テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ─世界を守護する負の少年─ 作:夕影
もしかしたら次話からは『僕伝』同様、主人公視点で書いてくかもしれません;;
「──良かったぁ。水を汲みに行ってたら人が倒れていたんだから驚いたんだよ。大丈夫……?」
──そう、目の前の桃色の髪の少女が自分の顔を覗き込むように見ながら心配そうに言葉を出す。
少女の行動に思わず内心慌てながらもゲーデは周りを見回して状況を理解しようとする。
どうやら今、自分はどこかの一室のベッドで寝かされていたようだ。
「(どういう……ことだ? 俺は確かに……さっきまで世界樹の中に……)」
「? ね、ねぇ……大丈夫?」
「っ! あ、あぁ……悪い。一応……大丈夫だ」
上手く状況が理解しきれずゲーデが考え込んでいると、その事で反応しなかったせいか少女が再度心配そうにそう声を掛けてきた為、ゲーデは慌てて少し首を振った後少女を見てコクリと頷きながら言葉を出した。
「そう、良かった……。あ、私はカノンノ。カノンノ・グラスバレーだよ。アナタは……?」
ゲーデの反応にホッと安心した様子を見せた後、思い出したように少女……カノンノはそうにっこりと笑顔を見せながら自己紹介した。
『カノンノ』……下の名前こそ違えど、上の方はその雰囲気同様、確かに以前闘ったディセンダーの隣にいた少女と同じものであった。
その事を少し考えながらもまた先程同様相手を心配させるわけにもいかない、と思いゲーデは少し戸惑いつつも口を開いた。
「……俺は……俺の名前はゲーデ……だ……」
「ゲーデ、かぁ……。……うん、いい名前だね」
「っ……そう、かよ……」
ゲーデの名前を復唱し、少し間が空いた後にっこりと笑ってそう言葉を出したカノンノに、自分の名前を少なからず初めてそう言われたゲーデは少し頬が熱くなるのを感じて思わず少し顔を逸らした。
「ふふっ……。ぁ、アナタが目を覚ました事、言いに行かなきゃ……目が覚めたばかりで悪いけど、ちょっと待っててね」
「あ、あぁ……」
クスクスと笑っていたカノンノがふと思い出したようにそう言うとゲーデを残して部屋から出て行った。
カノンノが居なくなったのが分かり、ゲーデは自然と大きな息を吐いて言葉を出した。
「カノンノ、か……不思議なやつだ。……ディセンダーのやつも……始めはこんな気持ちだったのか……っ!」
先程までいた少女の事を思い出しそう言葉を出していると、何故か不思議と頬が緩むのを感じるゲーデ。初めてともいえるそのよく分からない感情にディセンダーの少年の事を思い出し、ふと自然と『右手』で頭を掻き……ハッ、と自分の異変に気付いた。
「なっ……右手が……っ!?」
異変の原因である自分の『右腕』へと視線を移した瞬間、思わずゲーデはそう声を上げてしまう。
世界樹の中にいた時まで……確かに、彼の右腕はまるで魔物の腕の骨であったような禍々しい異形の右腕であった。それが今、彼の目の前では……ディセンダーの少年や先程のカノンノと同じ、『ヒト』としての形をした右腕として存在していたのだ。
「どういう……事なんだ……これは……?」
あまりの不測すぎる自体に混乱しつつも、確かめるかのように右手を握ったり開いたりと繰り返すゲーデ。何度繰り返そうとその右手は以前のような異形のものに戻る事はなく、ヒトとしてのままであるが、ゲーデはその初めての感覚に驚きつつもジッとそれを眺めていた。
「──あら、聞いたとおり目が覚めたようね」
暫く自分の右腕を眺めていて、ふと扉が開く音とそんな声が聞こえゲーデが顔を上げると、そこにはカノンノと青い髪の女性が立っていた。
「お前は……?」
「私はアンジュ。この教会につとめている者よ。あなたはゲーデ……で、いいのよね?」
問い返すような女性……アンジュの言葉にゲーデは名前の事はカノンノから聞いたのか、と考えそれに小さく頷いて返し、それと共に此処が教会である事を知り改めて部屋の中に視線を回した。
そのゲーデのどこか初めての知ったもの見るような視線にアンジュは小さくクスリと笑うと、その後真っ直ぐとゲーデを見て口を開いた。
「さて……それじゃあ目覚めたばかりで悪いけれど……ゲーデ、あなたは一体どうして倒れていたの?」
「っ……それは……」
アンジュから出された問いと真っ直ぐと向けられた視線にゲーデは思わず口ごもる。今の彼は彼自身も何故倒れていたのか、何故此処にいるのか分かっていないのだ。
かといって、こうなるまでの事を話した所でそれが彼女達に通じるか。少なからずゲーデは通じると思っていなかった。話した所で彼女達に通じるであろうか……『世界を滅ぼそうとしていたけどなんだかんだあってディセンダーと和解して世界樹の中にいたけど、目が覚めたら此処にいた』などと。
少なからず待っているのは冷たい視線と精神鑑定であろう。
「……分からない。……目が覚めたら……此処にいたんだ……」
ゲーデは頭の中で色々考えた結果、少なからず間違ってはいない答えを出した。
ゲーデのその言葉にアンジュは一度息を吐くと、視線を真っ直ぐ向けたまま再度口を開いた。
「そう……それじゃあ、どこから来たか……とかは?」
「……すまない……それも、分からない……」
『(世界樹の中から)』
そう真っ先に出てきた言葉をゲーデは頭の中で消し、その問いにも先程と同じように答えた。
ゲーデの返答にアンジュとカノンノの二人は深刻そうな表情を浮かべて口を開いた。
「そう……困ったわね。まさか……記憶喪失かしら?」
「やっぱり……そうなのかな……」
アンジュの出した言葉に、同じ事を考えていたのかそう言葉を漏らすカノンノ。当の本人であるゲーデも少なからずその言葉に納得していた。記憶喪失……全てという訳ではないが確かに今、此処に来てからの事が分からない現状なのだから。
「……ねぇ、アンジュ。ゲーデの様子がもどるまで此処にいさせてあげたらどうかな?」
「えっ……」
不意に、カノンノがそんな提案を出しゲーデは思わずそんな声を出してしまった。
前ではアンジュもその提案に乗り気なのか『それはいいわね』と笑みを浮かべており、ゲーデはそれに自然と言葉を出した。
「いいのか……俺みたいな素性の分からないような奴を此処において」
「あら、もしやましい事がある悪いような人なら今頃私達が居ない間に部屋を抜け出すだろうけどアナタはそれをしなかった。それに……あなた、今『本当に訳が分からない』って言いたそうな顔してるもの」
「……どんな顔だよ、それ」
「そんな顔よ。それに、私はこれから少ししたら仲間を少し連れて巡礼の旅に行かないといけないから、帰ってくるまでの間に此処に居てくれる人手が欲しかった所ですもの。……それに、此処に居たらちゃんとした衣食住ができる訳だけど……どうするかしら?」
そう言ってクスクスと笑みを浮かべながら、どこか試すかのような目でゲーデを見るアンジュ。ゲーデが少し視線をずらすとそこには期待に目を輝かせるカノンノの姿が映る。
その二人の姿にゲーデは一度諦めたように、だがどこかそれが心地よさそうに息を吐くと真っ直ぐ二人を見て口を開いた。
「……しばらく……世話になる」
ゲーデのその返答を聞き、どこか嬉しそうに笑うとアンジュとカノンノ。
その二人の表情をみて、ゲーデは自然に自分の口元が緩むのを感じた。
「(不思議な感覚だな……でも、悪くない……。なぁ、ディセンダー……俺は……変われるかな……?)」
自然と再び視線を変わった右腕へと向け、それと共に頭の中に浮かんだディセンダーの少年の顔を思い出し、ゲーデは内心で静かにそう思った。
そんな彼の考えに応えるのは、浮かんだディセンダーの少年の言葉ではなく……彼自身の空腹の腹の音だった。
──以上、第一話、如何でしたか?
うん、第三者視点って難しいや←
今回のお話で気付いた人は気付いたかもしれませんが、このお話はアドリビトム設立前……購入特典の『はじまりの軌跡』からはスタートとなっております。
ゲーデの特徴とも言える右腕はヒトとのものに変更されてます。
流石にあの腕で街中うろつかせる訳にもいかんので仕方ないです←
ので、ゲーデには代わりとなる武器を持たせる事を考えてます。
まぁ問題は何持たせるかですが……←
次回はゲーデの状態確認とかそんな感じ←
出来れば『僕伝』の方で登場させられなかった未参戦作品キャラとかも登場させたいです(願望←
皆様良ければ感想、ご意見など宜しくお願いします+