一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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その男の人生は短い

だがその男は後悔しない

その男が見た最後の光景は

長い夜を終えた
黄金の夜明けだったのだから


復讐者の果て︙後編

 俺は世界を回った。

 

 澪から知らされた己の姉が犯した罪。

 世界を巻き込み、何十億人をの人間を巻き込んでその人生を捻じ曲げてしまった大罪を俺は知った。

 

 その全ての人に罪を償う事は出来ない。

 だからこそ俺は世界を回った。戦乱化した世界を回り理不尽な暴力に脅かされる人達を助け、亡国と委員会側の戦闘に参加し亡国側に着いて戦闘の手助けをした。

 

 世界を回っている最中に千冬姉の弟だとバレた事があった。すると俺に罵倒し、暴力行為まで発展したことがあった。それは拒絶の反応。この時になって初めて澪に言われた事、あの光景を見せられた答えを得た。

 俺は許されなくていい。許されてはならない。俺はあの時から、この人生を掛けて千冬姉の大罪の償いをすると決めた......だから!

 

 

「お前の目的を果たせ────澪ッ!」

「ゔぅ「■■■!」しまっ......がぁ!?」

「これは災厄の果て、全ての怨念を纏め、そしてうち消し去る浄化────単一仕様能力第二段階『夏の夕暮れ』ッ!!」

 

 

 一夏の単一仕様能力により澪の光線を霧崎に跳ね返し、その攻撃の大半が霧崎に直撃し呻き声をあげる。

 今の澪は霧崎の殺害こそが最優先事項となっている為、一夏に向けていた光線攻撃を中止。澪が霧崎に接近したのを見て一夏は離脱を開始。

 

 

「澪、俺はお前に教えて貰った罪を償い続ける。

 だから、お前はその目的を果たせよ。」

 

 

 一夏はそう呟いた途端にその体から火花が散り、爆炎を起こして墜落した。これは戦略級兵器程の威力が有る攻撃を受け続けた結果だ。その目は最後まで澪の復讐を捉えていた。一夏がこの時の目撃後、世界各地の戦場にて時折姿を現す様になるのはまだ先の話。

 

 

 霧崎に着実にダメージが入り始めた頃だ。澪の頭部以外の装甲がひび割れその装甲が落ちた。その下から現れた装甲は黒く、血の如く赤いラインが入った装甲。その体はさらにISと人間との融合を精錬した姿であり、極めの体。

 

 

 最終形態Fフェイズ移行

 

 

 活動限界が20分を切った。

 霧崎は既に完全に戦闘態勢に移行し、機関を最大限まで稼働させている。霧崎の戦闘力はまさに世界最高峰......しかし、それを超える出力を目の前で出され苛立ちを隠せずにいる。

 

 

「私はまだ死ぬわけにはいきません。

 私の目的の果ての世界、それが目の前まできてるのですからッ」

 

 

 霧崎はG機関の出力制限を解除し、白金の如き光が放たれる。今ここにて、人とISを超えた人類未踏の本気の殺し合いが始まった。

 互いに加速すれば空間が悲鳴を上げ、大地は罅割れる。互いの拳が打ち当たれば衝撃が周辺を襲い、誰一人とも近寄ることが出来ない。武器による攻撃は山さえ削り取り、防御によりまた周辺環境が激変する。

 

 いつしか二人の周りは何も無く、真っ平らとも呼べる平地だけ。

 この時既に討伐指令を受けたIS・EOS乗り達が到着していたが、この有様を見て動けないでいた。しかし、時折襲来する一撃必殺級の流れ弾に恐れをなし戦闘場所から大分離れた所まで撤退したのである。

 

 

「っあ!」

 

 

 霧崎は普通ではありえない速度でそのランスを振りかざし、澪はエネルギーを纏った拳......Eハンドで殴り打ち合う。速度が爆発的に増してきている澪の拳が、確実に霧崎の体を打ち砕いて来ている。霧崎は撃ち合いの合間に見たその無感情な澪の顔の双眸を見た。

 

 

 逃さない

 

 

 霧崎は初めてサッと血の気が引いた気がした。今までの人生において臆することがなかったが、今初めて......死が迫って来て漸く『恐怖』を得た。足掻いても足掻いても、全てを無に帰す目の前の存在に恐怖したのだ。

 

 

「まだ、まだ私はッ」

 

 

 機体出力を過剰値まで上げて攻撃を仕掛けるが、既にその出力を上回り尚且つ技術力でさえ全てを捨てた澪を下回っている。あまりにも酷いGが掛かり体が千切れそうになるのを無理矢理修復して繋ぎ合わせる霧崎に対し、澪はその身から出るエネルギーによる表面が焼けて来ている事以外変化は無い。

 霧崎はその体が持たない領域に達し、様々な能力値においてももう差がついた。そして、遂に唯一の近接装備であるランスを半ばから折られた。

 ここに来て遂に霧崎は最終手段を使うことにした。

 

 

「機関セーフティー強制解除ッ!」

 

 

────────────────────────

 

 G機関の安全装置を強制解除し、出力設定を無くした────が、それでも届かないッ!

 

 

「かはっ!?」

 

 

 戦闘が始まり初めて目の前に居る榊の拳が胴体に直撃し、私は苦悶の声を出す。打ち合ってたから分かる。今日会った頃と比べても、異常な程にそのスペックが跳ね上がっている。 胴体に突き刺さる拳が、その纏うエネルギーを爆発させ私の白い体が赤黒く染める。私が強化したA.I.S.Sの発展システムが搭載されており、私の為に作ったそれの効力も足せられた激痛が私を襲う。全て、やった事が自分に返って来ている。

 

 A.I.S.Sの発展システムであるFWAIS、その正式名称は『Fallperformance.Weapon.Anti.Infinite.Stratos.System.』と呼び、A.I.S.SがISの機能と機構を停止・阻害。FWAISはそれに加え武器の性能を落とし、起動阻害をも持つ。

 霧崎は実験的な意味合いでこれを施し、データを取ったが己に流用する事が難しいと判断し結局の所は情報だけの形となった。ここで何故戻さなかったのかと言われれば、それは澪が己に勝る等と思ってなかったからだ。故に起きた失態。

 

 

「かっ......ぐぼっ!?」

 

 

 私はこの馬鹿げた大人達がやりくりしていた世界を終わらせ、その先の世界を見たかった。それが幼少期に自惚れでは無く、本当に天才とも呼べた私にとっての夢だった。 その途中で出て来たISに魅せられた私はその力を持って、世界を変えることを決意した。ISが出てからすぐにIS委員会を発足させ、まだ良識的なメンバーしかいなかった小さな女性権利団体をその下層組織として成長させた。

 私はISが秘める『進化性』と『能力性』をの高さを突き止めた。その為に非人道的実験をし、改造・人体実験......戻れぬ道まで来ていた。 得られた結果から私は人としての体の全てを投資して、世界において実質初めてとなる秘匿でありながらも正式なIS融合体に至った。そうして私は試運転がしらにIS融合体の適合者候補がいるらしい日本のとある県境の山間地にある街を、部下含めた10数人程で私の体の実験と評して焼き払った。今思えばその時、ISに不可思議な不調が起きていた。

 

 ISが震えていた。(・・・・・・・)ISにはコア人格というものがあり、確固とした個がある。それが何かを感じ、恐怖したのだとあとから判明したが結局大元の恐怖となる原因は不明だった。 あれから幾年、その原因の大元が生き残りこうして私に牙を向いた。

 前に初めて正体を現し、対峙した時は確に榊澪は周りよりは強かった。それはIS融合体の成功例として、初めからその様になると決定づけられていた者故だろう。だが、あれ以上の完成度を誇る私が......あれより年数を掛けてきた私が殺られてしまうのは何故だ?

 

 

────何故?そんなのは決まっているさ霧崎君

 

 

 唐突に聞こえた聞いたことの無い男の声。同時に周囲の景色が止まっているように見え......違う、よく見てみると景色は極わずかだが動いていた。

 

 

────はじめまして、とでも言っておくよ?

    私が誰かなんて事は言えないから......ああ、Rとでも呼んでくれ。

────手短に話すが、君がここまでやられているのは何故かだったね?答えは簡単、君は人の怒りと復讐心を侮っていた。

 

 

 私には勝手に話し掛けて来て、一方的に答えを喋ってくる声に苛立ちを隠せない。

 

 

────君は篠ノ之束と同じくこの世界において唯一無二、独自の視点持って全てが普通以上にして異常。世界を引っ掛け回した......だが、君は公に無い天才にして彼女は公に認められた天才。世間に知られた彼女は最低限世間に対する常識を考え、紹介したISによる馬鹿げた差別を招く行為を恐れた。彼女でさえ、その点の心配はあった。......気づくのは手遅れになっていた時だったがね。

────だが君はどうだい?誰にも知られない天才は水面下で大層な目標を掲げたのはいいが、ISのデメリット点である『女性にしか使えない』という女性にしては最大のメリットであり差別に対しての最大級の爆弾を盛大に爆発させた。その時より君の計画は進み今やその計画を果たす寸前まで来ているが、それまでに出した生贄となった人々の怒りと憎しみを見て見ぬ振りをした。

 

 

 人の歴史での文化の発展、技術の発展には何時も犠牲は付き物。私はそうだと思っている。現に私のお陰で世界の技術革新、人類の意思の向上は果たされ恒久和平の道に今向かおうとしている......それの何処が間違えている!?

 

 

────その贄になった者達が、何時までも黙っているはずがないだろう? 人の怒り・復讐心、それら感情は時にして全てを覆す事さえある。それは己の死を遠ざけ、絶対的絶望を覆すことさえできる。君はそれを甘く捉え、贄となった人々の怒りを高まらせた。あとは......この世で一番恐ろしい復讐者に詫びたらどうだい?

────君が言った通り彼の魂はもうこの世にない。だが彼の怒りと憎しみを混ぜて出来た榊澪という復讐者は目の前に居る。君にはもう未来は無く、それを覆す希望も絶望も無い。あるのは生物において死そのものである虚無、彼には言ってなかったが......霧崎君。君は本当に愚かだったよ。

 

 

 私が愚か?天災と同等かそれ以上の私が、世界を導く筈だった私が? そう思っていた私に超低速の世界は速さを戻し、復讐者の攻撃が身体を貫いた。

 

 

「ガフッ!?」

 

 

 身体を修復させようとするが、澪の持つFWAISにより阻害されてしまう。

 

────────────────────────

 

 活動限界時間残り10分

 

 残り10分になり、霧崎を遂に追い詰めた。だがそれは復讐者の最後が、すぐそこまで迫っていることを示す。

 

 身体を貫かれ、手足をもがれても修復しながらも戦いボロ雑巾一歩手前までになった霧崎。だが、ボロボロなのは澪も同じだった。自ら放出する過剰エネルギーがその身を焼いて起きた自滅ダメージが蓄積され、その身が焼き爛れた。

 

 不意に澪の異様な変化に気付き、目を疑った。

 体が凹み、周辺空間が澪に向かって収束し異様な光景を作り出している。そして、周りの物体が澪に引き寄せられた後に圧縮された後に消滅してしまった。

 

 

「そういう......事、ですか」

 

 

 霧崎はその様子を見て今の澪の状況を理解する。要はブラックホールの如く、全てを吸い込むのだがその途中で加重される重力エネルギーによる負荷で巻き込まれた物を圧縮・消滅させるのだ。

 霧崎は先程の声の主通りどうやら自分は成す術もなく死ぬらしい、そう考え近付いて来た澪に吸い込まれた。途端に纒わり付くG機関から生まれたエネルギーが、その重力作用により付着した場所を凹ます。霧崎は圧倒間に全身が凹み、圧縮されたのだが突然その途中で作用が止まった。そのままの状態で両者は上に......宇宙に向かって急激に上昇し始めた。

 霧崎はその行動に戸惑い、澪はどんどん加速する。その速度は音速を超え、光速の領域で飛び、地球圏から遠く離れた宙域にてその動きが止まった。

 

 

     ────活動限界突破────

 

 

 澪の体から一つの機械が突出。その機械からは澪の体から溢れるエネルギーと同じ物が出ており、それからわかる正体はエネルギー発生源である『G機関』。その機関に膨大なエネルギーが蓄積されているのを霧崎は理解し、同時に何が起こるのかを理解する。 

 今ここに究極にして最悪の一撃が繰り出され、一人の復讐者の終わりのピリオドを迎える。

 

 

 

  終極兵装『原初の炎(オリジン・フレイム)』起動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、地球から遠く離れた宙域にて宇宙が歪んだという報告が成され......榊澪と霧崎千切のIS反応が消失したのであった。




次回最終話予告

全ての元凶は倒された

怒れる復讐者も消えた

全ての戦いは幕を下ろし
世界は黄金の夜明けを迎える

次回最終話=破壊の英雄=
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