戦域を離脱し黒の騎士団のタンカーに偽装してある潜水艦にある医務室の前でカレンは沈痛な面持ちでアキラの治療が終わるのを待っていた。
‐ナナリーが乗っていた航空艦が大破しアキラのグロースターが海上で発見され急ぎ回収しようと近づこうとするカレンにエリスのヘルハウンドが長距離砲で襲ってきた。
「こいつ、邪魔するな!!」
長距離砲を回避し紅蓮の新装備である輻射波動を遠距離で照射できる輻射波動砲弾を放ったがヘルハウンドはシールドを展開させた。
「データの輻射波動とは違う?」
エリスは紅蓮の新たな武器に戸惑いながらも輻射波動砲弾を耐え忍ぶがアラームが鳴り響き大きな爆発が起こった。
カレンは落したのかと思ったが煙幕が晴れて見えたのは健在しているヘルハウンドであった。
「耐えたっていうの?」
エリスは攻撃を加えようとするが爆発の衝撃か左腕が思うように動かず先程とは違うアラームが鳴り響いた。
「エナジーフィラーが…。」
エナジーフィラーの残量が少なくなったとの警報であった。
『エリス、これ以上の戦闘は無理よ。帰還しなさい。』
これにはエリスも素直に従い戦闘区域から離脱した。
カレンはすぐさまアキラに呼びかけるが応答はなく急ぎゼロと一緒にグロースターを回収した。‐
治療中のアキラであったがその治療は困難を極めていた。運び出されていた時には心肺停止してあった。
医師達は心臓マッサージを行っているがアキラの意識が回復する様子はなく心電図からも心臓が動いているようには見えない。
次に電気ショックを2回3回と行うがアキラに変化はなく医師達は諦め治療を終えようとした時心電図がなみうち、アキラが咳をした。
2時間後治療を終え意識を取り戻したアキラの見舞いとカレンや玉城達がアキラが休んでいるベッドを囲んだ。
「しっかし、お前も悪運強ぇな。聞いたぜ、一度心臓止まって死んだらしいな。カレンなんか大慌てしてたもんな。」
「もう、玉城!!」
カレン達が騒いでいる中アキラは特に変わる様子もなく呟いた。
「すまないが少し休みたい。」
「おう、そうか。じゃあな。」
皆が出て行く中アキラはカレンに声をかけた。
「休む前にお前と話がしたい。時間はかけない。」
「おうおう、いいんだぜ2時間でも3時間でもお熱い時間をお二人で…。」
玉城達がからかうのをカレンは顔を真っ赤にしてドアを閉めた。
「もう、あいつら。」
「カレン…。」
カレンはアキラの顔を見てふぅっと息を整えた。
「作戦はどうなった?」
カレンは作戦の失敗と紅蓮を除くKMFの全滅、四聖剣の仙波の戦死などを伝えた。
「それでゼロは?」
カレンは頭を横に振った。
「行方不明。携帯に連絡してもでない。」
「あいつ……。」
「今の私達は戦える戦力も司令塔もいない。八方塞ってところね。」
「カレン。」
アキラはここへ来るよう手で合図しカレンもアキラの近くに寄った。
「俺が航空艦に潜入するのはゼロや藤堂達以外は知らないはずだったな。」
「っ? どうしたの?」
「情報が漏れてる。」
アキラは艦の中で襲撃を受けたことを話した。
「もしかして内通者?」
「ありえるな。」
「あなたを狙って?でもなんで?」
「カレン、この事は俺達だけの話にしよう。」
「どうする気?」
「相手の出方を見る。」
数日後、アキラの姿は自分の個室にいた。シャツの下から巻かれた包帯が見え痛々しい姿をしているがアキラは平然とし愛用のショットガンの手入れを行っておりベッドの上にはボストンバッグが置かれていた。
ノックの音の後カレンが部屋に入ってきた。
「アキラ、病室にいないからもしかしてって思ってきたけどもう大丈夫なの?」
「あぁ、もういい。」
ケロッとしているアキラにカレンは驚いたが
「ナナリーの所信表明演説がテレビで放送されるの。」
その言葉にアキラの手が止まった。
『みなさん、始めまして。私はブリタニア皇位継承第87位、ナナリー・ヴィ・ブリタニアです。』
テレビでナナリーの所信表明演説が始まり黒の騎士団の面々がテレビに凝視する中1人アキラはモニターを見ず黙ってコーヒーを飲んでいた。
皆、総督にしては幼いナナリーに拍子抜けした様子であったが次にナナリーが発した声明に皆、目の色が変わった。
『早々ではありますが、みなさんに協力していただきたいことがあります。私は行政特区日本を再建したいと考えています。』
行政特区日本、1年前に起こった事件もあり皆、困惑、怒りの声が混じっていた。
『黒の騎士団の皆さんも、どうかこの特区日本に参加してください。……私達は1年前の戦いで多くの血を流しました。しかし、互いに過ちを認めればきっとやりなおせる。私はそう信じています。』
アキラは最後まで聞かずに席を立ち出て行きそれを見てカレンは後を追った。
「アキラ、知ってたの?」
「……あぁ。」
「それでゼロは…。」
「ガキの夢に付き合うつもりはない。大人しく幽閉されていたほうがマシだ。」
「手厳しい。」
アキラの容赦ない言葉にカレンは苦笑いする。
「妹に論破された兄貴はあれを見て、もうここへは戻らないだろうな。」
それを聞きカレンは意を決したようにアキラの横を通り過ぎた。
「…どこへ行く?」
「その兄貴を探しに行くの。あんな男でもゼロなんだから。」
「当てはあるのか?」
「私がゼロと初めて会った場所よ…!」
歩くカレンをアキラは肩を掴んだ。
「俺も行こう。ナナリーの件は俺の責任もある。」
「そんな事言わないで。あなただけの責任じゃない。」
「準備してくる。先に格納庫に行って待ってくれ。」
そう言うとアキラはカレンを通り過ぎて行った。
カレンは格納庫にあるポートマンの前で待っているとボストンバッグ持ってアキラが現れた。
「その荷物は?」
「もしかしたら使うかもしれない。」
頭を傾げるカレンを置いてアキラは先にポートマンに乗り込んだ。
「よく頑張ったねナナリー、立派だったよ。」
スザクは所信表明演説を終えたナナリーを優しく労った。だがナナリーの表情はどこか暗くスザクは怪訝な顔をする。
「……スザクさん。」
「なんだい?」
「先日、ライさん……いえ流崎アキラさんとお会いしたことを…。」
「あぁ…聞いたよ。」
「スザクさん……アキラさんが本当にユフィ姉様を……。」
スザクは一瞬表情を曇らせたが口を開いた。
「そうだよ。彼がユフィを。」
「……私、それを聞いてあの人のことが怖くなったのです。」
ナナリーの声が少しずつ震えてきた。
「アキラさんに伝えたのです。あなたとまたあの学園に、そして今日の黒の騎士団の皆さんに協力をお願いしたのですが私……本当は自信が……。」
「ナナリー……。」
「やり直せる……自分でそう言った筈なのに本当は少し怖いのです。アキラさんも黒の騎士団も……。受け入れたい自分と恐怖している自分と……私、どうしたらいいのか……。」
「………。」
「なのに……演説であんな偉そうに言ってアキラさんの言うとおり私は…。」
それを見てスザクは震えてるナナリーの手を優しく握る。
「そんなこと言うのは駄目だ。ユフィも君が自分の夢を引き継いでくれる事をとても喜んでいるはずだよ。」
「スザクさん…。」
「大丈夫、きっと彼らにも伝わってるはずだよ。」
-シンジュクゲット-
ルルーシュは再開発が行われているシンジュクゲットーの区画の1つにいた。
その顔は覇気がなくうつむいていた。
(ナナリーが望む世界、ナナリーが選ぶ明日。しかしそれには俺が、ゼロが邪魔なんだ…。)
「もういらないんだ…ゼロも俺の戦いも…俺自身さえも…」
ルルーシュの手には注射器を持ち自らの腕に刺そうとしていた。
「やっと見つけた…!あんた、こんなところで何してんのよ!?」
誰もいないはずの場所に複数の音がし沈んだ顔をあげるとそこにはカレンとアキラ、2人の姿がいた。
「アキラ、カレン…なぜここが…?」
「ここは、ゼロの始まりの場所…でしょ?」
「それでお前は何を……っ?」
アキラはルルーシュが持っている物に視線が向いた。
「リフレイン。カレンも知っているだろう?懐かしい昔に帰れる…。」
カレンは怒りを露にしルルーシュに駆け寄ると、リフレインが入った注射器を取り上げ、地面に叩きつける。
「ふざけないで!!一度失敗したくらいで何よ!また作戦考えて取り返せばいいじゃない!いつもみたいに命令しなさいよ!KMFに乗る?それとも囮捜査?何だって聞いてやるわよ!!」
項垂れているルルーシュを見てアキラは鼻で笑った。
「情けないな、ルルーシュ。」
「何?」
「そんな物に求めるまでに落ちぶれたかルルーシュ。」
「……。」
「妹から言いように言われてこのザマならお前もう終わりだな。」
「なぁ、アキラ……。」
ルルーシュは引きつった笑みを浮かべる。
「お前の持ってるその銃で俺を撃ってくれないか?」
「………。」
「もう、俺はナナリーの邪魔でしかないんだ。だったらこのままいなくなったほうがいい……。」
その言葉にアキラは黙ってホルスターからショットガンを取り出した。カレンはアキラを制しようとしないが不安な顔をにじませていた。
銃口をルルーシュに向けると思われたがアキラはショットガンを回転させ銃身のほうを手に持ち棍棒のように振り上げルルーシュの横顔に殴りつけた。
「ぐぅ…。」
「いなくなったほうがいい?」
アキラはルルーシュの胸倉を掴んだ。
「前にも言ったな。お前が俺達を利用するように俺達もお前を利用すると。」
アキラの鋭い視線にルルーシュは視線を合わせようとはせず視線を逸らす。
「誰が死なせるか。お前はまだ働いてもらうからな。」
アキラは乱暴に放り投げルルーシュは地べたに這いつくばる。
「もう俺には……。」
その時、複数の足音が聞こえアキラは下のほうを見ると7~8人の人影が見えた。
「来たか…。」
「アキラ?」
「2人共来い。」
アキラはルルーシュの服を掴み無理矢理立ち上がらせこの場から離れカレンも続けて行く。
「アキラ、誰か…?」
「敵だ。」
「敵?アキラ、どういう事だ?」
「カレン、携帯借してくれ。」
カレンの携帯を使いアキラは扇に連絡をとった。
「扇、俺だ。」
『流崎?どうしたんだカレンと一緒に…?』
「そんなのはどうでもいい、それよりも俺たちが出たあと潜水艦からでたグループはいるか?」
『えっ…ちょっと待ってくれ………あぁ、お前達が出てから15分後偵察で3人出て行ったが…。』
その話を聞きアキラは携帯を切った。
「アキラ……。」
「カレン、当たりだ。内通者が俺達をつけてきた。」
「内通者!?ならあの時の作戦が筒抜けに?」
「ルルーシュ、それは違うな。だったら俺を襲わない。」
「襲われた?どういう事だ?」
アキラは足を止める。再開発中のビルはここで途切れ目の前には3階建ての廃アパートがありここから5mの間隔とがある。
アキラはアパートの屋上へボストンバッグを放り投げルルーシュの腰辺りを掴んだ。
「おっおい!?ちょっと待て!何を…。」
アキラは黙ってルルーシュを放り投げた。
「ぬあぁぁ!?」
アパートはここより低く入る分は難しくはなかったがルルーシュは体をそのまま打ちつけ蹲っている。
アキラは下を見て敵がここまで追跡しているのが見えた。
「カレン行け。」
カレンは言われた通りにジャンプしアパートへと移動しアキラも続けてジャンプした。
アキラ達は屋上を降りアパートの隅の部屋まで行き割れた窓から敵の動きを確認する。
「8人はいる。地上にいた仲間と合流したのか。」
「アキラ、まさかあなた……。」
「俺が動けば奴らも動くはずだ。」
アキラは部屋にあったテーブルの上にボストンバッグの中身を出した。アキラが用意していたのはハンドガン数丁、型の古いポンプアクション式のショットガン1丁入っていた。
「俺はこいつのように戦略を立てるのは性に合わない。だから奴等が動くのを待っていた。」
アキラはショットガンの弾を装填する。
「ここで奴等を叩く!」
カレンも戦う決意をしハンドガンの弾を装填する。だがルルーシュは…
「何故戦う………俺はもう疲れた。戦ったところでもう…。」
座り込むルルーシュを尻目に2人は銃の装填を行う。カレンの背後の扉から人影のようなものが見えアキラは叫んだ。
「カレン伏せろ!!」
カレンは身を縮ませアキラはショットガンのフォアエンドをスライドさせ大きな銃声が鳴り響き扉に穴が開いた。
扉越しからもう1発撃ち、ショットガンを構えながらアキラは近づき敵が倒れているのを確認した。
「いいぞ、来い。」
カレンはルルーシュの腕を掴みアキラの傍まで来た。
アキラは廊下を確認し割れた窓ガラスなどが散乱し足音が近くまで来ている。
ルルーシュの首根っこを掴み無理矢理立たせた。
「ここを出るには突破するしかない!」
「アキラ……放ってくれ。」
生気のない表情のルルーシュにアキラは髪を乱暴に掴み上げた。
「お前、本当にそれでいいのか!?」
「……。」
「さぁ、こいつを持って戦え!」
アキラはルルーシュに銃を持たせる。ルルーシュは銃をじっと見て捨てるとゆったりと廊下を出てその身を曝した。
「もう…いい……誰か俺を……。」
そんなルルーシュを狙う敵にアキラは身を出して撃とうとするがルルーシュが邪魔になり彼の背中を乱暴に蹴り相手の姿が見えアキラはショットガンの引き金を引き1人倒した。
「カレン、行くぞ!」
2人は周囲を注意しながら進み古びたドア越しから人影らしきものが見えアキラはショットガンを撃ち弾痕でできた隙間から敵の姿が見えアキラは更に2発撃ち敵を沈黙させ地べたに這いつくばったままのルルーシュを無理矢理起こしそのまま進めた。
「よ、よせアキラ…!」
更に敵が別の部屋、そして階段からと現れアキラはルルーシュを階段へ押しルルーシュは敵と一緒に転げ落した。
そしてカレンが部屋にいた敵を倒した。
ルルーシュと一緒に転げ落ちた敵はルルーシュを撃とうとした時ルルーシュは反射的に近くにあった銃を拾い敵に向けて撃った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
ルルーシュは自分が殺した敵の遺体を見て自分が先程の行動に困惑した。
「な、なんで……俺は………。」
死にたかった……ナナリーから否定され自分の存在が邪魔となった今自分が生きていてもムダだと思っていた自分が殺されそうになった時生きようと銃を持って撃った。その心とは逆の行動にルルーシュは戸惑った。
「どうした?」
上から不敵な笑みを浮かべてアキラがルルーシュを見下ろしていた。
「死にたかったんじゃなかったのか?」
「お、俺は……。」
弾を装填しながらアキラは周囲の警戒を続けカレンにハンドガンをさらに1丁渡した。
「アキラ、これで半分は倒した。」
「8人とは限らない。気をつけろ。」
2階へと降りた3人は1階の様子を見ようとしたが銃弾が飛び降りられなかった。
アキラは何かないか1つの部屋に入り3階で途切れていた非常用階段がここから1階まで続いてるのに気づいた。
アキラはカレンと目を合わせ彼女もアキラも意図に気づき頷いた。
アキラは階段にて敵と銃撃戦を繰り広げる中1階にいた謎の部隊4人が2階へ上がろうとした時古びた扉が開き中からカレンが2丁の拳銃を構えて現れた。
カレンが現れたタイミングに合わせてアキラも一気に階段を降り2人の同時攻撃で敵を沈黙させた。
「カレン、ルルーシュと外の様子を見てくる。中にまだいるかもしれない、注意してくれ。」
アキラはルルーシュとカレンと離れて外へと出ていった。
「これじゃあどっちが隊長か分からないわね。」
隊長であるはずの自分に命令をするアキラに苦笑いするがだが自分でこの局面を抜け出せるかと問われると首を縦に振ることができるだろうか、やはりアキラの経験がなければ戦えなかった痛感するのであった。
「うっぅぅ…。」
かすかなうめき声が聞こえカレンは声の主であった倒した敵の1人に銃を構えながら顔を隠してあるマスクに手をかけた。
「あっあんたは!?」
アキラとルルーシュは周囲を警戒しながら外へと出て行った。近くに敵が乗っていた車が置かれておりアキラはその車に近づこうとした時背後から人の気配がし振り返ると敵と同じ格好をした男1人が立っており撃とうとしたが敵は膝をつき倒れていく敵の背後にはナイフを持ったロロがいた。
「ロロ、なんでお前が?」
「迎えに来たんだよ兄さん。」
「ちょうどいい、2人はここにいろ。俺はカレンを呼ぶ。」
ロロの横を通り過ぎようとした時ロロはアキラに問うた。
「流崎アキラ、お前は兄さんを利用して…。」
ロロと目を合わすがロロの目は不信と殺意に満ちていた。
「……だったらどうする?」
「………。」
ロロは口を開く事はなくアキラもそのまま、アパートへと戻っていった。
「あんたは私達と中華連邦に亡命していた…!?」
カレンはこの男、日本人に見覚えがあった。同じ黒の騎士団でブラックリベリオン後共に中華連邦へと亡命し神楽耶、ディートハルト達を補佐するためにカレン達と別れた1人で今回ラクシャータと共に自分達と合流したばかりであった。
カレンは他の敵の遺体のマスクを外した。ブリタニア人、そして同じように亡命していた日本人がおりこの混合部隊に戸惑いを隠せなかった。
「なんでブリタニアと……。」
「ショルダー野郎を殺すためさ……。」
「ショルダー野郎?………アキラの事!?」
「そうだ。………あの悪魔を殺すために……。」
男の懐から1枚の写真が落ちカレンは拾った。
「これは!?」
まだ無頼ができていない頃だろうか右肩を赤く染めた鹵獲したグラスゴーの下に並んである兵士の面々にアキラの姿がいた。
男から不気味な笑い声が聞こえる。
「なんでアキラを!?」
「俺は……いや俺達は家族を殺されたんだ!このレッド・ショルダー共にな!!」
吐血しながらも男は大きな声で伝える。
「日本の切り札?お前達はこいつ等の正体を知らない。こいつ等はブリタニア以上の事をしていたんだ。」
男は自分の意識が遠のきながらも口は止まらなかった。
「奴等は作戦と評して近くの町を襲撃して女を犯し、無差別に人を殺す悪魔だったんだ!」
「そんな……。」
「流崎アキラ、あの男が元レッド・ショルダーだと知った時家族の仇をとれるチャンスが来たと思った。だがブラック・リベリオンで俺達は負けてあの男の消息もわからなくなった。だが、奴がまた現れた。俺達は今しかないと思って……。」
男の顔色が悪くなっていき出血も止まらなかった。
「紅月カレン、お前もいずれわかる時が来る。奴らに関わるとみんな死んで……。」
目をカッと見開いたまま男は口を閉ざした。
カレンは写真に写っているアキラを凝視し不安の顔を滲ませる。その時、自分の名を呼ぶアキラの声にカレンはビクッと肩を震わせた。
「どうした?まだ敵が!?」
「ううん、なんでもない。大丈夫。」
カレンは写真をポケットにしまい何事もなかったように振舞った。
「もう敵はいないようだ。ここを離れよう。」
「わかった。」
2人はルルーシュと合流した。ロロがいたはずだが今はいない。おそらくどこかで自分達を見ているのだろうとアキラは思った。
「生き残ったなルルーシュ。」
小馬鹿にするような口調にルルーシュは視線を逸らす。
「ルルーシュ、こうやって無様に生き残ったんだ。ならもっと無様になってでも戦わないといけないものがあるんじゃないのか。」
「そんなの…もう俺には戦う意味が…。いやある思うのか?」
「そんなの知るか、自分で見つけろ。俺達はもう帰る。いつまでもお前の相手はしてられない。あとはお前の勝手だ。ゼロの仮面を被る事、全てを捨てるのも。」
そう言うとアキラはルルーシュを置いて歩いていく。
カレンはアキラについていこうとしたがルルーシュのほうを振り向いた。
「ルルーシュ、やっぱりゼロはあんたじゃないと無理よ。私達に夢を見せた責任があるのよ。その責任を取らずに死ぬなんて許さない。最後の最後まで騙してよ!」
厳しい口調ながらもカレンはまたゼロとして立ち上がってほしい想いもあり訴えた。
「アキラはあぁは言ったけどあいつだって同じ気持ちよ。………私達は待ってる!」
カレンはルルーシュを残しアキラの後を追った。
アキラの横に並んだカレンは特に変わった様子もないアキラの横顔をふと見る。
‐人を殺す悪魔だったんだ!‐
さっきの男の言葉が蘇り以前、藤堂や四聖剣の面々が話した陽炎の噂も思い出した。
「どうした?」
アキラから声をかけられカレンはハッとする。
「俺の顔をじっと見て。」
「いや、別に。」
アキラは特に気にする様子もなく黙って歩いていく。
(違う!アキラはそんなこと……絶対に違う!)
アキラの背中を見てカレンは死んだ男が言った事を忘れるように隠していた写真を破り捨てアキラを追いかけていく。
1人残されたルルーシュは2人からの言葉が胸に響いた。
「……俺はこれから……。」
「捨てればいいじゃない。」
隠れていたロロが姿を現した。
「辛くて重いだけだよ。ゼロも黒の騎士団も…ナナリーも。」
「違う!ナナリーは!」
「ナナリーのためにもなる。」
ロロはゆっくりとルルーシュに近づく。
「ゼロが消えればエリア11は平和になるよ。兄さんもただの学生に戻って幸せになれ
ばいい。」
「しかし…。」
「何がいけないの?幸せを望むことが。流崎アキラの言うとおりに戦い続けたら兄さん傷つくだけだよ。今なら全てをなかったことにできる。大丈夫、僕だけはどこにも行かない。ずっと兄さんと一緒だから。」
全てを捨てまたいつものようにルルーシュ・ランペルージとして生きる。まるで体が蟻地獄に引き摺り込まれたようにこのまま穴に落ちれば楽になるだが……
俺に見つけられるのか?ナナリー以外の戦う意味を…ルルーシュはその問いを答えられずにいた。
‐サドナ王国‐
「連絡が途絶えた?」
ここはサドナ王国の北部にあたり北極に近い地点。巨大な深い割れ目をしたクレバスの近くにキャンプを設置し調査の準備をしていたシュナイゼル達へある一報が届いた。
「はい、こちらからコンタクトをとってますがまだ…。」
シュナイゼルは顎に手を当て考え込んだ。
「まだ情報が少ないので何とも言えませんが。流崎アキラに感づかれたと。」
「それで全滅?」
「または流崎アキラを殺そうとして彼らが先走って返り討ちに。」
「ありえるだろうね。彼らはレッド・ショルダー、陽炎に恨みを持った人間の集まりだ。」
カノンは1つのファイルを開くファイルの中身は例の部隊のメンバーの経歴であった。
「『レッド・パージ』通称赤狩り。陽炎に恨みを持つ人間だけが集まった非合法の部隊。陽炎の隊員が作戦中に数名が謎の死を遂げていることが最近起こっています。彼らの犯行と思われます。」
「彼らの次の標的は1年前のシンジュクでの事件を起こした流崎アキラ。」
「はい、黒の騎士団の中に陽炎によって家族を殺された者がいると判明し秘かに逃亡中であった彼らとに接触し自分達の部隊に引き込むことに成功。」
「ブリタニアや黒の騎士団など関係ない。自分達の復讐のためだけに行動する。」
「そして、殿下は彼らの存在を知り観察の材料として利用し彼らがナナリー様の乗る航空艦にいる事を黙認した。」
耐寒着を着てクレバスを降りる準備を整える。
「まぁ、彼らが死んだとしたらこの観察はもう終わり、それだけだよ。」
シュナイゼル達は吹雪の雪原へ出て降下するためのゴンドラに乗り込んだ。
「神根島とは構造がまったく違います。いつ建造されたのか何故こんなところに。」
底下に着いた一行は自然ではなく人工に造られた氷の穴に入っていく。その美しさに魅了されながらもその先にはだがビルにも似た建造物、アスファルトで舗装された道。
「こ、これは……?」
一行は遺跡とは思えない構造物に戸惑いの色を浮かべた。
「さぁ、行こうか。」
シュナイゼルだけは顔色を変えず1人先を進んでいった。
自分達だけで他に人気がなくかなり不気味に感じながら一行は建造物の中へと入っていく。奥へと進んでいくとドーム型の広場へと辿り着いた。
「殿下……。」
カノンは心配になりシュナイゼルに声をかけるが本人は平然としている。
すると天井から小さな光が輝きだした。その輝きは段々と大きくなりシュナイゼル達を包むように広がっていく。
「殿下!!」
「心配ないよ。」
まるで待ちわびたかのようにシュナイゼルは両手を広げた。
「さぁ、見せてくれ。僕に本当の世界の姿を!」
アキラとタンカーに戻ったカレンはゼロの仮面のスペアを持ち、それを見つめていた。
「重いぞ、その仮面は。日本人だけではない。世界を背負う覚悟がなければ…。」
「C.C.…。」
そんなカレンをアキラは彼女が仮面を持っている手を優しく掴み仮面をテーブルに置かせた。
「よせ。」
「でもっ…!」
「あいつの責任をお前が背負う必要はない。奴がどうしようが俺たちがやることは一つだけだ。」
その時、外からでブリタニアから警告の呼びかけが聞こえアキラ達は急ぎ司令室へと向かった。
どうやら敵に見つかり武装解除を通告されたようだ。タイムリミットは10分。
その知らせにアキラは誰にも気づかれないよう司令室から出て行った。
‐アッシュフォード学園‐
人の気配のない静かな学園、ルルーシュはあの後姿を現したロロとそこにいた。
「そうか…皆、修学旅行に…」
「追いかける?」
ロロの言葉にルルーシュは首を振る。
「いや、誰もいない鳥かごが、今の俺には丁度いい…」
(俺の戦う意味…それはナナリーだけだった。俺に見つけられるのか?ナナリー以外の戦う意味を…)
答えが出ないまま学園内に入ろうとしたその時…空に鮮やかな大輪の花が咲いた。
「っ!?花…火…?」
誰もいない筈の学園に花火が打ち上げられ2人は呆然と見つめた。
一体誰が……花火が上がった場所へと行くとそこには修学旅行へいったはずの生徒会の皆が笑顔でルルーシュ達を待っていたかのようにいた。
この作戦の指揮官であるスザクはタイムリミットである10分が過ぎ黒の騎士団から武装解除のアクションは見られず攻撃の指示をだした。
砲弾がタンカーの周りに着弾し巨大な水柱ができる。
「来たか。タンカーを爆破し敵のソナーを撹乱、同時に艦の深度を下げろ!」
藤堂はカモフラーシュで使っていたタンカーを爆破させて潜水艦の深度を下げ相手に見つかりにくいようにするが敵はポートマンや爆撃に黒の騎士団を追い詰めていった。
「藤堂さん!」
「動けば相手に捕捉される。耐えるんだ。」
藤堂の言うとおりであるがこのままではやられてしまうカレンは焦りの顔を浮かべるがその時潜水艦のハッチが開き1機のポートマンが出撃したとの連絡が入った。
「許可をした憶えはない。誰だ!?」
「流崎アキラです。」
「アキラ!?」
カレンは少し前までいたアキラがいなくなりどうしたのかと思っていた矢先まさかたった1機で出撃するとは思いもしなかった。
「あいつ…また勝手に!」
慣れないポートマンを操縦しながらもアキラは1機また1機敵の攻撃をかわしながら反撃をするが次々に出てくるポートマンと海上からの砲撃が止む事はなかった。
『黒の騎士団総員、聴こえるか!』
この声にアキラも操縦桿を握っている手を止めた。
「ゼロ!」
一同は安堵の顔を浮かべる。
『ダウントリム50度、ポイントL14に向けて急速潜行! 流崎アキラは潜水艦の背後に回るんだ。』
アキラはゼロの指示通り潜水艦の背後まで後退する。
『正面に向けて魚雷全弾発射。時限信管にて40秒だ!』
皆、敵がいない方角に魚雷を発射させる指示に戸惑いながらも魚雷が発射する。
魚雷が着弾し辺りが泡で包まれ敵はその衝撃で次々と戦闘不能となった。
「……メタンハイドレードか。」
アキラの乗るポートマンも衝撃で揺れるも体勢を崩さなかった。
敵の部隊が混乱している中ロロのヴィンセントの手の上に乗ってゼロが姿を現した。
「これがお前の答えなのかゼロ!」
ランスロットに乗ったスザクは戦闘に入ろうとした時ゼロは敵味方に呼びかける。
「撃つな!撃てば君命に逆らう事になるぞ!私はナナリー総督の申し出を受け入れよう。そう、特区日本だよ。」
「何っ!?」
ゼロの言葉にスザクは動揺する。
「ゼロが命じる!黒の騎士団は全員特区日本に参加せよ!!」
皆が動揺しているがアキラは特に驚くことなくポートマンを浮上させただ黙ってゼロを見ていた。
‐サドナ王国‐
遺跡を出た一同はあそこに何時間もいた気分であったが実際は1時間もいなかった。
「殿下……。」
カノンは心配そうにシュナイゼルに声をかけるが
「心配ないカノン、僕は少し休むよ。皆も出発前に少し休むといい。」
そう言うとシュナイゼルは私室へと入っていった。
部屋のドアを閉め疲れるようにこめかみを押さえ椅子へ座り込んだがしばらくして
「くっくくく……。」
静かだが乾いた声で笑いだした。
「井ノ本寛司……あなたも
部屋の中でシュナイゼルの笑い声がこだましていた。
アキラ達とレッドパージとの戦闘は某アクション映画からのオマージュとして使用しました。
花火のくだりは原作通りなので省きました。