一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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狩人は獲物を定め

どう仕留めるか思考する

しかして

その獲物は破壊者と呼ばれ

万物に対して平等に

怒りの鉄槌を陥れる

その……狩人に


疑心が晴れれば怒心

 俺は目の前のラウラ・ボーデヴィッヒの行動に驚く以外の言葉が見付からなかった。軍人から仲間にならないかと誘われているのだ、普通に戸惑う。

 

 

────私としては主が評価されて、圧倒的満足感を得る事ができます

 

 

 俺としては、まず……長いからボーデヴィッヒが軍属で居ることに驚く。確か今の世の中少年兵は禁止されているよな?

 

 

────そうですね。しかし、実態は……

 

 

 その実態は今も尚少年兵は増え続けている。しかも、ISが登場してからそれが加速している。

 

 ISが登場する前の時代、世界各地の少年兵は確実に減少傾向にありつつあった。しかし、ISが登場してから女尊男卑と女性主義者達の登場により突如として少年兵の数が倍に増え始めた。

 

 その原因。それは、女尊男卑の濃い国での子供……特に男の子の人身販売発生が激増。元人身販売者で、数年前に逮捕されたある者が男の子の人身販売が増えた理由に対してこう言ったそうだ。

 

 

 

 

「依頼人は……ほぼ女だが、皆口を揃えて言う。『男だから』

『男だから要らない』……とね。

 人身販売なんてしていた奴が言うのもなんだが、嘆かわしい事だ……こんな事」

 

 

 

 理不尽だ。男という理由で、幼い男の子達が売られていく。それでも、中には女の子の少年兵もいたそうだが……

 

 ボーデヴィッヒもそんな少年兵かと思った。しかし、ボーデヴィッヒは『我が部隊』と言った。なら、やはり先程も言った通り軍属。しかも、ISを主体に運用する特殊部隊……やはりそうでないと話が合わない。

 

 

「何時までそうしているつもりだ!」

 

 

 突然の怒鳴り声、それと共に俺とボーデヴィッヒの頭に振り下ろそうとして迫り来る二つの黒い物体。ボーデヴィッヒは糞教師の怒鳴り声に驚き硬着状態で動けないし避けられない。……仕方がない

 

 

「……ふん」

 

「わっ!?」

 

 

 ボーデヴィッヒを左腕で俺に引き寄せ、ボーデヴィッヒの頭にに向かっていた黒い物体……出席簿を右手で殴り天井に突き刺さる。瞬間的に俺の方に来ていた出席簿を軽く頭を動かして避けた。それによって、後ろの壁に出席簿が突き刺さる。

 

 

「……おい」

 

 

 俺は出席簿を投げた糞教師の方を向き、怒りを込めた目で睨む。俺はともかくボーデヴィッヒにまで、殺傷レベルの速度の出席簿を投げるとは……許せん。

 

 澪から放たれる怒気は、織斑千冬に向けている。織斑千冬にだけ、その怒りを真っ直ぐにぶつける。ぶつけられた本人は忌々しそうに表情を変え、誰にも聞こえないような音で舌打ちした。しかし、澪には完全に聞こえていた。

 

 

「……お、おい!」

 

 

 澪はボーデヴィッヒのその声を聞き、今自分が何をやっていたのかを思い出す。そう、澪は織斑千冬の攻撃からボーデヴィッヒを守る為……己の左腕で彼女を抱き寄せているのだ。

 

 

「い、何時までこうしてるつもりなのだ?さ、流石に恥ずかしい……」 

 

「す、すまない!」

 

 

 ボーデヴィッヒの顔は耳まで真っ赤で、澪から見るとその視線は定まっておらず、だいぶ混乱しているようだ。

 

 教室中には、殺伐とした空気が、甘酸っぱい空気が充満して何とも言えないような空間を作り出していた。

 

 

「えー……SHRはこれで終わりです。一時間目は二組と合同のIS実習なので、これ以上の挨拶等は休み時間にお願いします!

 場所は第二グラウンドです。織斑君達は至急第二アリーナ男子更衣室にて着替えを済ませてください」

 

 

 そんな中、山田先生の勇気ある行動でそんな空間が霧散した。その直後、織斑千冬が「織斑、榊」と言う。

 

 

「お前達、デュノアは更衣室の場所を知らん。その為、お前達がそこまで案内しろ。いいな?」

 

 

 そう言って糞教師が教室から出て、山田先生もそれについて行くように出て行った。それと同時に教室が慌ただしくなる。俺は別にISスーツに着替えなくても、問題無いから良い。でも、デュノアと織斑は着替えねえといけないからさっさと案内するか。流石に初めてここに来る奴に対して、最低限の案内はしないとな。奴の指示だとしても……な

 

 

「えっと……君が織斑君で、君が榊君?」

 

「おう!俺の事は一夏でいいぜ。よろしくな」

 

「おい、挨拶は後でいい。俺はISスーツ着ないからいいとして、てめえ等ISスーツに着替えるんだろう。案内するから早くしろ」

 

 

 ……全く。早くここから出ないと変態扱い(主に俺)されるんだから早くしろよ。

 

 澪はそう言って二人を連れて教室から出る。更衣室までの道の中で、デュノアと織斑目当てに来た奴らがいたがそいつ等を威嚇で退かしてすんなりと今日使用する第二アリーナ男子更衣室まですんなりとたどり着いた。

 

 

 

「じゃあ、俺はもう行く。あとは知らん」

 

 

 澪はそう言って織斑達を更衣室に置いて、一人歩いて第二アリーナ近くの第二グラウンドに向かう。

 

 

 

 

 

「……ニガサナイ」

 

 

 

 

 

────────────────────────────

 

 第二アリーナ男子更衣室から充分に離れ、第二アリーナの出入口を出た所で澪はその動きを止めた。そして、軽く全方位をハイパーセンサーで見渡してから呟いた。

 

 

「ミーティアいるか?」

 

────先程の物だね?ほいっ!

 

 

 澪の言葉と共にミーティアがホログラフでとあるデータを表示させる。それを澪はざっと見渡してから一息ついて、呟く。

 

 

「……やはりか」

 

────やはりでしたか

 

 

 デュノア社の人員、社長血族の情報データをミーティアに取って貰った。しかし、その中に『シャルル・デュノア』なんて言う人間は存在しせず、代わりにシャルル・デュノアと全く同じ顔の『シャルロット・デュノア』という女性がいた。というより、ノーネームが突然現れて驚いたぞ

 

 

 

────す、すみません。しかし……これは

 

「ああ……分かっていたことだったが、やはり女だったか」 

 

 

 それと……ミーティアの奴、何気に『デュノア社第三世代機計画』という情報データも取ってきた。俺は歩きながら視線認証でデータを開き、その情報を読み上げる。

 

 

 ふむ……計画と書いてあるが内容は簡単だな。

 

────何が記してあったのですか?

 

 シャルロット・デュノアを『シャルル・デュノア』として送り出した後、俺か織斑に接近して専用機の情報データをコピーする。さらに、出来る限りその専用機の強奪……との事だ。そのデータや機体と共に新しくデュノア社製第三世代機を造る事がこの計画なんだろう。そして、願わくは俺の殺害とその体の入手……との事だな。

 

 フランスのIS開発代表のデュノア社は欧州で行われている『イグニッション・プラン』で、各国よりも大幅に遅れをとっている。ほぼそれが起因してだろう。そして────デュノアの奴は俺にターゲットに定めたみたいだな。

 

 ……と言うより、まず顔の輪郭・声の高さ・ぎこちない動き。更には常時見られた息苦しさ……あと女性特有の仕草、完全に男として動く気無しだろう。あと……教室であった妙な視線。それが今別れる際にデュノアから感じ取られた。

 

────教室でチラチラ見てましたね。彼女

 

 

 澪はその言葉を聞いてあの時、デュノアからの視線を思い出す。それは例えるなら己を実験動物かのように見て、獲物を定める狩人のような目。澪はそれを思い出し、体の奥底からマグマの如く怒りが溢れ出す。

 

 専用機を強奪────澪に対してそれは出来ることではないが、澪から相棒を盗ろうとしていた事を示す。故に許せなかった。だからこそ許せなかった。

 

 

 

「……いいだろう」

 

 

 奴は絶対に俺に何かしらのアクションを起こす。暫くは相手の思う通りに動いて、上手く誘い込んで地獄に落としてやるよ……ええ?

 

 

 

「シャルロット・デュノアさんよぉ……!」

 

 

 デュノアの計画はこうして簡単にターゲットにバレ、ターゲットの……破壊者の怒りを買った。狩人から獲物に変わった事など、この時のシャルル・デュノア……シャルロット・デュノアは知りもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……チッ」

 

「……クソが」

 

 

 この後、意外にも早く第二グラウンドについた澪は、織斑千冬と共に授業が始まるギリギリの女子生徒達が来るまで二人で睨み合い。そして、舌打ちを繰り返していた。




次回予告

IS学園には破が居る

彼は断じて許さない

己を利用する者を

次回=踊る人形は破壊に誘われて=
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