一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

41 / 63
最終話を書くまでに新刊が出ましたが、それらに出るISや人物達は今作では登場致しません。
ですが、一部の兵器が原作とは違う形で登場させます。
原作の京都修学旅行編を含んだその後からでる新しいISは登場しないのは確定です。
・エクスカリバー
こちらは原作とは設定を変えて登場させます。

これらの後の物語にて、一部の人物を更生or真実に気づかせます。そうしないと物語的に進行しない為ですが、主人公からの対応は変わりないのであしからず。
では長らくお待たせ致しました。
これより復讐者の物語の再開です。


────────────────────
気付きなさい
気付けよ

愚かな者達よ
屑共が

自らの終焉を
テメェの終りを

果ての世界に
果ての世界に

貴様らの居場所は無い


The END of world

「うおおおおおおおお!!」

 

 

 一夏の憎しみに満ちた叫びと鈍い金属音が共に鳴り響く。以前と比べて確実に剣の腕は上がっていた、だが怒りでその太刀筋は素人目に見ても分かるほどに......

 

 

「真っ直ぐすぎる。」

 

 

 澪は一夏が振るう雪片弐型を天啓の剣で弾き返す。当たる直前に力を上げた強力な衝撃によって一夏は一時的麻痺状態に陥った。澪はがら空きの胴体を力いっぱい殴る。殴られた一夏は絶対防御に守られてはいるが体は吹き飛び、真っ直ぐ海面に叩きつけられては浮かび上がる。その様子は石切だ。

 

 

「まだまだァァァァ!!」

 

 

 二次移行した結果、非固定浮遊部位が四つに増え多方向加速推進翼となった白式の加速力で瞬時に澪の元へとたどり着く。互いの剣がぶつかり合い、鈍い金属音が響き渡る。

 

 

「以前より太刀筋は良くなった。基本的な戦闘行動も向上した────それだけだ。」

 

 

 澪はそう言って一夏を弾き飛ばして天啓の剣を収納し、ハンドクローで受け構える。今の怒りに染まった一夏にはそれで足りるのだ。

 

 

「よくも、よくも......千冬姉を!」

「織斑。お前、あの状況でよくここに来たな。

 正真正銘の殺し合いの場に。」

 

 

 あの状況で何故織斑が来たのかは知らんが、場間違いの人物だったのは確かだ。なんせ素人からまだ一般兵程になったレベルの人間が、あの殺伐とした殺し合いの場に来たら千冬にとってただの枷になる以外の道はなかったのだ。

 早すぎた。あの土俵に入るのはまだ早すぎたのだ。

 

 

「知るかよ......頭の中に変な声が響いたんだ。それに体がここに勝手に向かって居たんだ。この辺まで来たところでそれは無くなったけど、千冬姉が危なかったのは見逃せない。

 だからこそ来た!」

「......それで自らアイツの枷になりに来たと?」

 

 

 そう言って雪片弐型を払い、ハンドクロー振るう。その一振りで数m弾き飛ばされたが、また直ぐに打ち合う────しかし押し返される。

 

 

「ぐうぅぅぅ!?」

 

 

 スラスターを最大限まで吹かしたが、それでも押し返される一夏。白式・雪麗の瞬発的加速力を乗せた斬撃なら普通の機体、軍用機でも押し負けることは無い。しかし苦悶の声を発するのは一夏で、澪はそれより更に上の力で押し込んでいた。

 

 

「先ほどの発言。白式のコアと殲滅のコア、それに暴走状態の打鉄のコアによる共鳴反応か。いや、それにしては......」

「何をブツブツと!」

 

 

 一夏は単一仕様能力『零落白夜』を起動させるが、殲滅のA.I.S.Sによってただ斬れ味の良い剣になっただけだ。知らぬが仏とはこういう事か......澪はそう思った。

 澪は既に一つの答えに辿り着いていた。白式のコアの正体が『白騎士』だと言うことに。 何しろ共鳴反応があった機体とその搭乗者に問題がある。織斑千冬は白騎士の搭乗者であった。澪は殲滅の搭乗者及び同化状態。ならば一夏は?

 一夏が共鳴反応に加わったのは織斑千冬の血族だからか、それともその機体かコアに問題があるのかのどちらかだ。それこそ、白式は織斑千冬と関係の深い篠ノ之束と倉持技研が深い関わりを持つ。機体という名のISコアを守る外装は倉持技研が、ならばそのISコアはどうしたのか?

 ISコアは現在IS委員会が管理をしている。委員会公式の情報では倉持技研に渡されているコア数は現在複数あるのだが、倉持技研で造られた時に登録される機体製造データに白式の数はカウントされていなかった。さらに仕様から武器まで姉と同じものが多いが、戦闘方法も型もほぼ同じだ。そこまで行くと以前使っていた誰かの情報に白式が同調している。

 

 白式は二次移行では特殊な複合型射撃兵装があるが、一次移行時の武装が雪片弐型だけの超近接特化型のIS。過去も今も世界中にある超近接特化型のISは織斑千冬の『暮桜』以外現在ISの中で超近接特化型のISは白式しか存在しない。だがその暮桜から未だにISコアが抜かれた記録は無い────そうなると答えは一つ。織斑千冬が乗っていた、始まりのISである白騎士のコアが白式には使われている可能性が高い。長らく不明とされている白騎士のコアが、もしかしたらの範囲だが使われている。

 

 一夏は雪片弐型をパワーアシスト全開で薙ぎ払う。しかし、澪にそこまで大きな影響はなく、すこし吹き飛ばされた程度。大振り状態で固まった一夏に素早く接近し、その右腕を振り上げる。それにギリギリ反応した一夏は下からすくい上げる様に雪片弐型を振るい、その攻撃をなんとか防ぐ。

 

 

「織斑......まだ知らぬと言い張るつもりか。

 貴様の姉が行った行為が、世界にどれほどの混乱を招いたことを!」

「そんな事知るかよ!」

 

 

 至近距離からアローを連続で放つ。吹き飛ばされた一夏はPICで体勢を整えるが、一夏の目前には既に殲滅の拳が迫っていた。

 

 

「がは!?」

 

 

 懐に入られた一夏は、高速で放たれる連続ラッシュをモロに受ける。澪は頭部のマスク部分だけIS化を解く。

 

 

「織斑、テメェの姉が世界を混乱に招いたことを『そんな事』って言ったな。

 織斑千冬のテメェだけを守るだけに、世界中の人々を......時代を巻き込んだ事をそんな事と。」

 

 

 あの姉してこの弟である......!と、澪はそう頭の中で呟く。一夏は無理矢理上方瞬時加速で澪から離れ、荷電粒子砲を放つ。

 

 

「だから甘いんだよ。」

 

 

 真紅の光壁で光線は霧散し、スラスターを吹かして距離を詰める。織斑はさらに荷電粒子砲を撃ち込んでくるが残った反逆する血の牙達を数機展開し突撃させる。それに対して織斑は荷電粒子砲を撃つのを止め、雪片弐型で振り払う。

 

 

「認識が甘いからこそテメェは自らの首を絞めた。」

「かはっ!?」

 

 

 ガラ空きだった背中を強打。織斑は強い衝撃により肺の空気を出し切り咳き込むが、状況は動き続ける。

 一夏の視界にあったIS学園上空に銀の福音を見つけ、銀の鈴をIS学園の各所に向けて放つ所を目撃した。その攻撃はIS学園のアリーナ、装備庫や整備棟の施設に直撃。これでIS学園のIS委員会・女権団による拠点化は不可能となる。

 

 

「が、学園が!?」

「戦闘中によそ見とはな!」

 

 

 澪は白式の脚部を掴み、IS学園の方角に向けてぶん投げる。一夏は急いで体制を整えようとするが、視界にエラーメッセージが表示される。非固定浮遊部位に回すSEがもう無いのだ。ただでさえ消費エネルギー量が多い荷電粒子砲をこれでもかと無要に撃ち続けた。さらに消費量が多い単一仕様能力『零落白夜』を何回も起動させ、澪による攻撃結果でもある。吹き飛んで行く一夏を追った澪に通信が入る。

 

 

『澪。そこに居る一人目以外の攻撃目標及び全敵勢力の撃破を確認したわ。今からあなたの元へ向かう。』

(了解)

 

 

 個人間秘匿通信が入って来た。相手は予想通りナターシャで、作戦の完了報告であった。一方的なものであったが戦闘中であることを考慮してくれたようだ。俺は了承の意を伝え通信を切り、吹き飛んで行く織斑を追う。

 IS学園の校舎にもう少しで衝突するという所で、学園の森林部分に向けて再び白式の脚部を掴んで投げた。

 木々が折れ、荒れた状態の森林部に一夏は倒れていた。澪はIS状態を解き、人間体でISを纏う一夏に近づく。

 

 

「く、くそ......!」

 

 

 一夏の目は未だに己の姉を討った澪を討つべしと、その目はそう訴えていた。しかし、一夏から見た澪の目は────無情とも呼べるほど冷めた目だ。

 

 

「成程な......下らん。」

 

 

 突然下らんと言われた一夏は訳が分からず、何故だと怒り叫ぶ。澪は一夏にそう言われても冷めた目で一夏を見る。

 

 

「実に下らん。己が状況を理解せず、姉の権威に守られて、戦力差も理解してない男......それが織斑一夏という人間を見た俺の感想だ。」

「その言葉を取り消せぇぇーーッッッ!!」

 

 

 一夏の中でナニカが切れた。白式の雪麗をハンドクロー形態にして澪に攻撃を仕掛けるが、澪は跳躍をして回避。そこからPICを下方方向に起動し、パワーアシスト全開でのかかと落としで左腕のハンドクローを地中に埋める。その状態で下位解放である復讐者の剣を展開して突き刺し、その場に固定させた。

 

 

「俺も感情的に動くがそれは機体性能と戦況、どう動けばいいか理解してるから上で、だ。

 ただの感情任せの攻撃と、感情を乗せた攻撃ではこうも差がつく。」

「この野郎......!」

 

 

 忌々しく見てくる一夏に澪は淡々と告げる。一夏の戦力としての評価は対IS装備兵士と同等か、それ以下の者でしかない。現段階の世界にいる対IS装備兵士なら複数人いれば量産型のIS程度なら五人で事足りる。

 接近特化型のISなら、戦闘方法はパターン化している為通常のISより更に対応しやすい。だが、流石に代表候補生の中級~IS国家代表級及び軍属になるとそれは変わる。

 

 

「それとだ......織斑、お前今この学園で何があったのか分かってるのか?」

 

 

 不思議に思った。織斑の反応がまるで何も知らされてないような言動があり、これだけ騒いで教員や生徒共が出て来ていない。

 

 

「お前達IS学園の生徒達は、今何が行われていたのか知っているのか?

 『はい』か『いいえ』で答えろ。」

「......『いいえ』」

 

 

 あの教師はこの件について生徒側には『何一切伝えていない』のか?恐らく箝口令をしいているから自室待機状態になってるとでも言うのか。

 

 

「織斑、もう一つ答えろ。

 IS学園の職員側最高権力者であったお前の姉は、IS学園がIS委員会及び女権団によって占領状態にある事をお前達に伝えたか?」

「し、知る分けないだろう!

 生徒は自室待機って言われてただけだから......」

 

 

 それを聞いた澪は「そうか」と一言言うと近接ブレード『超振動ダガー』を展開して白式左手部分のハンドクローの一部を斬りつける。もはやSEが枯渇寸前だった白式はこの攻撃でSEが枯渇し、白式は待機状態のガントレットに戻ってしまう。

 

 

「結論から言うとな、お前は何も理解をしていない。

 今の状況が、お前にとって生命の危機にあったことも理解して無い。男を敵として見ている女権団共がお前の姉がいても居なくても、隙を見て時間があれば殺しに来ていただろう。

 お前ら普通の人間なら銃の一つでも死ぬんだろうが、俺は死なん。でも俺は死ななくてもお前らは死ぬ。男を嫌う連中がそういう危険物を持ってこの学園を占拠した所で、自分がそのような結果になることに気付かないのは実に滑稽な事だ。どうせISが有るから大丈夫だと思ってたのだろう?」

「それはそうだろ!?いざとなればISを纏えば......」

「馬鹿か。そんなもの展開時間より早く攻撃されたら死ぬし、気づかれない間に攻撃されたらアウトだ。狙撃手がその典型的だろう。纏った所でIS専用剥離剤なんて使われたら......いや、これはお前は知らないからなんとも言えんか。

 学園はIS委員会と女権団の武装組織に占領されていた時に、お前は真っ先に逃げるなり身を隠すなりの行動をするべきだった。」

 

 

 織斑は俺の言葉に対して「出来なかったからしょうが無い」と訴えて来たが、その考えが間違えている。世界で最も希少な男性IS操縦者の立場で、むしろ何かしらの訓練やらなにやら受けるか学ぶべきだ。IS学園に入った時にあった一連の事件で気付かないのか? それを理解していないから故に、十蔵さんはこいつを無理矢理連れて来て、女性主義者共による悪用を回避しようとした。しかし、俺とアイツに引き寄せられて今に至るということか。

 

 

「そもそも日本にIS学園があるんだから自衛隊が来てくれるんじゃないのかよ。」

 

 

 澪はその発言を聞いて呆れたようにため息を一つつき、やはり馬鹿かと内心思いながら喋る。

 

 

「織斑......IS学園は法治外国家、世界の法なぞ役に立たない。国とは呼べんが世界の国というカテゴリーから外れた異端であり、たとえ日本の地で出来たとしてもここは日本ではない。世界の国々の干渉不可能領域であるこのIS学園には日本の自衛隊も、各国の特殊部隊も助けに来てはくれん。

 だが、デュノアや女権団みたいにスパイ共は入っては来てたがな。これはIS学園に在学してる人間としては常識の筈なんだが......まあ、どうせもう直ぐここは閉鎖されてそれも意味を成すことは無い。」

 

 

 そうこうしていると銀の福音が上空から降りてきた。

 

 

『お疲れ様。

 そこに居るのが一人目の?』

「織斑千冬の弟だ。」

 

 

 俺はそう言って背を向けると織斑が「何処に行くんだ!」と叫ぶ。

 

 

「俺の任務は依頼者及び複数の人々の救出、それとIS学園のIS委員会と女権団の拠点化を防ぐこと。

 任務が終わったからこっから去る事は当たり前だろう?」

「澪は自分が通っていた学校を壊しておいて、心が痛まないのかよ!?」

「無いな。

 無理矢理入らされ、今は違うが大嫌いだったISについて学ぶ学校なんざ大嫌いだ。ISをファッションだとしか思えん連中、俺を男だからとちょっかいという名の殺害行為を行う連中がいる所など誰が好きなものか。まあ少しだけ良いことはあったが、それを覆す程に嫌なことが多過ぎた。

 分かるか?俺はIS学園が壊れてくれればそれで良い。」

 

 

 腹立たしい。こんな所、俺にとっては刑務所同様の檻だ。確に良いことも少しはあったが、それでもこんな所を好きになれる奴が可笑しいんだよ。しかも、ここは女性主義者達が生まれていく場所の一つだ。余計に嫌いになる。

 あとはここから去るのみとなった。しかして俺がここからこのまま去るとしたら、織斑は直ぐに殺されるか奴等に利用されるだろう。俺としてはどうでも良いこと────だが、コイツにはいい加減知って貰えねばならない。それを知らぬまま死んでいくのは許さん。

 

 

「?」

 

 

 澪は反転し、一夏の目の前に立つ。右腕だけ殲滅の腕に変化させて一夏の頭を掴んだ。無論握り潰さないように力加減はしてある。だが、それは人間の痛みの許容量を超えて一夏は直ぐに気絶した。

 地面に下ろした一夏の右腕にあるガントレットを掴み、そこからISコア同士の共鳴におけるとある現象を起こす為にコアネットワークの同調を開始する。

 しかし、それを阻むように白い光が澪を焼き焦がす。

 

 

「......邪魔をするか、白式と白騎士のコア人格。

 今はお前達が出る幕ではない。今の主人を大切に思ってるなら、これから行うことを黙って受け入れろ。」

 

 

 そう言って暫くすると光は収まり、コアネットワークの同調が進む。

 

────────────────────────

 

 それは例えば戦場。そこにはISが空を飛び、旧時代の兵器である戦車や戦闘機が蹂躙されていく。そしてISは地上を焼き払い、無抵抗な一般市民さえ無慈悲に殺す。

 

 それは何処かの壊れた街。ISを纏った者が襲撃し、街にはかつての活気溢れていた人々の姿はない。

 

 それは何処かの実験施設。男でもISに乗れる様にする為に非人道的実験が行われ、人体の改造・遺伝子操作体・肉体のISの一部へ改造......見るに堪えないおぞましき光景が広がっていた。

 

 

「なんだ?」

 

 

 景色は一定時間が経つと変わっていく。その光景をぼーっとしながら眺めていると不意に声が響く。

 

 

────今見ているのは、ありとあらゆる場所で起きた『IS』と『織斑千冬』が原因で引き起こされた惨劇が起きた場所。

 

「千冬姉が原因?......嘘だ、そんなのは嘘だ。

 だって、あの千冬姉だぞ。」

 

────これは嘘ではない。これはISコア内に保存されている映像記録を直接体感出来るまだ解明されてない機能、それを今お前は体験している。

 

「そんな訳が!」

 

────お前が見た実験施設。そこは超人的身体能力を持つ織斑千冬を参考に、『織斑千冬』を超えた肉体を持つ者を造ろうとした。

────ISに男が乗れる様にする為、捨て子や人身売買で買った子供たち、一定以上の能力を持つ大人達を使っての人体実験。故に生まれたIS融合兵士......それと失敗作と称される者達。全てが『織斑千冬』を超える存在を作る為に、最強の能力を持つ『IS』の発展の為に行われている。

────もう一度見ろ織斑千冬の弟である織斑一夏、お前一人だけを守る為に壊した世界を

 

 

 一夏を見た。荒れ果てた街で泣き叫ぶ子供の姿を、その上空にはISが悠々と飛んでおり街を破壊続ける。ISから放たれる銃撃は泣き叫ぶ子供を飲み込み、その後には何も残らない。

 

 

『これで薄汚い物は消え、私達の女の場所となる。』

『千冬様に捧げるのよ。もっと、もっと!』

 

 

 一夏は見た。研究所で嫌だと拒否し、泣き叫ぶ者達の姿を。己の肉体を弄り、機械と繋がったその身を見る者達の死んだ目を。下半身がISと同化し狂い、暴走する者。外法な遺伝子操作体として生まれた者が、能力が低いからと言われて処分の名の元に殺されていくその光景を。

 

 

『これではまだまだ織斑千冬には辿り着かない。』

『これも男の為でありISの発展の為だ。』

 

 

 この盲信的に己の姉を、ISを信じている女達が。ISの為だと言って惨劇行為を、違法的人体実験を繰り返す人々。そして、街を破壊尽くす行為を正義とすることが。さらに場面は変わって己の姉の名を掲げて知らぬ人間を殺す事が、これで姉に貢献出来る等ということを言う女達が。ここまで異常な光景を己の姉が発端であり、それを容認した人々......俺を守る為にそれを良しとした千冬姉。

 

 

「ひっ!?」

 

 

 知覚する。俺が今立つ所は、数え切れない......1万、10万、100万、1000万、1億────否、もっと多くの人々の屍の山の上。屍は上に、死にたくないという願いを込めて手を天に向かって上げている。そして、その手は天の位置......たった一人の生存者である俺の足を掴んでいる。

 

 

『俺達はまだ生きたい』

 

『お前のせいで』

 

『私達の人生を返せ』

 

 

 怨念。全ての被害者達が願った『生きたい』という願い。それを斬り払ってまで俺一人を守って来た千冬姉はこんな結果になることを、全て......理解してた?

 

 

「理解してたからこそだ。」

 

 

 いつの間にか周囲は真っ暗で、俺は声が聞こえた方向に体を向けるとそこには澪が立っていた。その姿は人なのだが、ISのパーツが体から突き出ている......違う、ISと同化していた。

 

 

「もとは普通の人が持つ家族に向ける『愛』だったんだろう。奴はその愛を拗らせ『狂愛』となり、お前以外は失っても良いという考えに至った。あの様子からすればという考えだがな────────そして、その結果が今の世界。そして、そこから生まれた狂気が俺に降り注いだ。」

 

 

 景色が変わる。そこは燃え盛る街、空を舞うISが地上にいる人々に向けてその手に持つ武器から攻撃を放つ。そんな光景の中、見覚えのある小さな男の子が怒りを含んだ声で叫んでいる。

 

 

『がえ゙ぜ......僕の家族を返ぜぇぇぇぇぇ!!』

 

 

 それこそ目の前にいる澪が幼くなった様な男の子だ。肌を焼くような怒りが、あの男の子から放たれているのが理解出来る。周囲には人だった物だと思われる肉片......俺は堪らず吐いた。だが現実では無い為かすぐ様吐瀉物は消え、吐き気も消えた。

 

 

「これが俺の原点。滅んだ街、殺された家族に友人達......なにもかも全てISが奪い去った。ここにそれまであった人々の生活の姿は無く、ある筈だった明日を全てを奪われた。」

 

 

 これまで澪が怒りと悲しみを、IS学園在学中にこれでもかと放出していた理由。そして、何故俺に対していつもあの様な言動をしてきたのか。それを今目で見て自覚する。

 今まで無視して来たISと己の姉に対しての怒りが、その両方に関係する俺に対しても言われてるかのように思えて今になって恐怖しているのだ。澪が在学中に叫んだ言葉が己に鋭く、心の底に突き刺さる。

 

 いつの間にか澪は居らず、俺は見たくないと思ってもこの気持ちを心に刻めと目の前の光景を見せつけられる。

 

────────────────────────

 

 俺は未だに気絶し、あの光景を見続けてるだろう織斑から離れる。やるべき事はやった。これでもうIS学園に居る意味は無くなった。

 俺は置き土産として腕から出した俺専用のエネルギー供給用コードを腕に突き刺し、それを白式であるガントレットに繋ぎ、ありったけのSEを注ぐ。それが終わってナターシャに行きましょうと言ってから織斑から離れる。

 

 

「その光景が止まった時、どんな行動をとるのか楽しみだ。」

 

 

 澪はそう言ってIS体になり、ナターシャと共にIS学園から離脱していった。

 

 IS学園は生徒・教員・事務員様の寮、校舎を除くIS関連の重要施設を破壊。地下通路の大半を戦闘の結果破壊し、IS委員会と女権団の武装勢力排除。IS学園の拠点化を防ぐことは概ね達成。

 あとは世界中のIS委員会の支部と本部、それと女権団の壊滅をするのみ。

 

 

 

(もう少しでお前達を恐怖のどん底に叩き落としてやる......待っていろ。)

 

 

 戦乱の時は近い




次回予告

終わる

腐った世界が
腐った者達が

今こそ
世界を変える戦いを

始めよう
我々の戦いを

次回=戦いの狼煙=
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。