コードギアスR2 ~去りゆく影~    作:三戦立ち

21 / 49
第三部 亡霊
第21話


百万人の日本人を連れて黒の騎士団は日本を脱出し新たな拠点となった中華連邦にある蓬莱島で物資、武器、弾薬の搬入作業が各場所で行われている中アキラは1機のKMFに乗り込んでいた。

 

そのKMFは無頼ではなく形状が月下に似ておりこれはラクシャータ達が新たに開発したKMF暁である。

無頼に代わる黒の騎士団の新たな主力KMFとなりアキラは試運転とのことで両腕がアタッチメント式となっており腕に装着されたハンドガンで海上に浮かべてある標的を狙い撃つ演習を行っている。

 

「初めての操縦1時間もしないで百発百中かよ……。」

 

アキラは外すことなく標的を全て命中させ玉城達は驚いた。

 

「おう、どうだアキラ暁は?」

 

「悪くない。無頼に比べたら取り回しが良過ぎるくらいだ。」

 

「そうか!俺達も早く慣れて大暴れしてやるぜ!」

 

そう言うと玉城達はまだ搬入途中の物資の手伝いへと戻り、次にアキラの演習を黙って見てたラクシャータが近くに来た。

 

「ホントは四聖剣の連中に任せようと思ったけど2人死んでしまったからねぇ。このまま寝かせたままってのも勿体無いしねぇ。」

 

ラクシャータの言うとおりアキラが乗っている暁のカラーリングは青。

この機体は量産型ではなく本来は四聖剣の4人のために用意したものであったがト部、仙波が戦死したため2機が残されたままとなりそこでラクシャータはアキラに1機任せようと渡したのであった。

 

「何か注文は?」

 

「廻転刃刀が長すぎる。玉城達が乗る機体と同じ武器で構わない。」

 

玉城達が搭乗する廻転刃刀は刀の廻転部分が小さい折りたたみ式となっている。それに比べて藤堂、四聖剣が使用しているのは日本刀のように刀身が長いのだ。

 

「あとはあいつとの実戦での訓練をしてこいつをものにする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ルルーシュとカレンは司令室にて雑務を行っておりカレンはルルーシュにある事を話した。

 

「陽炎に恨みを持った連中?」

 

カレンは先日自分達を襲った謎の部隊についてルルーシュに話した。

 

「日本人にブリタニア人が混合した変な連中だったわ。」

 

カレンの話を聞きルルーシュは心当たりがあった。以前陽炎について調べブリタニアだけではなく同族の日本人も虐殺している資料を目にしている。

 

(確かに両方に恨みを持たれるのは不思議じゃない。黒の騎士団の中に仲間をつくっておきながらただアキラを殺すためだけに活動していた。余程恨まれているようだなアキラ達は。)

 

「そのことをアキラには?」

 

カレンは頭を横に振った。

 

「ただ……アキラも感づいてるかも。だからあの事件のことはほとんど話さないの私やみんなに。」

 

襲撃を受けたことを扇達みんなに報告はしたが内通者がゼロを殺そうとしたと報告したのみでそれ以降アキラはこの事件を口にすることはない。

 

「私怖いのよ……。」

 

「怖い?」

 

「アキラが…また1人になるんじゃないかって……私達に会う前の………。」

 

「カレン?」

 

「見られたくない自分の弱い部分を隠してる。私には分かる。何かのキッカケで一気に崩れそうで脆い……。」

 

 

「それはあいつも坊やだって証さ。」

 

2人しかいないと思われた司令室に第三者の声が聞こえ2人が顔を向けるとピザを頬張っているC.C.がいた。

 

「戦闘マシンだった頃より今のほうがだいぶかわいくなったと思うが。」

 

「それは……。」

 

「カレン、全てが終わったらアシュフォード学園に帰らないか?アキラも一緒に。」

 

「えっ?」

 

「全てが元通りになるわけじゃない。だがあの頃のように皆でまた……カレン、取り戻すんだアキラの居場所を。今度はライ・バートラーじゃなく流崎アキラとして俺たちが迎え入れるんだ。」

 

「ルルーシュ……。」

 

また皆とあの学園で……考えもしなかったことにカレンは戸惑いもあったが同時にルルーシュからこんなことを口にしたことに改めて彼は立ち直ったのだと安堵も浮かべた。

 

「それよりタバスコだ。ここにはラー油しかない。」

 

「それは……。」

 

「どうしようかなぁ…っと。」

 

カレンは時計を確認し服装と整える。

 

「おい、どうした?」

 

「アキラの訓練の相手を頼まれたの。ルルーシュあとは頼むね。」

 

そう言うとカレンは司令室から出て行った。

 

「全部俺に押し付けるのか……。」

 

「おい、タバスコは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐エリア11 陽炎ヨコハマ軍事基地‐

 

「中華連邦の象徴天子様とブリタニアの第一皇子、オデュッセウス・ウ・ブリタニアのご結婚ですか?」

 

 

エリス、バーネット兄妹、レビン・オーウェンがモニター越しにて井ノ本から天子の結婚の報告を受けていた。

 

『2人の婚姻祝賀会の席にシュナイゼル宰相が出席するのだが彼から私も一緒にと招待を受けた。』

 

「それで閣下は…?」

 

「出席することにした。追放された黒の騎士団の動きも気になる。」

 

「奴等が中華連邦で何か仕掛けると?」

 

「あの国は一時的だが黒の騎士団を匿った。そして黒の騎士団が今中華連邦領内に潜伏しているのは明らかだ。そしてこの婚姻だ。無視するはずがない。」

 

「では部隊の用意を……。」

 

「あぁ…それとバーネット、お前達もエリスを連れて一緒に中華連邦へ行くんだ。」

 

「分かりました。」

 

指示を受けるエリスであったが中華連邦にてまたアキラそしてカレンとまた再会するのではないかと思っていた。

 

 

 

 

 

 

一方、黒の騎士団のほうでもこの政略結婚の話について協議していた。それは中華連邦の天子が友人として交流している神楽耶を祝賀会に招待しているのだ。

 

玉城は自分達には関係のないことだと言ったがこの婚姻が成立となれば中華連邦が自分達と敵対する可能性があると皆から指摘され騒いでいた。

 

「じゃあ何かよ!黒の騎士団は結婚の結納品代わりか!? 大ピンチじゃねぇか!」

 

その様子に扇達は呆れて溜息を吐いた。

 

「だから、それを話してるんだよ、今。」

 

「この話、裏にもう一人いるな。険悪だった中華連邦との関係を一気に、こんな悪魔みたいな手を打ったヤツが(おそらくあの男、シュナイゼル・エル・ブリタニア…!)。」

 

この政略結婚の裏で糸をひいている人物の顔がゼロの脳裏に蘇った。

 

「それでゼロ様…。」

 

「神楽耶様。私も今回の婚姻の祝賀会にお供しましょう。相手の出方を伺うためにも…カレン、アキラ、君達は私と神楽耶様の護衛として一緒に来てくれ。」

 

「はい!」

 

カレンが答えアキラは黙ったままゼロと視線を合わせるだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祝賀会当日会場となっている朱禁城はオデュッセウスと天子の祝賀ムードで包まれてる中その地下にて中華連邦の武官黎星刻と彼の補佐周香凛をはじめ数名の仲間が集まっていた。

 

「大宦官とシュナイゼルの間には既に密約が成立しています。婚姻と領土の割譲。それにより、大宦官はブリタニアの爵位を手に入れると。」

 

「爵位?地位と引き換えに国を売るか!」

 

星刻は大宦官が国を省みない政略に憤りを隠せなかった。

 

「民はどうなる?大宦官討つべし!」

 

「計画を前倒しにしても今こそ婚姻を潰す!」

 

皆が大宦官を討つと声をあげるが香凛が制する。

 

「今ここでクーデターを起こせばブリタニアとの戦争になる。そうなればエリア15となったサドナ王国から敵が押し寄せてくる。」

 

「戦っているアレクセイ達が仲間となって協力してくれるはず。」

 

「彼らが設立した新生サドナ王国か。だが今はブリタニアと一進一退で余裕がないと聞く。援護してくれる期待できるのか?」

 

皆が議論を交わす中星刻は腕を組み目を閉じ静かに考え込んでいた。

 

(平和を取るべきか、それとも……アレク、お前は忠義を誓ったはずのマクシムを討った。ブリタニアと戦うため、サドナ王国を再興させるためにお前は主を犠牲にし今もどこかで戦っている。)

 

 

星刻はまだ下級役人だった頃天子と初めて会った時、そして天子に外の世界を見せると契りを交わした日。

 

 

『己の忠義のために!!』

 

 

アレクセイと交わした義兄弟の契り。

 

(私は天子様を守るべきか、平和のための同盟か……。)

 

アレクセイが決断したように自分にも選ぶ決断の時が来たのだと星刻は静かに愛刀を見つめるのであった。

 

 

 

 

 

シュナイゼルが中華連邦の大宦官と挨拶を交わす中井ノ本と護衛でエリスと2人で会場へと来た。

 

「あれが井ノ本寛司。」

 

「あの悪名高いレッド・ショルダーの総帥。」

 

「ここへ何のために?」

 

皆が小言を呟くがシュナイゼルは笑顔で迎えた。

 

「お待ちしておりました。エリス嬢もご一緒にですか。」

 

「招待、感謝する。私達には場違いのように見えるが。」

 

「いえいえ敬愛する兄上の婚約です。1人でも多く来てくれるだけでもうれしいです。」

 

シュナイゼルの微笑みに井ノ本もサングラス越しであるが笑みで返した。

 

 

 

「へぇ~、レッド・ショルダーも招待受けてたのか。あの井ノ本って男、シュナイゼル殿下と親しい間柄なのか?」

 

スザク、ジノ、アーニャ達ラウンズ3人もこの祝賀会に出席しており各々楽しんでいた。 

ジノがスザクの耳元で囁いた。

 

「噂じゃあ、井ノ本寛司、皇帝陛下と旧知の間柄でブリタニア本国へ迎え入れたのも皇帝直々らしいって聞くが…。」

 

ジノの言うとおりシャルルと井ノ本、2人でいる姿をあのアーカーシャの剣にて目撃しており何か関係があるとスザクも思っていたが未だ2人に関してはわからないことがある。

 

「しっかし、あのエリスって子、こういう場で軍服って。レッド・ショルダーの軍服はただでさえ地味なのにもったいないねぇ。何気にあぁいう子がドレス着るとセクシーなんだろうなぁ。」

 

顎に手を当てエリスの姿を上から下へと見ているジノに苦笑いをするスザクであった。少し離れた所にはロイドと共に出席しているミレイが手を振っていた。

 

 

 

「皇コンツェルン代表、皇神楽耶様御到着!」

 

神楽耶の名前が聞こえスザクはおもわず振り返るとそこには

 

「神楽耶!? あれは…ゼロ!?」

 

神楽耶と共に現れたゼロ、そしてカレンに周りがざわめきたつ。

 

大宦官の命により中華連邦の兵士達が彼らの周りを取り囲んだが、それを止めたのはシュナイゼルだった

 

「止めませんか、諍いは。本日は祝いの席でしょう?」

 

「しかし…」

 

「皇さん。明日の婚姻の儀ではゼロの同伴をご遠慮願いますか?」

 

「それは…致しかたありませんね」

 

シュナイゼルにより兵士が引き下がるがゼロ達はこの席に井ノ本がいることに少し驚きを浮かべていた。

 

(何年ぶりだろうな。あなたと別れてから。)

 

(この男が陽炎の創設者…そしてアキラの……。)

 

 

神楽耶とスザクが数年振りの再会とのことで話しをしているがこの舌戦は神楽耶のほうに軍配が上がっているようだがその会話を聞いていたカレンの前にエリスが現れた。

 

「……。」

 

「……。」

 

カレン、エリス、お互い言葉を交わさずただ黙って視線をぶつけあい今にも2人が銃を取るような雰囲気となりカレンも殺気に満ちた視線をエリスに向ける。

 

一言も発せないがエリスはカレンと対峙し懐に隠してある銃を取り出しカレンに銃口を向こうと衝動に駆られた。

 

ハッと我に返りエリスは静かに口を開いた。

 

 

 

「紅月カレン……こうして直接会うのは初めてだな。」

 

「エリス、あんたのことはアキラから聞いてるわ。バベルタワーで生身で私達と戦おうとして正気じゃないって思ったわ。」

 

「私はパーフェクトソルジャー、白兵戦でもKMFと戦えることはできる。」

 

「へぇ……、だったら紅蓮を倒せるんだ。言っておくけど今の紅蓮はあの時の紅蓮じゃないわ。」

 

「大した自信だ。だがPSではないお前では私には勝てない。もちろんヘルハウンドにもな。」

 

初めて直接エリスと対峙し少し勝気になったがカレンはエリスの瞳を見てふと怪訝に思った。

彼女の瞳が誰かに似ていることに…。

 

「そこまでだカレン。」

 

ゼロがカレンを止める声にカレンは我に返った。

 

 

「ふっふふ、ゼロ、君の従者が火花を散してるみたいだ。」

 

「そうですね。ではシュナイゼル殿下我々も火花を散してみるのはいかがかな?」

 

「んっ?」

 

ゼロはチェスの基盤を見せつけた。

 

「1つ、チェスでも?」

 

「ほう」

 

ゼロの誘いにシュナイゼルは面白そうな顔をする。

 

「私が勝ったら、枢木卿を頂きたい。」

 

「えっ!?」

 

ゼロによるシュナイゼルへのチェスの申し込み、さらにその賞品として指名された事にスザクは戸惑いを隠せない。

 

「神楽耶様に差し上げましょう。」

 

「まぁ、最高のプレゼントですわ!」

 

「では、私が勝ったらその仮面を…いや、君の部下の流崎アキラを貰うとしよう。」

 

ゼロとカレン、そしてエリス、スザクも意外な申し出に驚きを隠せなかった。

 

「ほう、それはまた彼を……。」

 

「ラウンズの1人を賭けるのだから、そちらもね…それに彼には個人的興味もある。彼はここにはいないようだが…?」

 

「アキラは別の所で待機している。」

 

「なら勝ったらお会いするとしよう。どうかなゼロ…?」

 

ゼロはしばらく沈黙するが静かに口を開いた。

 

「…いいでしょう。」

 

「楽しい余興になりそうだね。」

 

別の場所、アキラがここにいると聞きエリスは会場を出ようとする。カレンはエリスがアキラと会おうとするのだと気づき後を追おうとするが今ゼロをここ1人にできない。

 

カレンは唇を噛み締めながらアキラの無事を祈った。

 

 

 

 

 

 

祝賀会会場の外にてアキラは複数のブリタニア兵士に監視され共に待機している。

アキラはゼロの命令でここにいる。不測の事態が発生した場合を想定してすぐに動ける人間を1人待機しておきたいとのことでアキラはゼロ達と離れている。

 

アキラはここから見える夜の街の景観を眺める。明るく見える市街から外れ漆黒に包まれた箇所がある。そこは貧困にあえぐ人民達が多く住んでいるスラム街となった場所である。

 

「ここにいたか…。」

 

聞き覚えのある声にアキラは振り向いた。

 

「エリス…!」

 

「……何故お前だけここ?」

 

「うちのボスからの命令でな。……ふっ、お互い場違いな場所にいるな。」

 

エリスから敵意が感じられずアキラは自虐気味な笑みをエリスに向け彼女は初めてアキラの笑顔を見てふいに視線を逸らした。

 

「閣下がシュナイゼル宰相から招待を受けて私は護衛としてここにいる。」

 

井ノ本がここにいることにアキラの目の色が変わった。

 

 

「あの男はシュナイゼルとどんな関係なのか?」

 

「知らない。私は閣下の命令通りに従っているだけだ。」

 

「………。」

 

「………。」

 

2人は黙って街の光景を眺めていた。お互い敵であるはずなのに張詰めた空気はなく穏やかに感じていた。

 

 

 

一方、ゼロとシュナイゼルのチャス対決は一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

(手強い。さすがは我が兄上。俺が唯一勝てなかった男。……ふ、だが、それは8年前の話)

 

「シュナイゼル殿下、お聞きしたいことがあります。」

 

「何かな?」

 

「どこで流崎アキラのことを?」

 

その問いにシュナイゼルは微笑んだ。

 

「興味が沸いてね。ここにいる井ノ本寛司将軍に設立されたエリア11にて唯一ブリタニアとKMFで対等に戦えるだけの軍隊を作り上げた彼の最高傑作が流崎アキラ。」

 

チラッとシュナイゼルは井ノ本のほうを見たが本人は特に気にする素振りもなく平然としていた。

 

「……確かに彼は私にとっても大事な戦力の1人でもある。」

 

ゼロが駒を動かす。

 

「ほぅ…キング。」

 

「王から動かないと部下はついて来ない。」

 

「見識だねぇ。では、こちらも。」

 

シュナイゼルも白のキングを動かしてきた事にゼロが一瞬動揺するが、すぐに持ち直した。

 

「どうです?これ以上は進めないでしょう。」

 

「このままではスリーフォールド・レピティションとなる。」

 

「私も本意ではないが、引き分けかな?」

 

このゼロの提案にシュナイゼルは意外な事を口にした。

 

「ゼロ、君は流崎アキラをどう思ってるのかな?」

 

この問いにゼロ、そしてカレンは怪訝な表情をする。

 

「彼はここにいる彼女と同じく私の優秀な部下だ。」

 

この答えにシュナイゼルはふふっと笑い出した。今の自分の顔を見られないように手で顔を隠すように笑う彼の姿に仮面の下でルルーシュは戸惑った。

 

(何だ?昔から自分の感情を表に出さないこの男が……?)

 

「いや……すまない。君も知らないんだなっと思ってね。」

 

「……何の事ですかな?」

 

「ゼロ、プラナリアという生物を知ってるかな?」

 

「っ?」

 

「プラナリア、ウズムシとも呼ばれる。湿気の高い陸上に生息し、この生物は2~3cmと小さいけど驚くのは何をしても死なない事だ。水質や水温などの生息環境が悪化すると、次第に腹部がくびれてきて2つに分裂してしまう。何故だかわかるかい。……自分が生き延びるためだ。ある実験では破片になるまで切り刻んだが彼らは分裂を繰り返して再生したと聞く。細胞分離を繰り返し生き延びようとする。」

 

「シュナイゼル殿下、あなたはここで生物の講義でも行うつもりか?」

 

シュナイゼルの脱線しているような話にゼロは不気味に思えた。だがカレンはある疑問が生まれた。

 

(この男、アキラの何かを知ってる…!)

 

この会話がゼロの集中力を乱す戯言だとはカレンには思えなかった。ふいに井ノ本と顔が合った。

向うはサングラス越しで表情は読み取れないが井ノ本はカレンの顔を見て口元が綻び笑みを浮かべてるように見えカレンはまるで見透かされたように感じた。

 

 

 

「ゼロ、少しは僕との話しを楽しもうとする気はないのかな。」

 

シュナイゼルはゆっくりとチェスの駒を動かした。

 

「っ!?」

 

ゼロは驚いた。シュナイゼルが動かしたのはキングでその場の誰もがシュナイゼルの打った手に困惑している。

 

ーチェックメイトー

 

そうシュナイゼルは自らの一手で自分を追い込んだのだ。 

 

「なんですか、これは?拾えと言われるのか?」

 

ゼロが黒のキングを下げると、さらに会場が騒がしくなる。

 

「……皇帝陛下なら迷わず取っただろうね。君がどういう人間が少しわかった気がするよ…だけど終わりだ。」

 

「っ!?」

 

ゼロが下げた黒のキングが完全に追い込まれていた。それは次のシュナイゼルの一手でゼロが敗北することを意味している。

 

「っ、バカな…!」

 

ゼロが自分の失策に呆然とするなか彼に向かって何者かがナイフを持って走ってきた。

 

 

「ゼロ!!ユーフェミア様の仇!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アキラ、お前に言いたい事がある。」

 

エリスは真剣な眼差しをアキラに向けた。

 

「……。」

 

「私と一緒に来てくれないか。」

 

「……っ?」

 

「うまくは言えない……私はっ!」

 

アキラは戸惑いの色を浮かべる。

 

「エリス…。」

 

その時会場から悲鳴が聞こえてきた。周りにいた兵士が騒ぐ中2人は急ぎ会場へと入っていった。

 

 

 

「どうした!」

 

アキラは近くにいたカレンに聞くが彼女も驚いており目が泳いでおり人混みの中心にはスザクが抑えている人物にアキラも驚きの表情を浮かべる。

 

 

「止めるんだ……ニーナ!!」

 

アッシュフォード学園で共に過ごしていたニーナの手にはナイフが握られており、慌てて近くにいたスザクが止めに入っている。

 

「どうして邪魔するのよ!!スザクはユーフェミア様の騎士だったんでしょ!?」

 

、ニーナはスザクを振り払い再びゼロを刺そうとする。

しかし、アキラが間に割って入りニーナの腕を捕らえそのまま床へと押さえつけた。

 

「ライ!?……流崎アキラ!!」

 

アキラの顔を見てニーナは怒りの表情を浮かべるがアキラはニーナの体を仰向けにし自分が馬乗りの状態で抑え彼女が持っていたナイフを握りその刃を彼女に向けた。

 

「っ!! アキラ、やめて!!」

 

殺すのではないかとカレンは悲鳴にも似た叫び声を出したがアキラはナイフをニーナの顔に振り下ろすと思われたがナイフは彼女の顔の横寸前の所の床に突き刺さった。

 

「はぁ…はぁ……。」

 

殺されると思ったニーナも先程までの殺気は消えいていた。

 

「……二度目はない。」

 

 

「ニーナ!!」

 

慌ててミレイ、カレンがニーナに駆け寄った。

 

「カレン…。」

 

「カレン…!」

 

カレンの顔を見てニーナは再び怒りがこみ上げて来た。

 

「あなただって半分ブリタニアの血を引いているくせに!」

 

「違う……私は日本人よ。」

 

「日本人?イレヴンでしょ?…イレヴンのくせに友達の顔して…この男とユーフェミア様を殺して! 返してよ、ユーフェミア様を。必要だったのに…私の女神様!!」

 

「………ごめんなさい、今まで。でも…。」

 

ニーナを落ち着かせようとミレイが庇うよう前に現れた。その眼差しは優しくかつてのクラスメイトとの再会を喜んでいるようにも見える。

 

(カレン、変わっていないのね、あなたは。ブラックリベリオンの時も私達のことを気にかけて…。)

 

ミレイはアキラと目を合わせた。ニーナを殺そうとしたアキラに恐怖の目を浮かべそれを見てアキラは一瞬視線を落としゆっくりと後へとさがっていった。

 

「彼…あなたの仲間?」

 

カレンは思い出した。ミレイ達はアキラの記憶も奪われたことも。その事を思い出し悲しい思いがし表情が暗くなった。

 

「はい、私の……大事な人です。」

 

「すまなかったね、ゼロ。余興はここまでとしよう。それと確認するが、明日の参列はご遠慮願いたい。次はチェスなどでは済まないよ。」

 

シュナイゼルの言葉で会場は落ち着きを取り戻した。

 

「……我々も失礼する。カレン、アキラ……。」

 

ゼロと共にカレン、アキラが会場から退場する際アキラは一瞬シュナイゼルと目が合った。シュナイゼルは穏やかな笑みをアキラに向けるがどういう意図なのか理解できなかった。

 

「そう簡単にはいかないか………ふっふふ。」

 

 

 

 

 

 

‐ルルーシュとシュナイゼルが祝賀会にて何を行っていたのか後に知ったがこの時、シュナイゼルの怪しい笑顔の意図に気づくのはだいぶ後になってからだった……‐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結婚式当日、政府要人達とカレンを護衛に神楽耶も参列し式は執り行われている。

 

このまま順調に行けば中華連邦とブリタニアと同盟が結ばれる。式が終盤に差し掛かったとき入り口の扉が大きな音を立てて開かれた。

 

「我は問う!天の声、地の叫び、人の心!何を持ってこの婚姻を中華連邦の意志とするか!!」

 

星刻一派が武装をして式場へと現れた。

 

「来た!神楽耶様、下がりましょう。」

 

「そうですね。天子様しばしお待ちを…。」

 

カレンは神楽耶を連れ退がっていく。

 

「私は心に誓って…天子様に外の世界をっ!!」

 

「星刻、星刻ぅ!」

 

天子に向かって敵を薙ぎ払いながら走っていきあと少しのところで手が届きそうなった時それを遮るように漆黒が天子を包み込む。

 

天子を包む漆黒…突如ゼロが姿を現し銃を天子の頭に突き付けた。

 

「ゼロ!?」

 

「感謝する、星刻。君のおかげで私も動きやすくなった。」

 

「黒の騎士団にはエリア11での貸しがあったはずだが?」

「だからこの婚礼を壊してやろう、君達が望んだ通りに。ただし…花嫁はこの私が貰い受けるがな!」

 

「星刻…!」

 

天子の悲痛な叫びに星刻は怒りの表情を浮かべる。

 

「天子様っ!…っ、この外道がぁっ!!」

 

「おや、そうかい?くくっ…ははっ…あははっ!!」

 

会場を破壊し現れたのは2機のKMF。漆黒のカラーのKMF、藤堂の専用機斬月、そしてアキラのKMF暁が星刻達の前に立ちふさがった。

 

事の成り行きを見守っていた井ノ本はエリスに指示を出す。

 

「エリス、味方も近くにいるはず……わかるな?」

 

「……はっ。」

 

エリスは静かに会場から出て行った。

 

 

 

 

―????―

 

二人の男が向かい合っている。一人は皇族の衣装に身を包む少年、一人は左目に飾りを付けた男。

 

「うん。ゼロの本当の目的がここなら厄介だから。」

 

「あぁ、それで私のために手配を?」

 

「そうだよ。」

 

男の言葉に少年…V.V.は嬉しそうに笑う。

 

「しかし、この男は……。」

 

男は自分の後ろに控えている男に目をやる。自分よりひと回り大きく自分と同じように左目に飾りを付けてある。そして右腕は金属でできた義手をしてある。

 

「心配ないよ。調整は君以上にかかったけど問題ないよ。それにいざって時の準備はできてる。」

 

「ありがとうございます。調整さえすれば、C.C.もルルーシュも敵ではありません。このジェレミア・ゴットバルト。ご期待には全力で。」

 

ジェレミアの後に控えている男は小さな声で呟いた。

 

「………流崎…アキラ…。」




アキラの機体は暁 直参仕様にとりあえずしました。朝比奈達に支給された事は死んだ2人にも用意されていたのではないかと思い、まぁ余り物ってことでw






ラスト、ジェレミアと現れた男は誰でしょうねww

まぁ半分答えを出したようなものですけど正体は後ほどってことで。


次回、アキラにある事が襲い掛かります。それは……では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。