「カレン!!無線はまだ生きているか?」
カレンが捕まった事にゼロは急ぎカレンに無線で呼び掛ける。
『っす、すみません!失態を…。』
「そんなことはいい!諦めるな。必ず助けてやる!いいな、下手に動くな。」
『っはい!わかっています。諦めません。……あと、ゼロ。』
「なんだ?」
『アキラの事でお願いが!』
一筋の光が見える……。その光は優しく眩く、あと少し…あと少しで届く……
しかし、背後から1人、2人、いや、無数の手が俺の体を掴み深い闇へと引き摺り込む。必死にもがくが誰かが俺の耳元で囁く。
ーお前のような奴が行ける場所じゃない…ー
アキラはカッと目を開き蛍光灯の光が眩くアキラは自分の頭部、胸部に包帯が巻かれているのに気づき周囲を見渡しここが斑鳩の医務室だとわかった。
「あぁ……! カレン…!」
連れ去れたカレンを思い出しアキラはベッドから起き上がるが体が思うように動かずベッドを囲うカーテンへと倒れカーテンの向うには軍医がおり眠っていたアキラが起きたことで驚き急ぎゼロに連絡した。
紅月カレンが拘束され中華連邦から引き渡されたとの話を聞きエリスは急ぎカレンがいる艦へと向かった。
「エリス!?何故君が?」
そこには拘束されているカレンとスザクの2人がおりエリスは黙ってカレンと対峙する。
「何しに来たの?捕まった私を笑いに?」
自虐っぽく笑うカレンにエリスは表情を変えることなく黙って視線を外そうとしない。
その態度にカレンは鋭い目つきでカレンに問い詰める。
「あんたに聞きたいことがある。私達の艦に電波ジャックしたのあんた達陽炎?」
「っ??」
「ここにいるスザクにも一応聞いたけどやっぱりあんたらのところしか心当たりがあると思ってみたけど……。」
「そんな話聞いていない。……っ! アキラに何かあったのか!?お前が捕まった事に何か関係が?」
顔を横に背けるカレンにエリスはムッとする。
「私もこれから出撃する。ゼロ達は中華連邦と戦闘をおこなって敗北して敗走しているらしい。」
「っ!?」
驚くカレンをよそにエリスは出撃の準備に向かう。
「……アキラも出てくるはずだ。奴も私が捕らえる。」
アキラが出る。大破したKMFにきっとアキラは負傷しているはずだ。カレンが恐れてるのは無理してまた出撃するのではないかと心配しているのだ。
自身のトラウマが蘇り心身ともにボロボロであるアキラの傍にいられない今の自分にカレンは苦渋の表情を浮かべていた。
軍医の話を受けゼロは医務室へと来たがアキラは軍医の制止を振って部屋から出ようとしていた。
「はぁ……そこをどけ……。」
「アキラと話がしたい。さがってくれないか。」
軍医は大人しく部屋から出て行き2人だけとなった。
「アキラ、お前に伝えたいことがある。」
アキラは黙って壁に背をつけ床に座った。
「……カレンはどうした?………今…どうなってる?」
自分が回収された直後ゼロ達は星刻達と戦闘を行ったが星刻の戦略によって追い込まれ撤退を余儀なくされてしまい今歴代の天子が埋葬されている天帝八十八陵に立て篭もっている。
外から爆撃らしき音が聞こえ斑鳩が揺れだした。
「……空爆か。」
「中華連邦がブリタニアに援軍を要請してスザク達ラウンズの姿も見られる。」
「……陽炎は?」
もちろん陽炎の部隊の姿も確認されている。だが今のアキラがその事を聞けばまた出撃するのではないかと思い口を閉じる。
マスクからでゼロ、ルルーシュの表情が読み取れないがアキラは黙って立ち上がる。
「アキラっ!?」
だがまたアキラは倒れてしまい床に這い蹲りゼロはアキラを起きあげる。
「…カレ…ンを助ける……。」
「カレンは俺達に任せろ!お前は休むんだ。」
「俺の…せいだ……。」
思うように動けない自分の体に歯痒く感じる。
部屋を出ようとするが体がふらつき体が前のめりに倒れ頭部を激しく打ち付ける。
慌ててゼロはアキラを起き上げベッドへ横にする。
「…俺は……陽炎だ……戦う……うぅぅっ。」
この体で尚戦うとする姿にゼロ、ルルーシュは恐怖を感じる。
「もういいアキラ、俺はカレンから頼まれた。お前を……。」
ゼロの言葉が最後まで聞こえずアキラはまた意識をなくした。
「アキラ……。」
今のアキラがナナリーから否定され自暴自棄に陥った自分をダブって見えた。
「カレン……今のアキラには君が必要だ…。」
医務室を出たゼロの前にC.C.が待っていた。
「奴は?」
「とりあえず、眠ってる。」
「代わりに私が出よう。もっともあいつの代わりになる程期待はしないでくれ。」
「いや、1人でも多く出てくれるだけでも助かる。」
また空爆により斑鳩が揺れだした。
「あまり時間がない。少しでも時間稼ぎしてくれ。」
「わかった。努力はしよう。」
「大宦官め、天帝八十八稜までその欲で汚すか!全軍攻撃を中止しろ!あそこには天子様もおられる!!」
星刻達は黒の騎士団、ブリタニアと三つ巴となり混乱になりながらも奮闘する。
星刻が怒りに震えているとスラッシュハーケンが襲い掛かってきた。それを避けた星刻が上空を見るとそこにいたのはジノのトリスタンがいる。
スザク達ラウンズに陽炎部隊の姿が見られる。陽炎はヘルハウンド、ヒートヘイズ、フロートユニットが装着された空挺部隊と地上戦用に換装されたヒートヘイズ、地上部隊と別けられ星刻、黒の騎士団に襲い掛かる。
「……アキラがいない………。星刻にやられたのは事実のようだ。」
エリスはヘルハウンドのフロートユニットを展開させる。
「あれは陽炎!?」
空中に赤い右肩をしたKMF部隊がこちらへ襲い掛かる。
エリスはヘルハウンドの左腕のクローを展開させ星刻とジノの間に割り込み星刻をクローで捕らえ地上へ降下する。
「ちょっ!? 彼女いきなり割り込み?」
ジノはエリスが突然現れたことで驚きあと少しでヘルハウンドと激突するところであった。
エリスに捕らえられた星刻は地上へと激突した。
「ぐうぅ…陽炎のパーフェクトソルジャーかっ!?」
エリスはライフルを撃とうとしたが星刻は神虎のランドスピナーを展開させ2機が組み合った状態で走り出した。
エリスは前方を見ると巨石が横たわりエリスは空中へと回避するが星刻はそのまま巨石と地上にできた隙間を通った。
起き上がった神虎は天愕覇王荷電粒子重砲を巨石ごと巻き込み発射しエリスは回避し長距離砲で反撃し星刻はまた空中へと戻り回避する。
「天子様……ごふっ、ごふっ!」
吐血し口元を手で拭うがヘルハウンド、そしてジノのトリスタンも加わりこちらの旗色が悪くなっていく。
更に藤堂達黒の騎士団達も加わり戦場は更に混戦を極めた。
艦内の揺れでアキラは目を醒ました。
アキラは体を起こしベッドから出た。
「おいっ!? 何をしてる寝てるんだ!!」
軍医がアキラを止めようとするが怪我人とは思えない握力で軍医の腕を払う。
「……どけ。」
鋭い眼光に軍医はたじろぎアキラは壁に体を預けながら医務室から出た。
「なっ!?お前は!!」
斑鳩の格納庫にいる整備班は怪我で離脱しているはずのアキラが来たことに驚いた。
「お前、大丈夫なのか?」
「……KMFは?」
アキラは灰銀色のカラーをした暁、量産機1機を見つけ乗り込もうとする。
「おいよせ!!ゼロからお前が来たら止めろと言われたんだ!」
だがアキラはホルスターからショットガンを取り出し整備班に向ける。
「はぁ…邪魔するな……!」
藤堂達もスザク達、陽炎と一進一退の攻防を繰り広げている。
ヒートヘイズと戦うのは初めてであるが新型の暁、藤堂の斬月でも苦戦を強いられている。
地上からの陽炎部隊により押され地上部隊の被害も広がっていく。
「各機、これ以上敵を斑鳩に……誰だあの暁は?」
藤堂は1機別行動している暁を見つける。アキラが乗る暁はフロートユニットを装備していない地上用の暁で両手に廻転刃刀を持っており1つは藤堂が使う刀身が長いタイプを持っている。
「何、アキラが!?」
ゼロは整備班からアキラが出撃したのを聞かされた。
(いつまでもここで篭城するわけにはいかない…。)
「ゼロ、どうした?」
「扇、大宦官と話がしたい。ディートハルト、例の準備は?」
「はい、用意はできてます。」
「ハァ ハァ ハァ……。」
アキラは迷うことなく混沌とした戦場へと入っていった。
ガンルゥ、そして陽炎のヒートヘイズ、この乱戦にアキラはガンルゥを廻転刃刀で突き刺し、ヒートヘイズをハンドガンで撃破する。
たった1機で奮闘する。
「……何?」
近くで戦っていたモルドレッドを駆るアーニャはアキラの暁に気づく。
「黒の騎士団……1機?」
他に黒の騎士団の機体は見られない。アキラの存在がどこか不気味に感じた。
「ハァ ハァ ハァ…。」
アキラはただ目の前の敵を撃つだけと銃口を向けるだけである。
その頃、ゼロは秘密裏に大宦官達と通信を行っていた。 これ以上の戦闘をやめるよう心願するが大宦官達は聞く耳を持たず天子の命もまるで他人事のような態度である。
「国を売り、主を捨て、民を裏切り、その果てに何を掴むつもりか!」
『驚きだな、ゼロがこんな理想主義者とは。』
『民はアリと同じだ。ゼロ、君は道を歩く時、アリを踏まないよう気をつけて歩くのかい?』
その時デッキのモニターに斑鳩の甲板にいる人物を見たゼロは大宦官達との通信を切った。
「蜃気楼を出す!この戦いをすぐにでも終わらせる!」
「やめて!もうやめて、こんな戦い!!」
天子が斑鳩の甲板に現れ、その身を晒した。
「おかしいわ。こんな、こんなの!!」
「あれはっ!!」
天子に気をとられ鞭状になったヘルハウンドの剣を避けきれず胸部を斬り付けられバランスを崩し地上へと落下する。
「今だ、天子を討て!」
大宦官の命の下、竜胆やガンルゥの砲撃が天子に放たれる。
「天子様!!!」
星刻は天子を庇うように神虎を降り立たせると、高速回転させたスラッシュハーケンで砲撃を防いだ。
「お逃げください、天子様!せっかく外に出られたのに、貴女は死んではいけない!ここは私が防ぎます、だから!」
「でも、貴方がいなきゃ、星刻!私は貴方の、貴方との…」
「もったいなきお言葉。されど…」
だが砲撃は激しくなり神虎は次第に追い詰められていく。
「(アレク、私はまだこんなところで……!)誰か、誰でもいい、天子様を…彼女を救ってくれ!!」
『わかった。聞き届けよう、その願い。』
天子、そして星刻を守ったのはゼロが乗る漆黒の装飾の新型KMF蜃気楼であった。
「黒の騎士団の新型…?星刻を守った?」
突如現れた漆黒のKMFにエリスは怪訝な表情をする。
第2の砲撃が蜃気楼を襲うが蜃気楼は周りにエネルギーフィールドが発生させ砲撃を防いでいく。
「無傷?」
エリスはヘルハウンドの長距離砲を展開させ蜃気楼に撃つが蜃気楼は防ぐ。
さらに蜃気楼は胸部からプリズム状に凝固させた特殊な液体金属を射出され高威力のビームを発射する。プリズムに当たったビームは広範囲に乱反射し広範囲のガンルゥを大量に破壊した。
この特殊な砲撃にエリスは危険を察し砲撃の範囲から回避した。
『哀れだな星刻。同国人に裏切られ、たった一人の女も救えないと。だが、これでわかったはずだ。お前が組むべき相手は私しかいないと。』
「だからといって部下になる気はない!」
『当たり前だろ?君は国を率いる器だ。救わねばならない、天子も貴公も、弱者と中華連邦の人民全てを』
「大層な言葉だが、KMF1機でこの戦局を変えられると思っているのか?」
『いいや、戦局を左右するのは戦術でなく戦略だ。』
井ノ本が乗る陽炎の旗艦に緊急入電が届く
「閣下、上海市内で暴動が発生しております!」
「上海だけではありません。北京、ビルマ、ジャカルタ、イスラマバード。確認中ですが、他14箇所で同時多発的に。」
この入電にバーネット兄妹は頭を傾げる。
「このタイミングで?」
「早すぎる。何かできすぎだね。」
井ノ本は表情を変えることなく報告を聞いていた。
「閣下、どうやら大宦官達がゼロとこっそりおしゃべりしてたようで。」
ジョディは面白そうに伝える。
「それを国の各地で流されたというわけか。……っふ、利用されたわけか星刻も大宦官共も……。」
井ノ本は苦笑いを浮かべる。
一方、アキラはアーニャのモルドレッドと対峙している。回避しながら反撃するが実弾が通じないモルドレッドにアキラは苦戦を強いられている。
「……はやい、けど。」
敵のミサイル攻撃を掻い潜りながらアキラは廻転刃刀を逆さに持ちモルドレッドのミサイル発射口へ突き刺した。
「……しつこい!」
アーニャはモルドレッドを上昇させるがアキラはモルドレッドにしがみ付き離れようとはしない。
アーニャは右腕で暁の頭部を握り機体から離しそのまま握りつぶそうとした時
「えっ!?」
その直後赤ん坊を崖から落そうとする少年の後姿のビジョンが頭を過ぎり
「殺さないといけない?この男を?」
頭を駆け巡る謎の言葉にアーニャは戸惑いモルドレッドの動きが一瞬止まり暁が持っていたもう1つ刀身の長い廻転刃刀がモルドレッドの右手首を切断させ暁は地上へと落ちていった。
アキラに気を取られている隙にC.C.と千葉が両サイドから攻撃を仕掛けてくる。
「……あぐっ!」
落ちた衝撃で後頭部を激しく打ち付けたアキラの包帯の巻かれた頭部から血が滲み出してきた。
上空を見上げるとモルドレッドがC.C.と千葉の暁と戦っている姿であった。
だが途中また動きが止まり朝比奈によりフロートユニットの一部を破壊され地上へと落下していった。
だが上空にエリスのヘルハウンドがアキラの暁に気づき近づいてきた。
「……アキラか?……何だ?お前らしくない動きを。」
先程までモルドレッドと戦っていたアキラがどこか考えもせずだた目の前の敵と戦っているようにしか見えず今までのアキラらしくないとエリスは感じた。
その時通信連絡が届いた。
地上からはヒートヘイズの部隊がアキラを狙おうと近づこうとする。アキラは意識が朦朧としながらも迎え撃とうと構えるが
エリス達が退がっていく。スザク達敵が後退していく。アキラは追撃しようとするが目の前が真っ赤に染まり意識が遠のいていった。
‐何故戦う?カレンの為か?だが彼女を救い出したとしても彼女が喜ぶだろうか?……俺が今戦うのはカレンのためじゃない。俺自身を慰めるためだ。こんな俺を彼女が受け入れてくれるはずがない。カレンに開きはじめた心はまた固く閉じようとしていた。‐
中華連邦での戦いは原作どおりの結末ですが次回は新たなオリジナルストーリーを考えてます。また時間がかかると思いますがお待ちください