一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結) 作:A.K
そして、始まりは
終わりの序章に変わる
それは破滅
その『破』である
「さて、予想外な事があったけど……これで終わった」
そこまで考えたデュノアは待てと思考した。己は何か見落としているのではないかと、妙な違和感を感じてるのではないかと思った。
そうまで考えたデュノアがもう一度今殺した澪を見た。頭部を灰色の鱗殼で破壊して、立ったまま何も動かぬ体────立ったまま!?
デュノアは気付いた。何故死体が立っている。何故あの衝撃で体が吹き飛んで倒れていないのかと。更に、デュノアは壁に付着した血と肉が赤い粒子に変化していくのを見た。
「何が……何が起きてる!?」
デュノアがそう呟いた時、動く筈のない澪がデュノアに近付いてきた。澪だった死体は右手でデュノアの首を締め上げる。デュノアは思う。何故死体が動く……? しかし、澪だった死体は喋らない。
そのような事にあったデュノアの思考はもはや停止していた。死体が動くなんていう現象を見たから、しかも頭部が無い死体がだ。そんなデュノアをよそに、壁に付着した血と肉が一斉に粒子化した。その粒子は導かれる様に澪の首部に集まっていく。次第に粒子は人の頭部を模し、頭部の下の方から粒子が人間の肌にへと変貌していく。
「デュノア」
首から戻り、口が戻る。そして口からそういう声が発せられた。次の瞬間、一気に粒子化していた部分が実体化した。それによって完全に澪の頭部が戻ったのである。
「どうだ?俺を殺した感想は」
澪がそう言って閉じていた目を開ける。ほぼ零距離から睨み、更には怒気をデュノアにぶつける。デュノアは頭が無くなった死人が蘇る瞬間を、至近距離から見た事により混乱していた。それに加えて、怒りに怒った澪の怒気を当てられて体の震えが止まらなかった。
「お前達デュノア社が経営不振に陥って、このような行為に走った事も知っている」
澪はそう言うと溜息をつく。そして「でも」と続けて言う。
「だがらと言って、別に気にすることでも無い。企業は企業、国は国でIS技術で争ってれば良かった。しかし、お前は……お前達はその争いに俺を巻き込んだ」
「ぼ、ボクは……会社の方から命令されただけで!」
「くどい」
澪はそう叫び、デュノアの首を絞める手の力を少し強めた。それにより「ぐあっ……!」とデュノアが呻く。
「命令と言うだけで俺を殺したんだ。それに、どうせそんな言葉じゃ反論も反抗も何も抗う事をしなかったんだろう?」
デュノアにとってそれはその通りだった。デュノアはただ流される様に会社の方からの命令通りに動いていただけで、抗うことを何一つしなかった。反論ぐらいなら出来ただろう……しかし、デュノアは何もしなかったのだ。
「お前の情報も知っている。デュノア社長の愛人の子だってな?そして、お前の母親が亡くなって一人田舎で暮らしていた事もな。
だが、俺はお前に何も思わないし可哀想だとも感じない。だって────人殺しだもんな?」
一応澪は状況によっては助けようとした……が、デュノアは助ける価値もないと判断した。何故か?それは助けを求めもせず、会社の手下となって澪をただ己の為に平然と殺すような事をした。それが決め手だった。これがもし、助けを求める様な行動をとっていたら……澪はデュノアを助けたかもしれない。しかし、所詮はIFだ。
「ぐ、うあぁぁぁぁーーーっ!」
そんな時だ。デュノアが泣き叫びながら専用機『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII』を纏って、澪を振り解いてからその機械の腕で吹き飛ばした。澪はそれによってアリーナの壁を壊しながら吹っ飛んで行く。
普通の人間なら、ISの持つ強力な力で攻撃されたら肉塊になる。しかし、澪はISとの完全融合体。それ故に生身でもIS同様の防御力を持つのだ。
「何が、何が分かるっていうのさ!?
キミに、キミなんかにぃぃーーっ!」
────主
来たか。刀奈に連絡しろ『第二アリーナにてデュノアが正体を表し、俺に対して攻撃。及び、俺も反撃の為交戦し撃破する。殺しはしないが、刀奈が信頼出来る二・三年生による捕縛部隊を連れて来て』とな。
────了解です
そう澪はノーネームに伝えると、追撃の為に接近中のデュノアに目を向けてから話す。
「別にお前の事なんかどうでもいい」
「アァァァァァーーーッ!」
野生の獣の如く殴りかかって来るデュノアに対して、澪は空中でPICを発動して態勢を整える。そして、すかさずパワーアシストをIS体同様に設定してデュノアの攻撃を受け止める。
「お前が失ったのは一人だけ、俺が失ったものは……比べようにならない。住む所も、街も……『前』の俺という『存在』全てなんだよ」
そう言うと澪は全力でデュノアを殴り付ける。その力は並のISを軽く凌駕し、デュノアを第二アリーナの戦闘エリアまで吹き飛ばす。澪はIS体である名前無き破壊者になる。しかし、非固定浮遊部位の大型スラスターは展開せず、脚部にあるスラスターを使ってホバークラフトを使っているかの如く地面を滑るように移動してく。
アリーナの戦闘エリアに突入し、空中でこちらに向けて……対IS用強化弾が使用されている4門ガトリングガンを左右に持って構えているデュノアを捉える。幾ら名前無き破壊者だとしても、対IS用を想定した特殊弾が直撃したら大ダメージだ。
『瞬時加速!』
デュノアが俺に向けて銃火器による攻撃を開始。その場から離れる為に瞬時加速をする。その後、俺がいた所に大量の銃撃が撃ち込まれ土煙が起きた。……少し掠ったか。一部装甲の貫通にヒビが入るか……だが、まだ攻撃は続いている。俺が移動した所に再度4門ガトリングガンによる銃撃が放たれ、俺はそれをジグザグに動く事によって躱す。
(超高速戦闘によるかく乱戦で仕留める!)
澪はそう考えてから直ぐに『流星』に換装し、非固定浮遊部位の大型スラスター(流星ver)を展開する。しかし、デュノアが何時の間にか前方に滞空していた。次の瞬間にはこちらに向けて銃撃を開始し、圧倒的量の弾幕を展開する。
それを澪は肩部の中型スラスターを瞬時に吹かし、横にスライドする様に動く事で難なくその銃撃を躱す。
全身のスラスターを使い、縦横無尽に動き回る。通常のISでは動けない軌道でデュノアは対応出来ない。さらにはデュノア自身が使う4門ガトリングガンが長く、取り回しが遅い為更に対応が出来ずにいた。
『こいつを使うのは久し振りだ……アロー!』
そう言って澪は、激しく撹乱しながら右手の掌底をデュノアに向けた。すると、真紅の粒子ビームが連続でデュノアに向けて放たれる。それに対するは実弾の弾幕……しかし、超光熱体である粒子ビームに実弾の弾幕に穴が開く。粒子ビームは一つ一つが直径1m近くは有り、それがガトリングガンの如く掌底から放たれて粒子ビーム弾幕となる。
澪の粒子ビーム弾幕は確実に実弾弾幕を打ち消すが、それでもまだ足りない。左手の掌底からも粒子ビーム弾幕を放ち、その量でデュノアの実弾弾幕を全て打ち消す。
『オーバー・ブースト起動』
オーバー・ブースト。それは流星の破壊者の全身のスラスターと非固定浮遊部位の大型スラスターを最大稼働させた状態の事を言う。これは既に何度かやっているが、今みたいに発音することによりオーバー・ブーストという只全身の推進機をフル稼働させるのと又違う機構が起動するのだ。オーバー・ブーストは思考認識により、常にその時の行動にあった速さ・推進機出力増大・減衰・維持を行える。その為、一々減速してから推進機による方向転換をする事なくそのままの速度を常時保てるという事だ。
澪は機体各所に有るスラスター、非固定浮遊部位の大型スラスターを最大稼働状態で吹かした。次の瞬間、澪の姿はその場から消えた。
一方のデュノアは焦っていた。情報には無かった形態変化に、ビームガトリング攻撃。追撃を掛けるように、超加速による超高速戦闘が始まったからだ。
「があっ!?」
背後に強い衝撃が響く。既にガトリングガンの弾は切れ、今は六二口径連装ショットガン《レイン・オブ・サタディ》と五一口径アサルトライフル《レッドパレット》を展開している。しかし、偶に一瞬澪の反応を捉えるだけでハイパーセンサーは流星の破壊者のスピードについて来れていない。なので、武器は構えて攻撃する満々だが攻撃出来ない……そんな状況になっているのだ。デュノアにも近接武装があるが、一つは普通の近接ブレードでもう一つはパイルバンカー《灰色の鱗殼》。超至近距離でしかその効果を発揮出来ないため、今回の戦いには不向きだ。
「く……うっ!」
背後に向けてレイン・オブ・サタディで攻撃するが、金属に触れるような音はしない。代わりに聞こえるのはジェット音に似た、金属音に似た音だった。ハイパーセンサーが必死に捉えようとするが、追ってはLOST表示。追ってはLOST表示の繰り返しである。
『どうした。俺を殺す気ではなかったのか?』
開放回線で澪がそう言う。デュノアからは澪の姿は未だ捉えることは出来ていない。
『今この第二アリーナに生徒会長率いる二年・三年生による捕縛部隊が向かっている。お前は俺を殺した後直ぐに此処から逃走する予定だったようだが、結果はこのザマ……残念だったな』
その声と共にデュノアの視線真正面に上から地面に向けて急降下し、デュノアに突撃してくる両腕に杭打ち機……Dインパクトを装備した流星の破壊者を捉えた。しかし、それも一瞬。捉えた次の瞬間には衝撃吸収性サード・グリッド製胸部装甲に、右腕部に展開したDインパクトが直撃する。1回ではなく、連続してだ。
「かっ……」
その攻撃によって吹き飛んで行くデュノアをオーバー・ブースト状態で瞬時加速を使って追い越し、デュノアの背中に向けて左右のDインパクトを同時に放つ。
「ごっ!?」
デュノアは今の一撃でアリーナーのシールドバリアー展開場所に吹き飛び、そのあまりの衝撃にシールドバリアーにヒビが入り、デュノアはズルズルと地面に落ちた。
『終わったか。存外、呆気ないものだな』
デュノアの目の前にふわりとオーバー・ブーストを停止させた流星の破壊者が舞い降りる。デュノアは機体の状況をシステムで確認させ、視覚内に表示させた。
ラファール・リヴァイヴ・カスタムII状況
・機体中破
・ダメージレベルC+
・SE残量10%
・機体全体のPICに不具合発生
・非固定浮遊部位大破
デュノアはその情報に絶句した。機体のダメージレベルや非固定浮遊部位大破もそうだが、機体全体のPICに不具合が出というのはISのほぼ全ての行動に影響が出るのだ。目の前の破壊者を殺し、更にこの学園からすぐ逃走しなければならないのに……最早助かる余地は無い。
奥の手を使うべきか……デュノアはそう考えた。
『デュノア。お前が奥の手としてIS学園のハイパーセンサーの索敵距離外に、何処かのテロリストか女権団の奴らを待機させてるだろう?』
何故それを……! そうデュノアは思う。
『単純に名前無き破壊者の索敵で見つけた。一昨日からいたみたいだが、昨日の夜に捕縛した。今はIS学園の捕虜・テロリスト用監禁部屋に閉じ込めてる。まさかISまで持ってるとは思わなかったな』
デュノアは個人間秘匿通信でIS学園のハイパーセンサー索敵範囲外に待機させている強襲部隊に属し、IS搭乗で待機している筈である女に話し掛ける。しかし、個人間秘匿通信に反応は無かった。
『まさか奴らがお前と関連していたとはな。 さて……』
澪はそう言うのと同時にアローをデュノアの頭に向けて撃ち、デュノアは虚をついての攻撃だった為に避けれず直撃して数十m程吹き飛ばされた。これで終わり……そう思い名前無き破壊者に戻した時だ。突然カスタムIIから光が溢れて、SEが完全に回復した。
次回予告
俺は破壊者
故に破壊する
しかし
時には守るべき者のために
驚異を破壊しよう
それは一つの滅亡でもある
次回=滅=