一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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人とは何か
ISとは何か
そんなことはどうでもいい
俺は俺だ

敵は焼き尽くす......真っ黒に

止まれない
戻れない
だから突き進む

この選択に後悔はない


バケモノ

 目が覚める。それと共にセンサーが起動し、現在位置と周辺状況を知覚させる。今居るのはゴーストの自室で、IS化してる自分の体に合わせてある特別製のベッドの上。

 

 

「......」

 

 

 確かゴーストに帰ってきて......流されるまま身体検査を受けた筈だ。途中から記憶が無いのは不思議だが。何かが抜け落ちた様な感覚だが、それも少しだから大した事は無い。

 

 

「やあ、起きた様だね。」

 

 

 プシュ と空気が抜ける音がして扉が開く。感覚的に顔の目から下部分が変換されたことに気付き、同時に俺が何かやらかした事にも気付く。

 

 

「博士......何か迷惑を掛けた様だ。申し訳ない。」

「いやいや、謝らなくていいよ。アレは私がもっと気を付けていれば、防げた事だから。」

 

 

 そう言って束は扉の近くにある来客用の椅子に座る。座ってから話が止まり、暫し無言の間が出来る。すると束が「あのね」と言ってきた。

 

 

「単刀直入で言うよ。

 君......人として死ぬ気はある?」

 

 

 その言葉の意味が分からなかった。人?俺が?もう既に人の定義......と言うより、普通に人の形さえほぼ保ってない俺が?

 

 

「『人として死ぬ』か。

 そもそもの話、俺はもう人では無い。体は徐々にISに返還されてるが、そもそも俺はISでも無い。」

 

 

 間髪入れずにすぐ様そう言う。目の前にいる束は何やらグッと飲み込むような表情をしてからまた俺に言う。

 

 

「君は!君は......人に戻りたくないの?」

「人に戻る?何故そんな事を言う。

 俺は人を捨てたから今に至ってるし、もう未練も何も無い。」

「その方法が有るとしたらッ!!

 君は戻りたくないのかい!?」

 

 

 何故か束がそう叫ぶ。何か変な事でも言ったのか?と言うより......

 

 

「もう俺は人が持たない機能を持ち、逆に人であるべき機能が無い事に慣れた。慣れるのは大変だったさ、軽く力を入れれば鉄は飛車曲がるし、歩けば床がひび割れ体は前方にぶっ飛ぶ。 人の三大欲求も失い、己の体も無くなった。それに慣れたんだ。慣れてしまった。

 それなのに今さら人に戻るなんて、今までの俺の努力を無駄にする事だ。そんな事はしたくないし、後悔は無い。そもそも人に戻りたいということも無い。」

 

 

 俺は束が何を言ってるのかが分からない。人に戻れないのが何をそんな『変な顔』で見ている?俺は何か変な事でも言ったのか?

 

 

「何をそんな顔で見る。」

 

 

 俺はフワリと浮かび束の前に降り立つ。何を思ってそんな顔をしてるのかは分からん。扉の近くに来て分かったが、扉の向こう側にいる奴らはなんだ?

 

 

「何をしてる。」

 

 

 澪は扉を開けて扉の前にいた刀奈と轡木、オルコットにアルベルトを見つめる。4人は束と同じように変な顔をしている。一体なんだというんだ。

 

 

「アルベルトさんどうしたんですか?」

「君の様子が変だと聞いて来たのだが、想像以上に酷くてね......」

 

 

 酷い?何処がだ。

 

 

「俺はいつも通りです。

 敵は徹底的に壊し、殺す。情けなど要らない。この体に異常は無いです。」

 

 

 訳が分からない。今の俺の何処が酷いと言うんだ。

 

 

「君は人だ。幾らその様な姿になっても人なんだ。」

「この姿で人?冗談を言ってるのですか?

 単なるISとの融合体になって体中からISのパーツが出てないなら兎も角、今の私の体は人の部分はもう僅かであり、体のほぼ全てがIS返還された体。人でもない、ISでもない。

 

 俺は単なる化け物です。

 化物が人と名乗るのは変です。」

 

 

────────────────────

 

「ウォォォォォォォォァァァァァァァ!!」

 

 

 更にIS変換された体に慣れるために、現在艦内のトレーニングルームに来ている。もう出力設定による最低値が以前の最低値を大幅に超えている為、余計な被害を生まぬ為確認している。

 幸いトレーニングは対IS徹甲弾にも耐えれる特殊合金製なので、ある程度は壊れない。IS変換変換された部位は必要最低限まで装甲を収納し、拡張領域にしまう事が出来る。なので今現在の姿はまさにサイボーグと呼べる姿になっている。

 

 

「以前の最低値より数倍以上跳ね上がってる......か。」

 

 

 殲滅はその殻を捨て次の段階には入りつつある。それに伴い機体の全機構が更新されていく。多段進化型ISという従来の提唱されている三大変化......一次移行から三次移行までの三つの変化とは異なり、一定の経験を持って自動的に機能が変化する。名前無き破壊者は全機構が一定値に高まり、融合者の意思が合わさる事で新たな姿に変わっていく。故に一次移行までは他と同じだが、多段進化型はそれ以降は全く異なる変化を辿る。それに合わせ融合者はそれに適応出来る身体技術を身に付けなければならず、今の澪が行っている事がまさにそれだ。

 

 

「よー......元気にやってるか?」

 

 

 澪は近付いていたIS反応をもとに背後へ振り向く。そこにはIS『アラクネ』を纏ったOことオータムが居た。

 

 

「元気も何も、ただの試しだよ。」

「そういえば......お前、自分のことを『化け物』って言ったんだって?」

「おう。それがどうした?」

 

 

 そう言った瞬間アラクネの多数の脚が澪を襲う────が、澪はそれを拳で殴り伏せた。アラクネが持つ多数の脚の先端がこれでもかと言うほど折れ曲がっている。

 

 

「なんの真似だ。」

「これがどういう意味か分かってるのか?」

「俺が自分の事を化け物だと言ったことか。」

 

 

 澪はそう言ってから「実際その通りだからな。」と呟くと、折れ曲がっているアラクネの脚が再度襲い掛かる。それに対して呆れながらも手に復讐者の剣を持ち、今度はその全てを半ばまで切り伏せる。

 

 

「無駄だと分からないか?それに何故『怒る』?」

「へえ......悲しみや恐怖が無くなったのに怒りは分かるのか。」

 

 

 澪はオータムの言葉に首を傾げた。

 

 

「オータム。あんたの途中の言葉が聞こえなかったんだが、何を言ったんだ?」

 

 

 オータムは理解した。艦長から聞いた悲しみと恐怖の感情が消え失せただけでなく、システムとやらがそれに関する言葉自体をシャットアウトしている。

 

 

「......まあいいか。」

「これから何処に行くんだ?」

「今の最低値に慣れたから艦内をふらつくだけだ。あと言っておくがアラクネの修理は自分でやれよ?」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「どうなっているんだこれは?

 ノーネーム、聞こえるか?」

 

────......

 

「(返事が無い?)おい、ノーネーム。」

 

 

 あれから艦内をぶらついて人の反応が全くない艦内最後尾のとある一画で、オータムの発言が一部聴こえなかった事について質問した。しかし何故か反応が無い。いつもならすぐ反応してくれるが、どういう訳かそれが無い。ここで気付いた。あの日、この機体と融合した時からあった己の側に寄り添う気配が何故か無い────否、消失している。それどころか、いつも行けるISコアの深層域にすら届かず『何か』に弾かれる。しかし、何故ノーネーム達と話が出来ないのか?そんな時、スワイプが一つ視界に現れそれには『主へ』と書かれていた。

 

 

「そうか......」

 

 

 

 読み終えた澪は珍しく少し休もうと考えて意識を落とす。それ程までに己の変化に堪えていたのだ。眠ることが不要なこの体、睡眠という行為はできなくなっていたが体が機械なのだから一時停止という行為は出来るようになっている。それを利用して一時的に意識を闇に落とした。

 

 

 

 

────システム『FWAIS』起動を確認

    融合者一部感情を残し、その他の感情および人間的機能の削除開始......完了

    通常生活における支障......一応の問題なし

    肉体のIS返還90%以上に進行

    IS返還部分の最適化......完了

    武装の量調整......武装の複合化を開始......完了

   『A.I.S.S』最終調整開始......完了

    システムに不都合なデータ削除を開始......完了

 

────『A.I.S.S』の『FWAIS』への機能譲渡を確認

    念のためA.I.S.Sは保存したままとする

    

────機体全ステータス及び型式番号・機体名を全変更....型式番号BISH-0『RAY』と命名。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━やっと侵入出来た




次回予告

手に入れたものは力となる
だが、更なる力を欲しては手に入れたものを失っていく

力を得る事に
一つ、また一つと失っていく

そして────決別の時は来る


次回=決別の時=
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