一般人15歳で〝ちょっと〟変わった彼のIS生活(完結)   作:A.K

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閑話︙その思いの元に一閃

 罪を見た。

 

 悲劇を見た。

 

 憎しみを見た。

 

 怒りを見た。

 

 

 感覚的には永遠とも呼べる時間、その光景を見続けた。切っ掛けは俺ともう一人のIS男性操縦者である『榊澪』だ。IS学園を襲撃してきて、千冬姉を殺した奴だ。

 半分導かれてあの場に行って、千冬姉を守ろうとした。しかし、それがかえって千冬姉には邪魔の行為であり、それ故の結果殺されてしまった。俺を庇って。

 

 最初は千冬姉を殺した澪に対してキレた。小学生の時に起きた箒の件以来久しぶりだった。俺は怒りに任せて雪片弐型を振るい、雪麗を撃ち続けた。俺は初めて人を殺したい、殺してやると思ってた。たった一人の家族を殺された恨みと怒り、振るう刃に殺意を乗せた。

 

 

『以前より太刀筋は良くなったな。

 だが────それだけだ。』

 

 

 しかし結果は惨敗だったが、白式が動く続く限り反抗してやろうと思っていた。しかし、地面に縫い付けられて動けなくなった。澪に突然質問を受けたが、そこで俺は初めてこの時のIS学園の状態を知った。千冬姉はただ俺に対して『自室に待機してろ。』と言って、何処かに言ってしまったから何があったかなんて聞けやしなかった。それから幾つか質問を受けて、それに対して答えた。一度一度、答える度に色々言われて俺はそれに反論したが澪はそれら全てに正論でねじ伏せた。

 

 そして澪の攻撃で白式のSEが切れた時は、殺されると思っていた。彼処までの事をしたんだ。でも、澪は俺を殺そうとしなかった。それどころか俺を放っておいて此処から、IS学園をここまで破壊しときながらさっさと去ろうとしていた。

 

 故に俺は澪にどこに行くんだ!と叫んだ。澪はこれに対してまるで当たり前の様に『任務が終わったから去る。』と言った。俺は学園を壊して心が痛まないのかと叫んで訴えたが、澪はそれに対して何も思わない......壊された方が良いと言った。

 

 俺はこの時、頭に血が上っていて何故その考えに至っていたのかを理解してなかった。あとから考えてみれば凄く簡単で、俺は何ともなかったが澪は毎日の様に嫌がらせ・殺人未遂被害、アリーナでは訓練の妨害行動をされていた。そもそも澪はISが嫌いだと公言していたし、今の女性主義者達が大嫌いだった。そんな所に無理矢理通わされている故に、そう思うのは当たり前だった。

 

 そして、俺は澪に頭を掴まれた後......あの光景を見せられた。万年とも呼べるほど長い時間、あの光景を見続けた。そこで俺は嫌という程、無理矢理惨劇を見せられ続けた。それは千冬姉が関連し、世界を掛けた悲しみの連鎖。嫌でも気付かされ、あれら全てが自分の姉が原因だと結論が出た。あの光景の中でISを纏う者達、研究員達が口々に『織斑千冬のため』『織斑千冬を超えるため』『ISのため』......もう俺が信じた千冬姉が何だか分からなくなって、あの光景を見ながら吐いた。知る情報の多さと真実の重大さの重さに耐えれなかった。何十......何百回と見続けて俺はやっとこれら全てが千冬姉の『罪』だということを認めた。その答えにたどり着いたのが原因なのか、世界は唐突に眩しい光に包まれる。

 

 目が覚めた時、俺が気を失ってから数分しかたっていなかった。あの光景を見続けてもう半年は経っていると思ったが違うことに驚く。

 俺は白式を見て、SEを確認したがSEは回復......というより今までの上限を軽く超えていた。理由は分かっている。あの光景が終わる直前、澪が俺に対して言ったことだ。目覚めた時にあの光景を、千冬姉が残した罪を......見ないといけない現実を。

 

 

「俺が、俺がやらなくてはならない事。」

 

 

 俺は千冬姉の思い、願いは間違ってはいないとは思う。根本にあったのは俺を守りたいという願い。だけど、そのために他者を傷付けていくことは間違っている。千冬姉はそれを良しとしたが、俺はあの光景を見た故にそれは間違っていると言える。

 

 俺がやらねばならない事。それは千冬姉が原因でこうなった世界を直すために、俺が千冬姉の残した罪を背負い、世界を正すことに身を捧げること。

 それが、永久と呼べる程の時間であの光景を見て考えた事の結論。

 

 

「起きろ────白式」

 

 

 俺は澪によってSEが満たされ、動ける様になった白式を起こし純白の装甲をその身に纏う。ボロボロになり、まだ万全には動けないが。

 俺のあやふやだった心は今、一つの目的の為に固まる。ハイパーセンサーを作動させ、周囲にISの反応を調べた。

 

 

「誰も居ないのか。なら!」

 

 

 俺はPICを起動さて浮き、空を見上げる。空はもう朝日が登っていて明るくなりつつある。俺は雪片弐型を展開し地面に投げて突き刺した。突き刺さった雪片弐型に、雪麗の砲撃モードの砲撃を撃ち込む。一回、二回と幾度も撃ち込んだ。砲撃で生まれた煙が晴れ、雪片弐型があった場所は溶けた金属片が有るだけで雪片弐型は原型をとどめてない。雪麗もエネルギーを過剰に入れ、爆発寸前まで溜まってからパージ。すぐ様凄まじい爆発が起き、雪麗も爆発によって消えた。

 

 これから先、もう千冬姉の象徴『雪片弐型』、『零落白夜』はもう要らない。千冬姉が俺に対して授けたものはもう要らない。ここからは俺が、俺の意思で必要とする武器を以て罪を払う。

 その為には......アイツらの力が必要だ!

 

 

「姿を現せ──『白式』!」

 

 

 白く光り輝き、視界を埋め尽くしていく。同時に溢れ出る粒子が俺に纏わり付き、それが瞬時に結晶となる。不安になる、だが暖かいそれに俺は目を閉じ意識を落とす。心の底、夏に行ったあの場所へ────

 

 

 

「また会ったね。」

「ああ。久しぶりだな白式。」

 

 

 夏に会ったときは分からなかったが、今やっと理解出来た。このワンピースの子が白式のコア人格、ISの要。そして、ここがISのコアネットワークにしてISのコア人格がいる場所。

 

 

「やっと私の事を理解してくれたんだね。だけど、今はわたしに会う事が目的じゃないでしょ?」

「おう。」

「......」

 

 

 夏のあの臨海学校。福音との一戦で出会った白いワンピースの女の子と白い女騎士がいる、青い空と永遠に続く水面の世界に俺は再び訪れた。

 ワンピースの子、白式にそう言って女騎士に目を合わせてから言う。

 

 

「よう、久しぶりだな。」

「貴様は何故またここに来た?」

 

 

 俺が挨拶すると白い女騎士は、怒りを含んだ声で尋ねる。今だから気付いた。今だからこそ分かった。

 この騎士の正体に

 

 

「力を......ぐ!?」

 

 

 俺がそう言ってる途中に女騎士は見覚えある長刀......千冬姉が使っていた雪片を俺の目の前に投擲し、衝撃によって水飛沫が俺を襲う。

 

 

「何故だ!何故......私が、私が与えた力を捨てた!」

 

 

 俺はこの女騎士の声に覚えがあった。それもそのはず、この女騎士は『白騎士事件』があった時の今より若い千冬姉だったからだ。そして、千冬姉が白騎士のパイロットに乗っていたのは澪を通して知ったから故にこの千冬姉の正体も本当なのかという確信はなかった。実際にこうして再び会うまで。

 

 

「白騎士......いや、千冬姉か。」

 

 

 白騎士────全てのISの祖 世界にISの力を示した白騎士事件で猛威を振るった存在。そして、目の前に居るのはそのISコア人格。だが、これは恐らく本当の白騎士ではない。

 なぜなら、白式の様な独特の存在感を放つISコア人格と違いその存在感が千冬姉そのものだ。直感だが、本能がそう白騎士に千冬姉のナニカが混ざってるのだと訴えている。

 

 

「私は......一夏、お前の為を思って白式を。雪片弐型を、零落白夜を明け渡したのにッ!

 何故、何故要らないと言うのだ!?」

 

 

 俺は雪片弐型という千冬姉に憧れ、敬ってきた雪片に依存していた。別にやろうと思えば学園側から武装を借りることは出来た......が、盲信的に雪片弐型を扱って来た。それが千冬姉から託された力であり、圧倒的な力であり、ISを纏う者をたやすく殺せる力。力を理解してなかった俺が心酔した力の象徴。

 でも、これから先の未来には要らないモノだ。

 盲信や信仰ではない、未来を切り開く為の願いの力が必要なんだ。だから───

 

 

「これからの俺には、アレはもう要らないんだ。」

「う────嘘だと、嘘だと言ってくれ。じゃなければ私は......私は......」

「ごめん。これから先、俺に千冬姉の力は必要ない。

 俺は千冬姉が俺のためにやった事。そこから起きた事、その罪を俺の力で償う。」

「あ......あ────」

 

 

 白騎士には千冬姉の意思、それかナニカが色濃く残っている。夏の二次移行も白式だけではなく白騎士もとい千冬姉の残留意志が働いていたから雪麗にも零落白夜が使えていた......俺にはそう思える。

 

 

「だから」

 

 

 俺は近くに地面に刺さる様に具現化した雪片を引き抜き、牙突の構えをとる。それと共に勝手に単一仕様能力『零落白夜』が起動する。狙うは白騎士の胴体中心、その心臓。これが俺にとってどんな形であれ、千冬姉と最後のやり取りだ。そして──────────

 

 

「千冬姉、今までありがとう。」

 

 

 放心していた白騎士の心臓に向けて一突き。零落白夜が発動している雪片は、その身に纏う鎧を簡単に貫き心臓を穿つ。

 すると突き刺さった所から血ではなく黒い粒子が吹き荒れ、それと共に千冬姉の感覚が急激に失われていく。粒子に触れる度に昔から現在に至るまでの、俺と千冬姉が過ごした日々の光景が浮かび上がる。恐らくこれが千冬姉の意志であり記憶で、残った欠片。

 

 

「さよなら千冬姉。」

 

 

 俺がそう言うと白騎士から千冬姉の感覚が完全に消え去り、突き刺さる雪片がボロボロと朽ちて白騎士が倒れる。白式が倒れた白騎士に駆け寄り「少し待ってて」と言って目の前から白騎士と共に消え去った。

 暫く目の前の光景を見渡すことにした。

 

 

 幾度の時が立つ。景色は夕焼けに染まり、静寂さがあたりを支配する

 

 

「もういいよ。」

 

 

 そう言って白騎士と共に白式が姿を現す。白騎士は先程と違って、完全に千冬姉の感覚が消えてあの夏の時と同じ様な厳格な感覚が出ていた。

 

 

「貴方は、彼女の意思を振り払ったんですね。」

 

 

 意志......それは千冬姉の事だな。

 

 

「俺はもう千冬姉の意思は必要無い。

 白騎士。もう俺には千冬姉からの力もいらない......これからは俺だけの力が欲しい。」

「貴方が必要とするのは、守るための力?攻める力?」

「いや、俺が必要とするのは両方とも違う。

 俺が必要とするのは『罪を祓い、未来を切り開く』力。

 千冬姉が残した罪が苦しめる世界を救うための力だ!」

「......始めのISである私にも責任があります。

 故に、私の力を────白騎士を貴方に託します。」

「わたしと白騎士、そして織斑一夏。

 三人で一つの新しい力。さあ、行こう......一夏。」

 

 

 視界は白く、光り輝く。

 

 

 

 今思えば、この機体自体が罪の塊のようなものだと認識する。だからこそ今から俺は動かなければならない。さあ......行こう。白騎士、白式......千冬姉が残した罪を祓う為に。

 

 目を覚ます。俺に纏わり付く結晶が銀色に、強く、心強く、何色にも塗りつぶされないように光り輝く。

 

 

「行こう────『夏の思い出』」

 

 

────Summer.system stand up!!

    コアネットワーク全情報収集、擬似G機関生成

    擬似G機関起動......問題無し

    SE基本セーブ設定値除外

    武装......問題無し

    推進機......問題無し

    基本機能稼動確認

    異常移行完了。

    『夏の思い出』稼働開始

 

 

 

 全身に力を入れて纏わり付く結晶を砕く。砕かれた結晶が朝日に照らされ輝き、その光が俺を照らす。

 

 

 罪を祓う力、銀に輝く俺の新たな機体。

 それが異常形態移行全身装甲型IS『夏の思い出』、それが辿り着いた俺だけの力。罪を背負い、罪を祓う......それに俺はなる。

 

 

「行くぞ」

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