-アッシュフォード学園 クラブハウス-
あれからルルーシュはロロに関する情報を集めていた。
(奴に俺の記憶が戻ったことを知られた今、向うの方に分がある。あの場はどうにか切り抜けたが時間がない藤堂や扇達の処刑がもうすぐだ。どうにかしてロロを殺して…いや殺せたとしても情報局にバレてナナリーが……。)
ふとルルーシュはパソコンを操作する手を止めた。
(だがアキラの奴……。)
アキラの突然、爆弾を起動させた事にルルーシュはおもわず焦りの表情をだしてしまった。
(俺を道連れにしようとして…はやく言ってくれればまだ策を……ん、策?)
アキラの行動を思い返しルルーシュはある答えを導き出し声を押し殺し口元をつり上げた。
(ふっふふふ、そうか……なるほど。アキラの奴。)
アキラの行動を理解したルルーシュは止めていた手をまた動かした。
-シンジュクゲットー 地下鉄ホーム-
「黎星刻?」
『そう、今その男が総領事のトップなの。』
「ギアスをかけた総領事館を殺して……。カレンお前達は無事なのか?」
『今のところ私達をブリタニアに引き渡すような素振りはないけど……。』
「この騒動を利用して総領事を殺したんだ。」
『私達に利用価値がなくなれば…。』
「………明日、ルルーシュと動く。紅蓮をいつでも動けるようにしておくんだ。」
『応急処置だけど大丈夫。アキラが教えてくれたおかげよ。』
アキラは以前からカレンに簡易であるがKMFの整備を教えていた。先の戦闘の修復もカレン自身で行った。
「俺達の戦力は僅かだ。」
『わかってる。だからこそ…。』
「今度は短期で終わらせる。」
『そうね…!』
-ブリタニアに中華連邦、そして陽炎。奴らから抜け出す隙間をつくるにはルルーシュの策、そして……。-
-翌日-
処刑当日
中華連邦総領事館前付近に設置してあるゲート前には大勢のイレブン、日本人達が集まっていた。
「…来ないか」
現場の指揮をしているギルフォードは半ば失望しつつ呟く。
「ギルフォード卿、お時間が…。」
「…そうか。陽炎に何か動きは?」
「いえ、特に…ゲートの外れに配置しており何も動きは…。何か?」
「暴動が起こった場合として派遣された部隊があのKMF1機だけなのが不気味でな。」
「見た事のない機体です。連中は何を考えているのでしょう。」
「とにかく、今は黒の騎士団だ。」
「エリス、機体はどうだい?」
『……異常なし。』
「わかってると思うけど今回銃火器は控えてくれよ。何かあったら外交問題になるから。」
今回、ヘルハウンドには右肩に付属してある専用のライフルが取り外された状態である。
「兄さん、もう時間だけどゼロは現れないようね。」
「イレブン達がっかりだろうな。」
「私達も無駄足ってことかな……ん?」
ジョディは車両の窓を見つめニヤっと微笑んだ。
「兄さん、無駄足じゃなさそう♪」
「違うな、間違っているぞ、ギルフォード!!」
ギルフォードによる処刑の合図が行われた直後KMFのハッチを開き立っているゼロが姿を現した。
「来たか、ゼロ!」
ゲートが開きゼロとギルフォードが対峙する。
「ゼロが現れた!アキラは?」
ゼロが現れ領事館にいるカレン達にも緊迫の空気が包んだ。
「落ち着け、ゼロ1人のようだ。」
「そんなはずはない。どこかにいるはず。」
「お久しぶりです、ギルフォード卿。出てきて昔話でもいかがですか?」
「せっかくのお誘いだが、遠慮しておこう。過去の因縁にはナイトメアでお答えしたいな。」
「君らしいな。では、ルールを決めよう。」
「ルール?」
「決闘のルールだよ。決着は1対1で付けるべきだ」
「いいだろう。他の者には手を出させない」
ギルフォードはランス、ゼロはなぜか鎮圧用のシールドを持った。
「質問しよう、ギルフォード卿。正義で倒せない悪がいる時、君はどうする?悪に手を染めてでも悪を倒すか?それとも、己が正義を貫き悪に屈するを良しとするか?」
「我が正義は姫様の下に!」
ランスを構えるギルフォードにゼロは高々に叫んだ。
「私なら悪をなして巨悪を討つ!」
その瞬間地面は揺れゼロやギルフォード達がいる場所が斜めに捲れ上がり軍のKMFが次々と総領事館内に落ちていく。
「これはブラックリベリオンの!?最初からこれを…くぅ。」
シールドの上に乗ったゼロの無頼はギルフォードのグロースターをジャンプ台代わりにし、無頼は総領事館内に飛び込んだ。
「黒の騎士団よ!!敵は我が領内に落ちた!ブリタニア軍を潰滅し、同胞を救い出せ!!」
ゼロの合図でカレン達が扇達の救出に駆けていく。
仲間が扇達を救出している間カレンは敵KMFを1機2機と墜していくが1機の敵KMFの出現で状況は変わった。
仲間の無頼が敵の撃破されカレンはその姿を見た。
「こいつ新型?」
カレンはエリスのヘルハウンドと初めて対峙する。
右腕で捕らえようとするがエリスは左右へと動きながら回避し前蹴りを紅蓮に放った。
バランスを崩した紅蓮をカレンは持ち直し輻射波動を使おうとするがヘルハウンドの左腕に装着してあるクローが伸び紅蓮の右腕の付根を掴み紅蓮を上下と激しく打ちつけ紅蓮を宙に浮かした。
「くぅ…、こいつ。」
『こんなものか紅月カレン…。』
「っ!? あんたは?」
『私はエリス、パーフェクトソルジャー。』
「パーフェクトソルジャー……。アキラが言ってた…。」
カレンはバベルタワーから総領事館へ向かう途中アキラから先程対峙したエリスの事について簡易であるが聞いていた。
『アキラが強くお前に拘っている。お前は一体……。』
カレンは右腕をパージさせ自由になった紅蓮は呂号乙型特斬刀を構えてヘルハウンドに斬りつけた。
エリスはうしろへ後退するが伸びていた左腕のクローアームが切断された。
「悪いけど今あんたに構ってる暇ないの。それにここはねぇ、もう日本の領土なんだよ出て行きな!」
その頃ゼロの無頼を1機のKMFが追っていた。ロロが乗るヴィンセントである。
(やっぱり逃げるんですね。C.C.を差し出す約束は…。ルルーシュ、最初から僕に嘘を。)
「まだ、まだ捕まるわけには。」
スラッシュハーケンでゼロの無頼の左腕を破壊し追い詰める。
(僕に未来をくれると言ったくせに。)
「ここで死ぬわけには!」
その時、ロロに向かってどこからか銃弾が放たれた。
(しまった!!物理現象は止められないっ!!直撃コースだ。こんなところで!?)
直撃すると思われたがゼロの無頼がロロを庇い被弾した。
「な、何故?……どうして僕を?」
『お前が弟だからだ』
「っ!!」
『植え付けられた記憶だったとしても、お前と過ごしたあの時間は嘘はなかった』
ゼロ=ルルーシュの言葉にロロは動揺した。
「弟……僕が…。そんな…自分の命が大事だって、そう言ったくせに…。そんなくだらない理由で。」
『やめろデヴィット、総領事館に当たったら中華連邦と戦争になるぞ。それに何故配置から離れた?』
狙撃担当であったはずのグラストンナイツのデヴィットが持ち場から今崩れた場所を見下ろせる場所にいたのだった。
「予想外の事が起こったんだ。それに対応したまでだ。」
『ん?お前デヴィットじゃないな。誰だ!どこの所属の者だ!』
通信を切りルルーシュとロロの事態を見守ったアキラは先程現れたエリスのヘルハウンドに目を向けた。
対峙する紅蓮とヘルハウンドの間に銃弾が飛びカレンとエリスは銃弾が飛んだほうを見た。
狙撃用ライフルを構えたグロースターが降りてきた。
「カレン、離れるんだ!今の紅蓮では勝てない。」
『アキラ!』
アキラは紅蓮の前に立ちエリスのヘルハウンドと対峙した。
「右腕はどうした?」
『ごめん、ちょっとドジって…。』
近くに紅蓮の右腕が転がっているのがアキラから確認できた。
『アキラ……。』
「エリス、こいつに手だすなら容赦しない。」
『それほどまでにお前は……。』
「…………。」
左肩に装着してある盾から柄が現れたが刀身が数珠状に分割されていた。
『アキラ!』
「気をつけろ!」
2機はヘルハウンドから距離をとるがエリスはこの奇妙な剣を鞭のように振り回しアキラが乗るグロースターが持っていたライフルが剣の刃に切断されてしまった。
「そこまでだ、ブリタニアの諸君!これ以上は武力介入とみなす。引き上げたまえ!」
ここまで静観していた中華連邦の星刻の声が響きエリスの動きがとまった。
『エリス聞こえたでしょ。撤退よ。これ以上は外交問題に発展するわ。』
ジョディからの指示でエリスは静かにその場から去っていった。
エリスが去り緊張の糸がきれ2人は安堵の色を見せた。
ブリタニアが撤退し捕まっていた仲間を解放できカレン達は再会に喜んでいた。
「カレン、ありがとう。」
「扇さんも無事でよかった。」
カレン達の姿をアキラは少し離れたところで見ていたが玉城がアキラを見て叫んだ。
「おぉ流崎!」
玉城はアキラの肩に腕をまわした。
「助けてくれるって信じてたぜ。」
「思ってたより元気だな。なら今から紅蓮の修理手伝ってくれ。」
「げぇっ、やっと開放されたと思ったらもう扱き使う気か!? 冗談でもよしてほしいぜ。」
「あぁ冗談だ。」
冗談など絶対言わないと思われたアキラから冗談を口にし玉城意表をつかれた思いがした。
「流崎、君にも礼を言わないと。」
「助けてくれてたことに感謝する。」
扇、藤堂もアキラに感謝の言葉を伝え、アキラはうしろにいる朝比奈を見つけお互い顔を合わせた。
「何だその顔は……借りができたとは思わないからな。」
「そんなのお前から期待してない。」
2人のやり取りにまわりは笑いがおこりその中でアキラはルルーシュと並んで立っているヴィンセントを見つめた。
-処刑時間30分前-
「…キーはこれだ。」
ルルーシュによりギアスをかけられた狙撃担当のデヴィットはアキラにKMFのキーを渡した。
アキラは当て身をしデヴィットを気絶させた。
「わかってるな。」
「あぁ、お前の芝居に付き合ってやる。」
「ふっ、芝居か…。アキラ、お前も演技がうまかったな。」
「……どういう意味だ?」
ルルーシュは不敵な笑みを浮かべた。
「本当はあそこに爆弾を仕掛けていないんだろ。」
ルルーシュの問いにしばらく沈黙するがアキラはフッと苦笑いをした。
「いつわかった?」
「あれから落ち着いて考えたらすぐにわかった。陽炎との結びつきがあるかも知れない奴等をそう簡単に殺そうとするはずがない。俺と同じ奴等を利用とするお前が。」
「お前がうろたえてる姿を見せたら奴も信じるだろうと思った。あとはお前を利用して奴を殺そうと思ったが……。」
「ロロは使える。しばらくあいつの兄弟ごっこに付きあってやる。まぁそのあとは…。」
「……駆け引きはお前のほうが勝るな。」
「ふふっ、まだ死なせるものか。何がロロ・ランペルージだ。俺の家族は……ナナリーだけだ!」
夜、開放された黒の騎士団のみんなが外で騒いでいる時、ルルーシュ、アキラ達4人は1室にいた。
「それでルルーシュ、あなたを助けたあのKMFは私達の味方って事でいいの?」
「そうだカレン。名前は明かせないが、我々の賛同者と考えていい。」
「アキラ、あなたは知ってるの?」
「…あぁ。」
2人の返事にカレンはムッとした。
「それ私にも秘密にしないといけないこと?」
「いいだろう。秘め事くらい持ちたい時もある。」
ルルーシュの返答に不満を持ちカレンはアキラの顔を見た。カレンと目が合ったアキラは溜息を吐いた。
「……こいつは監視されてるんだ。」
「でもっ!」
「こいつはゼロだ、俺達が不利になるようなことはしない。まぁ
「確かに……。」
呆れたような目つきでルルーシュを見つめ視線を感じたルルーシュは顔を横にむけた。
「何かあったときは俺達でこいつを止めればいい。いやカレン1人でも十分か。」
「お前…。」
このやり取りをC.C.は面白そうに眺めていた。
「2人共もうそれくらいにしてやれ。こいつがかわいそうだろ。」
ニヤニヤと笑顔でこちらを見るC.C.にルルーシュはおもわず舌打ちをする。
「ふふっ、わかった。この話はルルーシュに任せよう。カレンそれでいいだろ?」
「……わかったわよ。」
「それでゼロの正体は?知っているのは組織内で私達だけとなったが?」
「それも伏せておく」
「ルルーシュ。私は今まで通り、ゼロの親衛隊隊長でいいのかしら?」
「あぁ、頼む。アキラ、お前はカレンの下で動いてもらうが…。」
「そのつもりだ。」
「よろしくねアキラ。今度は隊長を殴って勝手な行動はしないでね。」
「……あぁ」
「それでアキラ、お前に聞きたいことがある。」
先程の空気から一転ルルーシュの口調が変わりアキラもその態度を見て彼が聞きたいことが理解できた。
「PSか…。」
「あぁパーフェクトソルジャー。詳しい事を聞きたい。」
アキラはサドナ王国での戦いでの遭遇から井ノ本から聞いたエリスについて3人に話した。
井ノ本の名前が出てC.C.の表情が僅かだが反応した。
「ギアスを超える完全なる兵士…。」
ルルーシュは額に手を当てる。
「だがあの男がギアスを研究していたとは…。」
「アキラ、今日現れた新型のKMFがそのエリスって子の専用機?」
「あぁ、おそらくランスロットと同等いやそれ以上だな。」
「……今の黒の騎士団の戦力では。」
「勝てないだろうな。無頼数機、急ごしらえの紅蓮じゃあ相手にならない。」
アキラの話を聞きルルーシュは溜息を吐き額に手をやった。
「ラクシャータから聞いた話では紅蓮に飛行装備と新しい輻射波動がもうすぐできるらしい。」
「それまでに間に合えばいいがな。」
アキラの言葉にC.C.は苦笑いで返した。
ルルーシュ達と別れ1人になりC.C.は外を眺めた。
「井ノ本……お前は何を考えてる。ギアスを超えて何を目指す………。」
-ブリタニア 本国-
執務室にてシュナイゼルは1人で佇んでいる時ドアのノックの音が聞こえた。
「失礼します。」
側近のカノンが入ってきてシュナイゼルにある書類を渡した。
「エリア11からの報告です。」
カノンからの書類に目を通しシュナイゼルは溜息を吐いた。
「彼女がもうすぐ本国から発つ。無事に送り届けたいがそうもいかないようだね…。」
「殿下、言ってる事と顔が一致してませんよ。」
「そうかな?」
「えぇ、とてもいい笑顔です。」
カノンの指摘にシュナイゼルは苦笑いをした。
「流崎アキラそしてゼロ、何も起こらないと考えるほうが難しいよ。」
「殿下、エリア11にてあの部隊の準備は整いつつあります。」
「ふふっ、では観察を再開させようか、流崎アキラの。」
夜も更け、アキラは1人肌寒い屋外で紅蓮の修理を行っていた。
あれからルルーシュはゼロとして皆の前に現れ改めてブリタニアと戦うと宣言し皆もそれに賛同した。途中1年前の事を追求されることもあったが兎にも角にもこれで人員での戦力は確保できた。
月明かりと照明の光を頼りにアキラは工具を片手に作業をしている。未だKMFの戦力が不足している黒の騎士団、アキラはカレンが十分に戦えるようにと今出来る最低限の整備を行うと皆が床についている中手を休まずに続けている。
背後から足音が振り返るとそこにはコーヒーカップを持ったカレンがいた。
「……パイロットは休んでろ。」
「それはあなたもでしょ。」
「俺のことはいい。それとも愛機が勝手にいじられるのが嫌か?」
まるでからかう様に言うアキラにカレンは笑って返した。
「まさか。あなただから任せられるのよ。」
カレンはカップをアキラに差し出した。
カップを受け取りアキラは暖かいコーヒーを口にした。
2人は近くの階段に腰を落とした
「どこまでできた?」
「まだ半分ってところだな。できたとしても枢木、エリスを相手じゃあ勝てない。今できることはお前を死なせないよう仕上げる事だけだ。」
「アキラ……。」
「心配するな。お前は俺が守る。」
アキラの言葉にカレンは頬を染め微笑みお互いの肩が触れそうなところまで体を寄せた。
「ねぇアキラ、あれからあなたが死んだってみんなは思ってたけど私はそうは思えなかった。……根拠はない。けど生きていて私の近くにいるような気がしたの。」
カレンは満月を見上げブラックリベリオンから1年あったことを思い出していた。
「あなたもきっとどこかで戦っているって…だから私も絶対負けたくないって思ったの。」
アキラは何も答えないそれでもカレンは続けた。
「私達がここで動けばきっとあなたも来てくれるって信じてた。それがすぐ近くにいたなんて私…。」
その時、自分の右肩が重くなっているのに気づき横を見るとアキラの体がこちらに倒れ肩があたったのだ。
「アキラ!?」
しかし、アキラは一言も喋ることはなかった。代わりに聞こえるのは小さな寝息であった。
「ふふっ何か新鮮、アキラのこんな顔…。」
アキラが持っていたカップを取り上げこんな無防備な姿を見てカレンの顔は綻んだ。
「ねぇアキラ、月が綺麗だね。」
-カレンが傍に来た時俺は不思議と心地のいい感覚を感じ俺は深い眠りについた。カレンに自分のだらしない姿を見せてしまった。だが羞恥心はなかった、ここが俺の安らぎの場所なんだと感じた。-
ヘルハウンドの新装備として左腕に装着してあるクローを伸縮できるアーム式にし専用の剣の元ネタは高橋監督のガリアンにでてくるガリアンソードです。