ノーネーム。敵機は何機だ?』

 

『索敵による反応からは……一機です』

 

『ネームちゃん。コア反応からしてどこの所属か分かる?』

 

『……政府や企業機関等の登録されているものでは無いです。更に言いますと、この所属不明機からは生体反応が感知されてません』

 

 

 その言葉に二人は驚きを隠せなかった。ISは既に10年経とうとしているが、人を乗せないIS────無人機ISの開発に成功していないのだ。

 

 無人機IS開発には問題が多過ぎたのだ。その一番基本になるのが、ISの操作性だ。ISはパイロットが乗り、ISから送られてくる様々な情報を元として体を動かし操縦するというのが当たり前だ。しかし、無人機となるとそれに必要な柔軟で様々な情報を受け取れるナニカや処理能力を持つ機器等が必要になって来る。

 

 一般にはISコアは『467個』が存在して、それ以上は無いとされる。その為、限られた数でしかないISコアは貴重な物で、下手にISコアを使用した実験は出来ないのだ。

 

 

 

『ちい……敵は強力なビーム兵装を持つ無人機ISか。刀奈のISとでは相性は最悪か』

 

『私のISは水が主体だからね。超高熱の塊を出す相手では不利よ』

 

 

 振動が収まり、澪はアリーナの試合を映しているテレビ画面を見た。しかし、画面には何も映ってはおらず耳障りな音だけしか流れていない。

 

 

「刀奈、第一アリーナの監視カメラは?」

 

「駄目。さっきの衝撃で全て使えない。それと……第一アリーナのほぼ全てのドアがクラッキングされて、観客席にいる生徒達や教師達の避難行動に支障が出てる」

 

「っ……緊急用の、観客席特殊合金防御壁は機能しているのか?」

 

「ええ。それは問題無いわ……でも、あれはビーム兵装なんて想定されていないわ。アリーナのシールドバリアーが突破されれば

、充分貫通される可能性はある」

 

 

 その言葉の後、澪は生徒会室の窓を開けた。それに待てと刀奈が言う。澪はなんだ?と、開いた窓に向いたまま言った。

 

 

「一応言うけど、生徒会長権限と」

 

「────私、学園長権限でアリーナ外でのIS展開及び戦闘を許可します。例え織斑先生やその他の者達が喚いても、私達二人が許可しますので安心して下さい」

 

「……轡木さん。貴方は何時からそこに?」

 

 

 背中を向きながらも、澪はここに現れた第三者である轡木……本名『轡木十蔵』に向けて言った。轡木……真の学園長である彼は言う。

 

 

「ええ、ほんの数秒前から」

 

「……まあいいか」

 

 

 轡木の言葉に頭をポリポリとかいて、その一言で疑問を片付ける。何故か?轡木だからだ。

 

 

「では……行ってくる」

 

 

 澪はそう言うと開いた窓から飛び出し、生徒会室から文字通り飛び出した。澪の感情はここに来て荒ぶる。それは、今日のクラス対抗戦を待ち望んでいた者達や鈴・澪と親しかった者達を巻き込んで襲撃してきた者に対しての怒りだ。

 

 

「破壊してやる……名前無き破壊者!』

 

 

────了解です主

 

 

 生徒会室から飛び出して空中に舞い、空中に舞う身体から見られる視界には機体情報が映し出される。

 

 

 

機体名『名前無き破壊者』

 

状態  ︰競技モードから戦闘モードに移行

 

機能  :全システムオールグリーン

 

SE量  ︰25000指定

 

武装  ︰全武装状態良好

 

 

────戦闘モード移行により、一部機能のプロテクト解除

 

 

最高速度︰マッハ2からマッハ3へ

 

開放武装︰肩部展開高粒子剣『名無しの運命』

 

 

────SE量の調節は現状維持で行きます。

    全ての項目クリア。ご武運を主

 

 

 

 

 その言葉の後、澪の身体から漆黒の粒子が解き放たれた。黒は澪の体を覆い尽くし、もう一つの身体を構築し、本来の体を表す。その姿は、この機体の本来の戦闘モードに入った事によりその姿を変えていた。

 

 

『名前無き破壊者……行くぞ』

 

 

 漆黒の機体から解き放たれる真紅の炎。それは全てを破壊する者の怒りである。蒼く輝くその空に、漆黒の破壊者が君臨した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ODA作成稼働率︰99.99%




次回予告


熱線により薙ぎ払われたアリーナ

黒煙が漂い、戦場と化していた

白き騎士が倒れ

紅き龍も地に下された

迫る恐怖のIS

これまでだと思った時だ

それは恐怖

それは怒り


『お前か所属不明機か』


破壊を冠する者


『……壊してやる』


降臨


次回=黒き怒り=
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